優等生と劣等生

和希

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2ndSEASON

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(1)

ピピピピ……。
アラームが鳴る。
僕は起き上がると、アラームを消して、隣で寝てる愛莉を起こす。

「あ、おはよう冬夜君。珍しいね、冬夜君から起きるなんて」
「流石に眠れなかったよ。カンナが入ってきたらと思うと……1時間前にセットしていて正解だった」
「そんなに早くセットしていたんだ?じゃあ~……」

僕に抱き着こうとする、愛莉を制する。

「愛莉も早く服を着る。昨夜のことで分かったろ?いちゃつこうと思えばいつでもいちゃつける」
「う~ん、連れないなぁ……」

文句を言いながらも服を着る愛莉。もちろん制服だ。

うん?何があったのかって?
普通に愛莉と勉強していて、愛莉がいつも通りに今日は一緒に寝る~!って言いだして母さんと愛莉ママにおねだりして許可が下りて泊って行ったてだけの話。
期末テストも終わったし、まあ息抜きにはいいだろうって。
高校生の息抜きの仕方じゃないとは思うけどな。
親がいいっていうからいいだろ?
僕も服を着てから、荷物を準備する。
愛莉はいつのまにか服を着て洗面所に向かっていた。
僕も降りるかな?と思った時、愛莉はもどってきた。

「ん?どこに行くの?」
「いや朝ごはん食べようと思って……」
「摩耶さんたちまだ寝てたよ?」
「あ、そうか……」

いつもより早いから寝てるよな。

「起きるまでどうする?」

愛莉はそう言ってにこりと笑ってる。
もう選択肢がほとんど残されていない。

「……、そんなに時間ないぞ?」
「それでもいいの!私もメイクする前にしときたいしね」
「服しわくちゃにならないか?」
「平気~」

返事をする先に愛莉は飛びついてきた。
最近は嫌がることはしなくなった。
愛莉が僕の食い癖を受け止めてくれると修学旅行の時言ってくれたから。
隣にいるだけで幸せだからと言ってくれたから。
じゃあ、僕に出来る事は何だろう?と思った。
愛莉の我儘、僕といちゃつきたいにという願いに応える事なんじゃないかと結論した。
僕の我儘を受け入れてくれるというんだ、愛莉の細やかな期待に応えるくらいしたっていいじゃんと。
すると歯車は上手く噛み合った。
お互いがお互いを受け入れることで物事がスムーズに捗るようになった。
愛莉のいう『二人の世界』とやらにも入りやすくなった。
もっとも時と場所を選ばないのが厄介なところだけど。
とりあえず愛莉の時間を受け入れてやると僕は愛莉に囁く。

「そろそろ準備しないと」
「……もう少しだけ」
「カンナ着ちゃうだろ」

ちょっとむくれながらもメイクを始める愛莉。
その様子をじっと見ていると、愛莉が振り返って言った。

「そんなに見つめられたら恥ずかしくてできないよ」
「今更恥ずかしがる仲じゃないだろ?」
「そういうものなんです~ちょっと外に出ててよ」
「だったら洗面所でやればって……押すな」

バタン!

部屋から追い出される部屋の主。
しばらくすると、「いいよ~」って声が。
ドアを開けると出かける準備万端の愛莉がいた。

「ダイニングいってよっか?」

愛莉はにこりと笑うとそう言った。


キッチンで母さんがせわしなく動いていた。

「あら冬夜?今日は早いのね」
「眠れなくってね」
「ほどほどにしときなさいよ~」

何事も無かったかのように軽く流して作業に戻る母さん。
ほどほどにって……。

「麻耶さん私も手伝います」

愛莉は椅子に荷物を置くとキッチンに向かう。

「あら?いいの?悪いわね~」
「泊めてもらえたお礼です。それに冬夜君の味覚えたいし」
「冬夜はどんな味でも食べるわよ……雑食だし」
「でも好きな味付けってあると思うから」
「そうね~じゃあ、まずそれそこにエプロン予備あるから」
「はい~」
「愛莉ちゃんとご飯作る時がくるなんてねぇ~おばさん口うるさいかもしれないけどごめんね~」
「そうじゃないと修行になりませんよ~」

修行って……。
いくらなんでも早すぎやしないか?
愛莉と母さんのコミュニケーションを眺めていると父さんが起きてきた。

「お?冬夜……今日は早いな」
「眠れなかったんだよ」
「そうか……ちゃんと責任とれる範囲でやれよ。父さんたちまだ孫はいらんからな!」

僕だってまだ子供はいらないよ。

「なんで今日は愛莉ちゃんがキッチンに立ってるんだ?」
「花嫁修業らしいよ……」
「お前プロポーズしたのか!?」

父さんが驚く。
声がでかいよ父さん!?

「そうだったの冬夜!?それじゃびしびしいかないとね……」

違うよ話をでかくしないでくれ……。

「違いますよ~でも半分は当たってるかな。花嫁修業です~」

愛莉、半分当ってるって……、どう考えてもただのサイコパスだぞ。

そうして愛莉と母さんの合作の朝食が出来た。
愛莉と母さんも席について食事をする。
二人の視線が気になって食事ができない。

「お、意外といけるじゃないか、さすが愛莉ちゃんだな」
「本当ですか?そのスープ麻耶さんに言われて一工夫したんですよ」
「うん、美味い!我が家の味だよ。冬夜お前も食べてみろ!」

父さんに言われてスープを口にする。
本当だ、うちの味だ。

「美味しい……」
「よかった~。今日のお弁当のおかずにも取り入れたんだよ。摩耶さんこれからも教えてくださいね」
「いいわよ~、そうか~遠坂家に嫁入りする気になったのね」

だから話が早いってば。
そうしてると呼び鈴がなる。

「神奈きたみたいだね」

愛莉がそう言うと母さんが応対してた。

「おっす。トーヤ」
「おはようカンナ……」
「朝から疲れた顔してどうした?ってなんだ愛莉その格好!?」

驚くカンナ。

「今日麻耶さんに教えてもらってお弁当と朝ごはん作ったの♪美味しいって褒められちゃった」
「へえ、もうねえ……」
「あ、コーヒー淹れるね。ブラックでいいんだよね?」
「ああ、ありがとうな」

リビングのソファーに腰掛けるカンナ。

「トーヤそろそろ準備しないとまずいんじゃね?」

時間を見る。もうそんなに時間がたってたのか!?
僕は食事を済ませると洗面所に走る。

「最近お前たち仲いいと思ったら、いつの間にプロポーズされてたんだ?」
「まだしてもらってないよ?いつでも心の準備はできてるけど」
「愛莉……大学行く気なんだろ?卒業してからでもよくないか?」
「婚約するのはいつでもいいじゃない?まだ当分先だと思うけど。給料3か月分貯めないといけないみたいだし」
「分かってるなら、花嫁修業とかまだ早すぎないか?」
「だから準備だってば、十何年分つまった冬夜君の好みとかちゃんと把握しておかないと」
「なるほどな……、まあ、トーヤが嫌がってないならいいよ」
「最近何をしても許してくれるの~だから私も何しても許してあげてる~そしたらなんか親密度が増したっていうか~」
「ああ、そういうことね。羨ましいよ」

……そろそろ出ても良いかな。

「準備出来たよ。そろそろ行こうか」

(2)

「片桐お前苦手な競技無いか?」

HRの時間に水田先生から言われた言葉。

「はい?」
「いや、他のクラスから苦情が出てな『バスケも上手いから駄目だ』って言われてな……」

ああ、そういうことね。
バレーも多分苦手とは言うけど、やれないことは無い気がするしなぁ。となるとやっぱり野球か」

「野球苦手です」
「じゃあ、お前野球な」
「先生それひどいです!冬夜君にさせたいものさせてあげないと!」

愛莉が抗議した。

「俺もそう思います。それに俺の想像通りの人間だとすると多分冬夜野球でも活躍しますよ」

渡辺君も口添えする。

いわゆる渡辺班は皆抗議してくれた。
だけど……。

「その言葉だけでいいよ。野球やってるよ」


クラスマッチ当日。

「今日も応援するね」と、愛莉。
「今日はあんまり期待するなよ。本当に苦手なんだ」
「それでも頑張る冬夜君を目に焼き付けておきたいの」

頑張る気もないんだけどな……。

「ありがとうな」
「うん」


守備はなんとかなった。フライの位置がなんとなくスローモーションで流れてきて取ろうとするも、その前に五十嵐君がフォローしてくれる。
問題はバッティングだ。
こんな細い棒きれに小さなボールを当てるなんて……出来た。
ただ振り方が悪いみたいでピッチャーゴロで終わってしまう。
最終回。満塁逆転チャンス。
そんな一番おいしいが今日全く活躍してない僕が立つのは公開処刑に近い状態だった。

「よりによって最後が片桐かよ!終わったな……」

味方からも野次が飛ぶ。
だから苦手だって言ったろ?
何でも出来ると思ってるのが間違いだ。
渡辺君も「人間だれしも欠点はある」って言ってた。
その時聞こえてきた声援。

「冬夜君しっかり~!」
「トーヤここで打てば汚名返上だぞ」
「片桐君リラックスリラックス」
「片桐君かっ飛ばせ~、ほら瑛大も!!」
「別にたかだかクラスマッチなんだし……いてっ!」
「人が頑張ってるのにそういう言い方ないでしょ!」

5人の声が耳に入ってくる。
打席に着くととりあえずバットを振ってみる。
うん、こんな感じで振ればいいのか?
もう一度確認する。
でも相手のピッチャーは紛れもない野球部のピッチャー。
僕にバスケ封印させておいてそれはないんじゃないのか?
そこまでして勝ちたいもんかね~。
ピッチャーが振りかぶる。
あれ?なんだろ……。
なんか一人だけ時間から置き去りにされたような瞬間。
周りの野次が聞こえない。
ただ愛莉の声援だけが聞こえてくる。
ピッチャーの動作が酷くスローモーションに見える。
あ、丁度いいタイミングで来たみたいだ。
僕の世界。
渡辺君の言葉を借りるならゾーンと呼ばれる世界。
ボールがスローモーションに見える。
そのボールに合わせてタイミングを計ってバットを振る。
バットの芯でボールを捕らえる。
打球は左中間にむかって飛んでいく。
フェンスがあればフェンスに直撃していただろう。
が、学校のグランドにはフェンスがない。
どこまでも転がっていく。
相手のセンタがボールを返すころには僕は3塁を蹴っていた。
そしてホームベースを踏む。

「冬夜君凄い!!」

愛莉の声が良く聞こえる。
まだゾーンに入っているのかな?
それとも二人の世界に入っているのかな?
その試合逆転勝ちした。

「冬夜ナイス!」

渡辺君が、僕の肩を叩く。

「もう片桐はクラスマッチ出禁ににしろよ!」

そんな野次が飛んでいる。
野次というか悲鳴というか。
そんな野次に立ち向かう4人の女子を渡辺君が宥める。
いくら渡辺君でも一人だときついだろうな。
僕も加勢するか。

(3)

「渡辺君はああいってたけどアレはないよね!」

亜依が一人憤慨してる。

「まあないよな、ただの僻みじゃん」

神奈も不満をもってるようだ。

「でも、冬夜君本当に何でもこなすよね」

恵美が一人感想を述べる。

「遠坂さんは知ってたの?片桐君野球できるって」

恵美が私に聞いてきた。

「私は野球は苦手だから活躍は期待するなって言われただけ~」
「あれで苦手なの!?」

それは……

「ゾーンってやつらしいぜ」

神奈が変わって答えた。

「ゾーンって言ってな一時的に発生する極限の集中状態の事をいうらしいんだ。渡辺からきいたんだ」
「片桐君の特殊能力ってこと?」
「まあ、そうだな。あと調べたんだけど、トーヤのやつフロー状態って言って一つの事にのめり込む特性ももってるらしい。なんでもこなしてるように見えたり。自分の世界に入り込んでしまうのはその二つの特性なんだろうな」

冬夜君が自分の世界に入ってしまうあれか……。

「そんな特殊能力もやる気がない人がもつと宝の持ち腐れだね」
「それは言ってやるな。手に入れたくて入れたわけでもないしな」
「でも納得はできた。冬夜君のポテンシャルはそのフローとゾーンて能力に依存してるわけね」
「その能力をどうやって手に入れてどうやって発揮してるのかは不明だけどな。特にフロー状態は冬夜には必要ないんじゃないかって思うくらいだ。愛莉無駄に泣かせてるだけだしな」
「私は平気だよ~」

私が口を挟んだ。

「愛莉ちゃん?」

恵美が私に聞く。

「勉強とかしてる時に入っているならともかく、普段ぼーっとしてる時は多分食べ物の事だから私が無理矢理世界に入ってあげることにしたんだ~」
「そんなことできるの?」
「簡単だよ。まず冬夜君と同じ目線になる。そして冬夜君の気持ちになる。そうするとなんとなくわかるんだ。冬夜君が何を考えて何を思ってるのか」
「それが出来るのは愛莉だけだよ」

神奈の言う通りだと思う。
それは誇りに思う。
冬夜君の世界に入っていけるのは私だけ。
私だけが冬夜君の世界に入ることが許されている。
それは今まで投げだしそうになったけど諦めずに冬夜君だけを見てきた結果だと思う。
やれることをやってきた成果。
何度もぶつかってきたけど、変わらない気持ちを信じてきた結果だ。
着替えが終わると時間を見た。
あ、そろそろ時間だ。

「ごめん、今日は先に帰るね~」
「あ、そうか。今日は私家いかねーから」

神奈がそう言って手を振る。




「二人が羨ましいなぁ。いつか私たちもああなれるのかしら」

恵美がそう言って愛莉の後姿を送っている。

「簡単にはなれねーよ。5年かけてきて辿り着いた境地なんだから」

私は恵美の肩を叩いた。

「う~ん、5年か~」
「でも、恵美もいつか分かる時がくるよ。辛い思いもするだろうけどな」

遠回りして傷つけあってやっとたどり着く場所。
辿り着けないまま終わってしまうこともあるかもしれない。
恵美もイッシーもそんなに器用じゃない。
それでも好きな人の為に好きでいてくれる人の為に出来る事を考えていればきっと辿り着く。

「まあ、イッシーと恵美次第だけどな」
「それなりに努力はしてるわよ。イッシーはどうだかわからないけど」
「努力ってどんなことしてるの?てかデートとかしたの?」

亜依が恵美に尋ねていた。

「そうね、こっちに帰ってきてから期末テストとかで忙しかったからそれどころじゃなかったわね。ただメッセージや電話は毎日決められた時間にかかってくるわね」

イッシーもマメなんだな……でも積極性がたりねーな。

「じゃあ、初めてのデートはクリスマスイブかなぁ?恵美ちゃん準備しときなよ……」

イッシーでそれはないだろ流石に。

「準備ってなにを?」
「それはさ、例えば……」
「亜依、キスすらまだなんだぜ、流石にはえーよ」
「そ、それもそっかぁ」

そのやりとりで、なんとなく把握したらしい。

「そ、そんな軽い人を好きになった覚えはないけど!!」
「じょ、冗談だって!」

イッシー、恵美を攻略するのは大変そうだぞ。

(4)

僕と愛莉は駅ビルに居た。
愛莉は僕に服をあてて悩んでいる。

「こっちもいいな~、あ~でもこっちも捨てがたいし~」
「おい」
「トップスとボトムス両方買った方がいいよね~。ああでも靴もいいなぁ~」
「愛莉~」
「はい?」
「何してるんだ?」
「何って服選んでるんだよ?」

愛莉は不思議そうに聞き返す。

「なんか高そうなブランドのを選んでるのは気のせいか?」
「そりゃ~高校生だもん、少しくらいお金かけますよ~」

そうか……。
財布の中身大丈夫かな?

「よし決めた!これとこれ!!あとは靴!」
「冬服この前買ったしそんなに買わなくても……」
「私は買ってないよ!」

どうも話がかみ合わない。
そうしてる間に靴屋に辿り着いた。

「うーん、冬夜君の場合スニーカーでいいかな?」

そんな事を言いながら靴を品定めしている。

「よしやっぱりこっちに決めた!」

愛莉は僕を見ると聞いた。

「冬夜君靴のサイズは?」
「……26.5」
「あった!」

愛莉は靴を買いに走った。
考えたくないけどまさか……。

「はい、これプレゼント!」

愛莉は服と靴をまとめて押し付けた。
やっぱり……

「誕生日おめでとう~♪」

僕は頭を抱えた。
そんな様子を見て愛莉は不安気に聞いてきた。

「好みに合わなかった?」

そういう問題じゃない。

「少しは喜べ~彼女さんが服をコーディネートしてあげたんだぞ~」
「ありがとう~」
「最初から素直に言いなさい」
「いや、愛莉の誕生日の時簡単なものだったからさ……悪いなって」
「私は一緒にいてくれただけで幸せだよ」

屈託のない愛莉の笑顔。
しかしなんか腑に落ちない。
本当に良かったんだろうか?

「じゃあさ、約束して。イブの時に今日の衣装でデートしてよ」
「それでいいの?」
「うん!」

愛莉は本当にいい娘だ。
しみじみ思う。
愛莉パパも言ってたっけ?

「娘の細やかな願いを叶えてやって欲しい」と……。
愛莉は僕の娘じゃないけど今なら分かる気がする。
愛莉は欲がないんだ。
欲張りだけど欲が無い。
細やかな事を感謝する。
それなら愛莉を喜ばせてやりたい。
何をしてやればいい?

僕はスマホを手にして電話する。

「もしもし母さん、今晩ご飯いらないから……うん、遅くならないように帰る。それと多分今夜愛莉泊るから……」

愛莉は嬉しそうな表情を浮かべる。

「と、いうわけで。4Fで何か食べて帰ろう?」
「うん♪」

そう言って僕の腕にしがみ付く愛莉。
どうか愛莉の笑顔が絶えまなくある様に。
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