優等生と劣等生

和希

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interlude

同じ空

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(1)

朝起きるとそうっとベッドを忍び出ようとした。
が、しっかり袖を掴んでいた。

「ん……?どこ行くの?冬夜君」
「い、いや朝風呂浴びてこようかなって?」
「じゃあ、私もいく~」

愛莉はそう言ってタオル等を手にして部屋を出る。

「じゃあ、あとでね」
「ああ」

そう言って風呂に入ってゆったりした後風呂を出る。
愛莉はささっと浴びたようだ。
出口で待ってた。

「ゆっくり入っていればよかったのに」
「いつも待たせてばかりだから、たまにはね」

そう言って僕の腕を掴む。
部屋に戻って荷物を片付けて着替えて、朝食を食べにレストランに行く。
朝食を食べると、部屋に戻りゆっくり朝のニュースでも見る。
うん、特に面白いことは無い。
ただやっぱり鹿児島の方がチャンネル多いなぁ。
愛莉は化粧をしている。
そしてチェックアウト時間が近づくと愛莉が「お待たせ~」と言って背中に抱き着いてくる。

「もうそろそろ出るか?」

僕が聞くと愛莉は頷いた。
部屋を出てフロントで清算を済ませて、ホテルを後にする。
今日は熊本までの旅だ。

鹿児島市内までは下道の方が良いのは昨日分かった。
そこから熊本市内まで高速で行って宿にチェックインする。
当然昼飯はラーメン。
太平燕って手も考えたけどここは熊本ラーメンでしょう。

(2)

昨日と同じいい天気だった。
昨日来た道を戻る感じで進む。
昨日は夕焼けだったけど、今日は朝だ。
景色が全然違う。
その景色に見とれてしまう。

「お願いだから前見て運転して」

大丈夫だよ愛莉、なんとなく前も確認してるから。
その証拠に車間距離ちゃんとキープしてるだろ?
鹿児島市内に入る頃にはお昼前になっていたけど、ここは我慢して熊本まで高速に乗る。
熊本インターで降りると阿蘇に向かって走る。
その途中でラーメン屋さんに寄る。

「またラーメン?」

ちょっと嫌がっていたけど、本気で嫌がってはなさそうだ。
ここは強引にラーメンを食べる。
因みに明日は久留米ラーメン食べるんだ。
黒こってりチャーシューを注文、愛莉は赤のあっさりを注文。
券売機で券を買って店員に渡す。
麺の硬さは固めで。
美味い!
当然のように替え玉を頼む。
前もってチケットは買っておきましたよ。
案の定愛莉が残したので、もらった。
あっさりでも結構美味いな。
腹ごしらえをすると阿蘇に向かって車を走らせる。
今度は前もって給油を忘れずに。
山を登り、動物園に入る。
そこは熊が多くて有名な動物園。
テレビにも取り上げられたことのある有名な動物園だ。
餌を買って、クマに向かって放り投げようとすると熊が立ち上がっておねだりしてる。

「そんな餌につられないくま~」

と言って楽しそうに遊んでる愛莉。
どこで覚えたんだ?その言葉。
チンパンジーのショーが見れるそうだけどやめておいた。
人が混んでるから。
時間的にも厳しい。
余りのんびりしてられない。

「草千里行きたかったな」
「今度はGWに来ような」
「うん!」

今日の愛莉はご機嫌のようだ。
これならいけるかも……!

「愛莉、ちょっと小腹空かない?」
「ほえ?」
「そこの店にはいって」

ぽかっ!

「高菜めしなら今度草千里に行ったときにね」

そうきたか……。

阿蘇から国道を外れ大観峰に向かう。
もう完全に地元に戻る感じになるけど。
でも一度見ておきたかったから。
ついた時にはちょっと薄暗くなっていたけど、それでも絶景だった。
展望台まで歩いていく。

「素敵だね」
「そうだな」
「また来ようね」

今度はじっくり熊本探索だな。

大観峰を後にすると今日の宿泊地・黒川温泉にむかう。
ギリギリチェックインの時間に間に合った。

貸切風呂が4つあるらしい。
愛莉と顔を見合わせる。
……今更恥ずかしがる仲でもないか。
一緒に入った。
選んでよかった。
愛莉が背中を流してくれる。
僕も背中をあらってやる。
そして二人で温泉に浸かる。
気持ちいなぁ~。
満喫してると愛莉は不満そうにしている。

「こんな美女が隣にいるのに一人で堪能ですか?」

自分で美女って言うか?間違ってはいないけど。

「愛莉、今の僕の気持ち読める?」

……愛莉は恥ずかしそうに顔を赤らめる。

「……言葉にしてくれてもいいんだよ」
「大好きだよ」
「うん!」

寄り添いしばらく二人の時間に浸った。


夕食は豪勢だった。
食前酒はさすがにソフトドリンクに変えてもらった。
なんと言っても馬刺し!
厚切り、薄切り、フタエゴ!
舌の上でとろけて美味い。
さらに味彩牛と赤鶏のくわ焼、
部屋食で食べれたので、ゆっくりと食べられた。
愛莉もご満悦のようだが、やっぱり残したので食べてやる。
あ、お口あ~んもやったよ。
ご飯を片付けられるとお布団を敷いてもらう。
二人分敷いてもらったけど、敷布団ごと布団をずらしくっつける。
……意味はなかった。
だって愛莉がこっちの布団に潜りこんできたから。
愛莉にマッサージしてもらう。
……今日くらいはいいだろ。
テレビの音量を上げる。
愛莉はきょとんとしている。
カバンからそれを取り出す。
愛莉は気づいたようだ。
布団に仰向けになり目を閉じる。
テレビの音量は意味が無かった。
愛莉は声を押し殺している。

「また来ようね」

愛莉がそう呟く。
GWは熊本散策かな?
お金貯めとかないとな。
バイトするか……。

「今度はラーメン抜きで大丈夫だよね」

うん今度は太平燕にするよ。
あ、でも高菜飯も食べたいな。

「明日で終わりかぁ~」
「またくればいいよ」
「うん」

愛莉はそう言って僕に抱き着いて眠りについた。
この体制じゃテレビ観れないな。
僕も寝るか。

(3)

朝起きる。
冬夜君はまだ眠っている。
二人きりの旅行は初めてだったけど楽しかった。
それも今日で終わる。

「また来ればいいよ」

うん、まだ見てないところ沢山あったもんね。
本場の讃岐うどんも興味あるんでしょ?
いいよ、冬夜君とならどこまでも行くから。
だからずっと一緒だよ。

スマホのアラームがなる。
冬夜君が目を覚ます。

「おはよう」
「あ、愛莉おはよう。今何時?」
「まだ7時だよ?」
「ちょっと風呂行ってこようかな?」
「私もいく~」

お風呂に入った後部屋に入ると布団は片づけられ、テーブルの上に朝ごはんが用意されていた。
それを食べると。仲居さんが入ってきて片づけてくれる。

「じゃ、今日は時間かかるしちょっと早めに出ようか?」
「うん」

チェックアウト時間より1時間も早めにでると210号線に向けて走る。
210号線にでると、日田にでてそこから久留米に向かってひた走る。
山道だけど、冬夜君と一緒だと色々と楽しい。
時間も忘れて車は走り続ける。
途中コンビニに寄ってジュースを買ったりしたけど。
久留米に出ると冬夜君はナビと奮闘。
どうしたの?
あとは拘束に乗るだけだよね?
……お昼に久留米ラーメンが食べたいらしい。
よくもまあ、飽きないね?
冬夜君ラーメン好きだね。

「私とラーメンどっちが好き?」

ちょっと意地悪してみた。



「愛莉に決まってるだろ?」

その間はなに?
まあ、気にしない。
丁度お昼時だしね。

きくらげと葱、チャーシューが麺をかざっている。
スープに豚骨特有のコクがあり、麺と合っている。
美味しいけど、全部は食べれないや。
冬夜君が食べてくれるしいいや。
冬夜君は替え玉を一回だけして、私の分を食べていた。
良く入るね。


その後久留米インターから鳥栖に向かい……、小倉に向かう。
冬夜君都会の景色が好きだって言ってたね。
北九州JCTで東九州自動車道に乗り換える。
後は地元に向かって走るだけ。
あっという間の旅だったね。
でも十分思い出残せたよ。
途中PAで休憩する。

「こっから別府SAまでは一気に行くからな」

冬夜君が念を押す。
じゃあ、色々買っておかないとね。
お土産も買っておかないと……。
神奈達にも買って行こうかな?
買い物を終えると車は地元に向かって走り出す。
なんか切ない気分。
J-POPの女性歌手のCDを流す。
旅の終わりを告げるような曲。
やっと辿り着いたんだね。
だけど、それは終わりなんかじゃない。
ここからまた新しい何かが始まる。
そんな予感がするの。
これからもよろしくね冬夜君。
一先ず今日はお疲れ様。

(4)

別府SAちょっと休憩がてら寄ってみる。
日は暮れていた。
今ならいいかも。

「愛莉おいで」

愛莉を呼び、展望台に向かう。
うん、間違いなかった。
誠が言ってた。
ここからの夜景は絶景だって。
昼間の景色もいいけれど。
夜も中々綺麗だ。

「来てよかった」

愛莉が一言そう漏らす。
その一言でどれだけ疲れが癒える事か。

「ここから家に戻るまでPAないから……」

愛莉にそう言うと愛莉はお手洗いに向かった。
その間にジュースを買う。
途中飛ばしたけど、宮崎のラーメンも美味いって言ってたな。
あとは喜山SAの肉うどんとかも食べてみたいな。
とりあえずは今夜何食べるかだな。
愛莉小食だし、あのハンバーグショップは無いよな……。
無難にファミレスにするか?

「おまたせ~」
「愛莉、夕食どっかで食べて行かないか?」
「うんいいけど、私そんなにお腹空いてないよ?」
「ファミレスにしとこうと思うんだけど」
「それならいいよ」
「じゃ、行こうか?」
「うん!」


ファミレスでいつものメニューを頼む。

「冬夜君、車に乗って益々運動しなくなるから本当に太っちゃうよ?」

大丈夫、今まだってそんなに運動してないだろ?
愛莉こそいいのか?
パスタにパフェだけって。

「私も運動してないから気をつけないとね」

そう言って舌を出して笑う愛莉。


夕食を食べ終えると家に帰る。
愛莉を家の前で降ろす。

「じゃあ、また明日」
「うん」

そう言って愛莉は家に帰って行った。
僕も家のガレージに車を駐車して。家に帰る。
すると母さんの怒鳴り声が聞こえた。

「ですから!他人様の電話番号を勝手に教えるわけにはいきません!」

ガチャ!

「ただいま~、どしたの?大声でどなって」
「あ、冬夜おかえりなさい。旅行はどうだった?」
「楽しかったよ。あ、これお土産とカード」
「はい。冬夜、勝也君と愛莉ちゃんなんかあったのかい?」
「勝也?」

僕は訝し気に母さんを見る。

「勝也君からしつこく電話がくるのよ。『愛莉ちゃんの家の番号を教えて』って……」

しまった。親に言うの忘れてた!

「母さん、絶対に教えちゃダメ!」
「分かってるわよ。あんまりいい感じじゃなかったし。愛莉ちゃんとは何の関係もないし。なにより本人に直接聞くのが礼儀でしょ?」

母さんに事情を話す。
母さんの顔が険しくなる。

「そんなことが……、もう地元に来させるわけにもいかないわね」
「母さん、放っておきなさい!冬夜も愛莉ちゃんの彼氏ならちゃんと守ってやるんだぞ」

父さんが怒鳴り声をあげる。

「わかってるよ」

この事愛莉に言うべきか?
いや、言わないほうがいいだろうな。
不安にさせてしまうだけだ。

「冬夜旅行はどうだった?」

父さんたちに土産話をしていた。
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