優等生と劣等生

和希

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5thSEASON

秋の微睡

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(1)

「冬夜君おはよう、朝だよ~」
「おはよう愛莉」

10月最後の週末。愛莉はいつもの愛莉だった。
ベッドを出ると朝食を食べてそしてコーヒーを入れて愛莉と部屋に戻る。
部屋に戻るとテレビを見ながら愛莉とおしゃべりしながらコーヒーを飲む。
のんびりしてると愛莉が言う。

「今日は美容室行くんだから早く出かけなきゃだよ?」
「なんかあったっけ?」
「もう、今日は椎名さんと新名さんの結婚式でしょ」
「あ、そうだったね」
「皆ドンドン式を挙げるね~」
「そうだな」

来年4月に誠達が、6月に石原君達が12月に中島君達がその翌年の3月に桐谷君だっけ?
中島君達もプロポーズして両家の両親に挨拶に行ったらしい。

「愛莉も早く挙げたいか?」
「焦っちゃダメって言ったばっかりだよ」
「そうだったね」
「今は冬夜君との新生活の事考えただけで胸がいっぱいだよ~」

昼食後、そう言いながら愛莉は着替えだす。
スマホが鳴る。

「今日2次会終わったら渡辺班だけで3次会やらないか?」

渡辺君からだ。
皆いいよって言ってる。
渡辺班で集まるのも久しぶりだな。
不意打ちで集まった時もあるけど。
誠達のその後とか聞きたい事は色々ある。
そんな事を考えながら着替え終える。
ネクタイは式の時にきちんと絞めとけばいいか。
適当に緩めに締めて部屋を出ようとすると愛莉から待ったが入る。

「そんなだらしない格好許しません!」

そう言って愛莉は僕のネクタイを締める。

「本当にだらしがない旦那様なんだから」

そう言って愛莉は笑う。
僕達は美容室に行った。
愛莉は髪をセットしてもらう。
僕も髪をセットしてもらう。
ついでだから少し髪を着てもらった。
前髪が鬱陶しかったから。
終わると式場に行く。
石原夫妻と奈留と公生に会う。
愛莉となると恵美さんが話をしている。
僕は石原君や公生と話をしている。

「片桐君妙だと思わない」
「何が?」
「僕達が反撃した後さっぱりと彼女たちなりを潜めたんです」

多分下村さん達の事を言っているのだろう。

「ユニティ時代の名残だよ。僕達に手を出すと割に合わない。誠が全データを削除したと言っていた。活動できなくなったんだろ?」

多分、このビジネスは成り立たない。そう判断して手を引いたのだろう。

「それだけならまだいいんですけど」
「まだ何かあるの?」
「その後復旧した形跡がない。検索をかけても引っかからない」

公生が言う。

「復旧はしてあるぜ」

誠が来た。
カンナは愛莉たちと話をしてるらしい。

「誠君特製の検索エンジンにはヒットしてる」
「それって意味あると思う?」

公生が言う。

「裏の活動はまだしも表向きの活動は公開してないと意味がない。宣伝にすらならない」
「そう言われてみるとそうだな……」

誠も考えだす。

「おーい誠!」
「瑛大!」

桐谷君がやってきた。

「例のチケット取れたぜ、一緒に行かないか?」
「い、いや俺は止めとくよ」
「なんだよ、すっかりおとなしくなっちまったな。そんな嫁さんにビビッてばっかの人生楽しくないぜ。パーッと遊ぶ時は遊ぶ」
「それで俺は大やけどしたからな……しばらくは手を引くよ。今は神奈に尽くすので精一杯だ」

誠も変わったんだな。
まあ、あんな事件に関わったらそうもなるよな。

「つまんねーな。冬夜お前はどうだ。一緒に行かないか?」
「どんなところなんだ?」
「か、片桐君その話は止めた方がいいんじゃないかな?」

公生が言う。
背後に気配を感じた。

「そ、そうだね今回は遠慮しとくよ」
「今回って事は次回があるんだ?」

愛莉の声が聞こえた。
振り返りたくないけど振り返る。
愛莉ににこりと笑ってる。

「何のチケットだ瑛大?私にビビってないんだろ?言ってみろよ?」

亜依さんもいた。

「た、ただの地下ドルのライブのチケットだって」
「また、お前はしょうもないことにお金を……」
「亜依だってジャニタレだったら喜んで観に行くだろ!?」
「滅多に地元に来ないだろうが!」

どっちにも興味が無い僕と愛莉。
本当に?
愛莉のまだ22の女性。アイドルにくらい興味があるんじゃないのか?

「愛莉はジャニタレとか興味あるの?」
「う~ん。ああいうタイプの男性苦手かな。私多分イケメンてのがダメなんだと思う。あ、でもOITAの人なら好きかもしれない。あんまりライブとかでないけど日曜の番組とか冬夜君と見てるでしょ?」

ああ、あのグループね。一人未成年に飲酒させて引退したグループか。

「愛莉ってさ、好きなアーティストといないの?」

亜依さんが聞いていた。

「う~ん最近のはあまり興味ないかな~?私K-POPってどうも苦手で。あとヒップホップとかそういうのもちょっと。女性なら何人かいるよ。LIZAとか水鳥エリスとか」
「なるほどね~冬夜君は?」
「僕も最近のはあまり聞かないかな?昔の曲をカバーしてる人のを聞くくらい」

なんせ年末の音楽番組すら見ないくらい最近のがわからない。
あれ?でも……。

「桐谷君ってボカロ系とか西方系とかすきじゃなかったか?」
「歌うのと見るのとじゃ違うよ。やっぱり生の音声凄いぜ」
「とかいいながらDVD買ってたのは何処のどいつだ!?」
「別にエロイ奴買ってるわけじゃないからいいだろ!」

桐谷君と亜依さんが言い合ってるのを黙ってみてる誠。
やっぱり神奈に遠慮してるのだろうか?混ざろうとしない。

「冬夜君、誠君の様子変じゃない?いつもの誠君じゃないていうか……」

愛莉も気になっていたらしい。

「カンナはなんて?」
「うん、神奈も気になってるみたい。最近元気がないって。やっぱ負い目に感じてるのかな?」
「後で僕が直接聞いてみるよ」
「うん」

式が始まる。僕達は移動を始めた。

(2)

式が終わって二次会の席で、皆の祝福を受けていた。

「いやあ、あんたたち迄式挙げちゃうとはね。渡辺班のご利益ってのに授かりたいわ」

友坂主任が言ってる。
後ろに挙手してる近藤さんがいるんだけど……。

「今日は一杯楽しんで。また来週から大変だから」

聡美さんが言ってくれた。

「おめでとう、未来」
「ありがとう、海未。今度はどっちが早く出産するか勝負だね!」

隣で倭(やまと)さんが咳払いをしてる。

「未来さんはそういう話をもうしてるのか」
「いえ、全然……」

丹下さんが言うと私は答えた。

「未来さんおめでとう」

渡辺先輩だ。渡辺班のリーダー。

「ありがとうございます。みんな渡辺先輩のお蔭です」
「ご利益なんてものは無いさ。みんな自分で努力して勝ち取ったものだ。胸を張ると良い」
「渡辺君には未来がお世話になったみたいで」
「世話なんてほとんどしてませんよ。いつも活動に参加してくれてありがたく思ってます。次は11月の紅葉狩り実行するんで来てください」
「ああ、その時期ならまだ大丈夫。是非行くよ」
「ありがとうございまう」

皆が祝福してくれる。
こんなにたくさんの人とのつながりを持てたのは渡辺班のお蔭。
これからは私達が皆のサポートをする番。
二次会が終ると私達は家に帰る。

「ふぅ」

倭さんが着替えるとため息を吐く。

「倭さんでも緊張する事あるんですね」
「人間だれでも緊張くらいするよ」

私は座り込む倭さんに向き合うと正座して頭を下げた。

「不束者ですがよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしく」

そうして私達は二人の人生の門出を祝った。

(3)

3次会はカラオケ屋で行った。
渡辺班だけの会。
公生、奈留、如月君、朝倉さん、高槻君、ちぃちゃん、北村さん、栗林君、未来さん、を除く皆が集まっていた。
主賓がいない今ただの飲み会だけど。
僕は何の迷いもなく誠の隣に座った。

「どうしたんだ冬夜?」
「さっき言ってた地下ドルの事聞きたくてさ」
「と、冬夜そう言う話はまた今度にしないか?」
「またってことは話す気はあるのか?」
「え、瑛大に聞いた方がいいんじゃないか?」
「てことはいかがわしい方面の話なのか?」
「いや、そんなことは無いけど……」
「じゃ、いいじゃないか?話せよ誠」
「時と場所を考えろよ」
「考えないといけないような相手なのか?」
「そういうことじゃないけど」
「トーヤ。誠が嫌がってるんだからやめてやれよ」

カンナが間に入る。

「カンナはこのままでいいと思ってるのか?誠がカンナの顔色うかがって生きてる人生でお前は満足なのか?」
「どういう意味だよ?」
「断言していい、誠とカンナはあれからそういう関係を一切持ってない。違う?」
「そうだけどそれと地下アイドルの話とどう関係があるんだよ?」
「誠は今カンナのトリセツを失ってる」
「私のトリセツを?」

カンナは誠の顔を見る。

「どう扱っていいか分からないんだ。ただわかっているのは次やったら破局。だから迂闊な行動をとれない。そう思ってる」
「そうなのか?誠」

カンナは誠に聞く。
誠は相変わらず表情が硬い。

「どうしてだよ!私が言ったこと忘れたのか。素のままのお前でいいんだって!」

カンナが大声で言うと皆が注目した。

「その素のままの誠がカンナを傷つけた。そしたらどうなるか明白だろ?」
「それでトーヤはどう考えているんだ?」
「誠に必要なのは誠が作ったトリセツをもう一度書き直す事。1から順番に……自分を封印する事じゃない」
「誠君に必要なのは自信だな?」

渡辺君が言う。

「やってしまったことはしょうがない。もう消えはしないんだ。次からしなければいい。それは本人が分かってる。だからと言って今までの自分を全否定することはない。ありのままの自分でいいんだ。それを想わせることが大事。そうだな?冬夜」

渡辺君が言うと僕が頷いた。

「怖いんだ……、次やったらもうお終いだ。そう思うと怖いんだよ」

誠が言う。

「私が怖いのか?そんなに私の事が怖いのか?」

カンナが言う。

「怖くないなら私の目を見て話せ。ちゃんと私の目を見てくれ。おまえずっとそうだろ?」
「俺は皆に対しても申し訳ないと思ってる。だから……」
「らしくねーぞ!誠。今のお前に足りないのは勢いだ!勢いが欲しいなら手伝ってやるよほら飲め!」

美嘉さんが酒を勧める。
渡辺君はそれを止めない。

「俺も美嘉の意見に同感だな。いつまで引きずっても苦しいのは神奈さんだ。懲りないのも考え物だが」
「誠、カンナを安心させてやれよ。それはいつものお前を取り戻すことだ。やり過ぎたらまたどつかれろ」
「冬夜」
「そうだよ!冬夜君なんていつまでたっても食べ癖直らないの。何度でも叱ってあげるの。でもそんな冬夜君が好き。神奈だって一緒だよ。馬鹿を言ってる誠君が大好きなんだよ」
「……、俺が落ち込んでたらみんなに迷惑をかけるか……しょうがねえなあ」

誠はそう言うジョッキ一杯を一気に飲み干す。

「おかわり!ジョッキ一杯何てケチくせーこと言わないでピッチャーで持ってこい!」
「誠!」

カンナは誠に抱き着く。

「すまなかったな、神奈。ごめん」
「お前が十分に反省してる事は分かってる。信じていられるって言ったろ?」
「やっぱ誠はこうでないとな!」

美嘉さんが言う。

「やっと自分を取り戻したか」

渡辺君が言う。

「じゃ、まず地下アイドルについて説明しようか……」

誠が話し出す。

「地元で今一番人気なのが有栖川優実。WHITEってグループの3番手なんだが一番かわいい」
「なんだよ誠!お前もアリスちゃん推しかよ」

てことは桐谷君も有栖川さんが好きなのね。

「そりゃそうだろ!赤髪のポニーテールに赤いカラコン入れて黒いゴスロリなんて反則だろ!」

女性陣の目線が一気にひえていくのが分かった。

「胸がほとんどないのも反則だよな!」

ああ、聞いちゃいけなかったかな?

「そこがポイント高いよな!でもな瑛大。無いように見えて実はあるんだぜ。公式のサイトに3サイズ乗せられてたことあってな」
「マジかよ!」

僕はその場から逃げようとした。
が、誠が僕の腕を掴んで離さない。

「冬夜!お前もあのロマンは知るべきだ!遠坂さんに絶対似合う!」
「遠坂さんか!?確かにしっかり胸あるもんな!」

愛莉にその話題を振るのはよせ!

「お前が買ってきたドレスにはそういう意図があったのか……詳しく聞きたいな」

カンナの声が突き刺さる。

「ああ、神奈にも似合うぜきっと、ばっちりサイズ合わせたからな、間違いない。
「どうして私の3サイズ知ってるんだ?」
「そんなもん俺の手にかかれば見ただけでミリ単位で見極めるぜ!伊達に神奈の裸見て来てないからな」
「でも実際胸あるんだろ?貧乳の神奈さんにどうやって合わせるんだ?」

桐谷君が容赦なく燃料を注ぐ。

「そんなもパッドでも当てればなんとでも……ああ見えて本人気にしてるみたいでパッドを……いてっ!」
「他人が気にしてる事をお前はズバズバと……」
「ま、待て神奈。俺は冬夜に頼まれて男のロマンを……!」

ただのアイドルの話だと思っただけだ!そんな具体的な事は聞いてないぞ!

「冬夜君~まだフライドポテトいっぱいあるよ~」
「あ、でも誠の話を……」
「いっぱいあるよ~」

わ~い、食べちゃおうかな。

「お、おい自分で話振っておいて逃げるな冬夜!」
「そ、そうだぞ冬夜逃げるとか卑怯だぞ!!」
「冬夜君に聞かせる話じゃないから駄目!」

愛莉が誠と桐谷君の間に立ちはだかる。

「どうせろくでもない話だろうと思ったらこの馬鹿は」
「ま、待て神奈!今のは俺は悪くない悪いのは聞いてきた冬夜だ!」
「冬夜君はもっと普通の話だと思ってたもん!」
「……本当にお前はどうしようもない奴だな……」

その時カンナは笑ってた。
自分の夫にお帰りなさいと語りかけるように。

(4)

今日の公演を終えて控室に戻る。
他の4人のメンバーがダメ出しをしてる中私一人取り残される。
WHITEはもともと4人組のグループ。そこに私を投入された。
当然他の4人より遅れを取る。
その遅れを挽回するように毎日必死に練習する。
しかし次第に増えていく私のファンの数にメンバーからの嫉妬を買う。
衣裳を隠されたり今のように一人はぶられたり。
誰も私と仲良くしてくれようとはしない。

「いやあ、皆お疲れ様」

マネージャーと事務所の所長が入ってきた。
知らない男も一人入ってきた。

「今日は皆に重大なお知らせがあってやってきたんだ」

重大なお知らせ?

「次の公演をもって有栖川優実はWHITEを卒業することになった」

なるほど、お払い箱か。

「来月からはALICEとしてソロで活動することになる。そのマネージャーに彼を起用することになった。来栖君自己紹介を」
「ALICEを担当することになった来栖聖です。よろしく」
「じゃあ来栖君とALICEを残って皆は退室してくれ」

1人だけソロデビュー。みんなの嫉妬を買うに決まってる。でもこれからはソロだ。気ままにやれる。そう思っていた。

「君の人気は本物だ。君のソロデビュー曲も考えてある」
「ありがとうございます」
「君の実力を考えれば当然だ。自信を持て」

来栖さんが言ってくれた。
そして事務所の所長が言う。

「お前を買い取った分しっかり稼いでもらわないといかんからな。きっちり働け」
「……はい」

そう私は、任務失敗の汚名を着せられこの事務所に売られた。
それは私に借金を課せられたのと同じ事。
ここから私の没落人生が始まった。

(5)

3次会が終わったのは夜明けだった。
僕達はタクシーで家に帰ると、シャワーを浴びて布団に入る。
いい気分になっていた愛莉が僕にしがみ付いてくる。
いつもいつもしょうがないお嫁さんだ。
そんなお嫁さんの相手をしてやろうと思った時メッセージが入った。

「ありすちゃんがソロデビューだってよ!」

渡辺班で桐谷君が言っている。
誠と桐谷君が盛り上がっている中皆は冷静に見ている。
いや、何も言えないのかもしれない。
僕のようにパートナーい見張られているだけかもしれない。
愛莉は僕の背後から手を回して抱きついている。

「何見てるの~」
「メッセージ」
「なんて~」
「ありすさんがソロデビューだってさ」
「冬夜君興味あるの?」

絶対言われると思った。

「あそこまで推されるとせめて顔ぐらいはね……」
「うぅ……冬夜君はお嫁さん以外の女性に興味持つんだ?」
「愛莉、相手はアイドルだよ。愛莉とは全然違う存在だよ」
「じゃあ、私はどんな存在なの?」

そうだなあ

「僕の人生に必要不可欠な最愛のパートナー……かな?」
「わ~い」

正解だったみたいだ。

「てなわけでちょっと顔だけ気になるから聞いてみるね?」
「うぅ……」

多分大丈夫だろう?

「どんな子なの?ありすちゃんって」
「お、冬夜も目覚めたか!待ってろ今画像送付してやる」
「冬夜もわかってきたか!最近WHITEでに入ってきた新人の子なんだけど可愛いんだよ」
「馬鹿瑛大!片桐君に余計な事吹き込むんじゃない!片桐君もこんなの興味もったら愛莉が可哀そうだよ」
「トーヤが興味持つ世界じゃない!お前には愛莉ってアイドルがいるだろ!」

色々誤解されてるけどとりあえず画像を送信してもらった。

「どんな子~?」

愛莉も覗き込むように見ている。

「あれ?」
「あれ?」

僕も愛莉も同じ疑問を持ったのかもしれない。

「愛莉どっかであったことある?」
「う~ん……どっかで見た覚えがあるんだよね」

愛莉も同じ疑問をもったらしい。
どこかで見たことあるんだ。この顔……。

「ねえ、冬夜君。この人ウィッグとカラコンしてるって言ってたよね?」
「言ってたね」
「冬夜君その画像私のスマホに転送して?」
「いいけどどうするの?」
「女子会に流す」

駄目だろそれは。

「愛莉、そういうのって良くないよ」
「いいから!早く!」

愛莉に言われたら逆らえない。
ごめん、誠。

愛莉は僕に自分のスマホを見せながらメッセージに画像を送信する。

「だれこれ?」
「ありすって子」
「やだ、男ってこんなのが趣味なわけ!?」
「いい年して気持ち悪い!」
「私はイライラしてきたよ」
「すまん、愛莉この馬鹿には私からよく言っておくから」

カンナが謝ってる。

「そうじゃないの。神奈と亜依と恵美と深雪さんこの顔見たことない?」
「……ウィッグとカラコンしてるな。でもどっかで見たことある」
「ああ!思い出した!?下村だ!」

亜依さんが気づいたらしい。

「ね?聞いてよかったでしょ?」

愛莉が振り返ってにっこり笑う。
でもどうして地下アイドルなんかに……。
調べてみる必要あるか?
何か引っかかるものがある。
そんな僕に気づいたのか愛莉は黙ってメッセージを送る。

「恵美、このありすって子調べられないかな~?」
「片桐君の依頼?」
「多分そう思う」
「わかったわ、すぐ調べてあげる」

3分あれば十分だったらしい。

「間違いない有栖川優実 本名は下村有栖。最近デビューしたみたい。そして電撃ソロデビュー」
「だって」

愛莉が聞いてきた。

「愛莉時間かかってもいいからその下村さんの事調べられない?」
「恵美に聞いてみる」

愛莉がスマホを操作する。

「わかったって、一週間くらいあったら根掘り葉掘り調べてあげるって」

愛莉が言う。

「ありがとう」

愛莉の頭を撫でてやる。

「だ~めっ!」

なんかまずいことしたか?

「そんな事くらいじゃ誤魔化されないもん。ちゃんと構って」
「……わかったよ」

愛莉とベッドに入る。
下村さんの事は気になるけど今は愛莉に没頭した。
微睡の時間はあっという間に過ぎていく物で。
何も知らずに僕達は闇の中に足を踏み入れるのだった。
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