優等生と劣等生

和希

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4thSEASON

調査

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(1)

「うぅ……」

冬夜君はゲームのコントローラーを持ったまま熟睡してる。
いつもなら起こす時間。
でも昨夜は色々あって遅かった。
ジョギングは勘弁してくれと言っていた。
緊急事態だから仕方ない。

「寝たら?」って聞いたのだけど起きてると言った。

なのにこのありさま。
どうしたものだろうか?
冬夜君からコントローラーを取りあげ、試しにやってみた。
最初に動かし方の説明から入る。
指示されたとおりにやってみる。
意外と簡単だね。
チュートリアルは終わった。
難易度の設定に入る。
簡単そうだからベテランってのでやってみた。

「きゃっ!」

動き出したらすぐにうたれて画面が真っ赤に染まる。
これはジャムだ。
そう言い聞かせて続ける。
しかしジャムが飛び散ったと思ったらすぐに死んでゲームオーバーになる。

「うぅ……」

難しい。
でも難しいほど燃えるのが人間だって言ってた、
夢中になってるとコントローラーを握ってる私の両手を冬夜君が握った。

「ベテランは突っ立ってたらすぐ死ぬよ。匍匐しないと」

冬夜君が私の手の上からコントローラを操作しクリアしていく。

「人が寝てる間に何してるの?」
「ちょっとやってみようかなって気になって」
「だからっていきなりベテランはないだろ」
「チュートリアル簡単だったから行けるかな~って思ったの」

冬夜君はある程度進めるとゲーム機の電源を切る。

「そろそろ朝ごはんの時間じゃないの?」

あ、いつの間にそんな時間に。
私は急いでキッチンに向かう。
朝食を作っていると冬夜君が降りてきた。
私の隣に立つ。
どきっとする。

「これ出来たやつ?」
「う、うん」

冬夜君はハムエッグが出来上がった皿をテーブルに運ぶ。
その後もトーストができたのにマーガリンを塗り運んでいく。
そんな様をぼーっとみてると冬夜君が再び私の隣に立つ。
だ、だめだよ。ここキッチンだよ。麻耶さんに見られちゃう。

「愛莉、焦げてないかそれ?」

ほえ?」

ああ、いけない!
慌ててフライパンからハムエッグを取り出す。
冬夜君が隣に立つだけでこんなに取り乱すなんて。
冬夜君がいけないんだよ。普段しないことをするから。

「この二つは僕と愛莉で食べような?」

冬夜君は笑って皿を運んでいった。
ご飯を食べ終えると皿をキッチンに持って行く冬夜君。
いつもは嫌がっていた歯磨きも一緒に隣に立ってやっていた。
洗顔クリームとかを塗らないで顔を水で洗うだけの冬夜君。
いつもならすっと立ち去っていくのに今日は隣でずっと見てる。
朝からドキドキしっぱなしだ。
どうしたの?冬夜君?
すると何かを思いだしたかのようにキッチンへ向かって行った。
何だったんだろう?
準備を済ませてキッチンに戻ると冬夜君がコーヒーを入れていた。

「愛莉は砂糖とミルク入れるんだったよな?」

そう言って笑顔の冬夜君。

「うん……」

部屋に戻って着替えると冬夜君が手招きする。
冬夜君は胡坐をかくと膝の上に座るように指示する。
冬夜君を座椅子代わりに座る私。
腰の部分に硬い物が当たっているのは今更気にしないけど。
どうしてこんなに優しいの?
冬夜君の額に手を当ててみる。
平熱だ。

「どうした?」

冬夜君が不思議そうに聞いてくる」

「冬夜君が朝から優しいから、朝から甘えさせてくれるから不思議に思って。寝不足でどうかしちゃったのかな?って」

すると冬夜君は笑って言う。

「だって昨夜構ってやるって言ったのに構ってやれなかっただろ?だから今日一日は愛莉に構ってやろうと思って」

私は嬉しくて冬夜君を背もたれにして身を預ける。
そして冬夜君の耳元で甘えた声で言うの。

「毎日こうだと嬉しいのにな~」
「偶にだからいいんだろ?」
「毎日でも嬉しいよ、嬉しくてどうかなっちゃいそう」
「どうかなったら困るから偶ににしとくよ」

そう言って私を抱きしめる冬夜君。
嬉しくて朝の番組なんかどうでもよくなっちゃうくらい。
そうして甘い時間を過ごしていると時間はあっという間に経ってしまう物で……。

「冬夜君今日は1限からだよ!」
「あ、急ごうか」

立ち上がって部屋を出る際に「愛莉」と一言言って私が振り返るとバードキスを。

「行こう」
「うん」

今日は冬夜君の運転で大学に行く。
いつもの運転だ、乗っていて安心する。
運転してる間も優しく話しかけてきてくれる。
冬夜君の話を聞きながら、大学の駐車場に着く。
冬夜君が思い出したかのように言う。

「今夜点検しないとな」

またですか?
そういやずっとしてなかったね?

「愛莉の黒子の位置も確認しないといけないし」
「ちゃんと覚えてね?」

てことは今夜は明りをつけてするのかな?
恥ずかしいけどまいっか?
一緒にお風呂に入った仲だもんね?

「お風呂でも確認するから大丈夫だよ」

一緒に入ってくれるの?
嬉しいな。

「私も冬夜君の黒子の位置覚える~♪」
「わかった」

そう言って冬夜君は腕を組んでくれる。
冬夜君が優しいから、二人の仲が楽しいから。
雨雲さんも逃げ出して。梅雨なのに晴れていた。
授業が終わると、昼休憩に学食に皆で集まる。

「冬夜達も深夜ファミレスに集まれるか?」

あ、その約束があったんだ。
寂しいな?
そんな目で冬夜君を見る。

「いいよ、23時頃でいいかな?」

通じなかった。

「ああ、そのくらいの時間に」

今日もお預けか?
午後の授業を終えて、家に帰る?
あれ?青い鳥には寄らないの?
ずっと行ってないから忘れちゃった?
家に帰るととりあえず部屋着に着替えようとする。

「何してるの愛莉。でかけるよ。着替え用意して?」

ほえ?

「今夜は遅くなるだろ?早めに済ませておこう?」
「どこに行くの?」
「海の近くのホテル。帰りは近くのファミレスでも寄って夕食にしよう?」

海の近くのホテルって……。
私は体が熱くなった。
冬夜君絶対行きたがらなかった場所じゃない。

「うちですると親が気になるだろ?こんな時間だし」

私は呆然と立っていた。
冬夜君がこんなに優しい。
私夢でも見てる?

「愛莉早く準備しよう?さすがに愛莉の下着までは僕準備出来ないよ」
「じゃあ、見てて」
「へ?」
「今度から冬夜君の好みに合わせるから」
「……困ったお嫁さんだな」

えへへ~。
そして海辺のホテルに行って。冬夜君に十分甘えた。
時間は沢山ある。
冬夜君は本気で私の黒子の位置を確認していた。
恥ずかしい所にもあるんだけどな。

「うん、大体わかった。でもそれより大事なのは?」

ほえ?」

「愛莉の感じやすい場所かな……例えばこことか」
「ん……」

思わず声が出る。
私だって負けてないもん。冬夜君の感じやすい所は……。

「愛莉も僕のトリセツ作ってるんだな」

あたりまえだもん。
そのあとファミレスでご飯を食べると、皆の待っているファミレスに向かった。
ファミレスに着くと皆が待っていた。

「待たせたね」
「いや、時間までまだあるから大丈夫……って愛莉ちゃんどうしたの。機嫌よさそうじゃない」

冬夜君の左腕をしっかりつかんで笑顔でいる私。

「えへへ~」

皆には内緒だもん。冬夜君の優しい一面。

「トーヤ、お前愛莉に何したんだ?」

神奈が冬夜君に聞く。

「そんな大したことしてないよ。ただ今日愛莉に色々サービスしただけ」
「サービスってなんだよ」

内緒だよ、冬夜君。

「ごめん、言えない」

願いが通じた。

「まあ、愛莉の機嫌のよさからして大体察しがつくけどな。取りあえずみんな揃ったんだしまあ座れよ。始めようぜ」

神奈がそう言うと冬夜君と私は座席に座る。
それを確認して、渡辺君が「じゃあ始めようか、まず……」と言った時。

「待ってください、先に確認したい事あるんですけど」

そう言ったのは白鳥さんだった。

「どうしたんだ?白鳥さん」

渡辺君が聞く。

「これなんですけど……」

白鳥さんは数枚の写真を出した。
私達は声を失った。
晴斗君が知らない女と裸でベッドで寝ている写真。

「ああ、これは!?」

晴斗君が声をあげた。

「晴斗お前まさか……!?」

神奈と美嘉さんが言うと晴斗君が慌てて弁明した。

「ち、違うっす、これは元カノで一年前に振られた相手っす」
「晴斗の言う通りだと思う。写真のカレンダーを見て。

カレンダーを見る。去年のカレンダーだ。

「白鳥は何がいいたいんだ?」

神奈が言う。

「それをお話しします実は……」

(2)

それは今日学校の帰りだった。
校門を出ると一人の男性に声をかけられる。
振り返るとサラリーマン風の男が立っている。

「実は私こういう者でして」

男は名刺を出した。
探偵事務所の者らしい。

男の顔を見る。

「実はあなたのお父様から身辺調査を依頼されてまして……」

私はふっと笑う。

「それでその探偵さんが私に何の用?」
「実はあなたが交際されてる楠木晴斗の事でちょっと問題がありまして……。ここでは人目につくのでそこの喫茶店でも」
「いいわよ」

単なるナンパではらしい。
喫茶店に入ると私は紅茶を男はコーヒーを頼んだ。
注文の品が届くと男は茶封筒を取り出した。

「中身をご確認ください」

それは晴斗が違う女性と裸で寝てる写真だった。

不安。

もう私飽きられたの?

悔しい。

私にはこんなこと一度もしてくれない。

欺瞞

私は晴斗に騙されていた?

私の頭の中の感情がパニックになる。
こんな時は……。
ポシェットからキャンディを取り出してかみ砕く。

ガリッ。

改めて写真を見る。
カレンダーの日付が去年だ。

安堵。

良かった。私は捨てられたわけじゃないみたい。

「この写真がどうかしたの?」
「このようなみだらな男と白鳥家のご息女が交際をしていると世間に知れたらと思いまして」
「あなた脅迫する相手間違えてない?」
「は?」
「私と晴斗の仲は父さんには認められてる。今さらどうこう言われる筋合いはない」
「しかし……この事が父親に知れたら」
「何も変わらない。そう思うんだったら父さんの所に行くのね。どうせ父さんに頼まれたというのも嘘でしょ?本当だったら私に情報を流す必要がない」
「……」
「話はそれだけ?折角だから写真は頂いていくわ」
「ネガはこっちで持っていますよ」
「そんなに価値ある物ならそこら辺の出版社にでも持って行くことをお勧めするわ。では……」

理論的には正しいはず、だけど感情的にはまだ不安がつきまとう。
私は帰りながらスマホを操作していた。

「晴斗今夜会いたい」

晴斗はすぐに返事をくれた。

「今夜ユニティの全集かかってるし迎えに行くっす」

晴斗の車が着くと乗り込み、晴斗に写真を見せる。

「これは、去年の元カノっす!今は全然関係ないっす!」

信頼

私は晴斗の言葉に安心していた。

興味

私は晴斗にあることを聞いてみた。

「あとどれだけ一緒に過ごせばこんな写真をあなたと撮れる?」

すると晴斗は焦って答えた。

「ま、まだする前にやることが残ってるっす!」

何をするの?
キスはしたよ?
まだ何か必要なの?

私の問いに晴斗は答えてくれなかった。

(3)

「晴斗!!お前それでも男か!そこは一気に押すところだろ!?」

神奈さんが怒ってる。
普通はそうなのね?

「でも、大切な彼女っすよ。しかも初めてらしいし。いきなりは無理っす!」
「ちょっと調教が足りなかったかしら?女性に恥をかかせて何とも思わないの?」

恵美さんと神奈さんにおされてたじろぐ晴斗。

「話がそれてしまったから戻したいんだけど?」

私が言うと、皆の注目を浴びる。
片桐先輩はハンバーグを食べていた。

ぽかっ

「さっき食べたばっかりなのにしょうがないんだから」
「多分その探偵エゴイストの者だと思うんです」
「まあ、そうだろうな」

多田さんがそう言った。

「何か根拠があるのか?誠」

神奈さんが多田さんに聞いていた。

「まあな、多分皆にも揺さぶりが来ると思う」
「どうして?」

遠坂さんが聞いてた。

「それをこれから説明するよ」

そう言って取り出したのはノートPC。
音声ファイルがある。

「これ昨日撮った録音データ。それではごゆっくりお聞きください」

多田さんが再生ボタンをクリックする。
知らない男の声が聞こえてきた。
皆はじっくりと聞き入っていた。

(4)

俺は指定されたカラオケ店に入る。

「空」で予約していたものだけど。
「***号室です」

そう言われると指定された部屋に入る

中には俺と同じ黒いパーカーの男数人とグレーのパーカーの少年。それと白いワンピースの少女が座っていた。

「喫茶店なんていくらでも盗聴きくからね。こういうところの方が安全さ」

少年が言う。

「じゃ、皆自己紹介しようか、僕は『ウォーロック』単なる『ポープ』の協力者さ」

やっぱりガキだったんじゃないか。

来たのは俺と地元と別府のキング、ポープ、ハーミット、そしてゴッド。

「それじゃ次に状況をおさらいしようか?」

ウォーロック主導で話が勧められる。ゴッドは黙ったままだ。

「まずウィザードがユニティのハッカーにかくまわれている事。これが最重要課題だ。次にユニティ自体の存在。これも片付けておきたい」

二人のキングが頷く。

「ユニティの分断とウィザードの奪還同時に進めたい」
「それはナイトが今動いています」

地元のキングが言う。

「うん、予定通りに事が運ぶことを祈るよ」
「予定とは?」

俺が聞いてみた。

「なに、目には目を人質には人質をってね。めぼしいのを一人攫ってくるだけだよ」
「滅多なことを言うなウォーロック。誰かが聞いていたらどうする?」
「ユニティの連中は皆熊本にいる。心配することはない。それに誘拐されたからといって警察に届ける事も出来ない。出来たとしても警察は動かない?そうだろ?ゴッド」
「それはそうだが……」
「あいつらの絆は強固だ。それを崩す事ができるのか?ウォーロック」
「人質と仲間の命……秤にかけたらどうなると思う?」
「……なるほどな」

意見は対立するだろうな?

「あとは白鳥と楠木の関係から崩していけばいい。ネタは上がってる」
「さすがウォーロック仕事が早いな」
「今までもたついていたエンペラーがどうかしてるんだよ」

ガキがっ!

苛立ちを抑える俺。

「それに交渉が決裂しても少なからずウィザードとコンタクトするはず。そこを押えたらいい。ナイトで十分だろ」

ウォーロックの言うがままに事が進むのを黙って聞いてるポープとゴッド。

「交渉が出来るなら交渉役は僕が行く。護衛を頼む」
「……二人のナイトをつけましょう」

ポープが初めて口を開いた。

「じゃあ、折角の機会だし皆連絡先交換しておこう」

お互いの連絡先を交換する。

「これから重要事項は電話もしくは直接話をする事。ここから先は情報戦だ。情報を制したものが勝つ」

ウォーロックはそう言うと皆が頷いた。

「交渉の時期は?」
「人質を確保してからするよ」
「上手くいく保証はあるんだろうな。下手すればこちらの命取りにつながるぞ」
「そんな危ない真似はしないよ。ねえポープ」
「失敗はゆるされませんよ、ウォーロック」
「任せて。じゃあ、みんな解散しようか。あ、エンペラー君は残って」

そう言って俺とウォーロックの二人になる。

「俺に何の用があるんだ?ウォーロック」
「ちょっと頼まれて欲しいことあるんだけど……」
「それがゴッドの意思なら」
「もちろん」
「なんだ?」
「ユニティに一人潜入させたい。女を一人」
「そんなことできるのか?」
「同じ大学の君なら出来ると思うけど?」
「やるだけやってみよう」
「頼むよ」
「どんな女が良い?」
「そうだな、出来るだけチャラい女」
「似たような女ユニティにはいるぞ」
「あいつらはそれを懐柔できると過信してる。そこが付け入る隙さ」
「今募集はしてない様だが」
「奴らは絶対この応募に応じる。出来るだけちょろい女だよ?」

どうしてそこまで確証が持てるのか分からんがやるだけはやってみよう。

「分かった人選しておく。エゴイストにはそういう女は山ほどいる」
「入れる時期は追って連絡する。頼んだよ」

些か自信過剰のようだが失敗してもウォーロックが責任を取るんだろう。
構わん。やるだけやってみるか?
このガキの手腕を精々楽しませてもらうとしよう。

(5)

最後まで聞いた僕達は。笑っていた。

「で、渡辺君はこの挑戦引き受けるつもりかい?」

酒井君が聞いていた。

「冬夜はどう思う」
「引き受けたらいいんじゃない?」

こんなのゲームにすらなってない。
罠を送りますよと宣言して罠送り込んで何が出来る。
咲さんや西松君よりレベルが低い。

「でも、何してくるか分からないんでしょ?」
「あいつらの狙ってる事はユニティの分断だよ?わかりきってるじゃないか」

亜依さんの質問に僕が答える。

「俺は無視するに限ると思うんだが」
「相手に切り札を全部出させるのは有効だと思うけど」

渡辺君んが言うと僕が答える。

「それにしても、よくこんな情報仕入れられましたね?ファミレスならまだしもカラオケの室内ですよ。しかも画像まで?」
「思い違いをしてるよ石原君。逆なんだ。こういうファミレスの方がカラオケより安心なんだ」

そう言う誠。

「こういうカラオケ屋さんに行くと必ずある物って何だと思う」
「うーん通信機器?」
「そそ、カラオケの端末やら全国採点なんていうネットワークしかも最近は無線LANや無料Wi-Fiまでついてくる。室内のカメラを乗っ取ることなんか造作でもないよ」

さらりと恐ろしい事言ってるぞ誠。

「それに対してファミレスはオープンスペースだから怪しい奴なんてすぐわかるし。恵美さんや晶さんじゃなかったら席の指定なんてできないよ」

誠のいう事には説得力がある。

「で、どう反撃するの?とりあえずは穂乃果の奪還が優先だと思うんだけど」

晶さんが聞くと誠はにやりと笑う。

「晶さんの出番だよ?」
「私の?」
「『兵隊』を何人か貸して欲しい。一ノ瀬さんの場所は突き止めた。アイツらどこまでも間抜けだな。一ノ瀬さんにスマホもたせたまんまだ」
「一ノ瀬さんと連絡とれたの?」
「とれるけどとってない。どうせ目隠しされていてどこか分からないだろうし。こっちの動きを気取られたくない」
「じゃあどうやって?」
「GPSだよ」
「なるほど!」

愛莉が攫われたときにやったあれか。

「中島君はついて行けよ」
「も、もちろん!」
「大丈夫、うちの兵隊は『優秀』だから。その辺のチンピラにやられるほど落ちていないわ」
「ねえ?違和感を感じたんだけど」

愛莉が何か言いたそうだ。

「遠坂さんどうした?」
「ウォーロックさんも優秀なハッカーなんでしょ?誠君の考えそうなことくらい考えていそうな気がするんだけど。まるでこっちに情報を与えてるみたいな?」

愛莉の言う通りだと思った。何か不自然だこの会話。

「どっちにしろ、穂乃果は助けないとダメでしょ!」

亜依さんがいう。
その通りだね。

「こっちの能力を過小評価しているという線もある。たかだか『学生のグループ』だとな」

渡辺君の言う通りだといいんだけど。
その時皆のスマホが鳴った。
一ノ瀬さんからのメッセージだ。

「明日15時青い鳥で取引をしたい。ウォーロックといえば分かるかな?そっちは3名自由に選んでよ。僕らも3名でいく代表がサシで話しあおう」
「来たわね、挑戦状」
「問題は誰が行くかだな?」
「僕が話すよ。相手の手の内知りたいでしょ?」

僕が名乗り上げた。

「じゃ、じゃあ私も……冬夜君がいるなら」

愛莉も挙手する。

「じゃあ、俺と冬夜と遠坂さんで3人のきまりでいいか?」

渡辺君が言う。
酒井君と一ノ瀬さんも店員だから5人になるけど。

渡辺君が返信する。

「わかったよ、話が分かる人達で助かるよ。じゃあまた明日」

誠がノートPCを見て言う。
位置は間違いないそうだ。
単なる拉致してる場所なのか本拠地なのか分からないけど。
場所は誠の家の近くの山の中だという。

「やっぱり不気味だね……。相手の出方がさっぱりわからない」

愛莉が呟く。
愛莉の肩を抱いてやる。

「心配いらないよ」
「うん」
「僕達の方はそれでいいとして、一ノ瀬さんの方はどうする?」
「私と主人と晶と中島君と行くわ。あまり人がたくさんいても目立つし」

恵美さんが言う。

「そうだな、残った者は自宅で待機しててくれ」

渡辺君が言うと皆うなずく。

「作戦決行の時間は15時にしよう。作戦が成功したら酒井君に連絡してくれ。酒井君は俺たちにサインを送ってくれ。そうだな。『お冷のおかわりは要りませんか?』って言ってくれるだけでいい」
「わかりました」

皆が緊張する。
いよいよ明日対峙する。
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