優等生と劣等生

和希

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4thSEASON

絶え間なく降り注ぐ愛の名を……

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(1)

「冬夜君おはよう、朝だよ~」

いつもの愛莉の声が聞こえてくる。

「おはよう愛莉」

僕はさっと起きるとすぐに着替える。
それが愛莉には寂しかったようで。ベッドの上で膝を抱えて座ってやる。
僕はくすっと笑うと愛莉の耳元で声をかけてやる。

「今日はお休みだろう?さっさとやることやってのんびり過ごそう?」

沈んでいた愛莉の表情が明るくなる。

「うん」

愛莉も着替え始めて日課に行く。
日課が済むと、愛莉は朝食を作り僕はシャワーに入る。
朝食を食べ終えると愛莉がシャワーを浴びるのを待つ。
愛莉が風呂から出て来るとコーヒーを入れて部屋に戻る。
愛莉と二人並んでコーヒーを飲みながらテレビを見る。
同時テロから一週間が過ぎようとしていた。
あの事件はナインテイルフォックスと名乗る部隊の犯行とされ僕達ユニティの名前が乗ることは無かった。
坂ノ市の港の爆発と産業道路の事故は同時テロのニュースで塗りつぶされた。
結果論的には良かったのかもしれない。
だが、その結果に不満を持つ者もいる。
すぐに行動に移ると思ったけど敵は行方をくらましたまま。
誠の追跡の網も掻い潜って逃走してしまった。
炙り出そうと思えば炙り出すことは出来る。
だが何もしてこない以上こちらから攻める理由もない。
正確には何かをしてきていたのだが。
「STINGER(スティンガー)」というサークルを作ってエゴイスト、アーバニティと同じ事をやってるらしい。
敵はアーバニティの顧客を押さえている。そのくらいやってもおかしくないだろう。
やってる事はアーバニティと同じ。
やり目サークルや闇カジノ、闇ビジネスなど資金繰りに奔走している。
アーバニティの顧客リストはすでに愛莉パパに渡している。
一斉検挙の時期を狙っているのだろう。
僕達が動くことは無い。
紅会の動きも全く見せなくなった。
敵も手札が無くなった?
それとも様子をうかがっている?
にらみ合いの日々は続いた。
けどそれはそれでいい、このまま平穏が続くなら。それが一番だ。
とりあえずや今やらなきゃいけないことを考えている。
愛莉をどこに連れ出すか?
すると愛莉が答えを用意してくれた。

「また誠君とか誘ってアイススケート行かない?」
「誠達予定空いているかな?」
「聞いてみる~」

愛莉がスマホを操作している。
僕と愛莉、多田夫妻と渡辺夫妻、桐谷夫妻に石原夫妻、公生と奈留、木元夫妻、晴斗と白鳥さんが行くことになった。

「またICそばのコンビニ集合でいいか?」

渡辺君が言うと皆了解という。
愛莉が服を選んでいる。
愛莉が持っていた服を思い出す。……いけるかな?

「愛莉、僕のお願い言ってもいいかな?」
「いいよ~」
「赤いスカートに黒いコートとかがいいな」
「わかった~」

愛莉は着替えだす。
そういや愛莉からそういう要望無いな。
着替えながら愛莉に話す。

「愛莉は僕にこういう格好して欲しいとかってないの?」
「あるよ~」
「例えば?」
「いつもしてくれてるよ?」

愛莉と一緒に服を買って愛莉の選んだコーディネイトをそのまま来ていれば自然と愛莉の好みの服になる。
なるほどね。

「う~ん、今度から私の服も冬夜君選んでよ。そしたらそれ暗記するから」
「わかった、また春前に買い物行こうな」
「うん」

朝から愛莉は機嫌がいい。
僕達は家を出ると、皆の集合場所に向かう。
晴斗達は別府で待ち合わせだという。
先に来てたのは石原夫妻と公生と奈留、渡辺夫妻に木元夫妻だった。
渡辺君が電話している。
その間にコンビニで買い物を済ませる。
買い物を済ませてコンビニを出ると渡辺君の電話も終わっていた。

「多田夫妻と桐谷夫妻は宮河内から直接別府に向かうそうだ。俺達も先に行こう」

渡辺君がそう言うと僕達は高速に入って別府に向かう。
別府で高速を出ると山を登る。

「久しぶりだね。ちゃんと滑れるかな?」
「体が覚えてるから大丈夫だよ。すぐに滑れる」
「冬夜君が言うんだったら大丈夫だよね」

スケートリンクに着くと貸靴を借りて愛莉に履かせてやる。
その次に自分がスケート靴を履いて靴をロッカーにしまう。
祝日と言うだけあって人が混んでいた。

「公生!手を離さないでね」
「離さないと上達しないよ」

公生は慣れてるようだ。奈留に上手に教えている。
石原夫妻は普通に滑っている。毎年来てるらしい。
渡辺夫妻は渡辺君が苦手らしい。美嘉さんが指導している。
誠は相変わらずだった。カンナを一人にしてたらまた知らないおじさんのカモになる。カンナに指導してやる。
しかしカンナの場合やはり格好が恰好だった。
多分誠の趣味だろう。デニムのミニスカートで来ている。教える方もやりづらい。
愛莉は独学で学んだのだろうか?後ろでも滑れるようになってたので僕達を見ながら楽しんでる。
木元夫妻は前にも来たことあるので仲良く二人で滑っている。
晴斗と白鳥さんも上手くやれてるようだ。

「カンナ、まず足の開き方なんだけど」

足首に集中、指導に集中すればいいというが、カンナの足はすらっと細くて足首も綺麗だ。てか靴が緩いな。誠の奴靴すらまともに履かせてないのか?

「カンナ一度リンクから出よう靴を結びなおさなくちゃ。これじゃ怪我のもとだ」
「すまねーな。なんせ誠があれだから……」
「気にするな」
カンナをリンクから出して椅子に座らせると靴ひもを解いて結びなおす。

「きつかったら言えよ。大丈夫か?」

しかし、ちょっとでも視線を上にあげようものなら……。

ぽかっ

ほらね。

「神奈も駄目だよ。そんな格好だと寒いでしょ」
「私の旦那がトーヤだったら良かったんだけどな……」
「寒いからイヤとか言わなきゃ」
「まあ、もう慣れたし……冬夜にならみられてもいいかなって」

そんな言葉に反応しようものなら

ぽかっ

ほらね。

「これで良し、じゃ練習しようか」
「頼む」

それから1時間ほど練習してたら何とか前には滑れるようになった。

「トーヤ、これどうやって止まるんだ!?」
「さっき言ったろ?足でイの字を作って……」

がしっ。

僕がカンナの体を受け止める。

「悪い悪い」

ぽかっ

理不尽だ。

「……そこまで滑れるようになったんだから誠君と滑ったほうがいいよ……って誠君は?」

愛莉は誠を探す。
探すまでもないんだけどね。
ほら、リンクの中央で同じ世代の女性を口説いてる。
愛莉は黙ってカンナの手を取ってリンクの中央に行く。

「誠君、お届け物だよ!」
「と、遠坂さんに神奈!?」
「自分のお嫁さんが苦労してるのにいい御身分だね!」
「なんだ結婚してるのか?」
「いこいこ」

口説いていた女性は去っていった。
僕もリンクの中央に行く。

「神奈が滑るのに苦労してるのになにしてるのかな?誠君」
「い、いや。彼女たちが教えてって言うから……」
「自分のお嫁さんより他の子が優先なんだ?」
「そ、それは冬夜がいるから大丈夫だろうって」
「そろそろお腹空かない?なんか食べようよ」

誠に貸しを作っておくか。

「そうだな、そろそろリンク清掃だろうしいこうぜ」
「あ!逃げた!」
「じゃ、僕達も食べよう?」
「うぅ……」

そのあと僕はホットドッグとラーメンとお好み焼きと焼きそばと……。

ぽかっ

このくらいで勘弁してやろう。

「いやあ、春奈意外と上手なんですねスケート」
「晴斗に比べたらたいしたことないよ」
「いや、でも超うれしーっすなんせ」
「『彼女と行きたかった場所』?」
「よくわかったっすね」
「晴斗の考える事なんとなくわかるから」

晴斗達はうまくやってるらしい。

「公生急に手を離すの止めてって言ってるでしょ!」
「ずっとつないだままじゃ上手くならないよ」
「上手くならなくてもいい!」
「それじゃ来た意味が無いよ」
「公生と滑れるだけで意味はあるよ」
「……なるほどね」

公生達も何とかうまくやれてるらしい。

「まさし、全身に力は要り過ぎだ。もっと力を抜け!」
「そうはいうがな……」

渡辺夫妻は苦労してるらしい。

桐谷夫妻、木元夫妻、石原夫妻は何の問題も無く滑っているようだった。
ただそうなるとやはり問題は……。

「お前はどうしていつもそうなんだ!どこへ行っても他の女に手を出しやがって!」
「そ、それは頼まれたら受けてやるってのが男ってもんだろ?」
「ほう、それでついでに電話番号まで聞き出す理由が知りたいんだがな」
「アフターフォローって言葉あるだろ!?それに番号は聞いてないメッセのID交換だけだ!」
「同じだボケ!今すぐスマホを出せ」

僕達も誠のスマホを見る。
すると出てくる出て来る知らない女性の電話番号が……。
一人ずつ説明していく誠。
サッカー部のマネージャー何人いるんだ誠?

亜依さんが誠のスマホを見てびっくりしている。

「壁紙が普通だ……」
「え?」
「は?」
「ほえ?」

誠とカンナと愛莉がほぼ同じリアクションを取っている。

「桐谷君は普通じゃないの?」

そこは踏んだらいけないところだと思うぞ愛莉。

「瑛大……スマホだせ」
「こ、こんなところで見せられないよ」
「いいからだせ!」

瑛大がスマホを出すとホーム画面を表示させる。
それを見た僕達は言葉を失った。
これは酷い……。

「スマホの壁紙くらい良いだろ?」

スマホをしまう桐谷君。

「じゃあ、人に見せても問題ないよな?」
「人に見せるもんじゃないだろ?」
「お前がスマホを忘れたって言うから取りに行った時の私の気持ち考えたことあるのか!?店員さん私と目すら合わせなかったぞ」
「それはたまたまだろ!?」
「そ、そろそろ滑ろうか?腹も満たされたし」

僕が言う。

「そうだね。神奈、あとは誠君と楽しみなよ」
「ああ、トーヤ借りて悪かったな」
「大丈夫。気にしないで。行こ?冬夜君」
「ああ」

夕方くらいまで滑ると疲れてきたので、帰ることに。

「帰りどうする?ファミレスでも寄って帰るか?」
「僕達は急いでないからいいけど皆はどうするの?」
「俺達も慌ててないのでいいっすよ?」
「じゃ、別府のファミレス寄って帰ろう?」

別府のファミレスによると人は多かった。
まあ、成人式の日だしね。そうなるよね。

「ところで、紅会の件だけど新しくサークル作ったみたいだね」
「……スティンガーね」
「そそ、それそれ。やってることはアーバニティと一緒だけど規模がでかいみたい」

公生と白鳥さんの話を聞いている。

「こっちが手出ししなかったら向こうも手出ししないよ。現に今何もないんだし」

僕が言う。

「そうなんだが……」

パン!

隣の席のテーブルの下何かが弾ける。
小箱から花が飛び出し一枚の紙きれがひらひらと舞う。
それを白鳥さんが拾う。

「いつも見ています」

誠はノートPCを操作し始める。
こういう時の誠はとりあえず放っておいた方が良いだろう。

「これ、どういう意味だと思いますか?」

白鳥さんが僕に聞く。

「愛の告白ってわけじゃないだろうね」
「今も見張られてるって事っすか?」

晴斗が辺りを見回しながら言う。

「あまり周りをみるんじゃない」

渡辺君が注意するけど僕は「放っておいていいよ」といい、ハンバーグを食べる。

「冬夜しかし監視の目が俺達に向けられてるって事だろ?」
「こいつ……バスジャックの時にもいたやつだ」

誠がいう。皆が一斉に誠のノートパソコンを見る。
前髪がアシンメトリーのパーマをかけたグラサンをかけた男性。
確かにバスジャックの際のバスのカメラに写っていた男性だ。
なんで知っているのかって?誠がいるからじゃ理由にならない?
その隣にの座っているのもバスの運転手に似ていた。
ていうことは、九尾の狐の方か。

「今度は何を企んでる?」

渡辺君が言う。

「どうする?指揮官さん?」

公生が言う。

「誠、スマホは大丈夫なんだな?」

誠に聞くと「問題ない」と返ってきた。
僕はスマホを操作する。

午後21時観光港に集合。

皆それを見ると頷く。

「じゃ、僕達は一旦家に戻るよ」
「俺達も帰るか?」

僕が言うと渡辺君も言う。

「俺達はどっかで時間潰すっす」
「気をつけろよ」

晴斗に声をかける。
そうしてみんな解散した。

「本当に一度家に帰るの?」
「時間まだあるしね」

ルームミラーを見ながら運転をする。
それに気づいた愛莉が後ろを見ようとすると「見るな!」と叫ぶ。
愛莉はびっくりしたようだ。

「ご、ごめんなさい」
「僕の方こそ急に怒鳴ってごめん」

大丈夫、尾行の相手は僕達じゃないみたいと愛莉に説明すると愛莉は落ち着く。

「じゃあ、誰に向けたメッセージなの?」

さあね。

僕達をつけてるわけじゃないならやることは一つ。
車をUターンさせ観光港に向かう。

「家に帰るんじゃないの?」
「帰るの面倒になった」
「……明日までには片付くよね?」
「そのつもりだよ」

観光港につくと近くのパチンコ屋さんの駐車場に止める。

「愛莉今のうちに寝ておいた方がいいよ」
「てことは夜まで待つのね?」
「うん」

だけど愛莉は寝ない。

「久しぶりだね、夜に2人でドライブなんて」
「そうだな、最近ドライブなんてする暇なかったしね」
「事件が片付いたらドライブ行こうよ」
「そうだな」

愛莉とそんな話をしながら誠達にメッセージを送っていた。
今夜も長い夜になりそうだ

(2)

カランカラン

晶ちゃんがやってきた。

「あら?あなた達……」

今店にいるのは店員と晶ちゃんと中島君と亀梨君と森園さんと三沢君と岸谷さん……と素性の知れない怪しい黒服の男。

「4人とも元気そうね」
「はい、この一週間何もありませんでした」
「それはよかったわ」
「ありがとうございます」

亀梨君達4人組と晶ちゃんが話している。
一ノ瀬さんは信じられないと言った目線を向けている。
いつもの営業スマイルはどうしたんだい?

「実は穂乃果この前の騒ぎからまた一層警戒しだしてイライラしっぱなしなんだよ」

中島君がそう言う。
無理もない、普通の女性の反応だろう。でもそのイライラをほぐしてやるのは彼氏の君の役割じゃないのかい?君そういうの得意なんじゃないのかい?
その後も晶ちゃん達5人が話すのを不機嫌そうに見ている一ノ瀬さん。

「一ノ瀬さん、スマイルスマイル」

僕が言うと一ノ瀬さんは僕を睨みつけた。

「酒井君は平気ですよね!あの4人が敵だったとしても簡単にあしらえるんでしょうけど!」

お客様に向かって言う言葉じゃないよ。
ほら、4人とも静まり返ってしまった。

「みんなどうかしてる!次から次に敵を誘い入れるなんておかしいよ!」

接客業としては一ノ瀬さんの態度に問題があると思うんだけどどうなんだい?
その時黒いスーツの男が席を立つ。会計を済ませて帰る。

「急に怒鳴ったりしてすいませんでした」

一ノ瀬さんはにっこり笑って対応する。
そして男の座っていたテーブルに座るとスーツケースを忘れているのに気づく。

「お客様!忘れもの……」

一ノ瀬さんがそれを手に取ろうとしたとき心の警鐘が全力で鳴っていた。

「触るな!!」

自分でもびっくりするほど怒鳴っていた。一ノ瀬さんを驚かせたみたいだ。
男は店から逃走した。男の追跡は晶ちゃんの兵隊に任せて不審物の処理にあたる。

「け、警察呼んだ方いいんじゃ……」

一ノ瀬さんが言うけど僕は「皆さん下がっていてください」と皆を下げて不審物をそっとテーブルの上に置く。
慎重にケースを開くとテレビで観るようないかにも時限爆弾ですみたいな装置がある。

「真紀子警察に電話を!」

マスターがオーナーに指示する。
僕はロッカーから鞄を取り出すと再び時限爆弾に向かい合う。
対冷却システムはついてない。
なら処理は簡単だ。
バッグの中からスプレー缶を取り出すとスプレーを吹き付ける。
時計が止まった。
どうしてこの手の犯罪者はわざわざ時計をつけたがるのだろう?
そんな疑問はおいておいて。爆薬と信管を取り外す。

「もう大丈夫です」

皆がホッとする。
警察がきて回収するのを待つ。

「この店も標的になっちゃったんですね……」

一ノ瀬さんが涙目になっている。
中島君や。君の出番だよ。
さすがにそれは心得ていたようだ。
一ノ瀬さんを宥める中島君。

スマホにメッセージが入る。

21時観光港に集合。

晶ちゃんにも届いていたらしい。
いよいよ動き出したか?
バイトを終えると晶ちゃんが待っている。
晶ちゃんを車に乗せて観光港に向かう。

「何があるといのかしらね?」
「わかりませんね~」

ただ大半の人がアイススケートに遊びに行っていたはず。別府で何かあったとみるのが妥当だろう。

「ごめんね、いつもバイトばかりで遊びに連れて行ってやれない」
「その分退屈しないからいいわよ。気にしないで」

退屈潰しの仕方が大幅に間違ってる気がするのは僕だけでですかね?

(3)

「それじゃ、乾杯」

今日は啓介たちの成人式のお祝いの日。
ユニティで今日成人式をむかえたのは啓介、竹本夫妻、真鍋君、海未ちゃん、咲良、新名さん、佐倉さん。
その中でも新名さんはプロポーズを受けたそうだ。
卒業式の日に籍を入れるらしい。
挙式は今年の10月に予定してるとか。
物騒なユニティだけどこういう祝い事があるのもユニティ。
皆心から新名さん達を祝福していた。
今日はユニティの同期の皆で集まって宴を催した。
しかし話題はやはり暗い物になる。

最近のユニティの行動について。

皆覚悟はしてるとはいえ、やはり納得できない部分もあるようだ。
自分たちは関係ないのに……。

「そんな事じゃ奴らの思うつぼだぜ……あいつらの目的は明白だろ?」

檜山君が言う。

「私も春樹と同感です~。彼等の目的はユニティの分裂です~」

咲良さんが言う。

「僕からもいいですか?」

竹本君が言う。

「僕も基本的には皆が無事なのが一番だと思います。でもそれはもう無理です。少なくともここにいる皆被害を受けてる」

皆黙ってしまう。

「誰かが言ってました。恐怖と戦うのも戦いだって。だったら僕は皆と戦います。僕に出来ることは少ないけど」
「そんなしけた話今日は無しにしない?せっかくのお祝いなんだし」

咲さんが言う。

「そうだね。咲の言う通りだ」

みんながジョッキをもって乾杯しようとしたその時。

ボン!

建物が激しく揺れてる。
爆発があったのはトイレ?

ジリリリリ……

火災報知器が鳴る。

竹本君と啓介がトイレに真っ先に向かう。

幸いトイレに人はいなかった。
竹本君がそばに置いてあった消火器で初期消火にあたる。
火はすぐに消し止められた。
初期消火をした竹本君が警察と消防士から事情聴取を受けている。
その時に咲さんが気づいたらしい。

「悠馬肩になにかついてる」

竹本君がそれを取って見ると竹本君の様子がおかしい。

「何が書いてあったの?」

私は竹本君の手からそれを奪ってみる。

貴方をいつも見ています。

「ただの悪戯ですよ」

竹本君はそれを私から取り返して警察に証拠として提出する。

ただの悪戯?

現状でそう考えるのは危険だ。
だって同じような事がたて続けに3件も起きているんだから。
その正体を突き止めるために今渡辺君達が動いている。
時計を見る。
21時半を回っていた。
連絡は無い。何が起きているのだろうか?

「その様子だと深雪さんは何か事情を知っているようだね?」

椎名さんが質問する。
この人に余計な事を言うのは危険だ。

「別に何もないわ、気のせいじゃなくて?」
「そうだよ、大したことじゃない……」

啓介がミスった。

「大したことじゃないかどうかは僕達が決めるよ。知ってる事を話して?」

椎名さんが言う。
席に戻ると私が説明をする。
今日起きたこと、爆発物の事件が3件あった事。
片桐君達が尾行されているらしいこと。
そして今その相手とコンタクトを取っている事。

皆静かに聞いていたが話を終えると騒ぎ出す。

「どうしてそんな事黙っていたんですか?」

佐倉さんがまずいう。

「僕達を不安にさせたくないから……かな?」

私は椎名さんの顔を見る。椎名さんはそんな私を見て笑った。

「信じられない、それって私達信用されてないって事じゃない!?」
「咲さんの言う通りだ俺達に内緒で……で、俺達に何かあったらごめんで済ます気かよ」

咲さんと真鍋君が言う。

「随分勝手な言い分ですね~」

咲良さんが言う。

「自分たちはまきこまれたくな~い。でも隠し事はしないで欲しい~。……ただの野次馬根性じゃない」

そうじゃない、事を順序立てて説明しなかった私のミスだ。

「俺達はユニティだから巻き込まれてる。でもユニティのやってる情報は教えてくれない。絶対間違ってる!」

真鍋君が怒るのも最もだろう。

「お前らどんだけユニティにいるんだよ。ちっとは仲間を信用したらどうなんだ?」

檜山君が言った。

「今のお前ら咲良の言う通りただの野次馬根性で見に来てる近所のばばあだよ」
「僕もそう思います。先輩たちを信用するべきです」
「竹本悔しくないのか?俺達利用されてるだけだぞ」
「先輩はそんな事考えてない!」

言い合いが続く中。丹下先生と聡美さんが話をしている。

「まあ、こういうのもなんだがな。彼等はちゃんとお前らの事考えて動いてると思うぞ。その証拠にSPがいるんだろ?」

丹下先生が言う。

「落ち着いた方が良いわ。皆で一度冷静に話し合って。どうしてこんな事態になったのかそれを聞かないと話にならない」

聡美さんが言う。

「理由は私が説明するわ……。そんなに難しい事じゃないから」
「深雪先輩知ってるのか?」
「ええ。じゃ、なきゃこんなに落ち着いていられないでしょ?」
「理由教えてもらえませんか?」

真鍋君が聞いて来るので答えた。

「晶さんがさらわれた事は知ってる?」
「それはログで確認しました」
「そのときにスマホを奪われた事は?」
「それも知ってます」
「じゃあ、一部のメンバーだけで晶さんを救出に行ったことは?他のメンバーも別動隊で待機していたことは?」
「それは知らない?」
「知ってどう思った?」
「それは……」
「どうして俺達も連れて行ってくれなかったんだ?……そう思った?」

真鍋君は返事をしなかった。

「ユニティが今分裂しようとしている。その事を誰よりも自覚してるのが片桐君よ。そして悪戯に不安を煽りたてるようなことはしない方が良いと判断した。敵を欺くにはまず味方から。それを実行しただけよ」
「俺達がやることはあいつらを非難する事じゃねーよ。かといって言いなりになってるだけじゃねえ。どうすればユニティに貢献できるか考える事だ」

檜山君が言う。

「僕達にやれること……それは」
「難しくかんがえることじゃない。現状の維持だ。俺達は俺達でユニティ本来の活動をしていればいい。あとはあいつらが上手くしてくれる」

竹本君が言うと檜山君が返す。

「結局やられっぱなしでいろってことじゃないですか?」

真鍋君が言うと椎名さんが真鍋君の肩を叩く。

「どのみち俺達には反撃はできないんだ。だったら大人しく任せた方が良い」
「……そうですね」

真鍋君は納得はしてないけど理解はしたようだ。

「そろそろ店変えましょうか?今日はぱーっとやりましょう」

咲さんが言う。

「そうですね~。湿っぽい話は抜きにしましょ~」

咲良さんも同調する。
その間も私はスマホで渡辺君の連絡を待つ。
こうして私達が言い争っていられるのも彼らのお蔭なのだから。
彼等なら教えてくれるだろう。
優しさの意味を。
絶え間なく注ぐ愛の名を……。

(4)

僕達は予定通り21時に集まった。
そしてその間もやり取りをしていた。
尾行されていたのは石原夫妻だった。
次の切札を潰そうと考えていたのだろうか。
その一台の車両が観光港の駐車場に入ると出口を封鎖する。

石原君が車を降りるとその車両に銃を持って近づく。

「両手を上げてゆっくりと降りてきてください」

二人の男が降りてくる。
二人の特徴からして片方はバスジャックの運転手、もう一人はノートPCを持っていた男だろう。

「下手に動けば撃ちます!」

石原君が警告すると渡辺君と晴斗が二人を捕縛しようとする。
その時ヒューっという風切り音が聞こえてくる。
その音の正体に石原君は気づく。

「恵美!!車から離れて!!」

恵美さんは何のことか分かってない。
身動き振りむいた隙を突いて。大男の方が渡辺君に回し蹴りをする。
渡辺君は倒れる。石原君は慌てて発砲するが車に乗り込み回避されてしまう。
唖然とする晴斗から逃れ車に乗るノートPCの男。
男は車を使って逃走を図る。
今そっちに構ってられない。
風切り音の正体が石原君の車に投下したものを処理しないと。
石原君!ごめん!!
リストバンドのボタンを押し、変身すると石原君の車の屋根に飛び乗り上に飛び上がる。
そして刀を一振りする。
ほとんどなかった導火線を切ることでダイナマイトの爆発を阻止する。
そのダイナマイトの上に足を乗せ更に跳躍する。バードマンのさらに上に飛び上がる。
バードマンの背中に一撃食らわせる。
バードマンは落下する。
この高さから落ちたんじゃさすがに助からないだろう。
……助かったようだ。
よろめくバードマンの腕を背中に回して捕獲する。
しかし次の瞬間僕はその場を飛びのく。
僕の居た場所に車がドリフトして突っ込んでくる。
ドライバーはウィンドウを開けて発砲してくる。
それを躱す僕。
その間にバードマンは男の車に飛び混みそしてドアを閉める。
車は入り口側のゲートを破壊して逃走する。

「片桐君!僕の車を!」

そう言て石原君は後部座席に乗り込む。
石原君の車の運転席に乗り込むとエンジンをかける。

お前に生命を吹き込んでやる!

「恵美さんシートベルト!」

猛スピードで追尾を始める。
誠が信号を弄ってくれてるが相手は信号無視で突っ切っていく。
誠に信号を全部青にしてくれと頼むと信号が切り替わる。
この車で追いつけるか!
次々と車を追い越しながら目標の車に迫る。
車は高速に乗らずに山道にはいる。
上りだ。ちょっと不利かも。
相手も運転は上手い。
いつも通りコーナーで食らいつけない。

「ごめん、もっと馬力ある車に買い替えるよ」
「まだローン残ってるんでしょ!?」
「板金もしないとね」
「2人ともふざけてないで真面目に追いかけて!」

恵美さんが言うと石原君の車が目覚めたかのように加速する。
ああ、この車もVTECついてたんだっけ?
いくら運転が上手いと言えど四駆のトラックじゃ限界あるよね。
山の上の方になると追いつけた。

「片桐君、あまり肉薄すると……!」
「分かってる抜けばいいんでしょ!」

相手の運転が上手いとわかってるなら……!!
スリップストリームを利用して四駆のトラックに肉薄する。
相手の運転手が腕をこちらに振り向いて銃を向けた瞬間

お前に魂があるなら応えろ!!

車を反対車線に振出し加速する。
スリップストリームの効果が残っているうちに抜き去る。
相手の前にでると石原君が容赦なくフロントガラスに銃弾を撃ち込む。
防弾ガラスくらい装備してるだろう。だがひび割れたフロントガラスじゃ視界も限られる。
だがそんな事関係なかったらしい。
左腕でひび割れたガラスを打ち砕き視界を確保する大男。
男は石原君の車の後輪目掛けて銃を撃つ。
タイヤをやられた。
バーストして挙動が見られた車はスピンする。
スピンを制御するのに精一杯。
相手はそんな僕達をあざ笑うかのように駆け抜ける。
くやしいけど今夜はここまでだ。
誠達に電話で迎えに来てもらうように頼む。

「石原君車ごめん」
「保険効くかな」
「銃弾撃たれて事故った場合ってどうなるんだろうね?」
「片桐君も速度違反のキップきられるの覚悟した方が良いよ」
「そうだね」

二人で笑い合ってた。
そんな僕達を恵美さんは呆れて見てた。



愛莉達が迎えに来る。
手配したレッカー車も来た。
石原君達はそれに乗って帰るらしい。
僕達も今日はここまでにして帰ろうって話になった。
あと少しだったのにな。

「冬夜君でも車で負ける事あるんだね」

愛莉がそう言って笑ってる。
さすがに車で弾を避けるなんて芸当無理だよ。

「石原君の車の修理代少し負担しないとな」
「それは心配いらないって恵美が言ってる~」
「そうか……」
「それより大変だよ~」

大変な割には愛莉は呑気だけど何があったんだろう?

「帰ったらユニティのグループチャット見て」

ユニティの?
何があったんだろう?
家に帰って風呂に入り愛莉が風呂に入ってる間にチャットを見る。
……なるほどね。
分裂の危機か。

「片桐先輩説明をお願いします」

その後渡辺君達が宥めてるが収まらないらしい。
確かに大変なことになってる。

「ガタガタいうならユニティから抜けやがれ!!」

美嘉さんが怒ってる。
渡辺君が宥めてるようだけど。

「今度一度集まろう。きっちり説明したい」

渡辺君がそう言ってる。
こっちも何か手を打たないとな。

「うぅ……やっぱり難しい顔してるね」

そう言う愛莉の顔は笑っていた。

「はいこれ」

愛莉に手渡された酎ハイを飲む。

「どう?なんとかなりそう?」
「今考えてる……」
「そっかぁ……」

いっしょに悩む愛莉の顔を見て思う。
思ったことを、メッセージで送信する。

「絶え間なくそそぐ愛の名を永遠と呼ぶことができたなら」

不思議そうな顔をする愛莉。
反応も「?」が多い。
構わずに続きを打つ。

「言葉では伝えることがどうしてもできなかった優しさの意味を知るでしょう」

沸き上がってくる感情はどこから来るのかも分からなくてそれでも言葉だけじゃ説明できない優しい気持ちそんな感情を永遠と呼ぶにはまだまだ僕達には幼すぎて未熟すぎる。それでも、今この想いをそう呼べたなら。

信頼、希望、勇気、友情、愛情。

どんな気持でもいい、そんな気持ちを一欠けらでも持っているならユニティに残って欲しい。

そう伝える。

皆はとりあえず落ち着いたようだ。
それぞれ思う事があるのだろう。

「……分かりました。そういうことなら俺だってある。残ります」

反対派のトップだった真鍋君が言うと皆納得してくれたようだ。

「お疲れ様」

本当に今日は最後まで疲れたよ。
その時一本の電話がかかってきた。
知らない電話番号だ。

「もしもし?」
「俺だ。ジャッカルと言えばわかるか?」

ジャッカル!?どうしてこの電話番号を?

「あの女のスマホを見ればわかるだろう?」

そういうわけね。

「おっと、この電話番号を検索しても無駄だぜ!?プリペだからな」
「何の用?」
「今日は見事だった!?危うくやられるところだった!」
「嫌味?」
「そういうわけでかけたんじゃねーよ!ただこっちもプロだからな。ガキ相手に苦戦したってのが屈辱でな」
「それで?」
「また近いうちに挑戦受けて立ってやる!今度はこっちも本気で行くぜ」

今日は本気じゃない。
そう言いたいのか?

「じゃあ、またな」

電話はそれで終わった?

「誰から?」
「ジャッカル?」
「え?」

愛莉の顔が不安そうにしてる。

「何て言ってたの?」
「今度は手加減しないってさ」
「今日は手加減してたの?」
「みたいだね」
「悔しいね」
「そうだな」

愛莉は悩んでいる。
そして笑顔で言った。

「私の中では今日は冬夜君の勝ちだよ」

え?

「だってバードマンさん倒して車の追いかけっこも冬夜君が勝ってタイヤさえバーストしてなかったら冬夜君捕まえられたじゃない」
「愛莉、たらればは屁理屈だよ」
「それを言ったら向こうだって本気出してないなんて言い訳してるじゃない」
「まあ、そうだけど」
「だから冬夜君の勝ち」

愛莉はそう言って腕にしがみ付く。

「ありがとう」

愛莉の頭を撫でてやる

「えへへ~」

愛莉の笑顔を見ていたらどんな嫌な気分も忘れさせてくれるな。

「じゃあ、今日はくたくただろうし早く寝よ?」
「そうだな」

愛莉とベッドに入ると照明を落とす。
そして眠りにつく。
色んな事を考えながら、これからの事を考えながら。静かに眠りについた。
まだ未確認の九尾の狐の事も考えないとな。
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その真実を探る必要もあった。
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