145 / 442
3rdSEASON
幸運を運ぶ者
しおりを挟む
(1)
「わあ~綺麗だね~」
山上から一望できる神戸はおろか大阪から和歌山まで広がるワイドな一望。
空気も綺麗だし、愛莉は大満足のようだ。
愛莉が写真を撮ったり景色を堪能してる間僕は、ふもとのコンビニで買ってきた観光ガイドをめくる。
するとあるものが目にとまった。
これはいい!
愛莉の事だから「羊さんを観たい~」って言いだすのは分かり切ってる。
羊さんを見た後なら10時~10時半くらい。
おやつにはもってこいの時間だ。
今日の予定は大体決まった。
「何見てるの?」
愛莉が雑誌を覗き込む。
僕はさっと雑誌を隠す。
「な、なんでもないよ」
「じゃあ、みせて」
「いや、本当に何もないから」
「良いから見せて♪」
愛莉の笑顔に抗うすべもなく大人しく雑誌を愛莉に渡す。
愛莉は一ページごとにチェックをしていく。
どうか見つかりませんように……。
見つかってもも見つからなくても行くけどね。
その為にわざわざ羊さんの牧場に行くんだから……。
「あ、羊さんだ~」
そっちに気がいってくれたか。それは良かった。
「ん?」
まずい、ばれたか。
愛莉はそのページをめくるとページをめくる音が止まりじっと見ている。
そして車のナビを操作し始める。
目的地の検索だ……。ああ、バレたねこれは完全に。
愛莉の検索が終わると僕をじっと見る。
作り笑いをして誤魔化す僕。
「バレちゃったか~まあ、しかたないな~」とでも言えば許してもらえる状況だったんだろうか?
「愛莉が嫌なら諦めるよ……」
「え?」
愛莉の顔が一瞬陰る。
「おやつにしてはちょっとヘビーだよね。卵も別に神戸で食わなくてもって感じだし。異人館でも回ろうか?」
「……私そんな顔してた?」
へ?
愛莉の顔を見る。なんか悲しそうだ。うわあ、そっちの方にいっちゃったか。
「愛莉ごめん!ちょっと気になっただけなんだ!」
「うん、分かってる。私が悲しいのは……私の心ちゃんとわかってくれてない冬夜君」
へ?
「私一言も悪いなんて言ってないよ。羊さん連れてってくれるならいいかな?って思ってたのに……」
「あ……」
そういえば最近愛莉あまり食事に関して言わなくなったな。それでも言われてるけど。
「ごめん……」
愛莉は僕の顔を掴む。
「そうやってすぐ謝る癖止めてって言ったでしょ!あともっと私の顔を見てよ。だから私の気持ちわかってもらえないんだよ」
「わかった……」
「ブー!!です罰を与えます」
TKGの夢は潰えたか……。余計な事言わなきゃよかった。
「すぐ謝る癖について一つ。私の気持ちを分かってもらえなかったことでもう一つでーす」
「なんでもするよ……」
「なんでもって言ったね。じゃあ、罰を発表します」
愛莉の顔は笑ってる。
「先ず一つ目は……罰ゲーム覚えてるよね。アレを今して」
「分かったよ……愛してるよ、愛莉……」
10回目を言う頃には愛莉の顔は紅潮していた。
「で、もう一つは?」
「車さんに少しだけ休憩させてあげよ?夜にはまた頑張ってもらうんだし」
「どういう意味?」
「街の下の方の……ホテルの側に止めてさ。上までタクシーで行って、それから下まで歩いて降りてくるの。どうせ車止められるところ少ないだろうし」
「それが罰ゲームになるの?」
「冬夜君少しは歩かないと、あと街ブラデートってやってみたかったんだよね」
ああ、愛莉の要望を叶えたらいいのね。
「わかった」
「あ、もう一つお願いしてもいいですか?」
「いいよ。なに?」
「中華街にいったら食べたいものがあるんだけど……」
「は?」
愛莉の口から食べたいものって……スイーツなのだろうか?
「もう一個あった、行ってみたいお店があるの!」
「わかったよ。じゃあ、昼は軽めでいいな」
「むしろTKGだけで十分な気がするけどね」
「愛莉食べないのか?」
「うーん……夕ご飯はどうせラーメンとか言うだろうし。間食も多いからいいかなって」
夕飯まで見透かされていたのね。
(2)
営業時間になったころ僕達は牧場についていた。
北欧風のマンサード型の牛舎や赤煉瓦のサイロ、乳牛や羊などの放牧がアルプスの雰囲気で一杯。
愛莉は羊や牛と戯れて楽しそうだった。
それを僕はソフトクリームを食べながら楽しむ。
愛莉がそれを観ると、私にも一口といいだす。
「ああ、買っておいで」というと「一口でいいの!」と言いだす。
ああそういうことね。愛莉にソフトクリームを差し出すとぺろりとひとなめ。
「美味しいね♪」
本当に些細なことで喜びを得られる娘なんだな。
「愛莉、羊さんと写真撮ってあげる」
「わ~い。でも、どうせなら冬夜君も」
そう言って観光客を呼び止めお願いする。
撮影してもらうと礼を言う。
その後山を下りると一見普通に見える食堂に入る。
しかし、こここそが知る人ぞ知る大分産の蘭王つかった絶品のTKGが食える店!
愛莉も注文する。僕はTKG定食とかけうどんを頼んだけどね。
二人して「美味しい!」と絶賛。
愛莉にも喜んでもらえてよかった。
その後は愛莉に言われた通りに三ノ宮駅周辺の駐車場に止めると。タクシーで北野町にむかった。
2時間で8館回れるらしいので、8館プレミアムパスを購入。
風見鶏の館を始めとして、8館を散策。
ガイドブックに書いてあった通りに散策していく。
どれも明治時代の洋館を再現してありとてもお洒落なところだった。
愛莉も気にったらしく次々と写真を取って行く。
北野町広場のブロンズ像では愛莉を一緒にとってあげた。
英国館では帽子とマントが貸し出しされており、某探偵の気分が味わえる。
8館回った後で愛莉が「行きたかったお店」に行く。
そこはコーヒーショップのコンセプトストア。
異人館風の内装をしていてどの部屋でも飲食OKというお店。
そこで軽く間食をする。
「ね?いいお店でしょ?」
愛莉は来たことがあるらしい。
ああ、中2の時か。
「いつか冬夜君とくるのが夢だったの~」
嬉しそうに言う愛莉。
それから僕たちは三宮駅までぶらぶら歩く。
三宮駅から元町駅まで電車で移動して南京町を目指す。
そこで愛莉の食べたがっていた小籠包を食べる。
美味いけど……熱い!
それからお土産屋を回り、神戸と言えばな「角煮まん」を食べる。
トロトロでおいしい。
これならもう一個いける!
ぽかっ
「一個でいいよね♪」
……はい。
(3)
三宮駅までもどったら車を出してとりあえずホテルにチェックイン。
ダブルの部屋を取ってあった。
もういまさらだろ?
夜になるまでまだ時間がある。
「どうする?」
「ん~まだ夕食までは早いしね。のんびりくつろいでよっか」
そう言うと愛莉はテレビを見だした。
僕はいつのまにか寝ていた。
「冬夜君、もう夜だよ」
愛莉に起こされる。
「んじゃ、そろそろ行こうか?」
「うん」
車を出し六甲山へ向かう。
山上に着くと言葉を失う。
100万ドルの夜景とはよく言ったものだ。
展望台からの夜景は美しいの一言に尽きるものだった。
30分ほど景色を堪能した僕らは、山を下りようとした。
さて夕食は何にしよう。
神戸まで来てラーメンか?って言われそうな気がしないでもない。
スマホで検索する……。
ヤッパリ神戸といったら肉か。
安いとはいえやはり神戸牛。それなりの値段はする。
しかし質より量という言葉もある……。
悩むなぁ……。
「食べよっ?私も折半するから」
「いや、でも……」
「言ったでしょ?二人のものだからって。冬夜君との時間を買えるのなら安いもんだよ」
愛莉に言われ、ステーキ屋さんに決めた。
流石ブランド牛。
口に入れた途端溶けるようとはよく言ったものだ。
その美味さに舌鼓を打つ。
美味しさで腹が満たされるって本当にあるんだな。
「来てよかったね」
「そうだな」
「私嬉しかったよ。冬夜君の事だからラーメン一択だと思ってた」
まあ、半分そうだったけどね。
「ちゃんと私の言ったこと覚えててくれてたんだなって、こういう雰囲気の食事ならありかなって事」
ごめん、愛莉。完全に忘れてた。
「覚えてなかったのかもしれないけど、私の気持ち考えてくれてるんだなって」
「まあ、愛莉と折角来たんだしってのは考えたかもな」
「それだけで十分だよ」
「それだけでとか悲しい事いうなよ」
「ほえ?」
「愛莉は欲が無さすぎだ。これだけでいいとか。それだけで幸せとか。もっと欲を言えよ、叶えてあげられないかもしれないけど」
「う~ん、そうだな~。じゃあさ……」
早速あるわけね。
(4)
神戸の夜景スポットを可能な限り回る。
それが愛莉の願いだった。
可愛いナビに誘導されあちらこちらをしらみつぶしに回る。
最後に選んだのはビーナスブリッジだった。
「今日はありがとうね」
愛莉がそう言って微笑む。
それだけで100万ドルの価値があるよ。
夜景にも負けない愛莉の笑顔。
それを観る為だったらどんなことだってする。
拗ねたり怒ったりはしゃいだり喜んだり泣いたり笑ったり。
忙しい愛莉だけどそんな愛莉を見てるだけで愛おしく思える。
ご機嫌取りは大変だけど。
トリセツ作る作業も楽しいよ。
そんなに今引っ付かなくても大丈夫。
どこにも行かないから。
ホテルについたら一杯甘えさせてあげるから。
愛莉の仕草全てが僕を離さない。
愛莉を思う時間が僕を変えていく。
我儘も弱さも涙も、ひとつ残らず君を受け止めるよ。
車窓に映る月にそっと呟く。
後悔なんてさせないから……。
上手く言えないけど愛しているよ。
いつまでも僕のそばでありのままでいて欲しい。
ずっと探し続けたモノは愛莉の中にある。
「愛莉、他にしてほしいことはあるかい?」
「もう罰ゲームは終わったよ?」
「僕が心底から何かしてあげたいと思うのはいけないことなのかな?」
「う~ん。今日は疲れてるだろうしいいよ。明日はもっとハードだし」
「そうか。じゃ、帰って寝るか」
「うん♪」
そうして僕たちはホテルに帰って休息をとるのだった。
(5)
今日は朝から優しかった。
ちょっと目を離すとすぐ食べ物の事ばかり考える困り屋さんだけど。
私だって変わったんだよ?
ちゃんと見てよ。
朝か意地悪してみた。
まだ約束覚えていてくれたんだね。
いわれてるうちにこっちが恥ずかしくなってきちゃったよ。
冬夜君との神戸散策楽しかった。
冬夜君好みの店もちゃんとあるんだよ。
マグカップ二つ買った。
冬夜君の家に置いておくね。
一緒にこれでモーニングコーヒー飲もうね。
冬夜君がいってくれた言葉
「もっと我儘言ってもいいんだよ」
言えないよ、もう最大限の我儘言ってるから
「ずっとそばにいて欲しい」って。
冬夜君は冬夜君のままでいいんだよ。
偶に拗ねたり困らせたりするときもあるけど。
偶に、怒らせたり悲しませたりする事もあるけど。
あなたは常に守ってくれてる。
「私以外の人をみないで」
それだけで十分なの。
それだけで満足なの。
本当だよ。
だからこれ以上の我儘なんてない。
最近はやっと食べ物から私に興味を移してくれた。
それだけで嬉しい。
「我儘を言ってもいいんだよ」
それは私も同じだよ。
どうしてもって言うなら最大限の我儘言うね。
「一緒に幸せになろうよ」
これでいい?
守ってくれる?
冬夜君ならもう守ってくれるよね?
大丈夫だと思ったから言います。
ちゃんと待ってるから。
あなたからの約束の指輪。
ホテルから帰ると、シャワーを浴びる。
「冬夜君どうぞ~」
ってあれ?冬夜君寝ちゃった?
起こすのはかわいそうだよね?
そっと隣に入る。
今日はお疲れ様。
また明日ね。
車さんも明日は大変だよ。
お疲れ様でした。
最後に無理言ってごめんね。
帰ったらまた洗車してあげるね。
それじゃ、また。
おやすみなさい。
「わあ~綺麗だね~」
山上から一望できる神戸はおろか大阪から和歌山まで広がるワイドな一望。
空気も綺麗だし、愛莉は大満足のようだ。
愛莉が写真を撮ったり景色を堪能してる間僕は、ふもとのコンビニで買ってきた観光ガイドをめくる。
するとあるものが目にとまった。
これはいい!
愛莉の事だから「羊さんを観たい~」って言いだすのは分かり切ってる。
羊さんを見た後なら10時~10時半くらい。
おやつにはもってこいの時間だ。
今日の予定は大体決まった。
「何見てるの?」
愛莉が雑誌を覗き込む。
僕はさっと雑誌を隠す。
「な、なんでもないよ」
「じゃあ、みせて」
「いや、本当に何もないから」
「良いから見せて♪」
愛莉の笑顔に抗うすべもなく大人しく雑誌を愛莉に渡す。
愛莉は一ページごとにチェックをしていく。
どうか見つかりませんように……。
見つかってもも見つからなくても行くけどね。
その為にわざわざ羊さんの牧場に行くんだから……。
「あ、羊さんだ~」
そっちに気がいってくれたか。それは良かった。
「ん?」
まずい、ばれたか。
愛莉はそのページをめくるとページをめくる音が止まりじっと見ている。
そして車のナビを操作し始める。
目的地の検索だ……。ああ、バレたねこれは完全に。
愛莉の検索が終わると僕をじっと見る。
作り笑いをして誤魔化す僕。
「バレちゃったか~まあ、しかたないな~」とでも言えば許してもらえる状況だったんだろうか?
「愛莉が嫌なら諦めるよ……」
「え?」
愛莉の顔が一瞬陰る。
「おやつにしてはちょっとヘビーだよね。卵も別に神戸で食わなくてもって感じだし。異人館でも回ろうか?」
「……私そんな顔してた?」
へ?
愛莉の顔を見る。なんか悲しそうだ。うわあ、そっちの方にいっちゃったか。
「愛莉ごめん!ちょっと気になっただけなんだ!」
「うん、分かってる。私が悲しいのは……私の心ちゃんとわかってくれてない冬夜君」
へ?
「私一言も悪いなんて言ってないよ。羊さん連れてってくれるならいいかな?って思ってたのに……」
「あ……」
そういえば最近愛莉あまり食事に関して言わなくなったな。それでも言われてるけど。
「ごめん……」
愛莉は僕の顔を掴む。
「そうやってすぐ謝る癖止めてって言ったでしょ!あともっと私の顔を見てよ。だから私の気持ちわかってもらえないんだよ」
「わかった……」
「ブー!!です罰を与えます」
TKGの夢は潰えたか……。余計な事言わなきゃよかった。
「すぐ謝る癖について一つ。私の気持ちを分かってもらえなかったことでもう一つでーす」
「なんでもするよ……」
「なんでもって言ったね。じゃあ、罰を発表します」
愛莉の顔は笑ってる。
「先ず一つ目は……罰ゲーム覚えてるよね。アレを今して」
「分かったよ……愛してるよ、愛莉……」
10回目を言う頃には愛莉の顔は紅潮していた。
「で、もう一つは?」
「車さんに少しだけ休憩させてあげよ?夜にはまた頑張ってもらうんだし」
「どういう意味?」
「街の下の方の……ホテルの側に止めてさ。上までタクシーで行って、それから下まで歩いて降りてくるの。どうせ車止められるところ少ないだろうし」
「それが罰ゲームになるの?」
「冬夜君少しは歩かないと、あと街ブラデートってやってみたかったんだよね」
ああ、愛莉の要望を叶えたらいいのね。
「わかった」
「あ、もう一つお願いしてもいいですか?」
「いいよ。なに?」
「中華街にいったら食べたいものがあるんだけど……」
「は?」
愛莉の口から食べたいものって……スイーツなのだろうか?
「もう一個あった、行ってみたいお店があるの!」
「わかったよ。じゃあ、昼は軽めでいいな」
「むしろTKGだけで十分な気がするけどね」
「愛莉食べないのか?」
「うーん……夕ご飯はどうせラーメンとか言うだろうし。間食も多いからいいかなって」
夕飯まで見透かされていたのね。
(2)
営業時間になったころ僕達は牧場についていた。
北欧風のマンサード型の牛舎や赤煉瓦のサイロ、乳牛や羊などの放牧がアルプスの雰囲気で一杯。
愛莉は羊や牛と戯れて楽しそうだった。
それを僕はソフトクリームを食べながら楽しむ。
愛莉がそれを観ると、私にも一口といいだす。
「ああ、買っておいで」というと「一口でいいの!」と言いだす。
ああそういうことね。愛莉にソフトクリームを差し出すとぺろりとひとなめ。
「美味しいね♪」
本当に些細なことで喜びを得られる娘なんだな。
「愛莉、羊さんと写真撮ってあげる」
「わ~い。でも、どうせなら冬夜君も」
そう言って観光客を呼び止めお願いする。
撮影してもらうと礼を言う。
その後山を下りると一見普通に見える食堂に入る。
しかし、こここそが知る人ぞ知る大分産の蘭王つかった絶品のTKGが食える店!
愛莉も注文する。僕はTKG定食とかけうどんを頼んだけどね。
二人して「美味しい!」と絶賛。
愛莉にも喜んでもらえてよかった。
その後は愛莉に言われた通りに三ノ宮駅周辺の駐車場に止めると。タクシーで北野町にむかった。
2時間で8館回れるらしいので、8館プレミアムパスを購入。
風見鶏の館を始めとして、8館を散策。
ガイドブックに書いてあった通りに散策していく。
どれも明治時代の洋館を再現してありとてもお洒落なところだった。
愛莉も気にったらしく次々と写真を取って行く。
北野町広場のブロンズ像では愛莉を一緒にとってあげた。
英国館では帽子とマントが貸し出しされており、某探偵の気分が味わえる。
8館回った後で愛莉が「行きたかったお店」に行く。
そこはコーヒーショップのコンセプトストア。
異人館風の内装をしていてどの部屋でも飲食OKというお店。
そこで軽く間食をする。
「ね?いいお店でしょ?」
愛莉は来たことがあるらしい。
ああ、中2の時か。
「いつか冬夜君とくるのが夢だったの~」
嬉しそうに言う愛莉。
それから僕たちは三宮駅までぶらぶら歩く。
三宮駅から元町駅まで電車で移動して南京町を目指す。
そこで愛莉の食べたがっていた小籠包を食べる。
美味いけど……熱い!
それからお土産屋を回り、神戸と言えばな「角煮まん」を食べる。
トロトロでおいしい。
これならもう一個いける!
ぽかっ
「一個でいいよね♪」
……はい。
(3)
三宮駅までもどったら車を出してとりあえずホテルにチェックイン。
ダブルの部屋を取ってあった。
もういまさらだろ?
夜になるまでまだ時間がある。
「どうする?」
「ん~まだ夕食までは早いしね。のんびりくつろいでよっか」
そう言うと愛莉はテレビを見だした。
僕はいつのまにか寝ていた。
「冬夜君、もう夜だよ」
愛莉に起こされる。
「んじゃ、そろそろ行こうか?」
「うん」
車を出し六甲山へ向かう。
山上に着くと言葉を失う。
100万ドルの夜景とはよく言ったものだ。
展望台からの夜景は美しいの一言に尽きるものだった。
30分ほど景色を堪能した僕らは、山を下りようとした。
さて夕食は何にしよう。
神戸まで来てラーメンか?って言われそうな気がしないでもない。
スマホで検索する……。
ヤッパリ神戸といったら肉か。
安いとはいえやはり神戸牛。それなりの値段はする。
しかし質より量という言葉もある……。
悩むなぁ……。
「食べよっ?私も折半するから」
「いや、でも……」
「言ったでしょ?二人のものだからって。冬夜君との時間を買えるのなら安いもんだよ」
愛莉に言われ、ステーキ屋さんに決めた。
流石ブランド牛。
口に入れた途端溶けるようとはよく言ったものだ。
その美味さに舌鼓を打つ。
美味しさで腹が満たされるって本当にあるんだな。
「来てよかったね」
「そうだな」
「私嬉しかったよ。冬夜君の事だからラーメン一択だと思ってた」
まあ、半分そうだったけどね。
「ちゃんと私の言ったこと覚えててくれてたんだなって、こういう雰囲気の食事ならありかなって事」
ごめん、愛莉。完全に忘れてた。
「覚えてなかったのかもしれないけど、私の気持ち考えてくれてるんだなって」
「まあ、愛莉と折角来たんだしってのは考えたかもな」
「それだけで十分だよ」
「それだけでとか悲しい事いうなよ」
「ほえ?」
「愛莉は欲が無さすぎだ。これだけでいいとか。それだけで幸せとか。もっと欲を言えよ、叶えてあげられないかもしれないけど」
「う~ん、そうだな~。じゃあさ……」
早速あるわけね。
(4)
神戸の夜景スポットを可能な限り回る。
それが愛莉の願いだった。
可愛いナビに誘導されあちらこちらをしらみつぶしに回る。
最後に選んだのはビーナスブリッジだった。
「今日はありがとうね」
愛莉がそう言って微笑む。
それだけで100万ドルの価値があるよ。
夜景にも負けない愛莉の笑顔。
それを観る為だったらどんなことだってする。
拗ねたり怒ったりはしゃいだり喜んだり泣いたり笑ったり。
忙しい愛莉だけどそんな愛莉を見てるだけで愛おしく思える。
ご機嫌取りは大変だけど。
トリセツ作る作業も楽しいよ。
そんなに今引っ付かなくても大丈夫。
どこにも行かないから。
ホテルについたら一杯甘えさせてあげるから。
愛莉の仕草全てが僕を離さない。
愛莉を思う時間が僕を変えていく。
我儘も弱さも涙も、ひとつ残らず君を受け止めるよ。
車窓に映る月にそっと呟く。
後悔なんてさせないから……。
上手く言えないけど愛しているよ。
いつまでも僕のそばでありのままでいて欲しい。
ずっと探し続けたモノは愛莉の中にある。
「愛莉、他にしてほしいことはあるかい?」
「もう罰ゲームは終わったよ?」
「僕が心底から何かしてあげたいと思うのはいけないことなのかな?」
「う~ん。今日は疲れてるだろうしいいよ。明日はもっとハードだし」
「そうか。じゃ、帰って寝るか」
「うん♪」
そうして僕たちはホテルに帰って休息をとるのだった。
(5)
今日は朝から優しかった。
ちょっと目を離すとすぐ食べ物の事ばかり考える困り屋さんだけど。
私だって変わったんだよ?
ちゃんと見てよ。
朝か意地悪してみた。
まだ約束覚えていてくれたんだね。
いわれてるうちにこっちが恥ずかしくなってきちゃったよ。
冬夜君との神戸散策楽しかった。
冬夜君好みの店もちゃんとあるんだよ。
マグカップ二つ買った。
冬夜君の家に置いておくね。
一緒にこれでモーニングコーヒー飲もうね。
冬夜君がいってくれた言葉
「もっと我儘言ってもいいんだよ」
言えないよ、もう最大限の我儘言ってるから
「ずっとそばにいて欲しい」って。
冬夜君は冬夜君のままでいいんだよ。
偶に拗ねたり困らせたりするときもあるけど。
偶に、怒らせたり悲しませたりする事もあるけど。
あなたは常に守ってくれてる。
「私以外の人をみないで」
それだけで十分なの。
それだけで満足なの。
本当だよ。
だからこれ以上の我儘なんてない。
最近はやっと食べ物から私に興味を移してくれた。
それだけで嬉しい。
「我儘を言ってもいいんだよ」
それは私も同じだよ。
どうしてもって言うなら最大限の我儘言うね。
「一緒に幸せになろうよ」
これでいい?
守ってくれる?
冬夜君ならもう守ってくれるよね?
大丈夫だと思ったから言います。
ちゃんと待ってるから。
あなたからの約束の指輪。
ホテルから帰ると、シャワーを浴びる。
「冬夜君どうぞ~」
ってあれ?冬夜君寝ちゃった?
起こすのはかわいそうだよね?
そっと隣に入る。
今日はお疲れ様。
また明日ね。
車さんも明日は大変だよ。
お疲れ様でした。
最後に無理言ってごめんね。
帰ったらまた洗車してあげるね。
それじゃ、また。
おやすみなさい。
0
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる