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3rdSEASON
女王対姫様
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(1)
「おはよう冬夜君、朝だよ~」
「愛莉おはよう」
僕の隣に座り囁きかけるかのように言う愛莉の言葉に目が覚めた僕は愛莉の唇にバードキスをする。
喜んだ愛莉は、僕に抱き着く。そんな愛莉の背中をポンポンと叩き言う。
「とりあえず着替えたいから離れて」
口を尖らせて不満の一言や二言いうものの、着替えないといけないことは知っているので愛莉は離れる。
僕が着替えだすと愛莉も着替えだす。朝食の準備はできているのだろう。
着替えながら愛莉の話を聞いてやり、時にうなずいて、時には頭を撫でてやる。そのくらいで愛莉の機嫌は良くなる。
元々そんなに愛莉の機嫌は悪くなかったのかもしれない。朝食を食べ仕度をすると僕は部屋に戻る。愛莉もコーヒーの入ったマグカップを持って戻ってくる。
それから時間までテレビを見てじゃれ合いながら一時を過ごす。
時間になると、愛莉に車のカギを受け取り玄関に向かう。
「行ってきます」と母さんに声をかけると、愛莉の家の車庫に向かい運転席に座る。渋滞を避ける必要もなく、車はまっすぐに大学を目指し、そして着く。
駐車場から棟までは歩いて10分もかからない程度。その間も愛莉と話をしながらのんびり歩いている。
すると男の集団が、のろのろと群れを成しいて歩いていく。何だろう?と愛莉と顔を見合わせるも、関係ないのでそのまま棟に向かった。
それがうわさの姫様だと聞いたのは2限を終え昼食を食べている時に、大島さんからだった。
「サークルはテニス部に決めたみたい。元々テニスやっていたらしいよ」
へえ、いかにもお嬢様が選んだって選択だな。
弁当を食べながら話を聞いていたら、仏頂面の志水さんと江口さんがやってきた。酒井君と石原君も一緒だ。
「何かあったの?」
僕がそう尋ねると、志水さんが僕に怒りをぶつけていた。
「あの女イラつく。新入生の癖に生意気過ぎよ」
ああ、お姫様の事で何かあったのか。
「確かに気に食わないわね、渡辺班に放り込んで調教したいくらいだわ……」
二人共あまり印象が良くなかったみたいだ。
「どんな人だったの?」
愛莉はこんな時、何も考えずに話題に切り込む。
志水さんが語った。
話は1限が終わった後まで遡る。
(2)
私はいつもの如く、善君と一緒に雑魚を率いて棟にむかっていた、
すると前から別の集団、がやってくる。
その集団と正面から衝突した。
集団の一番前に立つ女性が私に話しかける。
「あなたが女王の志水晶先輩?」
「そうだけどあなたは?」
「私は今年入学した花山咲、今後ともよろしくお願いします~」
声音は可愛らしいけど、本心は挑発的な態度。見え見えの社交辞令だわ。
「よろしく。噂は聞いているわ」
「噂なんて……そんな大げさなものじゃないです~」
言葉とは裏腹にまんざらでもない様子の花山さん。
「じゃ、ご機嫌よう」
そう言うと私は立ち去ろうとするのを花山さんの集団が立ちふさがる。
「邪魔なんだけど」
「ええ~ごめんなさい~。私に付いて来てくれる人が多すぎて道を開けられないんです。志水先輩の方が少ないみたいだし、どいてもらえませんか~?」
確かに私の雑魚は善君との交際が発覚して減ったし、花山さんに流れた雑魚もいる。しかし私が避けなきゃいけないのは違う気がする。
「先輩に道を譲るのは常識では無くて?」
「初対面の人に向かって先輩面するんですか?それってパワハラじゃないですか?ひど過ぎます~」
そう言って泣き真似をする、花山さん。
花山さんの引き連れてる雑魚は激高する。
私の連れてる雑魚とまさに一触即発の状態。
こんなところで意地を張ってるのも時間の無駄。
善君もそう目で訴えてる。
私は黙って道を開ける。
すれ違いざまに彼女はこう言い放つ
「案外物分かりが良い先輩なんですね。思ったよりちょろいちょろい」
ブチッ
私の中で何かの線が切れる音がする。
しかし彼女に食ってかかろうとする私を酒井君が制する。
初戦は敗北と言わざるを得なかった。次はこうはいかないわよ……。
「確かに不愉快な話ね。私も似たような事されたわ……」
「恵美も?」
「ええ……さっき。すれ違った時の話なんだけど……」
「あ、ここに皆さん居たんですね~!」
振り返ると今しがた言っていた不愉快な女の声がする。
栗色のショートボブにヘアバンドをし、両耳にはピアスをつけ小顔の可愛らしい女の子が立っていた。
後ろには大勢の雑魚を引き連れている。
「江口先輩さっきはごめんなさ~い。ちょっと言い過ぎたかも知れないと思って……」
一言一句に可愛いアピールのモーションを入れてくるのが気に食わない。
「気にしなくていいわよ。貴女みたいな人意外と多いから。一々気に掛けるほど暇じゃないの」
棘のある言い方で返事する。恵美も少々機嫌が悪いみたいね。
「でもぉ~、『亡国の女王』なんて言ったら流石に気分悪くしちゃったかな~と思って~」
「大丈夫よ?あなたみたいな雑魚に担ぎ上げられて調子に乗ってる女なんて貴女だけだと思ったら大間違いよ」
「雑魚だなんて酷いですぅ~、皆いい人達ばかりなのに。そんなんだからたった一人だけになっちゃうんですよ。あ、もう一人いましたね。てへっ」
女は、石原君を見て笑う。大方こんな男一人で満足してるちっぽけな女性だと誤解しているのだろう?
以前の私がそうだったかのように……。
「気にしないでいいわよ。裸の王様気取ってるのもさぞ気持ちのいいものなのでしょう。私には理解し難いけど」
「……それってどういう意味ですか?」
女の口調が変わった。気にも障ったのかしら?
「お互い価値観が違うんですもの、いくら話しても時間の無駄だわ。周りの雑魚と戯れてなさいな?」
「価値観が違うって単なる言い逃れじゃない。ちゃんと納得いくまで説明してもらわないと。それともただの負け犬の遠吠え?」
席を立とうとする江口さんがぴたりと止まった。
「あなたみたいなお馬鹿さんに付き合うのも馬鹿馬鹿しいと思ったけど、面白いじゃない。あなたに分かりやすく説明してあげる。いや、思い知らせてあげるわ」
「勝負するとでも言うんですか?」
「それも面白いけど……例えばそこにいる片桐君とあなたの周りの雑魚でサッカーやバスケで勝負させるのもありだし、あなたが見えなかったイッシーと喧嘩させてみるのも一興だけど……少し趣向を変えてみるわ」
片桐君の名前を出すと、愛莉が片桐君の腕を掴む。
「そうね、片桐君でもイッシーでも酒井君でもいいわ。誰か一人を貴方なりのやり方で口説いてみなさいな。あなたの取り巻きに引き込めたらあなたの勝ち。出来なかったら私の勝ち。どう?」
「みんな彼女いるみたいなのにいいんですか?後悔しても知りませんよ」
「そんな心配微塵もしてないわ……。ねえみんな?」
恵美が言うと愛莉は頷く。私もうなずいた。
「わかりました。私が勝ったらどうします?」
「あなたの言うことを一つ何でも聞いてあげるわ。土下座してあげてもいいわよ。私が勝っても何もしなくていいわ。敢えて言うならあなたの悔しがる様が見たいくらいかしら」
「いいですよ。期限は?」
「あなたが納得するまで幾らでも待ってあげるわ……もっとハンデ欲しい?」
「私を馬鹿にしてませんか?」
「してるわよ?馬鹿だと思ってるから」
女の後ろの雑魚が暴れださないのは私の雑魚と拮抗してるから。
「調子に乗ってると痛い目見ますよ?私のこと舐めてると……」
「そうね、もう一つくらいハンデを上げたいわね?ちょっといいかしら皆?」
そう言って私達と相談を始めた。
恵美は衝撃的な事を告げた。
「彼女を渡辺班に入れたいんだけど?」
「それは渡辺君たちに相談しないとダメだと思うよ?」
愛莉がそう言うと後ろから「構わんぞ」と大柄の男性が言って笑った。
渡辺君だった。
(3)
「構わんぞ」
渡辺君は、そう言った。
私は正直怖かった。
いくら冬夜君の事信じていても、不安はある。
そんな経験したことないから。
志水さんも、恵美も平気なの?
自分の大切な彼氏さんだよ?
「もっと面白い提案があるんだが……」
渡辺君が花山さんに言った。
「な、なんですか……?」
花山さんは新たな男性の出現に少し焦っているようだった。
「今からうちのグルに入ってもらう。グルにいる男のうち誰でもいいから落とせば君の勝ち。どうだい?」
皆を巻き込むの?
「そんなに私が優位に立っていいんですか?」
「かまわんさ、ただしこちらからも条件を一つつける」
「ど、どうぞ」
「俺たちが一人の男を用意する。大丈夫、極力普通の男を入れる。その男に君が惚れた時点で勝負は決まり。どうだい?」
「面白そうですね。惚れたら負けと分かっている男に惚れると本気で思っているのですか?」
「ああ、そう言うのが得意なグループなんでね?君対俺たちのグループという構図で君には不利な状況になるが……」
「不利だと言いきれるのが大した自信ですね」
「まあね」
「いいですよ?じゃあそのグループに招待してください」
渡辺君はまず、私たち全員に今話した内容をチャットで伝える。するとみんなから承諾の返事がくる。すると渡辺君が花山さんとIDの交換をする。その様を花山さんの取り巻きが羨ましそうに見てる。渡辺君がグループに招待する。
「よろしくおねがいしま~す」
ちゃっかりプロフ紹介に自分の顔写真を加工したものを載せる。
桐谷君が反応していたが……とまった。きっと亜依から何か言われたんだろう。
「じゃ、こっからは本気で行きますからね。よろしくね。冬夜君」
冬夜君の名前を言われてどきっとした。冬夜君に目を付けたの?
冬夜君を掴む手に力が入る。
「お手柔らかに頼むよ。でも僕はやめといたほうがいいよ。可愛い婚約者がいるから」
冬夜君はにっこりと笑うとそう言う。
「そういう人ほど落としがいがあって楽しいじゃないですか」
今気づいたけど冬夜君がっ私が掴んだ腕を曲げて私の両腕を抱くようにしている。
「心配ないから」と冬夜君が小声で囁く。
うん、信じてるからね。
「それじゃ、皆さんよろしくお願いしますね~」
そう言って花山さんは次の授業へと向かった。
「いいの?渡辺君、あんなこと言って。まず男をどうやって見つけてくるの?」
私が、聞くと渡辺君は笑って答えた。
「何も考えてない。まあ、なんか適当な男捕まえてくるさ。極度に冴えないやつをな」
「それは面白いわね……、私も雑魚から適当なのさがしてみようかしら……」と志水さんがいうと、「そんな雑魚ではおもしろくないでしょ」と江口さんが言う。
「片桐君、なんか目をつけられたみたいだけど、大丈夫なのかい?」と酒井君が言うと「さあね?」と冬夜君が笑う。
さあね?じゃないよ。ダメだからね。
「うぅ……」
私がうめくような声を上げると冬夜君が優しく頭を撫でてくれる。
「今まで愛莉より良いって思った女性は一人としていないよ」と優しい言葉をかけてくれる。
「それよりそろそろ時間だけど?」
冬夜君は腕時計を見るとそう言った。
私達も時計を見て早々と各々の教室に向かった。
(4)
喫茶店「青い鳥」
「……そういうわけね」
今いる渡辺班のメンツに昼間にあった出来事を説明すると、中島君がそうため息交じりに言った。
「多分一番狙われやすいのは瑛大だろうな」
渡辺君はそう話す。
「それなら大丈夫?瑛大にはびっしり言っておいたから」
指原さんがそう言う。
「でも、最初に目を付けたのは片桐君ですよ。大丈夫なのかい?」
酒井君が、心配そうに言う。愛莉も不安そうに僕を見てる。
「どうして花山さんが僕に目を付けたのかは知らないけど、皆同じ考えだと思うけど?今の彼女を捨ててまで花山さんに靡くメリットってあるの?」
僕がそう言うと男性陣は皆黙ってしまう。
「片桐君は分かってない。それでも靡いていくんじゃないかって不安をこれから愛莉も私も……女性陣は抱えていくわけだよ」
指原さんがそういうと、僕は愛莉の頭を撫でながら言った。
「そこは、信用してって言うしかないな。少なくとも江口さんや志水さんは確信してると思うけど」
「まあ……そうね」
「否定はしないわ」
江口さんと志水さんは納得したようだ。
「本当に大丈夫だよね……?」
愛莉は不安気に聞いてくる。
「その気持ち誰よりも理解してるから。多分男性陣はみんなそうなんじゃないかな?自分の彼女が他の男にとられちゃうんじゃないか?って……だから医学部のイケメンは入れるなって言ってたんでしょ?」
僕がそう言うと女性陣も納得したようだ。
「私は男性陣は皆片桐君と同じ気持ちだと思う。ずっと一緒にいたからこそ分かる。だからこの勝負をしかけたの。あの女に痛い目合わせてやりたいってのもあったけど」
まあ、それが一番の荒療治だろうな。それにしても……。
「渡辺君のもう一つの条件の方が気になるよ。そんな都合よく男がみつかるものなの?」
そう言うと渡辺君は笑った。
「万が一いなくても彼女に負けを認めさせればいいんだろ?皆の気持ち考えたら実はこっちが優位なんだ。長い間共に過ごしてきて、こんな条件で入れましたって女に靡く男がいるわけないと俺はおもってる」
渡辺君がそう言うと「それもそうですよね」と一ノ瀬さんがうなずいた。
そのときカランカランとドアベルが鳴る。
「皆さんここに集まるんですね」
明るい声が店内に響く。花山さんだった。花山さんは、僕の対面の席に座ると。テーブルに肘をつき顔を手で支え覗き込むように僕を見る。
「冬夜君って意外と大食いなんですね~。全然そんな風に見えないけど~。好きな料理とかあるんですか~?」
「愛莉……彼女が作るものなら何でも食べるよ」
「そういう答えじゃなくて、好きな食べ物とかないんですか?」
「そうだなぁ……、普通にハンバーグとかラーメンとかかな?あと旅に行った時は郷土料理食べるよ」
「ハンバーグ私得意なんですよ~。今度作ってきてあげましょうか?」
「ハンバーグは出来たてが一番だからいいよ」
「だったら私の家に来ませんか~。私一人暮らしなんですよ~」
なんか、うまい具合に彼女のペースに嵌められてる気がする。
愛莉の横からの視線がすごい。
「さすがに一人暮らしの女性の家に上がり込むなんて無理だよ」
「えぇ~私は平気ですよ~」
意外としつこいな、本気で僕を狙っているんだろうか?
だとしたら大きな間違いだね。
「世間体もあるからね、花山さんみたいな綺麗な女性の部屋に男が入り込んだら、色々問題あるでしょ?」
「冬夜君みたいな素敵な男性なら大歓迎ですよ~。色々噂聞いたんです。その身長でダンク決めるとかサッカーでも有名だったみたいだし」
中々引き下がってくれないな。
すると愛莉が立ち上がって花山さんを叱りつける。
「冬夜君は私と同棲してるんだから駄目に決まってるでしょ!冬夜君困ってるじゃない!いい加減に諦めなさい!」
すると花山さんがにやりと笑う。
「同棲してるって単に遠坂さんが冬夜君の家に押しかけてるだけでしょ~?それこそ冬夜君に迷惑かけてるって思ったことないんですか?」
「うぅ……」
返す言葉がみつからない愛莉に代わって僕が言ってあげる。
「愛莉は婚約者……両親に認められた特別な人だから大丈夫なんだよ?家事もしてくれるし助かってる」
そう言って愛莉を席に座るように落ち着かせる。
「それって冬夜君は迷惑だと思わないの?」
「……愛してる人とずっと側にいられて迷惑だと思う男性がいるなら見てみたいけど」
そう言って愛莉の肩を抱く。愛莉も落ち着いたようだ。
「正志君。このグループって合コンとかあるんですか?」
花山さんは渡辺君に話を振る。
「ん?一応考えてあるよ。新歓も……もう少し人が増えたらと思ってる」
と、言ってもそんなに増やさないけどなと付け足して。
「じゃあ、皆さんにお会いできる時があるってことですよね?」
「そうだな」
「じゃあ、今日はこの辺で失礼します。また明日~」
そう言って花山さんは店を出た。
「まだ余裕がみられるわね、彼女の態度」と、江口さん。
「その余裕もいつまでもつか見ものだわ」と、志水さん。
合コンとやらで狙いを定めるんだろうな。
桐谷君大丈夫か?指原さんには悪いけど一番不安要素だぞ。
ふとスマホを見る。渡辺班のグループメッセだ。
「個人追加いいですか?」
「いいよー」
「ありがとうございます」
そこでログは止まってる。
「瑛大の奴……」
指原さんがうめくように言う。
切り替えが早いんだな、花山さんってのは。
その気にさせて飽きたらぽいってパターンか?そのくらい桐谷君もわかってそうな気がするけど。
「それにしても冬夜君も嬉しい事言ってくれるね『愛してる人』だなんて♪……私今夜も大丈夫だよ?」
「瑛大の奴もそのくらいの意思表示してほしいわ……」
指原さんが僕の腕を掴む愛莉を見てそう言う。
今までやってこれたんなら大丈夫だよ。
春の嵐を水から取り入れた感じになっちゃったけど。
僕達の新年度はこうしてはじまった。
「おはよう冬夜君、朝だよ~」
「愛莉おはよう」
僕の隣に座り囁きかけるかのように言う愛莉の言葉に目が覚めた僕は愛莉の唇にバードキスをする。
喜んだ愛莉は、僕に抱き着く。そんな愛莉の背中をポンポンと叩き言う。
「とりあえず着替えたいから離れて」
口を尖らせて不満の一言や二言いうものの、着替えないといけないことは知っているので愛莉は離れる。
僕が着替えだすと愛莉も着替えだす。朝食の準備はできているのだろう。
着替えながら愛莉の話を聞いてやり、時にうなずいて、時には頭を撫でてやる。そのくらいで愛莉の機嫌は良くなる。
元々そんなに愛莉の機嫌は悪くなかったのかもしれない。朝食を食べ仕度をすると僕は部屋に戻る。愛莉もコーヒーの入ったマグカップを持って戻ってくる。
それから時間までテレビを見てじゃれ合いながら一時を過ごす。
時間になると、愛莉に車のカギを受け取り玄関に向かう。
「行ってきます」と母さんに声をかけると、愛莉の家の車庫に向かい運転席に座る。渋滞を避ける必要もなく、車はまっすぐに大学を目指し、そして着く。
駐車場から棟までは歩いて10分もかからない程度。その間も愛莉と話をしながらのんびり歩いている。
すると男の集団が、のろのろと群れを成しいて歩いていく。何だろう?と愛莉と顔を見合わせるも、関係ないのでそのまま棟に向かった。
それがうわさの姫様だと聞いたのは2限を終え昼食を食べている時に、大島さんからだった。
「サークルはテニス部に決めたみたい。元々テニスやっていたらしいよ」
へえ、いかにもお嬢様が選んだって選択だな。
弁当を食べながら話を聞いていたら、仏頂面の志水さんと江口さんがやってきた。酒井君と石原君も一緒だ。
「何かあったの?」
僕がそう尋ねると、志水さんが僕に怒りをぶつけていた。
「あの女イラつく。新入生の癖に生意気過ぎよ」
ああ、お姫様の事で何かあったのか。
「確かに気に食わないわね、渡辺班に放り込んで調教したいくらいだわ……」
二人共あまり印象が良くなかったみたいだ。
「どんな人だったの?」
愛莉はこんな時、何も考えずに話題に切り込む。
志水さんが語った。
話は1限が終わった後まで遡る。
(2)
私はいつもの如く、善君と一緒に雑魚を率いて棟にむかっていた、
すると前から別の集団、がやってくる。
その集団と正面から衝突した。
集団の一番前に立つ女性が私に話しかける。
「あなたが女王の志水晶先輩?」
「そうだけどあなたは?」
「私は今年入学した花山咲、今後ともよろしくお願いします~」
声音は可愛らしいけど、本心は挑発的な態度。見え見えの社交辞令だわ。
「よろしく。噂は聞いているわ」
「噂なんて……そんな大げさなものじゃないです~」
言葉とは裏腹にまんざらでもない様子の花山さん。
「じゃ、ご機嫌よう」
そう言うと私は立ち去ろうとするのを花山さんの集団が立ちふさがる。
「邪魔なんだけど」
「ええ~ごめんなさい~。私に付いて来てくれる人が多すぎて道を開けられないんです。志水先輩の方が少ないみたいだし、どいてもらえませんか~?」
確かに私の雑魚は善君との交際が発覚して減ったし、花山さんに流れた雑魚もいる。しかし私が避けなきゃいけないのは違う気がする。
「先輩に道を譲るのは常識では無くて?」
「初対面の人に向かって先輩面するんですか?それってパワハラじゃないですか?ひど過ぎます~」
そう言って泣き真似をする、花山さん。
花山さんの引き連れてる雑魚は激高する。
私の連れてる雑魚とまさに一触即発の状態。
こんなところで意地を張ってるのも時間の無駄。
善君もそう目で訴えてる。
私は黙って道を開ける。
すれ違いざまに彼女はこう言い放つ
「案外物分かりが良い先輩なんですね。思ったよりちょろいちょろい」
ブチッ
私の中で何かの線が切れる音がする。
しかし彼女に食ってかかろうとする私を酒井君が制する。
初戦は敗北と言わざるを得なかった。次はこうはいかないわよ……。
「確かに不愉快な話ね。私も似たような事されたわ……」
「恵美も?」
「ええ……さっき。すれ違った時の話なんだけど……」
「あ、ここに皆さん居たんですね~!」
振り返ると今しがた言っていた不愉快な女の声がする。
栗色のショートボブにヘアバンドをし、両耳にはピアスをつけ小顔の可愛らしい女の子が立っていた。
後ろには大勢の雑魚を引き連れている。
「江口先輩さっきはごめんなさ~い。ちょっと言い過ぎたかも知れないと思って……」
一言一句に可愛いアピールのモーションを入れてくるのが気に食わない。
「気にしなくていいわよ。貴女みたいな人意外と多いから。一々気に掛けるほど暇じゃないの」
棘のある言い方で返事する。恵美も少々機嫌が悪いみたいね。
「でもぉ~、『亡国の女王』なんて言ったら流石に気分悪くしちゃったかな~と思って~」
「大丈夫よ?あなたみたいな雑魚に担ぎ上げられて調子に乗ってる女なんて貴女だけだと思ったら大間違いよ」
「雑魚だなんて酷いですぅ~、皆いい人達ばかりなのに。そんなんだからたった一人だけになっちゃうんですよ。あ、もう一人いましたね。てへっ」
女は、石原君を見て笑う。大方こんな男一人で満足してるちっぽけな女性だと誤解しているのだろう?
以前の私がそうだったかのように……。
「気にしないでいいわよ。裸の王様気取ってるのもさぞ気持ちのいいものなのでしょう。私には理解し難いけど」
「……それってどういう意味ですか?」
女の口調が変わった。気にも障ったのかしら?
「お互い価値観が違うんですもの、いくら話しても時間の無駄だわ。周りの雑魚と戯れてなさいな?」
「価値観が違うって単なる言い逃れじゃない。ちゃんと納得いくまで説明してもらわないと。それともただの負け犬の遠吠え?」
席を立とうとする江口さんがぴたりと止まった。
「あなたみたいなお馬鹿さんに付き合うのも馬鹿馬鹿しいと思ったけど、面白いじゃない。あなたに分かりやすく説明してあげる。いや、思い知らせてあげるわ」
「勝負するとでも言うんですか?」
「それも面白いけど……例えばそこにいる片桐君とあなたの周りの雑魚でサッカーやバスケで勝負させるのもありだし、あなたが見えなかったイッシーと喧嘩させてみるのも一興だけど……少し趣向を変えてみるわ」
片桐君の名前を出すと、愛莉が片桐君の腕を掴む。
「そうね、片桐君でもイッシーでも酒井君でもいいわ。誰か一人を貴方なりのやり方で口説いてみなさいな。あなたの取り巻きに引き込めたらあなたの勝ち。出来なかったら私の勝ち。どう?」
「みんな彼女いるみたいなのにいいんですか?後悔しても知りませんよ」
「そんな心配微塵もしてないわ……。ねえみんな?」
恵美が言うと愛莉は頷く。私もうなずいた。
「わかりました。私が勝ったらどうします?」
「あなたの言うことを一つ何でも聞いてあげるわ。土下座してあげてもいいわよ。私が勝っても何もしなくていいわ。敢えて言うならあなたの悔しがる様が見たいくらいかしら」
「いいですよ。期限は?」
「あなたが納得するまで幾らでも待ってあげるわ……もっとハンデ欲しい?」
「私を馬鹿にしてませんか?」
「してるわよ?馬鹿だと思ってるから」
女の後ろの雑魚が暴れださないのは私の雑魚と拮抗してるから。
「調子に乗ってると痛い目見ますよ?私のこと舐めてると……」
「そうね、もう一つくらいハンデを上げたいわね?ちょっといいかしら皆?」
そう言って私達と相談を始めた。
恵美は衝撃的な事を告げた。
「彼女を渡辺班に入れたいんだけど?」
「それは渡辺君たちに相談しないとダメだと思うよ?」
愛莉がそう言うと後ろから「構わんぞ」と大柄の男性が言って笑った。
渡辺君だった。
(3)
「構わんぞ」
渡辺君は、そう言った。
私は正直怖かった。
いくら冬夜君の事信じていても、不安はある。
そんな経験したことないから。
志水さんも、恵美も平気なの?
自分の大切な彼氏さんだよ?
「もっと面白い提案があるんだが……」
渡辺君が花山さんに言った。
「な、なんですか……?」
花山さんは新たな男性の出現に少し焦っているようだった。
「今からうちのグルに入ってもらう。グルにいる男のうち誰でもいいから落とせば君の勝ち。どうだい?」
皆を巻き込むの?
「そんなに私が優位に立っていいんですか?」
「かまわんさ、ただしこちらからも条件を一つつける」
「ど、どうぞ」
「俺たちが一人の男を用意する。大丈夫、極力普通の男を入れる。その男に君が惚れた時点で勝負は決まり。どうだい?」
「面白そうですね。惚れたら負けと分かっている男に惚れると本気で思っているのですか?」
「ああ、そう言うのが得意なグループなんでね?君対俺たちのグループという構図で君には不利な状況になるが……」
「不利だと言いきれるのが大した自信ですね」
「まあね」
「いいですよ?じゃあそのグループに招待してください」
渡辺君はまず、私たち全員に今話した内容をチャットで伝える。するとみんなから承諾の返事がくる。すると渡辺君が花山さんとIDの交換をする。その様を花山さんの取り巻きが羨ましそうに見てる。渡辺君がグループに招待する。
「よろしくおねがいしま~す」
ちゃっかりプロフ紹介に自分の顔写真を加工したものを載せる。
桐谷君が反応していたが……とまった。きっと亜依から何か言われたんだろう。
「じゃ、こっからは本気で行きますからね。よろしくね。冬夜君」
冬夜君の名前を言われてどきっとした。冬夜君に目を付けたの?
冬夜君を掴む手に力が入る。
「お手柔らかに頼むよ。でも僕はやめといたほうがいいよ。可愛い婚約者がいるから」
冬夜君はにっこりと笑うとそう言う。
「そういう人ほど落としがいがあって楽しいじゃないですか」
今気づいたけど冬夜君がっ私が掴んだ腕を曲げて私の両腕を抱くようにしている。
「心配ないから」と冬夜君が小声で囁く。
うん、信じてるからね。
「それじゃ、皆さんよろしくお願いしますね~」
そう言って花山さんは次の授業へと向かった。
「いいの?渡辺君、あんなこと言って。まず男をどうやって見つけてくるの?」
私が、聞くと渡辺君は笑って答えた。
「何も考えてない。まあ、なんか適当な男捕まえてくるさ。極度に冴えないやつをな」
「それは面白いわね……、私も雑魚から適当なのさがしてみようかしら……」と志水さんがいうと、「そんな雑魚ではおもしろくないでしょ」と江口さんが言う。
「片桐君、なんか目をつけられたみたいだけど、大丈夫なのかい?」と酒井君が言うと「さあね?」と冬夜君が笑う。
さあね?じゃないよ。ダメだからね。
「うぅ……」
私がうめくような声を上げると冬夜君が優しく頭を撫でてくれる。
「今まで愛莉より良いって思った女性は一人としていないよ」と優しい言葉をかけてくれる。
「それよりそろそろ時間だけど?」
冬夜君は腕時計を見るとそう言った。
私達も時計を見て早々と各々の教室に向かった。
(4)
喫茶店「青い鳥」
「……そういうわけね」
今いる渡辺班のメンツに昼間にあった出来事を説明すると、中島君がそうため息交じりに言った。
「多分一番狙われやすいのは瑛大だろうな」
渡辺君はそう話す。
「それなら大丈夫?瑛大にはびっしり言っておいたから」
指原さんがそう言う。
「でも、最初に目を付けたのは片桐君ですよ。大丈夫なのかい?」
酒井君が、心配そうに言う。愛莉も不安そうに僕を見てる。
「どうして花山さんが僕に目を付けたのかは知らないけど、皆同じ考えだと思うけど?今の彼女を捨ててまで花山さんに靡くメリットってあるの?」
僕がそう言うと男性陣は皆黙ってしまう。
「片桐君は分かってない。それでも靡いていくんじゃないかって不安をこれから愛莉も私も……女性陣は抱えていくわけだよ」
指原さんがそういうと、僕は愛莉の頭を撫でながら言った。
「そこは、信用してって言うしかないな。少なくとも江口さんや志水さんは確信してると思うけど」
「まあ……そうね」
「否定はしないわ」
江口さんと志水さんは納得したようだ。
「本当に大丈夫だよね……?」
愛莉は不安気に聞いてくる。
「その気持ち誰よりも理解してるから。多分男性陣はみんなそうなんじゃないかな?自分の彼女が他の男にとられちゃうんじゃないか?って……だから医学部のイケメンは入れるなって言ってたんでしょ?」
僕がそう言うと女性陣も納得したようだ。
「私は男性陣は皆片桐君と同じ気持ちだと思う。ずっと一緒にいたからこそ分かる。だからこの勝負をしかけたの。あの女に痛い目合わせてやりたいってのもあったけど」
まあ、それが一番の荒療治だろうな。それにしても……。
「渡辺君のもう一つの条件の方が気になるよ。そんな都合よく男がみつかるものなの?」
そう言うと渡辺君は笑った。
「万が一いなくても彼女に負けを認めさせればいいんだろ?皆の気持ち考えたら実はこっちが優位なんだ。長い間共に過ごしてきて、こんな条件で入れましたって女に靡く男がいるわけないと俺はおもってる」
渡辺君がそう言うと「それもそうですよね」と一ノ瀬さんがうなずいた。
そのときカランカランとドアベルが鳴る。
「皆さんここに集まるんですね」
明るい声が店内に響く。花山さんだった。花山さんは、僕の対面の席に座ると。テーブルに肘をつき顔を手で支え覗き込むように僕を見る。
「冬夜君って意外と大食いなんですね~。全然そんな風に見えないけど~。好きな料理とかあるんですか~?」
「愛莉……彼女が作るものなら何でも食べるよ」
「そういう答えじゃなくて、好きな食べ物とかないんですか?」
「そうだなぁ……、普通にハンバーグとかラーメンとかかな?あと旅に行った時は郷土料理食べるよ」
「ハンバーグ私得意なんですよ~。今度作ってきてあげましょうか?」
「ハンバーグは出来たてが一番だからいいよ」
「だったら私の家に来ませんか~。私一人暮らしなんですよ~」
なんか、うまい具合に彼女のペースに嵌められてる気がする。
愛莉の横からの視線がすごい。
「さすがに一人暮らしの女性の家に上がり込むなんて無理だよ」
「えぇ~私は平気ですよ~」
意外としつこいな、本気で僕を狙っているんだろうか?
だとしたら大きな間違いだね。
「世間体もあるからね、花山さんみたいな綺麗な女性の部屋に男が入り込んだら、色々問題あるでしょ?」
「冬夜君みたいな素敵な男性なら大歓迎ですよ~。色々噂聞いたんです。その身長でダンク決めるとかサッカーでも有名だったみたいだし」
中々引き下がってくれないな。
すると愛莉が立ち上がって花山さんを叱りつける。
「冬夜君は私と同棲してるんだから駄目に決まってるでしょ!冬夜君困ってるじゃない!いい加減に諦めなさい!」
すると花山さんがにやりと笑う。
「同棲してるって単に遠坂さんが冬夜君の家に押しかけてるだけでしょ~?それこそ冬夜君に迷惑かけてるって思ったことないんですか?」
「うぅ……」
返す言葉がみつからない愛莉に代わって僕が言ってあげる。
「愛莉は婚約者……両親に認められた特別な人だから大丈夫なんだよ?家事もしてくれるし助かってる」
そう言って愛莉を席に座るように落ち着かせる。
「それって冬夜君は迷惑だと思わないの?」
「……愛してる人とずっと側にいられて迷惑だと思う男性がいるなら見てみたいけど」
そう言って愛莉の肩を抱く。愛莉も落ち着いたようだ。
「正志君。このグループって合コンとかあるんですか?」
花山さんは渡辺君に話を振る。
「ん?一応考えてあるよ。新歓も……もう少し人が増えたらと思ってる」
と、言ってもそんなに増やさないけどなと付け足して。
「じゃあ、皆さんにお会いできる時があるってことですよね?」
「そうだな」
「じゃあ、今日はこの辺で失礼します。また明日~」
そう言って花山さんは店を出た。
「まだ余裕がみられるわね、彼女の態度」と、江口さん。
「その余裕もいつまでもつか見ものだわ」と、志水さん。
合コンとやらで狙いを定めるんだろうな。
桐谷君大丈夫か?指原さんには悪いけど一番不安要素だぞ。
ふとスマホを見る。渡辺班のグループメッセだ。
「個人追加いいですか?」
「いいよー」
「ありがとうございます」
そこでログは止まってる。
「瑛大の奴……」
指原さんがうめくように言う。
切り替えが早いんだな、花山さんってのは。
その気にさせて飽きたらぽいってパターンか?そのくらい桐谷君もわかってそうな気がするけど。
「それにしても冬夜君も嬉しい事言ってくれるね『愛してる人』だなんて♪……私今夜も大丈夫だよ?」
「瑛大の奴もそのくらいの意思表示してほしいわ……」
指原さんが僕の腕を掴む愛莉を見てそう言う。
今までやってこれたんなら大丈夫だよ。
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僕達の新年度はこうしてはじまった。
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