優等生と劣等生

和希

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4thSEASON

ファンファーレ

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(1)

ユニバーシアード大会・バスケットボール決勝。

まさか本当にここまで来るとは思わなかったよ。
決勝の相手はアメリカ。
今までで一番強い相手。
でも今までも前評判を覆して勝ってきた日本代表。
日本代表のブースターも盛り上がっている。
先に登場したのはアメリカ代表だった。
日本代表はどうしたんだろう?
何かあったのかな?
ブースター達も騒めくなかようやく登場した日本代表チーム。
皆で盛り上がる。

「私達が出来る事って一つしかないけど」

ゆかりさんが言う。

「しっかり応援しくちゃね!」

由衣さんが言う。

「あれ?」

由衣さんが何かに気づいたようだ。

「どうしたの?」

私は由衣さんに聞いてみた?

「いや、なんかアメリカ代表変じゃない?」

ほえ?

私はアメリカ代表を見て見る。
今までの試合も見て来たけど変なところなんてないよ?
選手が皆控えとかそういうわけでもなさそうだけど。

「哀田君の言ってたマイケルって人が入ってないんだよね」

確かに選手が呼ばれてたけどマイケルなんて一言も言ってなかった。
それだけ?
……あっ!

「スタメン皆白人ばっかりだ」
「愛莉ちゃんも気づいた?」
「今気づいた」
「それって手加減してるってこと?」

ゆかりさんが言った。

「いや、噂は聞いたことあるんだよね」

由衣さんが言ってる。

「噂って?」
「アメリカ代表の監督白人至上主義なんだって」
「差別してるって事?」
「そうなるね」

そんなことして負けたらどうするんだろ?
叩かれる元になるだけじゃないの?
やっぱり自分たちが一番と自惚れているのだろうか?

「試合始まるよ」

ゆかりさんが言う。
私達が見守る中ジャンプボールが放られる。
アメリカ代表が圧倒的高さでタップした。
試合がいよいよ始まった。

冬夜君がマークにつく。
冬夜君がマークについてやってしまう事。
安直に高い位置でもパス回しをして、センターに渡そうとすること。
そしてそれが失敗だったとすぐに気づく。

冬夜君は高く飛びあがりボールをキャッチする。
歓声の中冬夜君はすぐにドリブルで相手をすり抜ける。
相手は全力で戻る。
アメリカはマンツーのオールコートプレス。
冬夜君のドリブルの足は速い。
だけど相手も全力で冬夜君の前に出ようとする。
すると冬夜君は急ブレーキをかける。相手が姿勢を崩す。
アメリカは日本なんて最初から見てなかったのかもしれない。
まさかいきなりハーフラインちょっと過ぎた辺りでシュートを打つなんて想像しなかったんだろね。
ブロックに跳ぶけどジャンプした冬夜君の高さに敵う相手ではなかった。
冬夜君はフリーに近い状態でシュートを打つ。
見事に入った。
日本代表のディフェンスもマンツーのオールコートプレス。
ゆっくりと侵入して当然の様に慎重の低い冬夜君にパスを出す。
冬夜君のエリア内に入ったボールは全て自分のものだと主張するばかりのディフェンスで相手のパスをスティールする。
二度目は無いと思っても冬夜君は打ってくる。警戒していても冬夜君の超クイックモーションの3Pは誰にも止められない。
南選手のディフェンスも負けていない。エース殺しという名にふさわしいディフェンス。
ゴール下で負けるならゴール下に入れない。
日本代表の作戦だろう。
味方ブースターからブーイングが起こるアメリカ代表チーム。
何とかセンターにボールを回しダンクで得点を重ねるアメリカに対し速攻で3Pを決める日本。
点差は広がるばかりだった。
圧倒的優位経って第1Qが終わった。

(2)

パスッ

サイレンサーの利いた銃声音が聞こえる。
この位置なら選手には届いてないはず。
男の左腕を上に上げ反対の腕で顎を掴み鳩尾をけりながら倒れ込む。
男が銃を拾おうとする前に銃を蹴飛ばした。
さらに懐から銃を取り出そうとする男の腕を掴み投げ飛ばす。
男は宙がえりをして着地すると同時に銃を掴み撃ってきた、
それを躱し蹴飛ばした銃を拾うと男とほぼ同時に狙いを定める。
男がにやりと笑うのを見ると同時に横に跳び銃弾を躱す。
着地するともう一度サイドステップして次弾を躱し。一足飛びで間合いを詰める。
懐に飛び込むと額に突きつけられた銃口を銃で払いのけ相手の顎の下に銃を突きつける。

「勝負ありましたね」
「まだまだだよ望君」

男の蹴りが腹部に入る。
一瞬息が止まる。

「これが終わりだよ望君」

後頭部に銃がつきつけられるも刹那で躱し、銃を持つ腕を持って投げ飛ばす。
宙がえりをしながらも「パスパスパス」と3発撃ってくるのを躱しながら男の着地点に跳び足を払う。
姿勢を崩した男の顎を掴み膝を鳩尾に入れ銃を持つ腕を掴みながら床にたたきつける。
両ひざで男の肩を押さえつけながら銃を奪う。
銃声を聞いて警備員が駆け付けたようだ。
でも今来たらまずい!

「動くな!銃を下ろして両手を上に上げろ!」

警官も着ていたらしい。
違う犯人は僕じゃない!
銃を持ったまま両手を腕にあげて振り返るとその隙を突いて男は両腕を曲げて僕の腰を掴み振りほどく。
後ろに倒れながらも銃を男に向けるが男は僕の腕を蹴り、銃は警官の方に向かって転がる。
起き上がろうとする僕の右腕を足で踏みつけ懐からさらに銃を出す。

「君の名前は永遠に刻んでおくよ、なかなか面白かった。さよなら望君」

男が引き金を引こうとした瞬間、男の足を掴み振りほどく。
男は姿勢を崩しながらも発砲する。銃弾は僕の頬をかすめた。

「望!!」

恵美の叫び声が聞こえる。

「ここにいたら危ないよ恵美!」

そんな事はお構いなしに叫ぶ恵美

「何してるの!?あの男が指名手配犯よ!早く取り押さえなさい!」

状況を把握できてなかった警官たちは恵美の叫び声で我に返り動き出す。
それじゃ、状況が悪化するだけだ。

「五月蠅い女だ。まずお前から始末してやる」

男が恵美に銃を向けた瞬間僕の中で何かが弾けた。

恵美がやられる。助けないと。

その一心で行動に移った。
男の手首を掴み腕を逸らしつつ思いっきり腕を伸ばした状態で男を背負い投げする。
男の体は弧を描き地面に叩きつけられる。
銃は男の手から離れる。
男が反対の腕で懐から何かを取り出そうとするのを見逃さなかった。
その刹那胸を踏みつける。
掴んだ腕の肘を反対の手で叩きつける。ぽきっと音が聞こえた。
苦痛にうめく男。
まだ油断したら駄目だ。
取り押さえようとする警備員を正視するとその瞬間を狙って足を掴み振りほどかれる。
姿勢を崩した僕に目掛けて銃口を向ける男。
僕は足を延ばし銃を持った腕を両足で挟み下半身を捻る。
男は銃を落す
もう打ち止めのようだ。
男は銃を拾おうと屈むのを見逃さない。
足を振り男の延髄を強打する。
男がよろめいてる間に僕は男から離れる。
両手を痛めつけられもう銃は使えないはず。

「大人しく投降してください」

僕は男に言う。
男は僕に向かって言う。

「俺をここまで追い詰めたのはお前が初めてだ……誇りに思え。グッバイ望」

男はこめかみに銃を向け引き金を引こうとする。

もう一度力を。

今までに感じたことのない速度で男と間合いを詰め男から銃を奪い取る。
男の男の襟を掴み足払いをして倒すと男に銃を向ける。

「あなたを裁くのはあなたじゃない、この国の法律だ。八頭竜」

男が大人しくなったのを確認すると警官たちに男の身柄を引き渡す。

全力を出し尽くした。
男を無力化したことで安堵感があったのか体の力が抜けてその場に倒れ込む。
それを支えてくれたのは恵美だった。

「怪我大丈夫?」

恵美は心配してくれた。

「かすり傷だよ問題ない。それよりごめんね、恵美を危険な目にあわせてしまった」

最後までカッコつけられなかった。

「あなたは十分よくやったわ。あの八頭竜を一人で仕留めたんだから」
「……最後はかっこよく決めたかったな」
「十分カッコ良かったよ」
「……ちょっと疲れたから休むね」

そう言って僕は眠りにつく。
君を守る約束は果たしたよ。
後は君が勝利を掴むだけだ。

(3)

試合は第3Qが終ろうとしてた。
相手の15番の動きが素晴らしい。
俊敏且つ大胆に、そしてパワフル且つ精細なプレイを見せる。
事実ここまでの3Q一つも日本代表に勝ててない。
全てのキーマンは15番の選手だった。
第3Qが終ると、皆が静まり返る。
あり得ない状況に皆が戸惑っていた。
監督も頭を抱える。
このまま行けば負ける。
既に取り返しのつかない領域まで達している。
勝敗は決まった。
そんな監督にキャプテンのマリックが提案する。

「マイケルを試合に出してください」
「ダメだ、マイケルは出さない」
「マイケルを出せばまだ勝負は分かりません」

懇願するマリック。
マリックは僕にも言う。

「諦めるなマイケル!彼とやってみたいんだろ!?目がそう物語っている」

できるならやりたい。でも僕は黒人……。

「人種なんて関係ない!才能あるやつが栄光を掴める。それがアメリカだ!」

他のメンバーも僕を推薦してくれる。

「マイケルを出さないのなら俺は降りる」という選手まで現れた。

監督が言う。

「もしマイケルが出て負けたらどう責任を取る」
「俺は今後一切代表に出ません」
「その言葉忘れるなよ」

監督はそう言って、ベンチに座った。

「とにかくマイケルにパスを集めよう」
「マイケルなら得点してくれる」

皆が言ってくれる。
僕は今大会初めてコートに立つ。
ブースターから歓声が帰庫出る。
さあ、始めようか日本代表。
手遅れかもしれないけどここからが本番だ。

最後のQは日本の攻撃から始まった。
僕のマークマンは当然15番。
背丈は低い。
低いゆえにドライブされると厄介だ。
15番にボールが渡る。
ディフェンスの構えを取る。
彼のドリブルは低姿勢で守りづらい。
が、リーチは僕の方が長い。
彼のボールをスティールに入る。
ボールを後ろに回してボールを反対の手に持ち直して、ドリブルですり抜ける。
彼がレイアップに入ろうとするのをセンターのチャールズがブロックに跳ぶ、彼はダブルクラッチで躱してシュートに入る。
そのボールを僕がブロックしてボールをボードに叩きつける。
リバウンドはうちの方が優勢だ。
そして流れるような速攻が決まった。
すぐに速攻で反撃する日本。
そして15番にボールが渡る。
第2ラウンド。
彼はパスを受け取るとすぐにシュートを打つ。
そのプレイも見ていた。
フェイダウェイを使っての超クイックモーションの高い弧を描く3P。
しかしそのシュートを見事にブロックした。
しかしルーズボールに素早く食いつく15番。
ボールを掴むと素早く再び3Pを打とうとする。
が、フェイントだった。
ブロックに跳んだ僕の脇を素早くドリブルで突破する。
直ぐに彼を追いかける。
彼はフリースローラインから跳躍する。
まさか……。
彼はエアウォークを決めてみせた。
次は僕達の攻撃、僕のマークに15番がつく。
突破する隙を与えない彼のディフェンス。
彼のプレイはむしろディフェンスにあるのかもしれない。
僕は体格差をいかして積極的に彼のディフェンスに飛び込もうとする。
しかし彼のディフェンスは甘くない。
僕がボールを離した瞬間スティールを決めてくる。
ターンオーバー。
彼は再びダンクを決めようとする。
僕はブロックに跳ぶ。
だが彼はボールをボールをボードに叩きつける。
そのリバウンドを10番が空中で掴んでアリウープ。
やばい、彼とプレイしているとわくわくする。
再び僕達の攻撃。
ボールが僕に渡る。

15番を徹底的に崩せ。
そんな意図があったのかもしれない。
ならば僕はその意図に応えるだけ。
シュートするフェイントをかける。彼は動じない。ならば撃たせてもらう。
彼と同じ手口でシュートを打つ。
ボールはゴールにシュパッっと音を立ててはいる。
彼は呆気に取られていた。
相手の攻撃も15番にボールが集まる。
2人で決着をつけろ。
そんな意思が籠っていたのだろう。
彼は体格差を利用して僕の懐に素早く潜り込もうとする。超低姿勢で。
味方が2人ヘルプに入る。
インは打たせない。
彼は迷わず後ろにボールをパスする後ろに控えていたのはなんとセンター。
15番は僕たち3人にスクリーンを仕掛ける。
センターだった6番は3Pを打つ。
見事な3Pだった。
そうして僕達は一進一退の攻防を続けた。

(4)

僕の3Pをブロックした。
マイケルの運動能力は確かに高い。
体格の差を生かし何度も僕のディフェンスに切り込んでくる。
そして彼もまたエアウォークを決める。
ライバル。
正にそれだった。
悔しいと思う。だが同時に楽しかった。
僕も負けずに体格差を生かして彼のディフェンスの穴を突いて攻撃していく。
3Pが決めれないなら2Pを重ねて行かないと。
ターンオーバーだけは避けたい。
ゴール下に敵を引き付けて外にボールを散らす。
一進一退の攻防は続いた。
アメリカの攻撃はまだ続く。
マイケルを利用したフォーメーションは簡単に破れない。
マイケルが3Pを打つ。
打つ意思を確認してブロックに跳ぶ。
ボールは手に当った。
彼とルーズボールを追いかける。
僕とボールの間に彼の体が入る。
ルーズボールを取られた。
ディフェンスに入る。
彼は舌をペロッと出すとドリブルで突破を試みえる。
彼は僕のディフェンスを簡単に破ってゴール下に侵入する。
雄介と五郎丸でダブルチームを組むが彼のトリプルクラッチの前に為す術がない。
均衡を保っているように見えた試合はアメリカに流れが傾きかけた。
しかしそれでも何とかシーソーゲームは保っている。
どちらもノーガードでの打ち合い。
こっちも3Pを決めれない。
なら3Pだけは絶対に決めさせない。
インサイドを仲間に任せて彼の3Pを徹底的に防ぐ。
残り時間は少ない。
逃げ切れる時間だ。
傍から見ればそうだろう。
だが、マイケルの存在はそうはさせないという意思すら感じた。
マリックとマイケルのコンビネーションはそれほどまでに攻撃力があった。
攻撃と守備両方任せられるとさすがにきつい。
それを見越してかアメリカの攻撃はマイケルに集められる。
何度もディフェンスを突破してくる。
それでも聖人は僕にパスを送ってくる、

マイケルを倒せ!

そんな意思のこもったパス。
その期待に応えて何度もシュートを決める。
楽しい。
こんな強敵初めてだ。
しかしそんな楽しい時は続かない。
僕にボールが回る。
これが最後の攻撃だろう。
3Pを打つフェイントをする。彼は飛ばない。ならば突破するのみ。
彼のディフェンスに突進する。
彼のディフェンスは低姿勢だ。
僕の進行方向にすぐに対応する。フェイントをかけて反対側に回り込む。
彼の対応が遅れた。
チャンスが来た。
僕は跳躍する。
ディフェンスをトリプルクラッチで躱してシュートを決める。
それがクラッチシュートになったようだ。
直ぐに相手の攻撃が始まるが無情にもブザーがなる。
試合は終わった。
僕達が金メダルを獲得した瞬間だ。
優位だった僕達はギリギリ2点差で勝ち残った。

(5)

試合が終わった。
僕達は負けた。
整列を済ませると15番の選手に声をかける。

「英語話せる?」

彼は少し首を傾げると答えた。

「少しなら」

僕はにこりと笑うと彼に言った。

「君との試合たった10分間だけど最高の思い出になったよ。ありがとう」
「またやろう」

彼はそう言った。

「残念だけどまたはないんだ。そういう約束だからね」

彼は首を傾げる。

「君の名前を教えてくれないか僕はマイケル・カリー」
「トウヤ・カタギリ」
「じゃあ最後に握手してくれないか?」

彼は応じてくれた。

そして互いのベンチに戻っていった。
野次の飛び交う中僕に視線が集まっていた。
僕は皆の期待に応えることが出来なかった。
監督との約束は果たさなければならない。
監督が口を開く。

「約束は守らなければな?」

冷徹な一言が下った。

マリックが何かを言おうとするが僕が制した。
全部僕の責任だ。

「俺のチームにマイケルはいらなかった」

その言葉に皆が抗議する。だが、監督は続ける。

「だがアメリカというチームに俺は要らないようだ。俺が全責任を負う。マイケルを最初から出していれば試合展開は変わっただろう」

その言葉に皆言葉を失う。

「今日の借りは来年の五輪で返せ」

どうやら「またやろう」って約束は果たせそうだよトウヤ君。
次は負けない。

(6)

私達は3人して泣いていた。
日本が勝った。
金メダルだよ!
三人とも興奮して抱きあって泣いてた。
最後のQ相手のメンバーチェンジがあってから追い詰められたけどそれでも逃げ切った。
君が代が流れ、皆にかけられる金メダル。
私達は拍手を送っていた。

「やったね愛莉!本当に世界一になっちゃったよ!」
「うん!」
「冬夜君の夢叶ったじゃん!」
「まだだよ!」
「え?」

ゆかりさんが聞き返す。

「冬夜君五輪でも一位になるつもりらしいから」
「冬夜君なら出来るよきっと!」

由衣さんが言ってくれた。

「なってくれないと困るから」
「どうして?」

ゆかりさんが聞いた。

「世界の頂点を見てくるって言ったから」
「もう見たじゃん」
「冬夜君にとって世界の頂点は五輪だから」
「じゃあ、まずは来月のアジア選手権だね!」

由衣さんが言う。

「うん!」
「じゃ、皆ところ行こうか?」
「そうだね!」

私達は控室へと向かった。

(7)

控室では大盛り上がりだった。
皆が歓喜の声をあげている。

「皆よくやってくれた。お疲れ様!」

監督が話し出すと皆沈まる。

「だけどここにいる大体の人間はここが終着点ではないはずだ」

来年の五輪。その為には来月のアジア選手権に勝たなければならない。

「これまでのような冬夜を使った奇襲は通用しないと思ってみなレベルアップを目指してくれ。今日はおめでとう」

監督がそう言うと再び盛り上がる。
僕もテンション上がってた。
高揚した気分で控室を出ると愛莉が待っていた。
愛莉と一緒にバスに乗るとホテルに送ってもらう。
チェックアウトは済ませてある。
荷物を受け取ると愛莉は僕の腕を取って言う。

「じゃ、帰ろう?」

え?今夜は皆で打ち上げなんじゃないの?

「冬夜君話聞いてた?冬夜君の件があるから大事を取って今日はまっすぐ家に帰ることになったって」

聞いてないよ!

「そういう事だ。じゃあまたな冬夜」

聖人!謀ったな!!

「気をつけて帰れよ、お前色んな意味で有名人だから」

彩まで……。

「冬夜!ちゃんと家に真っ直ぐ帰るんだぞ!」

監督に死刑宣告を食らった気分だった。
テンションが一気に下がる。

「そんな顔しないの!麻耶さんがご馳走作って待ってくれるって!」

愛莉の顔はめっちゃ明るい。
そうか、家でね……。
さよなら僕の博多ラーメン。

「また、一緒にラーメン食べに来ようよ!」
「……そうだな」

そうして博多駅まで送られて博多駅から地元まで特急で帰る。
駅に着くとバスに乗って家に帰る。

「冬夜おめでとう!」
「冬夜よくやった!テレビ見てたぞ!」
「……冬夜君おめでとう」
「冬夜君~おめでとう~」

僕と愛莉の両親が出迎えてくれた。
その後ご馳走でもてなされ……ラーメンは無かったけど。
お酒も飲んで深夜まで騒いで、そしてお風呂に入って部屋に戻る。
愛莉はお風呂に入っている。
その間にエゴイストとのやり取りを一部始終聞いた。
石原君凄いな。暗殺者としてもやっていけるんじゃないか?
そのうちメールで「XYZ」とか入ってくるんじゃないのか?
明日皆が祝ってくれるらしい。
皆の打ち上げも兼ねてだろう。
愛莉がもどってきた。
温かな湯気の出るものをトレーに載せて。
あ、もちろんお酒も用意してあった。

「はい、冬夜君。本場の物ってわけにはいかないけど」

愛莉が持ってきてくれたのは豚骨のインスタントラーメンだった。
喜んで食べる。

「美味しい?」
「美味しいよ~」
「やった~」

いつもこうやって気づかされる。
愛莉の笑顔が最高の調味料なんだって。
ラーメンを食べ終えてお酒を飲むと僕達はさっさと寝ることにした。
詳しい事は明日の夜聞くことにしよう。
やっと一つの目的を達成することは出来た。
でも次の難関がまた待ち受けてる。
まだ、一戦も落とせない試合は続く。
今日も実際やばかった。
マイケルがフルタイム出場していたらと思うとぞっとする。
でもわくわくもしていた。あんなプレイヤーと試合をしてみたかった。
負けたくは無いけど。
隣の愛莉はつかれたのかすやすやと眠っている。
そんな愛莉の寝顔を抱いて僕は勝利の女神にありったけの愛情を注いで勝利の喜びをかみしめて眠っていた。
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