252 / 442
3rdSEASON
対峙
しおりを挟む
(1)
私はドキドキしていた。
全員が2Mを越す高身長のプレイヤー相手にどう立ち向かうのか。
ジャンプボールが放られる。
2人の選手が飛ぶ。
味方の6番のジャンプ力が凄い。
2Mを越える相手センターと張り合う。
そのルーズボールを拾うのは片桐先輩。
視聴覚室で見ていた。男女バスケ部の皆が歓声を上げる。
こういう時の片桐先輩の動きは早い。
しかし相手の戻りも早い。1-3-1のゾーンで片桐先輩を迎え撃つ。
先輩は冷静に3Pを決める。
ディフェンスに回る。
日本代表は1-2-1-1のゾーンで守る。
トップで守るのは片桐先輩。
トップから攻める相手の4番。
片桐先輩の試合を研究してなかったのだろうか?
ポストにパスを放ろうとするが、先輩が高く飛んでそれをカットする。
着地するより早く後ろにいる日本代表の4番にパスをする片桐先輩。
そして着地するとすぐに相手コートに侵入する。
それを読んでいたかのようにパスを受け取るとすぐにパスを出す4番。名前は澤選手だったか。
パスを受け取ると、すぐに3Pを決める。
その後相手は、サイドからの攻めに切り替える。
しかし、選んだサイドが悪かった。
迎え撃つのは7番の南選手。
南選手のディフェンスも片桐先輩には劣るものの硬い。
カットインしてきた相手の7番の選手にパスを出す。
その7番を抑えるのが6番の武蔵選手。
武蔵選手のディフェンスの前に攻めあぐねていると後ろから澤選手のスティールが決まる。
そして再びハーフラインを越えていた片桐先輩にパスを渡すと躊躇いもなく3Pを決める。
澤選手とタッチしてすぐにディフェンスにつく片桐先輩。
サイドからポストにいれて、力づくでシュートを決める相手の8番。
しかしそんなシュートにひるむことなくすぐに速攻を決めて3Pを決める片桐先輩。
点差はあっという間に10点差に広がった。
そんな応酬が続いて点差は30-12と日本代表の優勢のまま第1Qは終わった。
やはり片桐先輩の3Pを止めないとダメだ。
いくら攻撃を決めても。容赦なく点差を広げてくる。
「冬夜が敵に回ったらぞっとするな。常に冬夜に一人ついてないとダメなくらいだ。いや、一人だと振り切られてしまうか?」
佐(たすく)が感想を言う。
インサイドに入らずとも確実に3点を奪ってくる選手なんて脅威以外の何者でもないだろう。
皆もそれぞれ感想を言っていた。
そう言ってる間に2分間のインターバルが終わる。
相手の攻めはそれまで通りインにボールを入れて強引に押し込むプレイ。
ディフェンスが変わった。
ポストを3人で固めて二人が片桐先輩につく。
そのディフェンスは通用しない。
相手は日本代表を待ったく研究してないのだろうか?
澤選手が3Pを決める。
打ち合いは続く。
澤選手をにマークを一人割く。
片桐先輩が手薄になる。
片桐先輩がカットインする。
片桐先輩にパスが渡される。
片桐先輩は跳躍する。
ブロックに二人と分がターンしてブロックを躱してダンクを決める。
打ち合いはまだ続く。
長身の多い韓国相手にインサイドで負けるのはしょうがない。
負けるのは仕方ないけど何本かはディフェンスが決まる。
に、たいして日本代表は100%シュートを決めてくる。
点差は縮まるどころか広がっていた。
第2Qが終わる。
15分の休憩時間にはいった。
「相手日本代表の事研究してないな」
吉良先輩が指摘する。私も同じ事を思った。
「後半対策してくるかもですね」
私はそう言った。
「桜子ならどう対処する?日本代表相手に」
「そうですね……」
私は考えた。
韓国のオフェンスは決まっている。
ただディフェンスがザルなだけだ。
どんなディフェンスの対処法でも片桐先輩と澤選手は止められない。
ならば……。
「マンツーのプレスをかけてとにかく先輩に3Pを打たせないようにすることでしょうか。自由に3P打たせてたら駄目です。片桐先輩は100%決めてくるから。その分インサイドで決められるのは仕方ありません。韓国も攻撃力はあります。先輩の体力を削ってシュート力の低下を狙うしか対処法は無いと思います」
「マンツーでも冬夜は止まらないだろ?」
「ですから余計に動かせるんです。体力が消耗すれば集中力も落ちる。そうすれば日本代表の得点力も下がります」
「なるほどな、でもその作戦も効果薄いと気づいてるんだろ?」
佐が言うとにこりと笑ってうなずく。
「フィジカルはみっちり鍛えましたからね。そう簡単に落ちませんよ」
「マンツーのオールコートプレスが冬夜に通用しないのは医学部とやった時に証明済みだからな……」
吉良先輩が言う。
「そうですね。エース殺しと呼ばれるくらいの……そうですね。日本代表の南選手が二人くらいいたら止まると思いますが」
「佐倉は後半どう予想するんだ?」
「スローペースの展開になると思います。相手も速攻からの3P対策はしてくるでしょうから」
もう一つ不安要素があった。
先輩、無事でいてください……。
だが、不安は見事に的中するのだった。
(2)
「冬夜君すごいじゃん」
ゆかりさんがそう言った。
そうでしょそうでしょ?
「この分なら日本負けそうにないね。冬夜君止めないと点差開く一方でしょ」
由衣さんが言う。
「油断は禁物よ3人とも」
「あ、佐古下さん」
オーエスの記者さんだ。
「韓国代表だって黙って片桐君を自由にさせるはずがない。後半は何としても止めにかかるはずよ」
「どうやってですか?」
私は聞いていた。なぜか胸騒ぎがする。
「うまく言えないけど、嫌な予感がするの。杞憂だったらいいんだけど。ここはアウェーだってこと忘れちゃいけない」
どういう事?
選手がコートに戻ってくる。
第3Qが始まる。
ジャンプボールはやはり互角だった。
冬夜君がボールを拾おうとする。
すると韓国代表の選手が凄い勢いで突進してきた。
足が鳩尾に入っている。
倒れる冬夜君。
「冬夜君!」
倒れる冬夜君をの足を踏んずけてボールを拾うと攻撃を始める。
監督さんが抗議するが審判は無視する。
日本語が通じないのだろうか?
相手のシュートが決まる時間が止まる。
冬夜君は漸く起き上がると、走り出す。
足の踏まれ方が悪かった?
大丈夫かな?
冬夜君は踏まれた方の足でコートを踏みしめると確かめて攻撃に参加する。冬夜君に3人のディフェンスがつく。
冬夜君が走ろうとするとユニフォームを引っ張ったり足をガシガシ蹴ったりとやりたい放題。
冬夜君が潰されている間得点は藍井さんが積極的に攻める。
だが。
ピー!
「黒10番ファール!」
藍井さんがファールを取られた。
今のは無理に入ったディフェンスのファールでしょ!?
日本代表の監督さんが抗議する。通訳の人も必死に審判に訴える。しかし……。
ピー!
「テクニカルファール!」
理不尽すぎる!
日本側の応援からブーイングが起こる。
しかしそんな事なの意にも介さない審判。
しかし日本もただ指をくわえて見ているだけじゃなかった。
冬夜君は必死に3人のマークを振り切り3Pラインよりハーフラインに近い位置から3Pを決めていく。
点差を縮めさせない。
その時も韓国の選手は膝蹴りを決めたり、好き勝手し放題だったが。
事件は日本がディフェンスの時に起きた。
冬夜君がマークする選手が、突然肘を振り回す。
冬夜君の顔に直撃する。
そのまま相手の選手が3Pを決めると日本のコーチがタイムアウトを取る。
冬夜君が鼻血を出していた。
冬夜君は14番の哀田選手と交代される。
「やっぱり始まったわね。これがアウェーの洗礼よ」
佐古下さんは言う。
こんなのってずるいよ……。
「お国柄なんでしょうね。日本には負けたくないって言う」
「卑怯な手を使ってまで勝ちたいなんてどうかしてる!」
「冬夜君大丈夫かな?」
森下さんが私の肩を抱く。
こんな試合なんて試合になってないよ。
しかしその後も韓国のラフプレーは続いた。
ラフプレーだけじゃない。審判の贔屓もひどい。
しかし私の怒りは選手のそれに比べたら軽い物だった。
(3)
第4Qに入る前。
「安土と柿谷準備しとけ」
コーチが指示する。
「僕も入れますよ」
「監督から指示が来た。冬夜はこの試合使わないと」
「そんな……」
「俺もそう判断する。こんなただの強化試合でお前の選手生命に関わるような真似できない」
「怪我なら大丈夫です。鼻血も止まったし」
「お前足やられてただろ?」
「ちょっと捻っただけです。」
「雄一郎!冬夜の足観てやれ!」
「分かりました。ほら、冬夜バッシュ脱げ」
僕は脱ぐのを躊躇った。
「さっさと脱げ!そんなことしてもコーチの判断は変わらないぞ!」
雄一郎がそう言うとバッシュを脱ぐ。
靴下を脱ぐと赤くなっていた。
すぐにコールドスプレーをかけられる。
「あと10分だ。アウトサイドから狙って稼いだ点差使って逃げ切ろう」
「アウトサイドだったら僕でもいいんじゃ」
「いい加減にしろ!冬夜!これは公式戦でも何でもないんだ!この悔しさは5月までとっておけ!」
5月までってことは……。
「明日の試合は……」
「怪我の様子に関わらずお前は休んでもらう。心配するな。李相佰盃の椅子は用意しておいてやる。くどいようだが監督の決定だ」
呆然としていた。
明日の試合に出れない。
今日の怒りは5月にぶつけろという。
その試合僕が作り出した点差を活かしてどうにか勝った。
(4)
試合が終わった後、ミーティングで監督にアピールした。
しかし監督は首を振った。
「俺に出来る事はお前を無事公式戦デビューさせることだけだ」
「でも5月の相手も韓国なんでしょ!だったら今やっても5月にやってもいっしょだ!」
「そうだな、その時はユニバーシアードまでお預けだな。今日の試合は協会が公式に抗議すると言っている。李相佰盃は審判も韓国人じゃないから心配しなくていい」
なすすべが無かった。
こんなみっともないままで僕の世界戦デビューは終わってしまうのか……。
「雄一郎、冬夜の足はどうなんだ?」
「大したことないです。ちょっと捻ってるだけ。ただ明日の試合は止めた方がいいですね」
「そうか……」
監督は何か考えている。
「和人。明日の試合SGで出れるか」
「片桐ばりにはうごけないけど、やれます。」
「じゃあ、任せる」
「はい」
死刑宣告に近かった。
呆然と立ち尽くす僕の肩を叩いたのは雄一郎だった。
「明日の試合は無理だがあさっての試合があれば出れる!」
雄一郎がそう言うと監督の顔を見る。
「明日の試合の状況次第だが……、もしラフプレーが続くようなら出さない。お前には五輪強化にも無事に送り出さないといけないんだ。もう大人だろ。事情を察してくれ」
「……わかりました」
「心配しなくても明日の試合勝ってみせるから」
和人のその一言が胸を抉る。
僕がいなくても勝てる。
それは僕のスタメン落ちが決まったも同然なんじゃないか?
「じゃあ、明日も気をつけて試合に臨んでくれ。解散」
そう言うと皆は会議室を出る。
そんな中雄一郎が僕を呼び留めた。
「ちょっと話がある」
会議室の外には愛莉が待っていた。
「冬夜君大丈夫?」
愛莉が心配そうに聞いてきた。
「愛莉実は……」
「君彼女さん?」
雄一郎が僕の言葉を遮った。
「そうですけど?」
「ちょっと今夜は冬夜借りてもいいかな?」
「いいですけど……何かあったんですか?」
「何でもないちょっと話したい事があるだけ」
「わかりました。じゃ、冬夜君また明日ね」
愛莉は自分の部屋に戻っていった。
「俺の部屋に来いよ」
雄一郎は自分の部屋に案内した。
(5)
雄一郎が見せたのは一枚のDVD。
今日の試合の様子だ。
「見て気づくことが無いか?」
「……何も?」
いつもの試合と変わらない。
「そうだ。いつも通りの試合だ。相手がラフプレーに出てるだけの」
「それがどうしたの?」
「後半に入っていきなりお前を警戒してる。外から見たらあからさまにな」
「それで?」
「わかんないのかよ。それだけ相手もお前を重要視してるって事だ!多分負けられないと思ったんだろ?今まできついマークはあっただろうけどここまであからさまに潰しに来られたことはないだろ?」
まあ、確かに言われてみれば……。
「それが国際試合なんだよ。国の威信をかけて戦ってる。意気込みも覚悟も全然違うんだ」
「だからってラフプレーしていいって事にならないだろ?」
それに、そんな試合なら意地でも出たくなるじゃないか?
「公式戦でここまでは流石にねーよ。他のチームもここまで露骨なことはしない。なんでもそうだろ?日韓戦ってそういうもんなんだよ」
「それで、僕にどうしろと?」
「お前もっと自分を大事にしろ!こんなところで潰されるわけにはいかない。日本代表の最終兵器なんだって自覚しろ。こんな強化試合でスタメン外されたからってお前の地位が揺るぐことはない」
最終兵器ね……。
「本当は俺も悔しいんだよ。俺は度重なる怪我で外されたって言っただろ?お前にはまだチャンスあるんだ。大事にされてるんだ。重要視されてるんだ。無理はするな」
そうだったな……。
自分を大事にしろ。
渡辺班の皆にも言われた来たこと。
「もういいぞ、今日はゆっくり休め。足冷やして寝ろよ」
「ああ、わかった」
そう言って自分の部屋に戻る。
和人が部屋でスマホ弄ってた。
「あ、戻ってきた。雄一郎なんて?」
「代表の最終兵器なんだからもっと自分を大事にしろってさ」
「……俺もそう思う。冬夜のプレイは誰にも真似できない。普通のプレイじゃ抑えきれない。だから潰しにかかったんだと思う」
「怪我を恐れていたら試合なんて出れないじゃないか」
「そうだね、怪我するのを望んでる奴だっているかもしれない。自分に出番が回ってくるって思う奴もいるかもしれない」
「だったら……」
「冬夜はベンチウォーマーの経験ある?」
「いや?」
「だったらいい経験だ。一度味わってみると良い。どんな目でコートに立つ5人を眺めているのか自分で体験してみると良い」
「そうかもね」
その時誰かがノックした。
「遠坂さんかもよ」
「森下さんかもしれないぞ」
どちらも当たってなかった。
いや、哀田君が合っていたと言った方が正しいのか。
愛莉と監督が部屋に来た。
「……散々話を雄一郎から聞かされてかもしれないが」
「明日は休めって話は聞きました」
「え?冬夜君出れないの?どこか悪いの?」
愛莉が驚いてる。
「うん、足首をちょっとね」
「大丈夫なの!?治るの?」
「大丈夫だよ、軽傷だから」
「よかった~」
「俺の判断ミスだった。李相佰盃まで冬夜を温存すべきだった。すまない」
「監督の謝ることじゃないです。俺が甘かっただけですから」
「皆の動揺を抑える為ああは言ったが……」
「3戦目も休めって事ですか?」
「分かってもらえるとありがたい」
何となくわかっていた。
「フォーメーションはお前がいないと成り立たない。和人には仕込む時間がなかった。公式戦には必ず出てもらう」
「……分かりました」
「分かってくれるとありがたい。話はそれだけだ。和人ちょっとこい」
「どうしたんですか。昭兄さん」
はい?今なんて言いました?
「監督さんのお兄さんなんだって。哀田君」
そうだったのか……?
「少しは察してやれ。冬夜、10分間だけ時間をやる」
そう言って監督たちは部屋を出た。
「冬夜君足大丈夫?」
「さっき言われた通りだよ」
「……残念だね」
「ごめんな、せっかく観に来てくれたのに」
「ううん、でも無理しないでね。さっき監督さんと話してたの」
「監督と?」
「うん、冬夜君は五輪の代表も確定してるって。でもその為にはアジア選手権に勝たなきゃいけない。こんなところで怪我させるわけにはいかないんだって」
そうか、五輪代表確定か。
「益々無理できないな」
「そうだよ、もう冬夜君だけの問題じゃなくなってるんだからね」
「僕としては愛莉だけのものでよかったんだけどな」
「嬉しい事言ってくれるね」
今は愛莉の微笑みだけが支えだ。
悔しいけど今は耐えよう。
ドアをノックするとが聞こえる。
もう10分経ったか。
ドアを開けると彩(ひかる)が立っていた。
「ちょっと話があるんだけどいいか?」
彩は愛莉をちらりと見て言う。
「あ、私そろそろ部屋に戻るね」
そう言って愛莉は部屋に戻っていった。
彩を部屋に通す。
「話ってなに?」
「和人の事だ」
和人がどうしたんだ?
「あいつなんだ……」
「?」
「俺から勝ち逃げした奴……」
「……そうだったんだ」
「お前は負けるなよ」
「……分かった」
「言いたい事はそれだけだ、邪魔して悪かったな」
「良いよ」
「じゃあ」
そう言って彩は出ていった。
負けるなよ……か。
今、こうしてる間も皆戦い続けているんだろうな。
自分の置かれている立場に向き合う時が来たようだ。
負けられない。
今できることをやろう。
今は足を治す事。
雄一郎から借りてきたDVDを見る。
韓国戦の一部始終を見る。
今度やるときは負けない。
弱点を一つでも見つけてやろう。
和人が戻ってくる。
和人がDVDに気づくと笑う。
「明日で決めてくるから」
「ああ、接触プレイにきをつけて」
和人が寝ると僕も寝た。
私はドキドキしていた。
全員が2Mを越す高身長のプレイヤー相手にどう立ち向かうのか。
ジャンプボールが放られる。
2人の選手が飛ぶ。
味方の6番のジャンプ力が凄い。
2Mを越える相手センターと張り合う。
そのルーズボールを拾うのは片桐先輩。
視聴覚室で見ていた。男女バスケ部の皆が歓声を上げる。
こういう時の片桐先輩の動きは早い。
しかし相手の戻りも早い。1-3-1のゾーンで片桐先輩を迎え撃つ。
先輩は冷静に3Pを決める。
ディフェンスに回る。
日本代表は1-2-1-1のゾーンで守る。
トップで守るのは片桐先輩。
トップから攻める相手の4番。
片桐先輩の試合を研究してなかったのだろうか?
ポストにパスを放ろうとするが、先輩が高く飛んでそれをカットする。
着地するより早く後ろにいる日本代表の4番にパスをする片桐先輩。
そして着地するとすぐに相手コートに侵入する。
それを読んでいたかのようにパスを受け取るとすぐにパスを出す4番。名前は澤選手だったか。
パスを受け取ると、すぐに3Pを決める。
その後相手は、サイドからの攻めに切り替える。
しかし、選んだサイドが悪かった。
迎え撃つのは7番の南選手。
南選手のディフェンスも片桐先輩には劣るものの硬い。
カットインしてきた相手の7番の選手にパスを出す。
その7番を抑えるのが6番の武蔵選手。
武蔵選手のディフェンスの前に攻めあぐねていると後ろから澤選手のスティールが決まる。
そして再びハーフラインを越えていた片桐先輩にパスを渡すと躊躇いもなく3Pを決める。
澤選手とタッチしてすぐにディフェンスにつく片桐先輩。
サイドからポストにいれて、力づくでシュートを決める相手の8番。
しかしそんなシュートにひるむことなくすぐに速攻を決めて3Pを決める片桐先輩。
点差はあっという間に10点差に広がった。
そんな応酬が続いて点差は30-12と日本代表の優勢のまま第1Qは終わった。
やはり片桐先輩の3Pを止めないとダメだ。
いくら攻撃を決めても。容赦なく点差を広げてくる。
「冬夜が敵に回ったらぞっとするな。常に冬夜に一人ついてないとダメなくらいだ。いや、一人だと振り切られてしまうか?」
佐(たすく)が感想を言う。
インサイドに入らずとも確実に3点を奪ってくる選手なんて脅威以外の何者でもないだろう。
皆もそれぞれ感想を言っていた。
そう言ってる間に2分間のインターバルが終わる。
相手の攻めはそれまで通りインにボールを入れて強引に押し込むプレイ。
ディフェンスが変わった。
ポストを3人で固めて二人が片桐先輩につく。
そのディフェンスは通用しない。
相手は日本代表を待ったく研究してないのだろうか?
澤選手が3Pを決める。
打ち合いは続く。
澤選手をにマークを一人割く。
片桐先輩が手薄になる。
片桐先輩がカットインする。
片桐先輩にパスが渡される。
片桐先輩は跳躍する。
ブロックに二人と分がターンしてブロックを躱してダンクを決める。
打ち合いはまだ続く。
長身の多い韓国相手にインサイドで負けるのはしょうがない。
負けるのは仕方ないけど何本かはディフェンスが決まる。
に、たいして日本代表は100%シュートを決めてくる。
点差は縮まるどころか広がっていた。
第2Qが終わる。
15分の休憩時間にはいった。
「相手日本代表の事研究してないな」
吉良先輩が指摘する。私も同じ事を思った。
「後半対策してくるかもですね」
私はそう言った。
「桜子ならどう対処する?日本代表相手に」
「そうですね……」
私は考えた。
韓国のオフェンスは決まっている。
ただディフェンスがザルなだけだ。
どんなディフェンスの対処法でも片桐先輩と澤選手は止められない。
ならば……。
「マンツーのプレスをかけてとにかく先輩に3Pを打たせないようにすることでしょうか。自由に3P打たせてたら駄目です。片桐先輩は100%決めてくるから。その分インサイドで決められるのは仕方ありません。韓国も攻撃力はあります。先輩の体力を削ってシュート力の低下を狙うしか対処法は無いと思います」
「マンツーでも冬夜は止まらないだろ?」
「ですから余計に動かせるんです。体力が消耗すれば集中力も落ちる。そうすれば日本代表の得点力も下がります」
「なるほどな、でもその作戦も効果薄いと気づいてるんだろ?」
佐が言うとにこりと笑ってうなずく。
「フィジカルはみっちり鍛えましたからね。そう簡単に落ちませんよ」
「マンツーのオールコートプレスが冬夜に通用しないのは医学部とやった時に証明済みだからな……」
吉良先輩が言う。
「そうですね。エース殺しと呼ばれるくらいの……そうですね。日本代表の南選手が二人くらいいたら止まると思いますが」
「佐倉は後半どう予想するんだ?」
「スローペースの展開になると思います。相手も速攻からの3P対策はしてくるでしょうから」
もう一つ不安要素があった。
先輩、無事でいてください……。
だが、不安は見事に的中するのだった。
(2)
「冬夜君すごいじゃん」
ゆかりさんがそう言った。
そうでしょそうでしょ?
「この分なら日本負けそうにないね。冬夜君止めないと点差開く一方でしょ」
由衣さんが言う。
「油断は禁物よ3人とも」
「あ、佐古下さん」
オーエスの記者さんだ。
「韓国代表だって黙って片桐君を自由にさせるはずがない。後半は何としても止めにかかるはずよ」
「どうやってですか?」
私は聞いていた。なぜか胸騒ぎがする。
「うまく言えないけど、嫌な予感がするの。杞憂だったらいいんだけど。ここはアウェーだってこと忘れちゃいけない」
どういう事?
選手がコートに戻ってくる。
第3Qが始まる。
ジャンプボールはやはり互角だった。
冬夜君がボールを拾おうとする。
すると韓国代表の選手が凄い勢いで突進してきた。
足が鳩尾に入っている。
倒れる冬夜君。
「冬夜君!」
倒れる冬夜君をの足を踏んずけてボールを拾うと攻撃を始める。
監督さんが抗議するが審判は無視する。
日本語が通じないのだろうか?
相手のシュートが決まる時間が止まる。
冬夜君は漸く起き上がると、走り出す。
足の踏まれ方が悪かった?
大丈夫かな?
冬夜君は踏まれた方の足でコートを踏みしめると確かめて攻撃に参加する。冬夜君に3人のディフェンスがつく。
冬夜君が走ろうとするとユニフォームを引っ張ったり足をガシガシ蹴ったりとやりたい放題。
冬夜君が潰されている間得点は藍井さんが積極的に攻める。
だが。
ピー!
「黒10番ファール!」
藍井さんがファールを取られた。
今のは無理に入ったディフェンスのファールでしょ!?
日本代表の監督さんが抗議する。通訳の人も必死に審判に訴える。しかし……。
ピー!
「テクニカルファール!」
理不尽すぎる!
日本側の応援からブーイングが起こる。
しかしそんな事なの意にも介さない審判。
しかし日本もただ指をくわえて見ているだけじゃなかった。
冬夜君は必死に3人のマークを振り切り3Pラインよりハーフラインに近い位置から3Pを決めていく。
点差を縮めさせない。
その時も韓国の選手は膝蹴りを決めたり、好き勝手し放題だったが。
事件は日本がディフェンスの時に起きた。
冬夜君がマークする選手が、突然肘を振り回す。
冬夜君の顔に直撃する。
そのまま相手の選手が3Pを決めると日本のコーチがタイムアウトを取る。
冬夜君が鼻血を出していた。
冬夜君は14番の哀田選手と交代される。
「やっぱり始まったわね。これがアウェーの洗礼よ」
佐古下さんは言う。
こんなのってずるいよ……。
「お国柄なんでしょうね。日本には負けたくないって言う」
「卑怯な手を使ってまで勝ちたいなんてどうかしてる!」
「冬夜君大丈夫かな?」
森下さんが私の肩を抱く。
こんな試合なんて試合になってないよ。
しかしその後も韓国のラフプレーは続いた。
ラフプレーだけじゃない。審判の贔屓もひどい。
しかし私の怒りは選手のそれに比べたら軽い物だった。
(3)
第4Qに入る前。
「安土と柿谷準備しとけ」
コーチが指示する。
「僕も入れますよ」
「監督から指示が来た。冬夜はこの試合使わないと」
「そんな……」
「俺もそう判断する。こんなただの強化試合でお前の選手生命に関わるような真似できない」
「怪我なら大丈夫です。鼻血も止まったし」
「お前足やられてただろ?」
「ちょっと捻っただけです。」
「雄一郎!冬夜の足観てやれ!」
「分かりました。ほら、冬夜バッシュ脱げ」
僕は脱ぐのを躊躇った。
「さっさと脱げ!そんなことしてもコーチの判断は変わらないぞ!」
雄一郎がそう言うとバッシュを脱ぐ。
靴下を脱ぐと赤くなっていた。
すぐにコールドスプレーをかけられる。
「あと10分だ。アウトサイドから狙って稼いだ点差使って逃げ切ろう」
「アウトサイドだったら僕でもいいんじゃ」
「いい加減にしろ!冬夜!これは公式戦でも何でもないんだ!この悔しさは5月までとっておけ!」
5月までってことは……。
「明日の試合は……」
「怪我の様子に関わらずお前は休んでもらう。心配するな。李相佰盃の椅子は用意しておいてやる。くどいようだが監督の決定だ」
呆然としていた。
明日の試合に出れない。
今日の怒りは5月にぶつけろという。
その試合僕が作り出した点差を活かしてどうにか勝った。
(4)
試合が終わった後、ミーティングで監督にアピールした。
しかし監督は首を振った。
「俺に出来る事はお前を無事公式戦デビューさせることだけだ」
「でも5月の相手も韓国なんでしょ!だったら今やっても5月にやってもいっしょだ!」
「そうだな、その時はユニバーシアードまでお預けだな。今日の試合は協会が公式に抗議すると言っている。李相佰盃は審判も韓国人じゃないから心配しなくていい」
なすすべが無かった。
こんなみっともないままで僕の世界戦デビューは終わってしまうのか……。
「雄一郎、冬夜の足はどうなんだ?」
「大したことないです。ちょっと捻ってるだけ。ただ明日の試合は止めた方がいいですね」
「そうか……」
監督は何か考えている。
「和人。明日の試合SGで出れるか」
「片桐ばりにはうごけないけど、やれます。」
「じゃあ、任せる」
「はい」
死刑宣告に近かった。
呆然と立ち尽くす僕の肩を叩いたのは雄一郎だった。
「明日の試合は無理だがあさっての試合があれば出れる!」
雄一郎がそう言うと監督の顔を見る。
「明日の試合の状況次第だが……、もしラフプレーが続くようなら出さない。お前には五輪強化にも無事に送り出さないといけないんだ。もう大人だろ。事情を察してくれ」
「……わかりました」
「心配しなくても明日の試合勝ってみせるから」
和人のその一言が胸を抉る。
僕がいなくても勝てる。
それは僕のスタメン落ちが決まったも同然なんじゃないか?
「じゃあ、明日も気をつけて試合に臨んでくれ。解散」
そう言うと皆は会議室を出る。
そんな中雄一郎が僕を呼び留めた。
「ちょっと話がある」
会議室の外には愛莉が待っていた。
「冬夜君大丈夫?」
愛莉が心配そうに聞いてきた。
「愛莉実は……」
「君彼女さん?」
雄一郎が僕の言葉を遮った。
「そうですけど?」
「ちょっと今夜は冬夜借りてもいいかな?」
「いいですけど……何かあったんですか?」
「何でもないちょっと話したい事があるだけ」
「わかりました。じゃ、冬夜君また明日ね」
愛莉は自分の部屋に戻っていった。
「俺の部屋に来いよ」
雄一郎は自分の部屋に案内した。
(5)
雄一郎が見せたのは一枚のDVD。
今日の試合の様子だ。
「見て気づくことが無いか?」
「……何も?」
いつもの試合と変わらない。
「そうだ。いつも通りの試合だ。相手がラフプレーに出てるだけの」
「それがどうしたの?」
「後半に入っていきなりお前を警戒してる。外から見たらあからさまにな」
「それで?」
「わかんないのかよ。それだけ相手もお前を重要視してるって事だ!多分負けられないと思ったんだろ?今まできついマークはあっただろうけどここまであからさまに潰しに来られたことはないだろ?」
まあ、確かに言われてみれば……。
「それが国際試合なんだよ。国の威信をかけて戦ってる。意気込みも覚悟も全然違うんだ」
「だからってラフプレーしていいって事にならないだろ?」
それに、そんな試合なら意地でも出たくなるじゃないか?
「公式戦でここまでは流石にねーよ。他のチームもここまで露骨なことはしない。なんでもそうだろ?日韓戦ってそういうもんなんだよ」
「それで、僕にどうしろと?」
「お前もっと自分を大事にしろ!こんなところで潰されるわけにはいかない。日本代表の最終兵器なんだって自覚しろ。こんな強化試合でスタメン外されたからってお前の地位が揺るぐことはない」
最終兵器ね……。
「本当は俺も悔しいんだよ。俺は度重なる怪我で外されたって言っただろ?お前にはまだチャンスあるんだ。大事にされてるんだ。重要視されてるんだ。無理はするな」
そうだったな……。
自分を大事にしろ。
渡辺班の皆にも言われた来たこと。
「もういいぞ、今日はゆっくり休め。足冷やして寝ろよ」
「ああ、わかった」
そう言って自分の部屋に戻る。
和人が部屋でスマホ弄ってた。
「あ、戻ってきた。雄一郎なんて?」
「代表の最終兵器なんだからもっと自分を大事にしろってさ」
「……俺もそう思う。冬夜のプレイは誰にも真似できない。普通のプレイじゃ抑えきれない。だから潰しにかかったんだと思う」
「怪我を恐れていたら試合なんて出れないじゃないか」
「そうだね、怪我するのを望んでる奴だっているかもしれない。自分に出番が回ってくるって思う奴もいるかもしれない」
「だったら……」
「冬夜はベンチウォーマーの経験ある?」
「いや?」
「だったらいい経験だ。一度味わってみると良い。どんな目でコートに立つ5人を眺めているのか自分で体験してみると良い」
「そうかもね」
その時誰かがノックした。
「遠坂さんかもよ」
「森下さんかもしれないぞ」
どちらも当たってなかった。
いや、哀田君が合っていたと言った方が正しいのか。
愛莉と監督が部屋に来た。
「……散々話を雄一郎から聞かされてかもしれないが」
「明日は休めって話は聞きました」
「え?冬夜君出れないの?どこか悪いの?」
愛莉が驚いてる。
「うん、足首をちょっとね」
「大丈夫なの!?治るの?」
「大丈夫だよ、軽傷だから」
「よかった~」
「俺の判断ミスだった。李相佰盃まで冬夜を温存すべきだった。すまない」
「監督の謝ることじゃないです。俺が甘かっただけですから」
「皆の動揺を抑える為ああは言ったが……」
「3戦目も休めって事ですか?」
「分かってもらえるとありがたい」
何となくわかっていた。
「フォーメーションはお前がいないと成り立たない。和人には仕込む時間がなかった。公式戦には必ず出てもらう」
「……分かりました」
「分かってくれるとありがたい。話はそれだけだ。和人ちょっとこい」
「どうしたんですか。昭兄さん」
はい?今なんて言いました?
「監督さんのお兄さんなんだって。哀田君」
そうだったのか……?
「少しは察してやれ。冬夜、10分間だけ時間をやる」
そう言って監督たちは部屋を出た。
「冬夜君足大丈夫?」
「さっき言われた通りだよ」
「……残念だね」
「ごめんな、せっかく観に来てくれたのに」
「ううん、でも無理しないでね。さっき監督さんと話してたの」
「監督と?」
「うん、冬夜君は五輪の代表も確定してるって。でもその為にはアジア選手権に勝たなきゃいけない。こんなところで怪我させるわけにはいかないんだって」
そうか、五輪代表確定か。
「益々無理できないな」
「そうだよ、もう冬夜君だけの問題じゃなくなってるんだからね」
「僕としては愛莉だけのものでよかったんだけどな」
「嬉しい事言ってくれるね」
今は愛莉の微笑みだけが支えだ。
悔しいけど今は耐えよう。
ドアをノックするとが聞こえる。
もう10分経ったか。
ドアを開けると彩(ひかる)が立っていた。
「ちょっと話があるんだけどいいか?」
彩は愛莉をちらりと見て言う。
「あ、私そろそろ部屋に戻るね」
そう言って愛莉は部屋に戻っていった。
彩を部屋に通す。
「話ってなに?」
「和人の事だ」
和人がどうしたんだ?
「あいつなんだ……」
「?」
「俺から勝ち逃げした奴……」
「……そうだったんだ」
「お前は負けるなよ」
「……分かった」
「言いたい事はそれだけだ、邪魔して悪かったな」
「良いよ」
「じゃあ」
そう言って彩は出ていった。
負けるなよ……か。
今、こうしてる間も皆戦い続けているんだろうな。
自分の置かれている立場に向き合う時が来たようだ。
負けられない。
今できることをやろう。
今は足を治す事。
雄一郎から借りてきたDVDを見る。
韓国戦の一部始終を見る。
今度やるときは負けない。
弱点を一つでも見つけてやろう。
和人が戻ってくる。
和人がDVDに気づくと笑う。
「明日で決めてくるから」
「ああ、接触プレイにきをつけて」
和人が寝ると僕も寝た。
0
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる