優等生と劣等生

和希

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5thSEASON

きみのて

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(1)

「冬夜君おはよう~朝だよ~」
「おはよう愛莉」

あれ?
今日日曜日だよな?
なんで愛莉着替えてるんだ?

「愛莉?」
「な~に?」
「今日学校休みだよな?」
「そうだよ~」
「今日は愛莉のメンテをする日だよな?」
「してくれるの~?」
「いや、外が良いのか?」
「ほえ?」
「いや、着替えてるからさ」
「冬夜君がしたいんだったら外でもいいけど~」

したいとは一言も言ってない。

「でも、ちょっと一人でお出かけしても良いかな?」

おかしい。
いつもだったら「お嫁さんを一人にするの!?」って怒る愛莉が一人で買い物?

「友達と約束?」
「いや、一人だけだよ?」
「珍しいね?」
「だめ?」

まあ、愛莉も一人でお出かけしたい事もあるだろう?
家にいると家事を始めるから外に出てもらう事に越したことは無い。
その間ゲームでもしてるか。

「いいよ、いっておいで」
「うん!寂しいからだめだって言われるかと思ったけど良かった~」
「偶には一人で羽を伸ばしておいで」

僕がそう言うと愛莉はじっと僕を見てる。

「どうしたの?」
「だめだからね」
「なにが?」
「私がいないからって悪さしたら駄目だからね!」
「しないよ」
「じゃ、ご飯食べよう?」
「ああ」

そうして朝食を食べるといつものように部屋でコーヒーを飲んでテレビを見ている。
愛莉はカフェオレを飲むとすぐに化粧を始めてそして準備が終ると出かけて行った。
愛莉の居な時間か。久しぶりだな。
ゲームをしながらスマホを弄る。
その後昼ご飯を食べてベッドに横になって漫画を読み時間を潰す。
うーん……。
愛莉がいないだけでこんなに静かなのか。
愛莉がいないだけでこんなに退屈なのか。
今まで愛莉に依存し過ぎていたのかもしれないな。
皆は奥さんいないとき何してるんだろう?
男子会で聞いてみた。

「部屋の掃除やってるよ」と誠。

意外だなよほどこたえたんだろうな。

「俺はゲームやってるよ」と桐谷君。

桐谷君は亜依さんがいるとゲームをさせてもらえなくなったらしい。
他の人の意見も聞いてた。
車弄ってるとか趣味の時間にしてる人が半分、家事してるのが3割残りの2割は寝てるとか。

「遠坂さん出かけてるならお前もでかけたらどうだ?」

誠が言う。

「いつ帰ってくるか聞いてなかったから無理だよ」と返す。
「そんなの関係ないって!勝手に遊びに行ってるんだからお前も遊びに行けば良いんだよ!」

桐谷君がいう。

「止めてくれ!また嫁さんに見られたら騒ぎの元だ」と皆が言う。

嫁さんか……

「同棲する前にやっとくことってある?」と聞いてみた。

「やっぱり遊んでおくべきだな」と皆が言う。

「それは言えてる!同棲ならまだいい!結婚したらマジで人生の墓場だぜ!」と桐谷君が言うと「だからやめろ!」とみんなが怒る。

皆大変なんだな。

「本当は一人旅でもしておくといいんだろうけど、片桐は許してくれなさそうだしな」と丹下さんが言う。
「一人で飲みに出るのもだめだろうな」と椎名さんが言う。

うん、多分どっちとも怒ると思う。
そうやって話していると桐谷君がいなくなった。
どうしたんだろう?

「ところで今冬夜一人なのか?」

誠が聞いてきた。

「うん、愛莉一人で何か買い物があるらしくて」
「珍しいこともあるんだな。まさか浮気してたりしてな」

同棲前にそれは無いだろう。

「誠の言う事なんか気にしなくていいぞ。愛莉はトーヤ一筋なんだからお前も余計な事考えるな」

カンナだな。

「わかってるけど……」
「けどなんだよ?」
「カンナは誠一人にしてる時って不安なのか?」
「不安だらけだよ、色んな意味で」
「ていうかこんな話題なら渡辺班でやればいいじゃないですか!どうして男だけでこそこそ話そうとするんですか!?」

花菜さんかな?
木元先輩もスマホ見られたらしい。
渡辺班のチャットを見る……うわぁ……。

「ちょっとまた男共がこそこそやってるよ」
「ちょっと見てみる……これはひどいわね」
「結婚は人生の墓場……マジ最悪」

その後また皆が怒られてる、必死に宥める姿が目に浮かぶ。
ちょっと笑っていた。
すると火の粉は僕に飛んでくる。

「片桐君!自分は関係ないと思ったら大間違いよ!」
「そうだ!もとはお前が話題作ってるじゃねーか!」
「愛莉に報告したからな!」
「スクショとって愛莉に送っておいたから!」

まずい。

「ただいま~」

愛莉が帰ってきた。
愛莉はどたどたと階段を上って部屋に向かってくる。

「冬夜君ただいま~」
「お帰り愛莉」

まだ気づいてないようだ。
と、思ったのは気のせいで。

「冬夜君スマホ見せて♪」
「さて、愛莉も帰って来たし、そろそろメンテしてやろうかな?」
「分かったからスマホ見せて♪」
「あ、愛莉外がいいって言ってたな家だと声気になるよな。じゃあ僕出かける準備するから……」

ぽかっ

「いいから見せなさい!」

仕方ないからスマホ見せる。

「あ~やっぱりログ消してる!」

そのくらいの対策練るさ。

「でも無駄だもん、ちゃんと証拠はあるんだから!」

愛莉は自分のスマホを見せつける。
男子グルのチャットのログが残ってる。
誰だこんな真似をしたのは……木元先輩だ。

「冬夜結婚するってのはこういう事だ……諦めろ」

こりゃまた怒られるな。そう思った。だけど愛莉は笑ってる。

「私がいないと何したらいいか分からないなんて、本当に困った旦那様ですね」
「愛莉といる時間ながかったからな。いざいないとなると分からなくなるんだ」
「それでみんなに聞いていたの?」
「まあね」
「う~ん……冬夜君前だったらゲームとかしてたじゃない」
「最初はしてたんだけどね」
「う~ん……」

愛莉も悩んでいるようだ。

「冬夜君もおでかけする?」
「愛莉いつ帰ってくるか分からないだろ?」
「本当に私がいないとだめなんだね」
「みたいだね」
「じゃあ、冬夜君一人にする時間は必要ないね」

そうだな、することないしな。

「わかった、じゃあ今度からは私も冬夜君と一緒に選ぶ~」
「何を?」
「そ、それを聞くんだね……」
「聞いちゃいけなかった?」
「うん……」
「じゃあ、聞かないでおくね」
「ありがとう~♪明日渡すから」
「何を?」
「秘密だよ~」

愛莉はそう言うと部屋着に着替える。
外でメンテの話は白紙になったらしい。
に、してお明日何があるって言うんだ。
カレンダーを見る。
あ、なるほどね。
僕は気づかないふりをした。

「でね、ついでにDVD借りてきたの~冬夜君と一緒に観ようと思って」

愛莉が借りてきたのは韓流物のドラマ。
あんまり好きじゃないんだけどな。
無駄に長いし……。

「愛莉今夜は久々にゲームしない?」
「ゲーム?」
「うん、あまり日曜の夜に家にいるってなかったから……」
「うぅ……冬夜君はゲームがしたいの?」
「愛莉と一緒にしたいなって」
「じゃあ、その後一緒に観てくれる?」
「明日に差し障りない程度なら」
「そりゃそうだよ……だって明日は……」
「明日は?」

僕はニヤニヤと笑っていた。

「秘密だもん!冬夜君の意地悪~」

その晩は愛莉とゲームしたあと日付が変わるくらいまでドラマを見ていた。
先に寝たのは愛莉だった。
疲れてたんだろうな。
愛莉を抱きかかえてベッドに入れると自分もベッドに入って眠りについた。
朝になったら愛莉がサプライズしてくれるんだろうなと思いながら」

(2)

ドン!

やってしまった。
軽い追突事故。
一瞬の油断が招いた事故。
初めての事故で戸惑った。
車へのダメージはそんなにない。
まずは被害者の怪我の有無が優先だっけ?

「すいません、怪我は無いですか?」

乗っていたのは女性運転手一人のようだ。

「だ、大丈夫です」

運転手も降りてきてぶつかった箇所を見る。
両方ともそんなに大した被害は無い。

「車も無事みたいだし、警察の処理も面倒だし無かったことにしませんか?」

女性の方から言って来た。

「いいんですか?」

俺は聞いていた。

「ええ、大丈夫です」
「もしなんかあったら言ってきてください。僕の名前は桐谷瑛大」
「私は柏木里穂。あ、住所と連絡先も……」

お互いにメモに書いて渡す。

「それじゃあ、どうもすいませんでした」
「いえ、それでは」

そう言ってその場は無事にしのいだ。
僕は車に乗ると慎重に運転を始めた。
正直気が動転してて車の運転どころじゃなかった。
早く家に帰って休もう。
家に帰ると亜依はもう帰って来てた。

「どうした?やけに遅かったな?ゲーム始まってるぞ?指揮はまだかって言ってる」
「あ、ああそうだね!」

僕はゲームをする。
頭の中はそれどころじゃなかったけど。思うように指示が出来ずにピンチだったけど。冬夜がフォローしてくれた。

「僕と愛莉で逆凸するから合図したらみんな飛び出してきて」
「この程度の防衛なら僕一人で砦取れるから合図するまで緊急招集はしないで」

そうやっていってなんとか4砦は確保できた。

「冬夜ありがとう、マジ助かった」
「いいよ、たまにしか参加できないし。じゃあまた」

そう言って二人はログアウトしていった。
経費の精算を済ませると夕食を食べにファミレスに行く。

「あれ?」

亜依が何かに気づいたみたいだ。
車に携帯してる懐中電灯で照らすとナンバープレートが曲がりフロント部分の一部の塗装が剥がれてる。
おかしいな、ぶつけたときは何ともなかったのに。

「帰りに何があった?」
「何にもないよ」

しかし女の勘て鋭いらしくてファミレスに着いた後も容赦なく追及される。
嘘ついて誤魔化した。

「じ、じつはポールにぶつけちゃって」
「運転は気をつけろって言っただろ。ぶつけた相手が車や人じゃなかったから良かったものの」
「修理は自分でするから」
「気をつけろよ」
「わかった」

亜依に怒られた。
これでこの事件は終わったものだと思っていた。

(3)

「冬夜君。朝だよ。起きて」

愛莉が優しく起こす。

「おはよう愛莉」

毎朝の挨拶を交わすと愛莉が小箱をくれる。

「はいこれプレゼント。今日は冬夜君の誕生日だよ」
「ありがとう愛莉」
「えへへ~」

僕より嬉しそうな愛莉は「早く開けて見て」と急かす。
中味は腕時計だった。
結構値段もしただろう。

「冬夜君も来年から社会人だもん、相応なものつけとかなくちゃ」
「ありがとうな」

愛莉のおでこにキスしてやると愛莉は抱きついてくる。
そのまま続きを楽しみたいけど朝食が待ってる。

「愛莉の朝ごはん冷めちゃう。急ごう?」
「うん」

そう言ってダイニングに行く。

「冬夜喜びなさい。今夜の夕食は愛莉ちゃんが作ってくれるそうよ。ケーキも焼いてくれるって」

母さんが言う。

「お前は本当に立派に育ってくれた。国民栄誉賞まで受賞して。愛莉ちゃんと言う立派なお嫁さんまでみつけて……俺はお前の父であることを誇りに思う」

父さんが言った。

「今夜は遠坂さんも呼んでるからな。目一杯飲め!」
「明日の授業に差し支えないていどにしとくよ」

そう言って部屋に戻る。
コーヒーを飲みながらテレビを見ていれば、愛莉が隣に座りカフェオレを飲みだす。
飲み終わると愛莉はマグカップを持って下に降りる。
僕が片付けると言うと「冬夜君は学業に専念して。来年度には仕事に専念してもらうんだから。私はその練習」と言ってさせてもらえない。
来月には引っ越しの準備か。
長い事暮らして来たこの部屋ともお別れか。
そんな感慨に老けていると愛莉が戻ってくる。

「ただいま~」

愛莉が飛びついてくる。
今日くらい愛莉に甘えさせてやろう。
頭を撫でてやる。
そんな時間もあっという間に過ぎ学校に行く時間が近づくと愛莉は化粧を始める。

「いいよ~」と愛莉が言えばバッグを持って家を出て学校に向かう。

授業を受けて昼休みになると皆が待っている学食に向かう。
石原夫妻と酒井夫妻、渡辺君達の居るテーブルに座る。

「彼女筋がいいみたいですよ、コーチ陣が驚いてます」

石原君が言う。
ALICEこと下村有栖の事だろう。
彼女は今年のクリスマスにデビューシングルを出すらしい。
デビュー曲は「イン・ワンダーランド」
地元をメインに活動していくそうだ。
大学を卒業すれば日本中に舞台を広げていくつもりらしい。
新しい歌姫として活躍すること間違いないとコーチ陣が自信ありげに語ってるそうだ。
もちろんグレーゾーンな商法は使わない。彼氏もいると明言したうえでの活動になる。
それってアイドルとして不利なんじゃないかと思うけど、あとで発覚して傷を負うよりはましだという判断らしい。
彼氏がいるからと言ってそっぽを向かれるならその程度のレベルだったと諦める。そう決めたらしい。
もちろんステージに立っている間はALICEとして生きる。だけどステージから降りた後は下村有栖として嘘をつかず正直に生きたい。そう彼女から訴えたらしい。
営業としては困ったらしいがそこは石原君の鶴の一声でやむなく承諾を得たらしい。
そんな話をしていたらあっという間に時間は立つ。
皆午後の授業を受けてその後は各々行動する。
秋吉君は私立大に向かい、下村さんの送迎。
石原夫妻も事務所の様子を見に行く。
他の皆もサークルやバイトで忙しい。
僕達も今日は帰りにスーパーに寄って愛莉の食材調達を手伝う。
人数が人数なだけに食材も大量だ。
重い荷物をかわりに持ってやる。
愛莉が他の夫婦の買い物を羨ましそうに見ていれば、愛莉の手を繋いでやる。
愛莉は嬉しそうに僕にくっ付いてくる
僕はあとどれだけ愛莉を喜ばせてやれるだろう。
車で帰っていると「えっ?」と声を出す愛莉。

「どうしたの?」
「桐谷君が事故でトラブってるって」

事故!?
何をやったんだ!?桐谷君。

(4)

学校が終わって家に帰ると家の前に知らない男が立っていた。

私は誰だろうと思いながら家に入ろうとすると「あんた桐谷瑛大の関係者?」と聞かれた。

「桐谷瑛大は私の主人ですけど」と言うと、彼はドアをドンと叩いた。

「俺の連れが瑛大ってやつに追突されてむち打ちで入院してるんだけどどうしてくれるの?」

追突事故!?
私は瑛大に確認のメッセージを送っていた。
瑛大はあっさり認めた。すぐに帰るという。

「とりあえず上がってください、主人はすぐに帰ってくると言ってるので」

男を家に入れて私がお茶を出してる頃瑛大は帰ってきた。

「すいませんでした!」

瑛大は土下座する。

「頭下げてどうにかなる問題じゃない事くらい頭のいい大学生ならわかるだろ?どうするんだよ?」
「お、お金ですか?」
「お前の誠意を見せろって言ってんだよ」

困った。瑛大の馬鹿は事故の通報をしていなかった。
自賠責も任意保険も使えない。
瑛大の言う通りの追突事故なら過失割合は100対0だ。
だけど、車のあの程度のへこみ具合でむち打ちは起こり得るか?
黙って事態を観察していた

「そうだな1000万」

え!?

「治療費と慰謝料込みで1000万払えよ」

無茶苦茶を言う。

完全な詐欺だ。
それもど素人の。
自賠責でも120万円までと定められてる。
むち打ちならその辺で示談交渉に持って行くのが定石だと聞いた。
瑛大は自分の過失で動揺している。
私が代わりに交渉した。

「申し訳ありません、私どもの経済事情ではそのようなお金とても支払いきれません」
「それがあんたたちの誠意なわけ?」
「そういうわけではありません。ですから今後の対応を相談して後日対応させてもらうってわけにはいきませんか?」
「いいだろう?一週間後にまた来る。もし逃げるようなら遠慮なく訴えるからな」

こっちを素人だとなめてかかってる。事故証明もないのに起訴などできるものか。
第一そっちだって道交法違反だろうが。
私は確信した。これは詐欺だ。

「恐れ入りますがお名前をお伺いしていいですか?」
「広末太一、事故った柏木里穂の彼氏だ」
「その柏木里穂さんの入院されてる病院はどちらに?」
「尾藤クリニック。明野にある」
「分かりました。後日改めてお詫びに伺います」
「それは結構だ!里穂は今面会謝絶だ」
「わかりました。今後の対応について主人と相談しますので一週間後に」
「逃げるなよ」

そう言って広末は帰っていった。
帰っていったあと私は渡辺班に報告する。

「詐欺にもなってないわね。そんなの相手にすることない」

晶が言う。

「でもこのままっていうのも面白くないわね。良い暇つぶしが出来るわ。その二人と尾藤クリニックを洗えばいいのね」
「お願い」
「困った時の渡辺班よ。気にしないで」

恵美はそう言った。

「亜依ごめん。本当にごめん1000万は僕が必ず用意するから」
「馬鹿かお前は?」
「え?」

瑛大に一から説明する。

「じゃあ、僕は騙されてるってこと?」
「まあ、早い話がそうだな……でも、事故を届け出なかったお前にも落ち度があるんだぞ!この馬鹿!どうして昨日嘘ついた!?」
「だって、事故なんてしられたら亜依に怒られるのが怖くて」

ったくこの馬鹿は。

「前からあれほど言われてきただろ!状況判断が難しい公道でスピードは出すなって」
「す、スピードはだしてないよ!」
「同じだ!どうせスマホを見ながら運転とかしてたんだろ?」
「ご、ごめん。それで俺どうしたらいいの?」
「とりあえず恵美の報告を待とう」

片桐君の判断を仰ごう。

(5)

「お誕生日おめでとう~」

冬夜君の家でりえちゃん達を招いてパーティが行われた。

「……冬夜君おめでとう、しかし前から言っている事だが」
「……来年のクリスマスイブには指輪を買うつもりです」

どこまでも生真面目なんだから。今すぐもらってもいいんだよ?
長いセリフはいらないからねそんなに待ってれないよ?

「冬夜君も無事卒業できるみたいだし、就職も決まってるし~よかったですね~。私達もやっと愛莉ちゃんを送り出せるわ~」

りえちゃんが浮かれている。本当に嬉しいんだろうな~。まっててね。すぐに元気な孫みせてあげるからね。

「冬夜、来年からは、ちゃんとやっていけるんだろうな?」
「冬夜、愛莉ちゃんに苦労かけるんじゃないよ」
「わ、分かってるよ」

冬夜君のパパさんと麻耶さんが言ってる。
でも冬夜君言ってた。苦楽を共にするのが夫婦だって。どんなに苦しい時でも冬夜君と一緒ならやっていける気がするの?
パーティが終わった後私達は片づけを始めてパパさん達と冬夜君はリビングで飲んでる。

「いいか、絶対に愛莉ちゃんに逆らうな。それが夫婦円満の基本中の基本だ!」
「う、うむ……」
「愛莉に逆らうなんて無理だよ」

うぅ……。また余計な事を冬夜君に吹き込んでる。

「パパさんだめよ~まだ未婚なのに余計な事吹き込んだから」

りえちゃんが怒ってる。

「う、うむ……頑張れ」

片づけが終るとパパさんとりえちゃんは帰る。
冬夜君は冬夜君のパパさんと飲んでるみたい。男同士で飲みたい酒もあるって聞いた。今がその時なんだろうな。
私は先にお風呂を頂くことにした。
お風呂から出ると冬夜君は部屋に戻ってきていた。

「お風呂空いたよ~」
「ああ、ちょっと入ってくる」

冬夜君は着替えを用意してお風呂に行った。
その間にテレビを見る……詰まんないので残りのDVDを見ることに。
1話見終わる頃冬夜君が帰ってきた。
冬夜君は飲み物を持ってきていてそれを飲みながらスマホを見ている。
きっと桐谷君の事だ。
上手く甘える方法は無いだろうか?

「桐谷君どうするの?」

冬夜君の腕に胸を押し当てる。
私の気持ちに気づいてくれるかな?

「そうだね、一々相手にするのも面倒だし早々にご退場願おうか」

冬夜君はそう言った。
恵美の報告書だと尾藤医院に柏木里穂と言う人物は通院すらしていない。
柏木里穂と広末太一の住所まで全て洗いざらい調べつくしていた。

「今回はどう料理するの?指揮官様?」

公生君が言ってる。

「今夜はちょっと用事があるから明日考えるよ」

ほえ?

冬夜君はそう言うとスマホをテーブルの上に置いて充電を始める。

「さてと」
「きゃっ」

冬夜君は私を抱きかかえるとベッドに運ぶ。

「今夜は愛莉もプレゼントしてくれるんだろ?」
「……うん!」

照明を落として私達は重なる。
あなたの手を握り締めて、私達は眠りについた。
私へ触れ続けるその手はやさしかった。
何気なくそして強く私はいつも守られてる。
この部屋から見えるものすべて、今また違って見える冬夜君がいた。
それでもう私の特別だった。
諦めではなく無理しているつもりでもなく思いのまま遠くへ愛を解き放って。
繰り返しながらもどうしようもなくなりながらも儘ならぬ私は愛を見つけて見つめて想いはてぬまで。
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