優等生と劣等生

和希

文字の大きさ
363 / 442
5thSEASON

家出

しおりを挟む
(1)

「冬夜君おはよう、朝だよ~」
「まだ休みだよ、早くないか?」
「そんな事無いよ?私先に準備してから起こしたんだよ?」
「準備?」

なんの?

「うぅ……今日は旅行に行く日だよ!昨夜準備したじゃない!」

時計を見る、時間はまだ7時前。

「宮崎までなら高速使えば1時間半くらいで行くから大丈夫だよ」
「国道走っていきたいから早起きしようって言ったの冬夜君だよ!」

そうだった。

僕は起きる。選択肢が出来た。準備をさっさとするか愛莉の機嫌を直すのが先か?
どう考えても愛莉の機嫌が先だな。

「うぅ……」
「ごめんごめん、忘れてた。可愛いお嫁さんと楽しいドライブが出来ると思うと嬉しくてなかなか寝付けなくてさ」
「その割には忘れてたじゃない!」

こんな時は下手な駆け引きは無用。素直に謝る。

「本当にごめん!今度から気を付けるから機嫌直して。楽しいデートが台無しになっちゃう」
「うぅ……今回だけだからね」
「ありがとう愛莉」

そう言って愛莉に口づけをする。

「早く準備しなさい」
「わかったよ」

それから急いで準備して着替えると荷物を持って家を出る。
車に荷物を積んで愛莉を乗せて走り出す。
愛莉はまだ機嫌が悪いのだろうか?なんか明るくなりそうな話題ないかな?
愛莉は車内に流れるFMラジオを聞きながら鼻歌を歌い景色を見ている。
普通のように見えるけどいつもの愛莉なら何か話しかけてくるはずだ。
途中でコンビニに寄ると愛莉に何か買ってくるからいるものないかと聞く。

「冬夜君一人だとお菓子一杯買うから駄目!私も行く!」

案外普通なんだろうか?
まあ、でもご機嫌とれるならとっておきたいよな。
お菓子は控えめにした。ジュースとガムだけ買っていく、
車は再び走り出す。
愛莉は再び黙り込む。

「久しぶりだね。この道通るの」
「そうだな、あんまりこっちの方に用が無いから」
「冬夜君私がどうして機嫌が悪いのか知りたいんでしょう?」
「え?」
「だめだよ~お嫁さん疑ったら。単に話すことが無くて冬夜君もなんか力入ってるし、話しかけづらかっただけだよ」
「あ、そうなのか。ごめん」
「わかればいいの♪」

そうか悪くなかったのか。相変わらず愛莉の中に入るのは苦手だ。
機嫌悪くないなら今のうちに聞いておくかな?

「愛莉、前に言ってたろ?『来年は同棲が楽しみだ』って」
「うん、冬夜君は楽しくないの?」
「来年になったら物件探そうか?」
「え?」
「色々考えたんだけどさ。3月に探してたら間に合わないと思うんだよね」

卒論、期末試験、卒業旅行、卒業式。そして入社。
3月の隙間を縫って引っ越して落ち着くなんて無理だ。

「じゃあ、いつがいいと思ってるの?」
「来年になったら物件探して2月の試験終わったら引っ越すくらいでいいんじゃないか?って思ってさ」

貯えはあるし収入もあるから。
驚きものだよね。バスケは引退するっていったのにそれでも1年契約で契約を結びたがるスポンサーがいるなんて。
テレビの出演依頼も多数来たけどすべて断った。
今は大学生活を楽しみたいから。

「じゃあ、1月から新居探しだね?」
「うん、そのくらいでいいと思う」
「やっと、冬夜君から言ってくれたんだね」
「え?」
「冬夜君、来年からどうするんだろう?まだずっと実家暮らし続けるのかな?って不安になってたから」
「愛莉は不安が無いの?僕と暮らすことに」
「花嫁修業はちゃんと受けてきたよ。麻耶さんのお墨付きだもん」
「そうじゃなくて僕と一緒になることに対して」
「そんなわけないじゃない。私の事信用してないの?」

でも、誠や桐谷君の件があったし。
他にも木元先輩や檜山先輩の件もあるし。
愛莉自体がマリッジブルーに入ってるんじゃないかと。

「てことは結婚してくれるんだ?」
「へ?」
「だって結婚を控えた人なるものでしょ?マリッジブルーって」
「愛莉には来年にはちゃんとプロポーズするよ」
「わ~い」

その後も家具はこんなのがいいとか、ダブルベッドにしようねとか、2LDKでいいよねとか……2LDK?

「寝室は別々にするの?」

ダブルベッドなのに?

「ほえ?」

愛莉が不思議そうに聞き返す。そしてとんでもないことを言い出す。

「冬夜君はわかってないな~。冬夜君がプロポーズして結婚式挙げるまでに1年あるんだよ?」
「そうだね~」
「今までだって二人で過ごしてきた。もうそろそろ良いはずだよ?冬夜君も社会人なんだし」
「なにが?」
「子供作ろうよ?」

はい!?

「最低二人は欲しいからさ。最初が女の子で次に男の子がいいんだってね?」

父さんも娘の名前はとっくの昔に決まってあるとか言ってたな。

「僕としては愛莉と二人きりの暮らしもう少し楽しみたいんだけどね」
「ブーッで~す。女性には子供を産むタイムリミットがあるんだよ!」

順調に行けば3年後には二子の父親か。
その時僕と愛莉のスマホが鳴る。
多分渡辺班だろう。
愛莉はそれを見てクスクス笑ってる。

「どうしたの?」
「冬夜君には内緒だよ~」
「夫婦に隠し事はしないって言ったの愛莉だぞ」
「じゃあ、夜教えてあげる。その代わり約束して。誠君達には絶対言わないって」
「2人の事なのか」
「うん」

またあの二人何かやらかしたのだろうか?
そんな事を考えながらひたすら南下していた。

(2)

やばい!サッカー部もう始まってる!
今さらサッカー部に通う必要もないけど基礎トレーニングくらいはしておきたい。
どうして神奈の奴起こしてくれなかったんだ?
今日朝からバイトだっけ?
カレンダーを見る神奈は今日から連休とってる。

「神奈、何で起こしてくれなかったんだ!?」

返事がない。
それどころか物音一つしない。

「神奈!!」

神奈を呼んでは見るものの返事がない。
でかけたか?
玄関を見る。どこかに出かけたようだ。
朝出る時くらい声かけてくれてもいいのに。
とりあえず何か食わないとな。
コンビニで買うか。
リビングに戻ると2枚の紙きれが。
一枚は……離婚届!?
もう一枚には書置きが。

「疲れました。何も聞きたくない。休ませて」と。

頭がパニックになる。
落ち着け、ここ最近普通だったはずだ。あの飲み会の後も特段何も無かったはず。
機嫌もちゃんと直してもらった。俺に落ち度は……心当たりがあり過ぎてどれが正解だかわからない!
落ち着け慌てる時間じゃない。まずすることはなんだ?
神奈に電話をする。

「現在電話を取ることが出来ません」

メッセージを送る。
既読がつかない。
やばいやばいやばい。
外に出て駐車場を見る。まだある。と、いう事はまだ帰ってくる意志があるという事だ。
しかし離婚届にはしっかりと記入されてある。
渡辺班にメッセージを送る。

「何も聞いてないけど?」
「お前また何かやったのか?」
「自分の胸に手を当ててよく考えなさい」

女性陣からの痛烈なコメントばかり。
男性陣は皆知らないという。
一人だけ反応があった。
瑛大だ。

「うちの亜依も家出したみたい。どうしよう?」

最近確かに調子に乗り過ぎた。
だからっていきなり離婚届は無いだろう!?
そんな素振り全く見せてなかったぞ!?
こんな時に頼りになるのは冬夜だ。
冬夜に電話する?

「誠か?どうした?」

どうしたじゃないだろ!?メッセージ見てないのか!?

「神奈が家出した?」
「え?」

冬夜も初耳らしい。

「お前なんかやったのか?」
「わかんね。ただ離婚届がおいてあって」
「離婚届っておまえそれはまずいだろ!?」

だからお前に電話してるんだよ!

「冬夜どうすればいい?」
「落ち着け、まずはお前が何やったかだ!」
「この前の飲み会から何もやってねーよ!」
「誕生日はどうした!?」
「ちゃんとお祝いしたさ!」
「誠と話しても拉致あかないし僕がカンナに……愛莉?」

遠坂さんも聞いているのか?

「誠君の自業自得だよ!反省しなさい!」

プッ

その日部活に行く気になれなかった。
神奈の行きそうなところ全て当たった。地元大、青い鳥、百舌鳥さんの家。
どこにもいなかった。
ほとぼりが冷めたら帰ってくる。
そう信じてバイトにはでかけた。
が、その日は帰ってこなかった。

(3)

「亜依!どこにいるの!?」

朝目が覚めると亜依がいない。リビングに二枚の紙切れがある一枚は……離婚届!?
もう一枚の紙切れに書置きが

疲れた、休ませて、探さないで

離婚届にはきっちり記入されてある。
半狂乱になって探し回る。
家の中にはいないみたいだ。
電話をかけるけど出ない。
渡辺班に心当たりは無いか聞いてみる。
誰も知らないらしい。
神奈さんも家出したらしい。
亜依のバイト先とか青い鳥とか探してみる。
青い鳥で恵美さんに言われた一言。

「自業自得ね。しっかり反省するのね」

やっぱりこの前の飲み会が原因か?
でも、家出するほどのことじゃないだろ?
ただのドッキリだ。
そのうち帰ってくる。
僕はバイトに出かけた。
終わる頃には部屋の明りが……ついてない。
車はある。ということは帰ってくる意志はあるという事。
待て待て待て。
そんなに思いつめてたなら言ってくれたらいいのに。
本気で愛想尽かされた!?
結婚式を挙げる前に破局かよ!
パニックになってるのは僕と誠だけ。
あとの皆は普通にしてる。
誠に電話する。

「もしもし」
「瑛大か!?今すぐ会えないか?」
「俺もそう思ってたところ!?」

近所のファミレスで待ち合わせした。
冬夜も呼ぼうとしたけど冬夜は旅行中らしい。
渡辺君だ、頼りは渡辺君だけだ。
渡辺君に電話する。

「悪い、今回は力になれん。俺にも都合がある」

そう言って電話は切れる。

「誠、どうする!?」
「荷物はあるんだよな!?」
「着替えとバッグは持って行ってるみたいだけど」
「車もあるんだよな!?」
「あった!」
「じゃあ、心配することはないさ。明日になったら帰ってくる」
「そうだよな。何だ心配するだけ損したな!」

そう言って僕達は互いを気遣うが不安は消せはしなかった。
結局その日は帰ってこなかった。

(4)

「お待たせ~」
「大丈夫、電車の時間はまだだ」

亜依がくるとそう言った。
私達はキャリーバッグに荷物を詰め込み電車に乗る。
地元駅まで行って、そこから高速バスで地元空港に向かう。
羽田空港までの空の旅を満喫していた。
この事は渡辺班女子会の皆は知っていた。
旅行を手配してくれたのは恵美。

「神奈ちゃんへの誕生日プレゼント。二人共ゆっくり羽伸ばしてきなさいな」

そう言ってチケットをくれた。
ついでに2枚の離婚届も渡される。
亜依に一枚渡してそれぞれ記入する。
印鑑だけは押さないまま。
そして書置きを残して家をそっと出た。
渡辺班のメッセージを見る。
慌てふためく男性陣たち。
それもそれぞれのパートナーに事情を聞いたのだろう。
沈静化した。

「とりあえずは成功だな」
「ここからが問題だけどね」

亜依が言う。

これで懲りないようなら印鑑を押すまでだ。
二人でそう決めてた。
羽田に着くと電車に乗って東京駅に着く。
そこからさらに電車に乗てホテルまで行く。

「東京なんて修学旅行以来だわ」

亜依がベッドに横になって言う。

「そうだな」

こんな形でまた東京に戻ってくるとは思わなかった。

「愛莉たちもホテルに着いたってさ」

亜依が言う。
愛莉はトーヤと旅行中。

「愛莉は幸せ者だね。私達と違って」
「そうだな」

亜依が言うと私はうなずいた。
二人でテレビを見ていた。

「そろそろ夕食の時間じゃない?」

もうそんな時間か?

「何か食いたいものあるか?」
「神奈のおすすめの店ってある?」
「私も小学生の時にいただけだからな、味なんてわからない……」

どん!

「ちょっと危ないじゃない。暗いんだから気をつけなよ」
「悪い、話しながら……ゆかり?」
「嘘!?神奈!何で東京に?」

霜月ゆかり。東京にいた頃の親友。そして……。

「こんな時期に東京見物か?」

藍井彩。東京にいた頃の片思いの相手。ゆかりの恋人。

「折角だしちょっと付き合えよ。美味しい店連れて行ってやるから」
「でも彩(ひかる)はデート中なんじゃ……」
「ただぶらついてただけだよ。今は毎日顔合わせてるしな」
「今同棲始めたんだよ」

ゆかりが得意気に言う。

「神奈、お前に聞きたい事あったんだ」

なんだろう?
新宿にあるチーズタッカルビのお店。

「聞きたい事ってなんだ?」

私は彩に聞いた。

「冬夜の奴本当にバスケ止めたのか?」

そんなことか?

「ああ、今は彼女と旅行中だよ」

愛莉が聞いたら「お嫁さんだも~ん」って言いだしそうだな。
でもそんなに嫁になってもいい事なんてないぞ?

「のんきなもんだな。こっちは大変だったってのによ」
「そういう奴だからな、あいつも『すっきりした』って言ってたぜ」
「そりゃそうだろうな」

彩の笑顔なんて記憶には残ってなかった。

「それはそうとお前新婚生活どうなんだ?」
「そうそうそれ私も聞きたかった。もう2年目だっけ?」

彩が聞くとゆかりものってくる。
私は亜依と顔を見合わせてそして事情を話した。

「ガミガミやかましい神奈か。想像つかないな」
「私も全然想像つかない!」

二人には笑い話のようだった。

「しょうがねえ奴だな。その誠ってやつも」
「彩あんたも人の事言えないんだからね!」

ゆかりが彩に文句を言ってる。

「聞いてよ彩ったら何を作っても作り甲斐がないんだよ」

冬夜だったら喜んで食いつくだろうな。

結婚は止めとけ。

この二人に言う話じゃないな。
亜依と私はそう思った。

「で、旅行終わったらどうするんだ?話聞いてやるのか?」
「……反省してるなら聞いてやるつもりだ」

でも誠の反省はあてにならない。

「ねえ、ゆかりさんでしたっけ?ゆかりさんも結婚する気?」
「彩は来季からBリーグの契約決まってるのよ。本契約したら結婚するつもり」
「彩さんと結婚して後悔しませんか?」

亜依が聞いていた。

「さあね、喧嘩はしょっちゅうだし。それでもいいって思うから結婚するんじゃないの?」

ゆかりは答えた。

「桐谷さんは違ったの?」
「私は……」

亜依は答えに詰まっていた。
それを不思議そうに見るゆかり。

「さてと、飯も食ったし話も終わったし行こうぜ」

彩は亜依を見て何か思ったのか席を立つ。

「あ、お金……」
「いいよ、久しぶりの再会した記念だ。おごるよ」
「彩今お金持ちだからね。甘えときなよ」

彩にご馳走になって私達は店を出る。

「いつまで東京にいるんだ?」
「明後日には帰るつもりだ」

私が答えた。

「じゃあ、明日女性3人で街ブラしようよ!お勧めの場所案内してあげるから。神奈がいた頃よりも全然変わったんだよ」

ゆかりが言う。

「じゃあ明日……神奈、渋谷の例の場所覚えてる?」
「ああ、あそこな」
「そこに10時集合で」
「わかった」
「じゃあ、おやすみなさい」

そう言ってゆかりたちは去って行った。
私達もホテルに戻る。

「あの二人見て、瑛大と結婚した時思い出したわ」

亜依が言う。
私も誠と結婚した時を思い出した。
誰もが夢見る結婚生活の希望。
それを今思い出した。
もう一度だけ思い出そう。
あんなにも愛したこと。
安らぎとか求めてたけど言葉のように簡単には上手く伝えられない。

「あんな馬鹿だけど、まだ好きなんだな。私……」

亜依が言う。

「そうだな……」

私も同じなのかもしれない。
好きの反対は嫌いじゃない、無関心だと誰かが言ってた。
私達はゆかりのたった一言に揺れ動いている。

「神奈。今思ったことは旅の間は忘れよう!」

亜依が言う。
今すぐにでも誠に伝えたい事。
それだと今回の計画は失敗してしまう。
誠にも同じ気持ちを伝えたい。
それにはまだ時間が必要だ。
あの二人が思い出す時まで。

(5)

冬夜君と宮崎のリゾートホテルに泊まって美味しい料理を食べてシャワーを浴びて部屋で寛いでる。

「なるほどねえ」

冬夜君はメッセージを見てる。
今日の事は冬夜君には説明した。
誠君達には秘密だよと一言添えて。

「でも今頃カンナ達も後悔してるんじゃないのか?」
「それでも駄目!神奈達が悪いわけじゃないんだから!」
「でも、誠達が改心したとしてもまたやるぞ多分」
「うぅ……」

冬夜君の言う事もごもっともだ。
困ってる私を見てふと笑う。

「信じあえる喜びも傷つけあう悲しみもいつかありのままに愛せるように……時間は流れる、だな」
「ほえ?」
「僕と愛莉のようになるまでにはまだ時間がかかるという事だよ」

冬夜君はそう言って笑っている。

「私達は愛せてるの?」
「愛莉は違うの?」

私はにこりと笑って冬夜君に抱きつく。

「……だろ?」

冬夜君もそう言って笑って私を抱きしめる。
何度でも思い出そう。
あんなにも愛したこと。
真実に目を背けずにゆっくり時を感じて
そんな時間があの四人には必要なのだろう。
傷つけあってそれでも熱を帯びていく冷たい石のように。
きっと解り合える時が来る。
その時までゆっくり時は流れる……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」 ※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...