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3rdSEASON
たんぽぽ
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(1)
「おはよう、冬夜君」
「おはよう」
朝の陽ざしがまぶしい。
蒲公英が咲き、春の訪れを感じる今日この頃。
起きるとダイニングで朝食をとり、そして上に上がろうとすると母さんに呼び止められる。
「今月の分はもう振り込んでおいたわよ?」
多分小遣いの事だろう。
「知ってるよ?」
「だったら遊びに行って来たらいいんでないかい?」
「今日は愛莉と休息日だから」
休息日とは愛莉と決めた文字通り休息する日。
分かりやすく説明すると、ある日愛莉に「偶には車さん休ませてあげない?」と提案した。
本当は自分が休みたいだけなんだけど、そう言うと愛莉が不貞腐れると思い、車の事を日々案じてる愛莉ならと提案してみた。
「うぅ……。確かに車さんも冬夜君もおやすみ必要かもしれないね」
魂胆はバレバレだったが、愛莉は渋々承諾してくれた。
毎日運転してあちこちに連れて行っていれば体も疲れるし、お財布も持たない。
で、せめて週に1日はゆっくりしてよう。ってなったわけで。
約束は3つ。
愛莉は一切家事をしない。
僕も一切でかけたりしない。
二人でとにかくだらだら過ごす。の3つだ。
僕がだらけたいだけじゃないのかと言われたらそれまでだけど。
「冬夜君はともかく私も家事したらいけないの?」
愛莉は首を傾げる。
愛莉が家にいると絶対に家事をする、すると母さんから遊んできなさいと言われる。それじゃ意味ないだろ?と愛莉に説明すると「うぅ……わかった。」と納得してくれた。
「その代わり条件がありま~す」
「な、なに?」
「家事も何もしないから冬夜君構って~」
「あ、ああ。それはもちろん一杯可愛がってあげるよ」
「やった~」
で、今は毎朝恒例のコーヒータイム。
番組名が代わるだけで毎日同じニュースについて違うタレントがコメントしてるだけの番組でも、愛莉と見ていれば少しだけ面白く思えてくる。
愛莉の感想に適当に返事してるだけだけど、適当に見えて適当ではない。ちゃんとテレビを見ていないと愛莉の話を聞いていないと、愛莉に怒られるから。
「ごめんね、折角だけど自分で使ったものくらいは洗ってくるね」
そう言って愛莉はマグカップを持って下へ降りて行った。その時洗濯物を持って降りるのに気づくべきだったのかもしれない。
しばらくして母さんが愛莉を連れて部屋にやってきた。
「冬夜!あんた愛莉ちゃんに働かせて自分はごろごろとよくできるわね『休息日』って冬夜がだらける日だったのかい!」
「い、いや。愛莉にも休むように言っておいたんだけど……」
「愛莉ちゃん『主婦に休息はないですよね~』って洗濯してたわよ!」
愛莉を見ると笑って誤魔化している。
「ごめん。ちゃんと愛莉見とくから」
「そうしなさい!愛莉ちゃんはまだあんたの奥さんじゃないんだからね!結婚前からそんなんでどうするの!?」
「うぅ……私はもうお嫁さんのつもりですよ」
いつの間にか婚約者から昇格していたようだ。
「愛莉ちゃんを責めてるわけじゃないの。でも遠坂さんから愛莉ちゃんを預かってる身としてはこき使うわけにはいかないのよそこは理解して。おばさんとの約束」
母さんが愛莉を説得している。
「でもりえちゃんは、『一人前に鍛えてもらいなさい~。ママだだとどうしても甘やかしちゃうから~』って……」
「愛莉ちゃんはもう一人前よ。でもまだは学生という身分なの。このぐうたら息子の世話を押し付けるのはもう少し先にさせて、今はのんびり楽しみなさいな」
「はい……」
母さんが愛莉の説得に成功したようだ。
母さんは成功したと確信すると「じゃ、ごゆっくり~」と部屋を出て行った。
母さんが部屋を出ると愛莉は僕にくっつく。
「……愛莉。観たい映画とかないか?」
「う~ん、あの魔法使いのシリーズのやつ」
ああ、大阪のテーマパークでやってたあれか?
「いくつまで見たの?」
「本は全部持ってるんだけど映画観たこと無いんだ~」
「じゃあ、レンタルDVD屋さんで借りてこようか?」
「今日は車さんも休業日だって言ったよ」
「愛莉そう言って働いたろ?少しくらい大目に見てくれるよ車さんも」
「……わかった~」
そう言って、愛莉と一緒にレンタルDVD屋に言ってみたいものをまとめて借りる。
レンタル期間は一週間ある。まとめて借りておけば数日は部屋を出ないで済むだろう。
その考えが甘かったのを思い知らされるのは後の事。
悪ふざけで18禁ののれんがかかったところに入ろうとすると
ぽかぽかっ!
「彼女の前でそういう事するのは誠君だけでいいの!冬夜君が興味を示すところじゃないから!」
愛莉が本気で怒っている。
「ちょっと覗いてみようと思っただけだよ」
「思わなくてもいい!」
「わかったよ」
魔法使いのシリーズとあと某剣客漫画の実写映画と主人公がノートを使って人を粛正していくシリーズを借りて帰った。
家に帰ると魔法使いのシリーズから見始める。僕も愛莉も映画を見るとのめり込んで黙ってしまうタイプだった。
2本目の途中でお昼ごはんに呼ばれる。
お昼を食べ終わると部屋に戻ろうとするが、愛莉は戸惑っている。
母さんはにこりと笑って愛莉から食器を奪い取る。愛莉はあっ!と残念そうな声を上げる。
「気にしないでいいのよ。お気持ちだけ受け取っておくわ」
「すいません……」
愛莉と部屋に戻ると、再び映画を見始める。ひたすら見続ける。5作品目まで見終わると日が暮れてくる。
父さんも帰ってきて、夕食の時間になる頃には、6作品目にかかっていた。
夕食を食べてる間に間は突然、とんでもない事を言い出した。
「冬夜君今夜は一緒にお風呂入ろ?」
むせた。
「い、いつもは別々だったのに今日に限ってどうしたんだよ?」
「理由は二つありま~す」
家族が愛莉を見る。
「一つ目は冬夜君を癒してあげたいから。私から冬夜君に何もしてあげれてない」
「……二つ目は?」
「お風呂入ってる間、映画途中が気になって仕方ないから、早く入ってしましたいから」
だからってなにも今言わなくてもいいだろ?
「ははは、本当に仲が良いんだな。母さん俺達も今夜は一緒に入らないか」
「子供たちの前で何言ってるんですか!」
母さんが父さんを叱っていた。
「父さんは構わんぞ、どうせ遠坂さんちで一緒に入ってたんだろ?てかうちでも入ってたな」
「愛莉ちゃんを寂しい思いにさせるんでないよ」
子供がいちゃつくのは構わないのか?
「いや、今のうちに楽しんでおくのがいい。年を取るとこんな風になるからな……」
「母さんも構わないよ。あんたたちは今更だしね」
「ありがとうございます」
其処に僕の意思は在るのだろうか?
(2)
ピンポーン。
呼び鈴を押す。何度押しても出ない。
合い鍵を使って家に侵入する。
案の定ヘッドセットを使ってゲームに浸っていた。
ネットゲームをしているようだ。マウスを操作してキャラクターを動かすMMORPG。
音声チャットを使って笑いながら楽しそうに遊んでた。
椅子も高級なものを買ったようだ。ネットカフェのリラックスシートのように身を背もたれに預け、楽しんでいる。
瑛大からヘッドセットを奪い取り「瑛大!!」と名前を呼んだ。
「な、なんだよ。邪魔するなよ亜依!」
「彼女が部屋に来たら邪魔なわけ!?」
「来るなら来るって言ってくれれば」
「何度も知らせたよ!一度も反応しなかったじゃない」
「もう1時間だけ待って!そしたら止めるから!」
なんか今対人戦の時間らしい。後1時間あるから待ってという瑛大の主張。まあ、押しかけた負い目もあるし……。
「……じゃあ、1時間だけ待たせてもらう」
すると再び、ゲームに没頭する瑛大。
その間に瑛大の部屋を軽く清掃する。
空き缶やペットボトルを集めて分別して袋に詰めると、お菓子や弁当の残骸を集め、同じように袋にまとめて捨てる。その後軽く掃除機をかけてテーブルを拭く。
まだ終わらないらしい。時間を見る。22時前くらいだった。
部屋にあるテレビを見る。22時を過ぎるとゲームは終了したようだ。その後感想戦みたいなことをやっていた。
意味の分からない言葉を羅列する瑛大。
それも終わるとようやくこっちに向いた。
「うわっ!スゲー綺麗になってる」
別にリフォームしたわけじゃないが某リホーム番組のBGMを流したい気分だ。
「ゲーム終わったのか?なら着替えろ!」
「え?今から出かけるの?」
「彼女に掃除をさせた挙句飯まで作らせるつもりか?私はお前のホームヘルパーじゃないぞ」
「別に掃除を頼んだ覚えは……」
「座る場所さえなかった散らかりようだったじゃねーか」
「わ、分かった着替えるよ」
嫌々ながら着替える瑛大。
「俺が運転するよ。亜依疲れてるだろうし」
靴を履きながら瑛大はそう言う。
少しくらい甘えてもいいだろう?
「で、お店はどこがいいわけ?」
「この時間からこの辺で食べられるものなら何でもいい」
「じゃ、じゃあ。うどんとかどう?」
「任せる」
うどん屋さんに入るとソコソコ客はいた。注文をすると、瑛大のマシンガントークが始まる」
「……で、なんで今日来たの?」
「さんざん連絡しても返事がないから心配で来ただけ」
「今夜は泊まっていくの?」
「泊っていいならそうするけど」
一応お泊りセットは用意してある。
「ごめんね、本当ごめんね。いやあ、ゲームに夢中になってたらついさ……」
ごめんね。
その一言で何でも許せてしまう魔法の言葉。ただし使用者は限定される。
「休みの間なにしてたの?」
「暇してた」
「ああ、分かる。春休みって長いけど何すれば本当分かんないよね。僕はゲームしてたけど」
本当に分かってるのだろうか?その長い休暇を彼氏と過ごしたいと思ったから連絡をしてたのに。
「……決めた。私も週1で瑛大の家行くわ」
「え?」
「瑛大生活が不規則過ぎる。週1でチェックしに行く。どうも不安だ。チェーンロックするんじゃねーぞ」
「大丈夫だよ今度からちゃんとスマホ手元に置いとくから」
「じゃ、条件つけるぞ?3回以上鳴らしても出なかったら渡辺班に相談するからな?」
「あ、いや。それは困る」
「じゃ、週1な?ドア開けなかったら。やっぱり渡辺班に報告だからな?」
「わ、わかった……」
瑛大は承諾したらしい。
別れるって言わなかったのは最後のブレーキだから。もうあんな想いをするのは沢山だ。
それにしてもどうして、瑛大は次から次へと問題起こすのだろうか?
これも心臓破りの丘というやつなのだろうか?
なれば、心開ける人は瑛大だけだから。一緒に登ろう。
それには譲歩も必要か?
「あ、そ、そうだ。亜依ゲームに興味ある?」
「ま、まあ少しは……」
といってもスマホゲームをちょこっと暇つぶしにする程度だけど。
「じゃあさ、一緒にゲームしない?ネットゲームだからいつも一緒にいられるよ」
いつも一緒に……。
「それに結婚とかもできるしさ。楽しいよ」
ゲームで結婚して楽しいのかどうかは疑問だけど。
「亜依がその気になったら手伝うからさ」
彼の世界に飛び込んでみるのも悪くないよ?
誰かがそう言ってたっけ?
「わかった、PCでするのか?」
「やった!PCだけど亜依の使ってるノートで十分だよ!要求スペック高くないし」
瑛大が喜んでる。久しぶりに見たな。瑛大の喜んでる顔。
ごはんを食べると、ネットカフェに行く。ネットカフェの特典でただで遊べるらしい。
トライアル期間があってアカウントを作って2週間はただらしいけど。
月額制だけど、そこまで高くないしまいっかとお金を払う。アカウントの作成からキャラクターの作成までする。
種族、性別、髪形、髪の色を選択し、名前を付ける。
ステータスと言うのを振るらしいけど瑛大のおすすめのステータスと職業にする。
「僕もログインするからちょっと待って」
そう言ってPCを操作し始める瑛大。
暫くすると瑛大のキャラが画面に現れた。なんか金色に輝いてる。瑛大に聞くとレベルカンストしてるらしい。
取引要請のウィンドウが出た。なんか色々アイテムとお金を受け取る。
「いいの?」
「亜依だから特別だよ」
特別……言われて悪い気はしない。
それから操作の仕方を教わりながらクエストをこなしていく。気がついたら24時を過ぎていた。瑛大の支援もあったせいかあっという間にレベルは100を超えていた。
「この調子だと来週からの対戦には出れそうだな」
「……言っとくけど毎日はやらないぞ?」
「わ、わかってるよ」
絶対毎日させる気でいたな。
まあ、時間が空いてる時はやるけど。たまにはデートとかしたい。そう瑛大に伝えるとわかったよ。今度の戦隊ショーとか見に行きたいと思ってたし。
……私は子守をしたいといってるわけじゃないんだぞ。
この日は徹夜でゲームをして、瑛大の家で昼まで寝ているのだった。
(3)
「正志ーおきろー!」
美嘉に起こされ、目を覚ます。まだ9時だ。
この日は美嘉も休日だったらしく、休みが合ったのでどこか遊びに行こうと言い出した。
最近デートもしてなかったしいいだろう。どこに行く?と聞いたら「港園に行きたい」というので承諾した。
美嘉は疲れていたのか早々と寝、そして今に至る。着替えも終わり、化粧もしてランチボックスを持ってる。
「早く準備しろ!彼女が待ってるんだぞー!」
「朝ごはんくらい食べさせてくれないか?」
「とーやじゃあるまいし、正志は一食抜いたくらいじゃ死なねーよ」
物凄い暴論だったがまあ美嘉が乗り気になってるしさっさと仕度するか。
着替えて支度を済ませると家を出て港園にむかった。
港園につくと車を降りて散策する。潮風を浴びながらくつろぐことが出来る港園は海に面しており、芝生もあり憩いの場としては文句のない場所だった。
散策を済ませるとちょっと早めの昼食と行く。
サンドイッチだった。
カツや、玉子、ポテトサラダと多種な具材が挟まっており。それぞれの味も申し分ないものだった。
ランチボックスには小さなボトルが入っていたがそれは没収した。
「正志最近冷たいぞ」
「運転手の目の前で飲む美嘉の方が非道だと思うがな」
「じゃあ、帰ったら……」
「夕食の場所は考えてあったんだが」
「私の腕を信じてないのか?そこら辺の店よりは美味しいもの作る自信があるぞ」
美嘉の腕を疑っているわけじゃない。
確かに美嘉は料理が上手だ。しかもいろんな店に行っては味を分析してレシピを構築する特殊技能の持ち主だ。
ただ、料理のうまさは料理だけで決まるもんじゃない、残念だが。
「店の雰囲気は美嘉には作り出せないだろ」
「なるほどな、それは流石に無理だ……」
落ち込む美嘉をみてやれやれと甘やかしてしまう。
頭を撫でると優しく言う。
「一度家に帰ってタクシー使うか?」
「それって……」
美嘉の顔が明るくなる。
「最近量の加減も出来るようになってきたしな」
「当たり前よ!まだまだ伸び盛りだぜ!」
その後家に帰ると、車を置いて街まで歩く。街を歩きながら商店街の店を見て回る。美嘉はパンク系の服装を好む傾向にありそう言う服は福岡まで出るか商店街の小さな店で探すしかない。
俺はその辺の店で買えるものを身に着けているので美嘉中心の街ブラとなる。
「正志も服装にこだわりもてばいいのに、結構いけると思うぞ?」
いくらなんでもそれは色眼鏡と言う物だろう。
「ハハハ、お洒落したくてもこの体形だしな」
「先ずは食事制限からするか?そう言うのも学校で学んだぞ?」
「いや、遠慮するよ。数少ない俺の趣味だからな」
美嘉と二人で暮らすためにまず必要な事。それは余計な出費の削減だった。
その為に無駄な趣味にはお金をかけない、嗜好品などを買わない事だった。
だから禁煙を始めた。禁煙をすると太るというジンクスは本物らしい。あれからさらに太った。
時間を潰すと、夕食の店に行く。
久々のデートだ、奮発した。
市街から少し離れた場所にあるダイニングバー。
そこではピアノの生演奏が聞ける。
ピアノが奏でるメロディを楽しみながら、夕食を楽しむ。
ピアノの奏者を口説く年配の男性がいたが、流石に無理があるだろう。
奏者も慣れているらしく軽くあしらう。
それにしてもしつこいな。とはいえ、さすがに今もめ事を起こすのは店側も俺達にとっても好ましくない。
今にも食って掛かりそうな美嘉を抑える。
「店側も慣れているだろうし上手くかわすさ」
そう言って美嘉を宥める。
美嘉もそれを聞いて落ち着いたのか、席に座りなおすと、様子を見守ってる。
男が連絡先を渡すと店を出て行った。
俺達も食事を済ませると店を出る。
「このあとどうする?」
美嘉に聞くといつもなら「次行こう次!」というのに今日は大人しい。
「正志に任せるよ」と、言う。
「帰っても良いのか?」
「家で飲んでも良いって言ったの正志だぞ。ちょっと夜風に当って酔いを覚ましたい」
美嘉はそう言って俺と腕を組む。
帰りにコンビニに寄って飲み物を買って帰る。
実は家に出飲むと困ったことが一つある。
それは……。
「どれどれ確かあれが残っていたな」
美嘉は冷蔵庫の中身を物色しだす。
そして調理を始める。
出来上がったのは簡単なおつまみ。
「乾杯」
そう言って缶のプルタブをプシュッっと音を鳴らして開ければ中身をごくごくと飲む。
「ぷはーっ!ああいう店の雰囲気もいいけどやっぱり家で飲む方が楽にできるな」
美嘉はそう感想を述べると、次の一本に手をかける。
「あまり無茶するなよ、明日も休みとはいえ」
「わかってる、明日はじっくり休養するよ」
分かってるのか分かってないのか分からないがとりあえずよしとしよう。
気がついたら0時を回ってる。
気がつくと美嘉は床に伏せて眠っている。
やれやれと俺は起き上がり美嘉を担ぎ上げる。
「こんなところで寝ると風邪ひくぞ。ちゃんとベッドで寝ないと」
「正志が連れて行ってくれるんだろ?」
そう言う魂胆があったとはな。
美嘉をベッドに寝かしつけると俺はシャワーを浴びてベッドに向かう。
すやすやと寝ている美嘉の姿が見えた。
隣に横になると俺も眠りにつく。
カーテンの隙間から差し込んでくる春の月明かり。
そんな暖かな光を浴びながら、夢の中へと入りこんでいた。
(4)
「う~ん」
朝目が覚めるとベッドの中だった。
隣では冬夜君がすやすやと寝ている。
昨日は遅かったから仕方ないかな?
結局魔法使いのシリーズ8作全部見て寝た。
一度見ると続きが気になって仕方がないんだもん。
今日は、残りの作品を見ないとね……あれ?てことは今日もおやすみの日なの?
そんなに休んでばっかりだと体なまっちゃうよ。
……でも気になる。今日は特別だよ。冬夜君に付き合ってあげる。
私は冬夜君を起こす。「おはよう」って……。
冬夜君はまだ眠いみたいだ。今日も休むから構ってよ~。
ぽかっ
冬夜君は目覚めた。
「おはよう愛莉。」
その声は優しくて穏やかな声。
「おはよう冬夜君」
伝わったかな私の気持ち。ちゃんと読みとれてる?
冬夜君は時計を見る、まだ8時だ。再び布団にはいる。こらっ!
ぽかっ
「朝ごはん食べよう?」
「……そうだったね」
冬夜君と一緒にダイニングに向かうと麻耶さんが朝食を用意してくれてた。
「ありがとうございます。すいません今日も……」
「いいのよ、愛莉ちゃんはゆっくりしてて」
それだと花嫁修業の意味ないんだけどな。
でも、まだ早い、ゆっくり学生生活を楽しみなさい。否応でもその時は来るんだからと麻耶さんは言う。
その言葉に甘えて良いのか迷うけど、冬夜君もそう言ってくれてるし甘えようかな?
冬夜君の朝の仕度が済むと部屋に戻る。モーニングコーヒーを忘れずに。
それからは冬夜君と昨日の続きを見る。
と、いっても魔法使いのは昨夜全て見た。あとは剣客漫画の奴と主人公と死神のお話。
今日中には見終えるね。て、事は今日も車さんおやすみか。よかったね。
10時過ぎに麻耶さんが紅茶とお菓子を持ってきてくれる。
それを食べながら映画に夢中になる。
お昼も麻耶さんに用意してもらう。
インスタントラーメンだったけど、美味しかった。
どうしたらこんなにおいしく作れるんですか?と聞いてみた。
「冬夜はお湯で作らずみそ汁で作った味噌ラーメンを好むのよ」
なるほどなるほど、また一つ冬夜君好みのレシピが出来上がった。
食器をキッチンに持って行くと麻耶さんが
「片付けは任せて」というのでお言葉に甘えてDVDの続きを見る。
DVDを統べてみ終わった後、レンタル屋さんにDVDを返して、帰りに食事をして帰る。
家に帰って、お風呂に入って部屋に戻ると冬夜君がゲームをしている。
冬夜君が私に気がつくと「愛莉もやってみないかい?」という。
冬夜君の好みもおぼえた方が良いよね。
「血がどばーって出るやつは嫌だよ?」
「ただの車のゲームだから大丈夫」
そう言うからやってみた。
「やり方だけど……」
冬夜君が私の手を握ってコントローラの持ち方から教えてくれる。
何でもない事なんだけど、なんかドキってする。
話もなかなか頭に入ってこない。
「以上だけどわかった?」
取りあえずうなずく。
「じゃ、対戦でやってみよう?」
車のセッティングは冬夜君に任せた。
レースが始まる。冬夜君なりに手加減してくれたけど、私はまっすぐ走ることすらままならない。
落ち込む私を「そのうち慣れるさ」と言ってくれるけど全然わからない。
冬夜君は根気強く私に指導してくれた。
お蔭で1コースを周回できるようにはなった。
でもあまり楽しくない。向いてないのかな?
「ごめん、今度他のジャンルで探しておくよ」
「……ギャルゲーとかもイヤだからね。」
「わかってるよ」
時計は飛行機の時間に差し掛かっていた。
私達は寝ることにした。
いつの間にかちょっとだけ広くなったベッド。
冬夜君のパパさんが買ってくれたらしい。
冬夜君の胸の中で眠りにつく。
朝が来る。
朝の陽射しちょっと眩しいけど。今日もまた始まる。
冬夜君との新しい夢とか未来とか胸がときめく。
何かを信じてほんの少しずつ、その想い伝えあい
夢へと向かっていくの、明るい未来へと。
強い雨が降っても大丈夫。
ちょっと弱さだってあるかもしれないけど。
野に咲く蒲公英のように惹かれあうだろう。
熱い視線もっと感じたい。
少しだけ背伸びした冬夜君との出来事はいつでも何でも胸が高まる。
独りぼっちだと辛いけど、この気持ち伝えあい愛を信じて行けばいつかは未来へ……。
この気持ち世界中に伝えたい。夢を運びたい。
たとえ悲しくたって大丈夫。信じあい支え合って希望に変えていこう。
蒲公英のように強く。
そして私は冬夜君を起こす
「おはよう、冬夜君」」
また新しい一日が始まる。
「おはよう、冬夜君」
「おはよう」
朝の陽ざしがまぶしい。
蒲公英が咲き、春の訪れを感じる今日この頃。
起きるとダイニングで朝食をとり、そして上に上がろうとすると母さんに呼び止められる。
「今月の分はもう振り込んでおいたわよ?」
多分小遣いの事だろう。
「知ってるよ?」
「だったら遊びに行って来たらいいんでないかい?」
「今日は愛莉と休息日だから」
休息日とは愛莉と決めた文字通り休息する日。
分かりやすく説明すると、ある日愛莉に「偶には車さん休ませてあげない?」と提案した。
本当は自分が休みたいだけなんだけど、そう言うと愛莉が不貞腐れると思い、車の事を日々案じてる愛莉ならと提案してみた。
「うぅ……。確かに車さんも冬夜君もおやすみ必要かもしれないね」
魂胆はバレバレだったが、愛莉は渋々承諾してくれた。
毎日運転してあちこちに連れて行っていれば体も疲れるし、お財布も持たない。
で、せめて週に1日はゆっくりしてよう。ってなったわけで。
約束は3つ。
愛莉は一切家事をしない。
僕も一切でかけたりしない。
二人でとにかくだらだら過ごす。の3つだ。
僕がだらけたいだけじゃないのかと言われたらそれまでだけど。
「冬夜君はともかく私も家事したらいけないの?」
愛莉は首を傾げる。
愛莉が家にいると絶対に家事をする、すると母さんから遊んできなさいと言われる。それじゃ意味ないだろ?と愛莉に説明すると「うぅ……わかった。」と納得してくれた。
「その代わり条件がありま~す」
「な、なに?」
「家事も何もしないから冬夜君構って~」
「あ、ああ。それはもちろん一杯可愛がってあげるよ」
「やった~」
で、今は毎朝恒例のコーヒータイム。
番組名が代わるだけで毎日同じニュースについて違うタレントがコメントしてるだけの番組でも、愛莉と見ていれば少しだけ面白く思えてくる。
愛莉の感想に適当に返事してるだけだけど、適当に見えて適当ではない。ちゃんとテレビを見ていないと愛莉の話を聞いていないと、愛莉に怒られるから。
「ごめんね、折角だけど自分で使ったものくらいは洗ってくるね」
そう言って愛莉はマグカップを持って下へ降りて行った。その時洗濯物を持って降りるのに気づくべきだったのかもしれない。
しばらくして母さんが愛莉を連れて部屋にやってきた。
「冬夜!あんた愛莉ちゃんに働かせて自分はごろごろとよくできるわね『休息日』って冬夜がだらける日だったのかい!」
「い、いや。愛莉にも休むように言っておいたんだけど……」
「愛莉ちゃん『主婦に休息はないですよね~』って洗濯してたわよ!」
愛莉を見ると笑って誤魔化している。
「ごめん。ちゃんと愛莉見とくから」
「そうしなさい!愛莉ちゃんはまだあんたの奥さんじゃないんだからね!結婚前からそんなんでどうするの!?」
「うぅ……私はもうお嫁さんのつもりですよ」
いつの間にか婚約者から昇格していたようだ。
「愛莉ちゃんを責めてるわけじゃないの。でも遠坂さんから愛莉ちゃんを預かってる身としてはこき使うわけにはいかないのよそこは理解して。おばさんとの約束」
母さんが愛莉を説得している。
「でもりえちゃんは、『一人前に鍛えてもらいなさい~。ママだだとどうしても甘やかしちゃうから~』って……」
「愛莉ちゃんはもう一人前よ。でもまだは学生という身分なの。このぐうたら息子の世話を押し付けるのはもう少し先にさせて、今はのんびり楽しみなさいな」
「はい……」
母さんが愛莉の説得に成功したようだ。
母さんは成功したと確信すると「じゃ、ごゆっくり~」と部屋を出て行った。
母さんが部屋を出ると愛莉は僕にくっつく。
「……愛莉。観たい映画とかないか?」
「う~ん、あの魔法使いのシリーズのやつ」
ああ、大阪のテーマパークでやってたあれか?
「いくつまで見たの?」
「本は全部持ってるんだけど映画観たこと無いんだ~」
「じゃあ、レンタルDVD屋さんで借りてこようか?」
「今日は車さんも休業日だって言ったよ」
「愛莉そう言って働いたろ?少しくらい大目に見てくれるよ車さんも」
「……わかった~」
そう言って、愛莉と一緒にレンタルDVD屋に言ってみたいものをまとめて借りる。
レンタル期間は一週間ある。まとめて借りておけば数日は部屋を出ないで済むだろう。
その考えが甘かったのを思い知らされるのは後の事。
悪ふざけで18禁ののれんがかかったところに入ろうとすると
ぽかぽかっ!
「彼女の前でそういう事するのは誠君だけでいいの!冬夜君が興味を示すところじゃないから!」
愛莉が本気で怒っている。
「ちょっと覗いてみようと思っただけだよ」
「思わなくてもいい!」
「わかったよ」
魔法使いのシリーズとあと某剣客漫画の実写映画と主人公がノートを使って人を粛正していくシリーズを借りて帰った。
家に帰ると魔法使いのシリーズから見始める。僕も愛莉も映画を見るとのめり込んで黙ってしまうタイプだった。
2本目の途中でお昼ごはんに呼ばれる。
お昼を食べ終わると部屋に戻ろうとするが、愛莉は戸惑っている。
母さんはにこりと笑って愛莉から食器を奪い取る。愛莉はあっ!と残念そうな声を上げる。
「気にしないでいいのよ。お気持ちだけ受け取っておくわ」
「すいません……」
愛莉と部屋に戻ると、再び映画を見始める。ひたすら見続ける。5作品目まで見終わると日が暮れてくる。
父さんも帰ってきて、夕食の時間になる頃には、6作品目にかかっていた。
夕食を食べてる間に間は突然、とんでもない事を言い出した。
「冬夜君今夜は一緒にお風呂入ろ?」
むせた。
「い、いつもは別々だったのに今日に限ってどうしたんだよ?」
「理由は二つありま~す」
家族が愛莉を見る。
「一つ目は冬夜君を癒してあげたいから。私から冬夜君に何もしてあげれてない」
「……二つ目は?」
「お風呂入ってる間、映画途中が気になって仕方ないから、早く入ってしましたいから」
だからってなにも今言わなくてもいいだろ?
「ははは、本当に仲が良いんだな。母さん俺達も今夜は一緒に入らないか」
「子供たちの前で何言ってるんですか!」
母さんが父さんを叱っていた。
「父さんは構わんぞ、どうせ遠坂さんちで一緒に入ってたんだろ?てかうちでも入ってたな」
「愛莉ちゃんを寂しい思いにさせるんでないよ」
子供がいちゃつくのは構わないのか?
「いや、今のうちに楽しんでおくのがいい。年を取るとこんな風になるからな……」
「母さんも構わないよ。あんたたちは今更だしね」
「ありがとうございます」
其処に僕の意思は在るのだろうか?
(2)
ピンポーン。
呼び鈴を押す。何度押しても出ない。
合い鍵を使って家に侵入する。
案の定ヘッドセットを使ってゲームに浸っていた。
ネットゲームをしているようだ。マウスを操作してキャラクターを動かすMMORPG。
音声チャットを使って笑いながら楽しそうに遊んでた。
椅子も高級なものを買ったようだ。ネットカフェのリラックスシートのように身を背もたれに預け、楽しんでいる。
瑛大からヘッドセットを奪い取り「瑛大!!」と名前を呼んだ。
「な、なんだよ。邪魔するなよ亜依!」
「彼女が部屋に来たら邪魔なわけ!?」
「来るなら来るって言ってくれれば」
「何度も知らせたよ!一度も反応しなかったじゃない」
「もう1時間だけ待って!そしたら止めるから!」
なんか今対人戦の時間らしい。後1時間あるから待ってという瑛大の主張。まあ、押しかけた負い目もあるし……。
「……じゃあ、1時間だけ待たせてもらう」
すると再び、ゲームに没頭する瑛大。
その間に瑛大の部屋を軽く清掃する。
空き缶やペットボトルを集めて分別して袋に詰めると、お菓子や弁当の残骸を集め、同じように袋にまとめて捨てる。その後軽く掃除機をかけてテーブルを拭く。
まだ終わらないらしい。時間を見る。22時前くらいだった。
部屋にあるテレビを見る。22時を過ぎるとゲームは終了したようだ。その後感想戦みたいなことをやっていた。
意味の分からない言葉を羅列する瑛大。
それも終わるとようやくこっちに向いた。
「うわっ!スゲー綺麗になってる」
別にリフォームしたわけじゃないが某リホーム番組のBGMを流したい気分だ。
「ゲーム終わったのか?なら着替えろ!」
「え?今から出かけるの?」
「彼女に掃除をさせた挙句飯まで作らせるつもりか?私はお前のホームヘルパーじゃないぞ」
「別に掃除を頼んだ覚えは……」
「座る場所さえなかった散らかりようだったじゃねーか」
「わ、分かった着替えるよ」
嫌々ながら着替える瑛大。
「俺が運転するよ。亜依疲れてるだろうし」
靴を履きながら瑛大はそう言う。
少しくらい甘えてもいいだろう?
「で、お店はどこがいいわけ?」
「この時間からこの辺で食べられるものなら何でもいい」
「じゃ、じゃあ。うどんとかどう?」
「任せる」
うどん屋さんに入るとソコソコ客はいた。注文をすると、瑛大のマシンガントークが始まる」
「……で、なんで今日来たの?」
「さんざん連絡しても返事がないから心配で来ただけ」
「今夜は泊まっていくの?」
「泊っていいならそうするけど」
一応お泊りセットは用意してある。
「ごめんね、本当ごめんね。いやあ、ゲームに夢中になってたらついさ……」
ごめんね。
その一言で何でも許せてしまう魔法の言葉。ただし使用者は限定される。
「休みの間なにしてたの?」
「暇してた」
「ああ、分かる。春休みって長いけど何すれば本当分かんないよね。僕はゲームしてたけど」
本当に分かってるのだろうか?その長い休暇を彼氏と過ごしたいと思ったから連絡をしてたのに。
「……決めた。私も週1で瑛大の家行くわ」
「え?」
「瑛大生活が不規則過ぎる。週1でチェックしに行く。どうも不安だ。チェーンロックするんじゃねーぞ」
「大丈夫だよ今度からちゃんとスマホ手元に置いとくから」
「じゃ、条件つけるぞ?3回以上鳴らしても出なかったら渡辺班に相談するからな?」
「あ、いや。それは困る」
「じゃ、週1な?ドア開けなかったら。やっぱり渡辺班に報告だからな?」
「わ、わかった……」
瑛大は承諾したらしい。
別れるって言わなかったのは最後のブレーキだから。もうあんな想いをするのは沢山だ。
それにしてもどうして、瑛大は次から次へと問題起こすのだろうか?
これも心臓破りの丘というやつなのだろうか?
なれば、心開ける人は瑛大だけだから。一緒に登ろう。
それには譲歩も必要か?
「あ、そ、そうだ。亜依ゲームに興味ある?」
「ま、まあ少しは……」
といってもスマホゲームをちょこっと暇つぶしにする程度だけど。
「じゃあさ、一緒にゲームしない?ネットゲームだからいつも一緒にいられるよ」
いつも一緒に……。
「それに結婚とかもできるしさ。楽しいよ」
ゲームで結婚して楽しいのかどうかは疑問だけど。
「亜依がその気になったら手伝うからさ」
彼の世界に飛び込んでみるのも悪くないよ?
誰かがそう言ってたっけ?
「わかった、PCでするのか?」
「やった!PCだけど亜依の使ってるノートで十分だよ!要求スペック高くないし」
瑛大が喜んでる。久しぶりに見たな。瑛大の喜んでる顔。
ごはんを食べると、ネットカフェに行く。ネットカフェの特典でただで遊べるらしい。
トライアル期間があってアカウントを作って2週間はただらしいけど。
月額制だけど、そこまで高くないしまいっかとお金を払う。アカウントの作成からキャラクターの作成までする。
種族、性別、髪形、髪の色を選択し、名前を付ける。
ステータスと言うのを振るらしいけど瑛大のおすすめのステータスと職業にする。
「僕もログインするからちょっと待って」
そう言ってPCを操作し始める瑛大。
暫くすると瑛大のキャラが画面に現れた。なんか金色に輝いてる。瑛大に聞くとレベルカンストしてるらしい。
取引要請のウィンドウが出た。なんか色々アイテムとお金を受け取る。
「いいの?」
「亜依だから特別だよ」
特別……言われて悪い気はしない。
それから操作の仕方を教わりながらクエストをこなしていく。気がついたら24時を過ぎていた。瑛大の支援もあったせいかあっという間にレベルは100を超えていた。
「この調子だと来週からの対戦には出れそうだな」
「……言っとくけど毎日はやらないぞ?」
「わ、わかってるよ」
絶対毎日させる気でいたな。
まあ、時間が空いてる時はやるけど。たまにはデートとかしたい。そう瑛大に伝えるとわかったよ。今度の戦隊ショーとか見に行きたいと思ってたし。
……私は子守をしたいといってるわけじゃないんだぞ。
この日は徹夜でゲームをして、瑛大の家で昼まで寝ているのだった。
(3)
「正志ーおきろー!」
美嘉に起こされ、目を覚ます。まだ9時だ。
この日は美嘉も休日だったらしく、休みが合ったのでどこか遊びに行こうと言い出した。
最近デートもしてなかったしいいだろう。どこに行く?と聞いたら「港園に行きたい」というので承諾した。
美嘉は疲れていたのか早々と寝、そして今に至る。着替えも終わり、化粧もしてランチボックスを持ってる。
「早く準備しろ!彼女が待ってるんだぞー!」
「朝ごはんくらい食べさせてくれないか?」
「とーやじゃあるまいし、正志は一食抜いたくらいじゃ死なねーよ」
物凄い暴論だったがまあ美嘉が乗り気になってるしさっさと仕度するか。
着替えて支度を済ませると家を出て港園にむかった。
港園につくと車を降りて散策する。潮風を浴びながらくつろぐことが出来る港園は海に面しており、芝生もあり憩いの場としては文句のない場所だった。
散策を済ませるとちょっと早めの昼食と行く。
サンドイッチだった。
カツや、玉子、ポテトサラダと多種な具材が挟まっており。それぞれの味も申し分ないものだった。
ランチボックスには小さなボトルが入っていたがそれは没収した。
「正志最近冷たいぞ」
「運転手の目の前で飲む美嘉の方が非道だと思うがな」
「じゃあ、帰ったら……」
「夕食の場所は考えてあったんだが」
「私の腕を信じてないのか?そこら辺の店よりは美味しいもの作る自信があるぞ」
美嘉の腕を疑っているわけじゃない。
確かに美嘉は料理が上手だ。しかもいろんな店に行っては味を分析してレシピを構築する特殊技能の持ち主だ。
ただ、料理のうまさは料理だけで決まるもんじゃない、残念だが。
「店の雰囲気は美嘉には作り出せないだろ」
「なるほどな、それは流石に無理だ……」
落ち込む美嘉をみてやれやれと甘やかしてしまう。
頭を撫でると優しく言う。
「一度家に帰ってタクシー使うか?」
「それって……」
美嘉の顔が明るくなる。
「最近量の加減も出来るようになってきたしな」
「当たり前よ!まだまだ伸び盛りだぜ!」
その後家に帰ると、車を置いて街まで歩く。街を歩きながら商店街の店を見て回る。美嘉はパンク系の服装を好む傾向にありそう言う服は福岡まで出るか商店街の小さな店で探すしかない。
俺はその辺の店で買えるものを身に着けているので美嘉中心の街ブラとなる。
「正志も服装にこだわりもてばいいのに、結構いけると思うぞ?」
いくらなんでもそれは色眼鏡と言う物だろう。
「ハハハ、お洒落したくてもこの体形だしな」
「先ずは食事制限からするか?そう言うのも学校で学んだぞ?」
「いや、遠慮するよ。数少ない俺の趣味だからな」
美嘉と二人で暮らすためにまず必要な事。それは余計な出費の削減だった。
その為に無駄な趣味にはお金をかけない、嗜好品などを買わない事だった。
だから禁煙を始めた。禁煙をすると太るというジンクスは本物らしい。あれからさらに太った。
時間を潰すと、夕食の店に行く。
久々のデートだ、奮発した。
市街から少し離れた場所にあるダイニングバー。
そこではピアノの生演奏が聞ける。
ピアノが奏でるメロディを楽しみながら、夕食を楽しむ。
ピアノの奏者を口説く年配の男性がいたが、流石に無理があるだろう。
奏者も慣れているらしく軽くあしらう。
それにしてもしつこいな。とはいえ、さすがに今もめ事を起こすのは店側も俺達にとっても好ましくない。
今にも食って掛かりそうな美嘉を抑える。
「店側も慣れているだろうし上手くかわすさ」
そう言って美嘉を宥める。
美嘉もそれを聞いて落ち着いたのか、席に座りなおすと、様子を見守ってる。
男が連絡先を渡すと店を出て行った。
俺達も食事を済ませると店を出る。
「このあとどうする?」
美嘉に聞くといつもなら「次行こう次!」というのに今日は大人しい。
「正志に任せるよ」と、言う。
「帰っても良いのか?」
「家で飲んでも良いって言ったの正志だぞ。ちょっと夜風に当って酔いを覚ましたい」
美嘉はそう言って俺と腕を組む。
帰りにコンビニに寄って飲み物を買って帰る。
実は家に出飲むと困ったことが一つある。
それは……。
「どれどれ確かあれが残っていたな」
美嘉は冷蔵庫の中身を物色しだす。
そして調理を始める。
出来上がったのは簡単なおつまみ。
「乾杯」
そう言って缶のプルタブをプシュッっと音を鳴らして開ければ中身をごくごくと飲む。
「ぷはーっ!ああいう店の雰囲気もいいけどやっぱり家で飲む方が楽にできるな」
美嘉はそう感想を述べると、次の一本に手をかける。
「あまり無茶するなよ、明日も休みとはいえ」
「わかってる、明日はじっくり休養するよ」
分かってるのか分かってないのか分からないがとりあえずよしとしよう。
気がついたら0時を回ってる。
気がつくと美嘉は床に伏せて眠っている。
やれやれと俺は起き上がり美嘉を担ぎ上げる。
「こんなところで寝ると風邪ひくぞ。ちゃんとベッドで寝ないと」
「正志が連れて行ってくれるんだろ?」
そう言う魂胆があったとはな。
美嘉をベッドに寝かしつけると俺はシャワーを浴びてベッドに向かう。
すやすやと寝ている美嘉の姿が見えた。
隣に横になると俺も眠りにつく。
カーテンの隙間から差し込んでくる春の月明かり。
そんな暖かな光を浴びながら、夢の中へと入りこんでいた。
(4)
「う~ん」
朝目が覚めるとベッドの中だった。
隣では冬夜君がすやすやと寝ている。
昨日は遅かったから仕方ないかな?
結局魔法使いのシリーズ8作全部見て寝た。
一度見ると続きが気になって仕方がないんだもん。
今日は、残りの作品を見ないとね……あれ?てことは今日もおやすみの日なの?
そんなに休んでばっかりだと体なまっちゃうよ。
……でも気になる。今日は特別だよ。冬夜君に付き合ってあげる。
私は冬夜君を起こす。「おはよう」って……。
冬夜君はまだ眠いみたいだ。今日も休むから構ってよ~。
ぽかっ
冬夜君は目覚めた。
「おはよう愛莉。」
その声は優しくて穏やかな声。
「おはよう冬夜君」
伝わったかな私の気持ち。ちゃんと読みとれてる?
冬夜君は時計を見る、まだ8時だ。再び布団にはいる。こらっ!
ぽかっ
「朝ごはん食べよう?」
「……そうだったね」
冬夜君と一緒にダイニングに向かうと麻耶さんが朝食を用意してくれてた。
「ありがとうございます。すいません今日も……」
「いいのよ、愛莉ちゃんはゆっくりしてて」
それだと花嫁修業の意味ないんだけどな。
でも、まだ早い、ゆっくり学生生活を楽しみなさい。否応でもその時は来るんだからと麻耶さんは言う。
その言葉に甘えて良いのか迷うけど、冬夜君もそう言ってくれてるし甘えようかな?
冬夜君の朝の仕度が済むと部屋に戻る。モーニングコーヒーを忘れずに。
それからは冬夜君と昨日の続きを見る。
と、いっても魔法使いのは昨夜全て見た。あとは剣客漫画の奴と主人公と死神のお話。
今日中には見終えるね。て、事は今日も車さんおやすみか。よかったね。
10時過ぎに麻耶さんが紅茶とお菓子を持ってきてくれる。
それを食べながら映画に夢中になる。
お昼も麻耶さんに用意してもらう。
インスタントラーメンだったけど、美味しかった。
どうしたらこんなにおいしく作れるんですか?と聞いてみた。
「冬夜はお湯で作らずみそ汁で作った味噌ラーメンを好むのよ」
なるほどなるほど、また一つ冬夜君好みのレシピが出来上がった。
食器をキッチンに持って行くと麻耶さんが
「片付けは任せて」というのでお言葉に甘えてDVDの続きを見る。
DVDを統べてみ終わった後、レンタル屋さんにDVDを返して、帰りに食事をして帰る。
家に帰って、お風呂に入って部屋に戻ると冬夜君がゲームをしている。
冬夜君が私に気がつくと「愛莉もやってみないかい?」という。
冬夜君の好みもおぼえた方が良いよね。
「血がどばーって出るやつは嫌だよ?」
「ただの車のゲームだから大丈夫」
そう言うからやってみた。
「やり方だけど……」
冬夜君が私の手を握ってコントローラの持ち方から教えてくれる。
何でもない事なんだけど、なんかドキってする。
話もなかなか頭に入ってこない。
「以上だけどわかった?」
取りあえずうなずく。
「じゃ、対戦でやってみよう?」
車のセッティングは冬夜君に任せた。
レースが始まる。冬夜君なりに手加減してくれたけど、私はまっすぐ走ることすらままならない。
落ち込む私を「そのうち慣れるさ」と言ってくれるけど全然わからない。
冬夜君は根気強く私に指導してくれた。
お蔭で1コースを周回できるようにはなった。
でもあまり楽しくない。向いてないのかな?
「ごめん、今度他のジャンルで探しておくよ」
「……ギャルゲーとかもイヤだからね。」
「わかってるよ」
時計は飛行機の時間に差し掛かっていた。
私達は寝ることにした。
いつの間にかちょっとだけ広くなったベッド。
冬夜君のパパさんが買ってくれたらしい。
冬夜君の胸の中で眠りにつく。
朝が来る。
朝の陽射しちょっと眩しいけど。今日もまた始まる。
冬夜君との新しい夢とか未来とか胸がときめく。
何かを信じてほんの少しずつ、その想い伝えあい
夢へと向かっていくの、明るい未来へと。
強い雨が降っても大丈夫。
ちょっと弱さだってあるかもしれないけど。
野に咲く蒲公英のように惹かれあうだろう。
熱い視線もっと感じたい。
少しだけ背伸びした冬夜君との出来事はいつでも何でも胸が高まる。
独りぼっちだと辛いけど、この気持ち伝えあい愛を信じて行けばいつかは未来へ……。
この気持ち世界中に伝えたい。夢を運びたい。
たとえ悲しくたって大丈夫。信じあい支え合って希望に変えていこう。
蒲公英のように強く。
そして私は冬夜君を起こす
「おはよう、冬夜君」」
また新しい一日が始まる。
0
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