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5thSEASON
ボクノテ
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(1)
「冬夜君おはよう」
「おはよう愛莉」
朝の挨拶を交わすと僕はベッドから出て顔を洗おうとすると愛莉が後ろから僕の腰に手を回す。
「どうした愛莉?」
愛莉は何も言わない。
まあ、こういう時は大体決まってる。
「朝の仕度すんだらな?」
「……うん」
愛莉から解放されると僕はダイニングに向かう。
愛莉はその後ろをついてくる。
朝食を終えるとマグカップを持って部屋に戻る。
テーブルの上にマグカップを置き、床に座ると愛莉を受け入れる。
こんな事をしている時間があるのももうそんなにないだろう。
ならば今のうちに甘えさせてやれと思っていた。
愛莉に余計なストレスを与えまいと思った。
すると愛莉はやりたい放題するようになった。
こうしてコーヒーを飲んでる間もじゃれついてくる愛莉。
そしてある時間になるとスイッチが切り替わったように化粧台に向かう。
それを確認して僕も準備を始める。
愛莉の準備が終わった頃を見計らって愛莉に言う。
「そろそろ行く?」
「うん」
そうして家を出て学校に向かう。
道端に雪が目立ち始める今日この頃。
街の中ではイルミネーションが飾られてある。
寒いだろうに愛莉は律義に僕の好みのファッションに合わせてくれる。
ロングスカートにロングコート
厚手の手袋にマフラー
頭には帽子をかぶってる。
授業が終わり昼休みになると皆で昼食。
楽しい雰囲気とは裏腹に話の内容は非常に物騒な内容だった。
「今日が期限だったわね」
恵美さんが言う。
「そろそろきちんと対応してあげないとね?」
晶さがにやりと笑う。
一週間きちんと検討してきた。
そして丁寧に対応してやろう。そう決めていた。
亜依さん達とは打ち合わせ済み。
16時に対応を始める手はずだ。
「ところで一つお願いがあるのですが」
酒井君が言って来た?
「どうした酒井君?」
「誰か知り合いでバイトを探してる子いませんかね?」
今年度限りで酒井君と穂乃果さんが青い鳥を止める。
バイトが北村さん一人になってしまう。
求人を出そうにも良くも悪くも青い鳥は噂になってしまい人が来ない。
渡辺班にいい人がいないかと言う話だ。
出来れば男手が欲しいとの事。
「渡辺班にはちょうど良さそうなのがいないな」
渡辺君が言う。
「ですよね~」
渡辺班の大抵が既にバイトなりサークルなりしている。
如月君は家が遠い上に接客に向いてない。
「善君なんでそう言う話を言わないの?」
晶さんには話してなかったようだ。
「うちの子会社に派遣会社があるわ。そこから派遣社員を出せばいいじゃない」
「派遣社員を雇うような力ありませんよ」
「私が行くわ。時給今のバイトより良さそうだし、何より近いし」
咲さんが言う。
「じゃあ、今日にでも面接来ておくれ」
「はい、あとは来年度の新入生をバイトに勧誘すればいいだけの話ですよね?」
「あてがあるのか?」
「ないですけど、渡辺班に加入する条件にすればいいだけじゃないですか?」
「それはどうかな?」
僕が言った。
「だめですか?」
「渡辺班のイベントの時に誰もいないという事態が発生してしまう。渡辺班とは別にしたほうがいい」
今までそれが問題にならなかったのが不思議なくらいだ。
「冬夜の言う通りだな、青い鳥の事を考えると渡辺班のメンバー以外とは別に探した方が良さそうだ」
渡辺君が言う。
「まあ来年になればまた何か変わるさ」
僕が言う。
「卒業か……あとわずかになって来たわね……」
恵美さんが言う。
「皆で卒業旅行行かない?」
晶さんが言う。
「そうね、4年生だけでいいから行きたいわね」
「どこに行く~?」
恵美さんと愛莉が言う。
「国内と国外……それにも寄ってくるわね」
晶さんが言う。
「沖縄なんてどうかしら?」
恵美さんが提案した。
「時期的にもいいし、パスポート取らなくていいし、どうせみんな新婚旅行で沖縄なんて考えてないのでしょう?」
「私達は新婚旅行すら考えてなかったからな。」
カンナが言う。
「そういう人にもお勧めよ。沖縄は」
俺は構わんが皆はどうだ?
「亜依たちは良いって言ってるけど」
恵美さんがスマホを見ながら言ってる。
「じゃあ、決まりね」
皆が騒いでる中愛莉が囁いた。
「あのね……」
愛莉の考えてる事は分かる。
「僕達は北海道にでも行こうか?」
「うん!」
やっぱり2月の間に引っ越し決めて良かった。
沖縄と北海道か。
話し合いの結果3月の中旬に卒業組だけで沖縄に2泊3日で行くことになった。
なら僕達は3月上旬かな。行きたいところはあったんだ。
そんな話をしていると。時間になる。
皆は教室に向かう。
「卒業旅行か~楽しみだね」
「そうだな」
まずは目の前の問題を片付けないとな。
(2)
その晩私達はとあるアパートに来ていた。
呼び鈴を押す。
「は~い」
弾む様な女性の声。
だがその声も次の瞬間変わった。
「桐谷と申しますが」
「えっ?」
沈んだような声に変わる。
ドアが開く。
「あの……なにか?」
「はじめまして、桐谷亜依と申します。主人が大変ご迷惑をおかけしたそうで。柏木里穂さんですね?」
「え、ええ……」
戸惑う女性。
「尾藤クリニックに入院していると聞いていたのですがいないと言われたのでご自宅にお詫びに伺いました」
「里穂!誰だ!!」
男の声がする。
「桐谷さんがお詫びに来たの」
彼女の声は今にも泣き出しそうだ。
「なんだと!?」
男は上半身裸でやって来た。刺青がはいっている。
「なんだ?金は持ってきたのか?」
「謝礼金なら用意してきました」
私は男に封筒を渡す。中には20万円入っている。
「主人の犯した過ち。それに対するお詫びと修理費です」
「ふざけるな、全然足りねーぞ!」
「黙って受け取っておいた方がいいと思うよ?」
一緒に来ていた片桐君が言う。
「裁判沙汰になったらこっちが有利だ。君達は嘘をついてお金をだまし取ろうとしていたんだから」
「追突なんだから過失は100対0だ。近頃の大学生はそんな事も知らないのか!」
「事故証明も無いのにどうやって起訴するの?君達も道交法違反だ」
「あ?俺達を脅そうって言うのか?」
「そんなつもりはない。桐谷君のしでかした過ちは事実だ。だからその非礼を詫びに来た。……悪いけど柏木さんと話がしたいんだけど」
「舐めてんじゃねーぞガキ!」
広末が片桐君に掴みかかる。片桐君はその手を取るといとも簡単に投げ飛ばした。
広末は地面にたたきつけられる。
「悪いがそこで大人しくしててもらえないか。俺達は彼女と話に来たんだ」
ぽかっ
「冬夜君落ち着きなさい!また『俺』になってる」
愛莉が片桐君の頭を叩く。
地面にたたきつけられた男の右腕を石原君の足が踏みつけていた。
「下手に抵抗しようとしないでくださいね。僕も争いごとは好きじゃないんだ」
石原君が言う。
「桐谷君。ちゃんとお詫びしないと」
「す、すいませんでした」
片桐君が言うと瑛大がお詫びをする。
「だ、だから私は止めようって言ったのに」
柏木さんは泣いている。
「お、お前らこんな真似してタダで済むとおもってるのか!?」
広末は石原君と片桐君に何か文句があるようだが石原君が言う。
「スティンガーですか?紅会ですか?……どっちにしろ僕達に手出しは許さない」
冷酷な目で見下ろす石原君。
片桐君も振り返ると広末を睨みつける
「お前は黙ってろ」
広末は怯えている。
「……行こうか桐谷さん達」
片桐君が言う。
「そ、そうだね。用は済んだし……」
私達は家を出る。
最後に出るのか片桐君。
片桐君は広末を無言で再び睨みつける。
広末の目が泳いでる。
片桐君が無言のまま立ち去ると私達も後を追った。
(3)
「あなた達が江口さん?」
僕達は見覚えのない下級生に呼び止められた。
養子と言う事で姓は江口に変えてある。
元々の姓ははもう戸籍すら残ってないので今さらこだわる必要もなかった。
「そうだけど君は?」
奈留が僕の手を離さないのはその子の性は女性だったから。
「私の名前は森重栞里。森重清太の娘です」
森重清太。確か来年の市長選に出馬予定の元市議会議員。
「その森重さんが僕達に何の用?」
「いえ、親戚がいると聞いたので挨拶しておこうと思って。今年卒業みたいだし」
親戚?ちょっと興味が沸いたので帰りにファストフード店に酔って話を聞いてみた。
森重清太の秘書は林田雄平・林田英恵の旦那さん。
林田英恵は恵美さんの従姉にあたるらしい。
今は海外に出張しているが今日帰国したらしい。
それで今日4人で会食をするのだとか。
英恵さんの母親は敏腕の貿易商でその事業の手伝いの傍ら自身も洋服のデザインを手掛けているのだとか。
ETCを設立した立役者でもあるらしい。
恵美さんの親族に関しては何も聞いてなかったので。驚いていた。
やっぱり一族揃って凄いんだな。
「先輩も転校初日から凄かったって噂は伺っています」
あまり褒められた噂じゃないけどね。
そうしてしばらく話をしたあと店で彼女と別れた。
「公生」
奈留が腕を掴む。
「分かってる、後をつけよう」
多分奈留も同じ嫌な予感がしたんだろう。
気づかれないように後をつける。
すると彼女のそばにワゴン車が止まり。車から森重さんを掴む手が伸びる。
必死に抵抗する彼女。
僕は駆け出してその腕を掴み投げ壁にたたきつける。
「奈留!森重さんをお願い!」
大人3人に囲まれたけどこのくらいどうってことない。
掴みかかる男を一人ずつ壁に投げつけて倒していく。
3人目を投げ終えた頃車は逃走した。
「君達何者?彼女に何の用があるの?」
男の口は堅い。
そう言う訓練を受けているんだろう。
騒ぎになるとまずいと思った僕達は彼等を解放した。
「森重さん、彼等に心当たりは?」
「多分父のライバルの仕業です」
確か市長は現職の安藤玉枝が退任して衛藤信一郎と対立する図式だったはず。
市長選の為に人さらいか。
大方立候補を止めるように脅しをかけたんだろう。
僕達は彼女を家に送り届けると、その事をおじさんに伝えた。
「危ない真似はよしなさいといったはずだが?」
おじさんは僕達を叱る。
「勇気と無謀の違いを知りなさい」
「ごめんなさい」
「うむ、しかしよくやった。その件はおじさんが調べてみよう」
おじさんがそう言った。
部屋に戻ると渡辺班にメッセージでその事を伝えていた。
市長選開票はは2月末。
何事もなければいいんだけど。
(4)
桐谷君の件が片付くと僕と恵美は恵美の実家に向かっていた。
恵美が突然呼び出されたらしい。
何事だろう?と話しながら恵美の実家に着いた。
恵美の玄関をくぐると一人の女性が恵美に抱き着く。
茶髪のポニーテールで恵美より背が高い顔の輪郭が整ってる人。
「恵美!元気だった!?久しぶり!」
「英恵!久しぶりじゃない!いつこっちに戻ってきたの?」
恵美は知っているようだ。
恵美は僕を見て英恵さんに僕を紹介した。
「この人が石原望。私の主人よ」
英恵さんは僕を見定めるように見て言った。
「へえ、坊やが噂の「ヘッジホッグ」?初めまして、恵美の従姉の林田英恵です」
「はじめまして」
「私も紹介するわねそこに立ってるのが私の旦那林田雄平」
林田雄平さんは小さい子供を抱えながら会釈をした。
雄平さんの足にはもう一人小さい子供がしがみついている。
英恵さんは年に4回子供の誕生日と結婚記念日に帰国しているらしい。
今回帰ってきたのは久しぶりに恵美の顔を見たかったから。
まだ何かありそうな予感がするけど。
「わざわざ私に会いに家に来たわけじゃないわね?忙しいのでしょう?仕事」」
彼女は母親の貿易商の仕事の手伝いで年中海外を駆けまわっているらしい。その傍らファッションデザイナーとしても仕事をしていた多忙を極めるのだとか。
「半分は恵美に会いに来たんだけど半分はちょっと別件があってね。おじさんに会いに来たのよ」
「父さんに?」
「ええ、兵隊を貸してほしくてね」
穏やかじゃない話だな。
「恵美、森重清太って知ってる?」
「新聞くらい見てるわ、次期市長選に出馬するとかなんとか」
「その森重清太の秘書を彼がやってるの」
森重清太は、現職の安藤玉枝を退いた後の市長の座を狙っているのだとか。腐敗した市政を清浄化させたい。ゆくゆくは県政を変えていきたい。そう考えてるらしい。
しかし対立する衛藤信一郎は現職の後継者。地盤が固い。
それでも彼の献身的な活動は若い世代の人気を集め、浮動票を集めるだろうと言われている。
そこに江口グループの票が加われば劣勢を覆す可能性もあると言われている。
話が噛み合った。
そこで公生と奈留の言っていた誘拐未遂にあたったわけだ。
兵隊を使って親族の警護を頼みたいという話。
「それで父さんは?」
「力を貸してくれるそうよ」
「それはよかった。英恵はいつまで滞在するの?」
「年内はこっちにいようと思う」
「そうなのね」
「恵美の旦那もいい面構えしてる。よかったわ。じゃあ私達はこれで帰るから」
「ええ、また会える日を楽しみにしてる」
「帰る前にまた寄るわ。恵美……主人の事お願いしていいかしら。今は真面目にやってるけど昔はやんちゃやってたから」
「そういうことね……任せておいて」
「それじゃあ」
そう言って英恵さんは帰っていった。
僕達もお義父さんとお義母さん、公生と奈留に挨拶して帰りに着いた。
「なんか素敵な人だったね」
「そりゃそうよ、私の憧れだったお姉さんなんだから。昔はすごかったけど」
高校時代はかなりやんちゃやってたらしい。
高校を卒業した後も定職に就かずにやりたい放題。
そんな時代に3つ下の今の亭主と知り合ったらしい。
その後見るに見かねた英恵さんのお母さんが自分の事業の手伝いをさせたんだとか。
その時に森重清太と出会い、その意志に共鳴して今の彼がいるそうだ。
「勝たせてあげたいわね。森重清太。雄平さんを変えるほどの人物なんだもの」
「そうだね」
市政を変えるか……。
僕達にはどうすることもできないけど、一度森重清太さんと会ってみたい。そう思っていた。
(5)
愛莉が風呂に入っている間渡辺班のチャットを見ていた。
森重清太か……。
渡辺班はどこまで勢力を拡大するんだろう?
まあ、江口グループが動くのなら僕達の出る幕はないだろう。
さすがに政界にまで介入は難しい。
それでも志水グループも協力すると言ってる。
上手くいけば森重清太が市長になれるかもしれない。
森重清太がどんな人なのか興味が沸いた。
一度会えるものならあってみたい。
「冬夜君ただいま~」
「あ、おかえり愛莉」
「はいこれ~」
今日はカクテルか。
愛莉と飲んでテレビを見る。
何も変わらない日常がニュースで流れている。
今年の漢字も決まったらしい。
世間はクリスマス、そして年末へ向けて動き出している。
来年は僕達にとっても大切な年だ。
愛莉と二人だけの生活。
そして愛莉にプロポーズをする年。
「今年も色々あったね~」
愛莉が言う。
「そうだね」
「来年はどんな年になるんだろうね」
「まずは住む場所決めないとな?」
「そうだね!」
愛莉も同じ未来をみているんだろうか?
誰もが抱いているのだろう。
大切なものをそれぞれの約束を信じて。
同じ空を見上げて降り注ぐ光に包まれ、突き刺さる風に広げた僕の手
手繰り寄せたそうあの日の愛莉の横顔。
いつかは陽が昇るだろう
今日は続いていく
僕の隣に足りなかった愛莉がいてくれる。
夜明けが目に染みて気づいたのは確かな鼓動を繋ぐ君の手。
「冬夜君おはよう」
「おはよう愛莉」
朝の挨拶を交わすと僕はベッドから出て顔を洗おうとすると愛莉が後ろから僕の腰に手を回す。
「どうした愛莉?」
愛莉は何も言わない。
まあ、こういう時は大体決まってる。
「朝の仕度すんだらな?」
「……うん」
愛莉から解放されると僕はダイニングに向かう。
愛莉はその後ろをついてくる。
朝食を終えるとマグカップを持って部屋に戻る。
テーブルの上にマグカップを置き、床に座ると愛莉を受け入れる。
こんな事をしている時間があるのももうそんなにないだろう。
ならば今のうちに甘えさせてやれと思っていた。
愛莉に余計なストレスを与えまいと思った。
すると愛莉はやりたい放題するようになった。
こうしてコーヒーを飲んでる間もじゃれついてくる愛莉。
そしてある時間になるとスイッチが切り替わったように化粧台に向かう。
それを確認して僕も準備を始める。
愛莉の準備が終わった頃を見計らって愛莉に言う。
「そろそろ行く?」
「うん」
そうして家を出て学校に向かう。
道端に雪が目立ち始める今日この頃。
街の中ではイルミネーションが飾られてある。
寒いだろうに愛莉は律義に僕の好みのファッションに合わせてくれる。
ロングスカートにロングコート
厚手の手袋にマフラー
頭には帽子をかぶってる。
授業が終わり昼休みになると皆で昼食。
楽しい雰囲気とは裏腹に話の内容は非常に物騒な内容だった。
「今日が期限だったわね」
恵美さんが言う。
「そろそろきちんと対応してあげないとね?」
晶さがにやりと笑う。
一週間きちんと検討してきた。
そして丁寧に対応してやろう。そう決めていた。
亜依さん達とは打ち合わせ済み。
16時に対応を始める手はずだ。
「ところで一つお願いがあるのですが」
酒井君が言って来た?
「どうした酒井君?」
「誰か知り合いでバイトを探してる子いませんかね?」
今年度限りで酒井君と穂乃果さんが青い鳥を止める。
バイトが北村さん一人になってしまう。
求人を出そうにも良くも悪くも青い鳥は噂になってしまい人が来ない。
渡辺班にいい人がいないかと言う話だ。
出来れば男手が欲しいとの事。
「渡辺班にはちょうど良さそうなのがいないな」
渡辺君が言う。
「ですよね~」
渡辺班の大抵が既にバイトなりサークルなりしている。
如月君は家が遠い上に接客に向いてない。
「善君なんでそう言う話を言わないの?」
晶さんには話してなかったようだ。
「うちの子会社に派遣会社があるわ。そこから派遣社員を出せばいいじゃない」
「派遣社員を雇うような力ありませんよ」
「私が行くわ。時給今のバイトより良さそうだし、何より近いし」
咲さんが言う。
「じゃあ、今日にでも面接来ておくれ」
「はい、あとは来年度の新入生をバイトに勧誘すればいいだけの話ですよね?」
「あてがあるのか?」
「ないですけど、渡辺班に加入する条件にすればいいだけじゃないですか?」
「それはどうかな?」
僕が言った。
「だめですか?」
「渡辺班のイベントの時に誰もいないという事態が発生してしまう。渡辺班とは別にしたほうがいい」
今までそれが問題にならなかったのが不思議なくらいだ。
「冬夜の言う通りだな、青い鳥の事を考えると渡辺班のメンバー以外とは別に探した方が良さそうだ」
渡辺君が言う。
「まあ来年になればまた何か変わるさ」
僕が言う。
「卒業か……あとわずかになって来たわね……」
恵美さんが言う。
「皆で卒業旅行行かない?」
晶さんが言う。
「そうね、4年生だけでいいから行きたいわね」
「どこに行く~?」
恵美さんと愛莉が言う。
「国内と国外……それにも寄ってくるわね」
晶さんが言う。
「沖縄なんてどうかしら?」
恵美さんが提案した。
「時期的にもいいし、パスポート取らなくていいし、どうせみんな新婚旅行で沖縄なんて考えてないのでしょう?」
「私達は新婚旅行すら考えてなかったからな。」
カンナが言う。
「そういう人にもお勧めよ。沖縄は」
俺は構わんが皆はどうだ?
「亜依たちは良いって言ってるけど」
恵美さんがスマホを見ながら言ってる。
「じゃあ、決まりね」
皆が騒いでる中愛莉が囁いた。
「あのね……」
愛莉の考えてる事は分かる。
「僕達は北海道にでも行こうか?」
「うん!」
やっぱり2月の間に引っ越し決めて良かった。
沖縄と北海道か。
話し合いの結果3月の中旬に卒業組だけで沖縄に2泊3日で行くことになった。
なら僕達は3月上旬かな。行きたいところはあったんだ。
そんな話をしていると。時間になる。
皆は教室に向かう。
「卒業旅行か~楽しみだね」
「そうだな」
まずは目の前の問題を片付けないとな。
(2)
その晩私達はとあるアパートに来ていた。
呼び鈴を押す。
「は~い」
弾む様な女性の声。
だがその声も次の瞬間変わった。
「桐谷と申しますが」
「えっ?」
沈んだような声に変わる。
ドアが開く。
「あの……なにか?」
「はじめまして、桐谷亜依と申します。主人が大変ご迷惑をおかけしたそうで。柏木里穂さんですね?」
「え、ええ……」
戸惑う女性。
「尾藤クリニックに入院していると聞いていたのですがいないと言われたのでご自宅にお詫びに伺いました」
「里穂!誰だ!!」
男の声がする。
「桐谷さんがお詫びに来たの」
彼女の声は今にも泣き出しそうだ。
「なんだと!?」
男は上半身裸でやって来た。刺青がはいっている。
「なんだ?金は持ってきたのか?」
「謝礼金なら用意してきました」
私は男に封筒を渡す。中には20万円入っている。
「主人の犯した過ち。それに対するお詫びと修理費です」
「ふざけるな、全然足りねーぞ!」
「黙って受け取っておいた方がいいと思うよ?」
一緒に来ていた片桐君が言う。
「裁判沙汰になったらこっちが有利だ。君達は嘘をついてお金をだまし取ろうとしていたんだから」
「追突なんだから過失は100対0だ。近頃の大学生はそんな事も知らないのか!」
「事故証明も無いのにどうやって起訴するの?君達も道交法違反だ」
「あ?俺達を脅そうって言うのか?」
「そんなつもりはない。桐谷君のしでかした過ちは事実だ。だからその非礼を詫びに来た。……悪いけど柏木さんと話がしたいんだけど」
「舐めてんじゃねーぞガキ!」
広末が片桐君に掴みかかる。片桐君はその手を取るといとも簡単に投げ飛ばした。
広末は地面にたたきつけられる。
「悪いがそこで大人しくしててもらえないか。俺達は彼女と話に来たんだ」
ぽかっ
「冬夜君落ち着きなさい!また『俺』になってる」
愛莉が片桐君の頭を叩く。
地面にたたきつけられた男の右腕を石原君の足が踏みつけていた。
「下手に抵抗しようとしないでくださいね。僕も争いごとは好きじゃないんだ」
石原君が言う。
「桐谷君。ちゃんとお詫びしないと」
「す、すいませんでした」
片桐君が言うと瑛大がお詫びをする。
「だ、だから私は止めようって言ったのに」
柏木さんは泣いている。
「お、お前らこんな真似してタダで済むとおもってるのか!?」
広末は石原君と片桐君に何か文句があるようだが石原君が言う。
「スティンガーですか?紅会ですか?……どっちにしろ僕達に手出しは許さない」
冷酷な目で見下ろす石原君。
片桐君も振り返ると広末を睨みつける
「お前は黙ってろ」
広末は怯えている。
「……行こうか桐谷さん達」
片桐君が言う。
「そ、そうだね。用は済んだし……」
私達は家を出る。
最後に出るのか片桐君。
片桐君は広末を無言で再び睨みつける。
広末の目が泳いでる。
片桐君が無言のまま立ち去ると私達も後を追った。
(3)
「あなた達が江口さん?」
僕達は見覚えのない下級生に呼び止められた。
養子と言う事で姓は江口に変えてある。
元々の姓ははもう戸籍すら残ってないので今さらこだわる必要もなかった。
「そうだけど君は?」
奈留が僕の手を離さないのはその子の性は女性だったから。
「私の名前は森重栞里。森重清太の娘です」
森重清太。確か来年の市長選に出馬予定の元市議会議員。
「その森重さんが僕達に何の用?」
「いえ、親戚がいると聞いたので挨拶しておこうと思って。今年卒業みたいだし」
親戚?ちょっと興味が沸いたので帰りにファストフード店に酔って話を聞いてみた。
森重清太の秘書は林田雄平・林田英恵の旦那さん。
林田英恵は恵美さんの従姉にあたるらしい。
今は海外に出張しているが今日帰国したらしい。
それで今日4人で会食をするのだとか。
英恵さんの母親は敏腕の貿易商でその事業の手伝いの傍ら自身も洋服のデザインを手掛けているのだとか。
ETCを設立した立役者でもあるらしい。
恵美さんの親族に関しては何も聞いてなかったので。驚いていた。
やっぱり一族揃って凄いんだな。
「先輩も転校初日から凄かったって噂は伺っています」
あまり褒められた噂じゃないけどね。
そうしてしばらく話をしたあと店で彼女と別れた。
「公生」
奈留が腕を掴む。
「分かってる、後をつけよう」
多分奈留も同じ嫌な予感がしたんだろう。
気づかれないように後をつける。
すると彼女のそばにワゴン車が止まり。車から森重さんを掴む手が伸びる。
必死に抵抗する彼女。
僕は駆け出してその腕を掴み投げ壁にたたきつける。
「奈留!森重さんをお願い!」
大人3人に囲まれたけどこのくらいどうってことない。
掴みかかる男を一人ずつ壁に投げつけて倒していく。
3人目を投げ終えた頃車は逃走した。
「君達何者?彼女に何の用があるの?」
男の口は堅い。
そう言う訓練を受けているんだろう。
騒ぎになるとまずいと思った僕達は彼等を解放した。
「森重さん、彼等に心当たりは?」
「多分父のライバルの仕業です」
確か市長は現職の安藤玉枝が退任して衛藤信一郎と対立する図式だったはず。
市長選の為に人さらいか。
大方立候補を止めるように脅しをかけたんだろう。
僕達は彼女を家に送り届けると、その事をおじさんに伝えた。
「危ない真似はよしなさいといったはずだが?」
おじさんは僕達を叱る。
「勇気と無謀の違いを知りなさい」
「ごめんなさい」
「うむ、しかしよくやった。その件はおじさんが調べてみよう」
おじさんがそう言った。
部屋に戻ると渡辺班にメッセージでその事を伝えていた。
市長選開票はは2月末。
何事もなければいいんだけど。
(4)
桐谷君の件が片付くと僕と恵美は恵美の実家に向かっていた。
恵美が突然呼び出されたらしい。
何事だろう?と話しながら恵美の実家に着いた。
恵美の玄関をくぐると一人の女性が恵美に抱き着く。
茶髪のポニーテールで恵美より背が高い顔の輪郭が整ってる人。
「恵美!元気だった!?久しぶり!」
「英恵!久しぶりじゃない!いつこっちに戻ってきたの?」
恵美は知っているようだ。
恵美は僕を見て英恵さんに僕を紹介した。
「この人が石原望。私の主人よ」
英恵さんは僕を見定めるように見て言った。
「へえ、坊やが噂の「ヘッジホッグ」?初めまして、恵美の従姉の林田英恵です」
「はじめまして」
「私も紹介するわねそこに立ってるのが私の旦那林田雄平」
林田雄平さんは小さい子供を抱えながら会釈をした。
雄平さんの足にはもう一人小さい子供がしがみついている。
英恵さんは年に4回子供の誕生日と結婚記念日に帰国しているらしい。
今回帰ってきたのは久しぶりに恵美の顔を見たかったから。
まだ何かありそうな予感がするけど。
「わざわざ私に会いに家に来たわけじゃないわね?忙しいのでしょう?仕事」」
彼女は母親の貿易商の仕事の手伝いで年中海外を駆けまわっているらしい。その傍らファッションデザイナーとしても仕事をしていた多忙を極めるのだとか。
「半分は恵美に会いに来たんだけど半分はちょっと別件があってね。おじさんに会いに来たのよ」
「父さんに?」
「ええ、兵隊を貸してほしくてね」
穏やかじゃない話だな。
「恵美、森重清太って知ってる?」
「新聞くらい見てるわ、次期市長選に出馬するとかなんとか」
「その森重清太の秘書を彼がやってるの」
森重清太は、現職の安藤玉枝を退いた後の市長の座を狙っているのだとか。腐敗した市政を清浄化させたい。ゆくゆくは県政を変えていきたい。そう考えてるらしい。
しかし対立する衛藤信一郎は現職の後継者。地盤が固い。
それでも彼の献身的な活動は若い世代の人気を集め、浮動票を集めるだろうと言われている。
そこに江口グループの票が加われば劣勢を覆す可能性もあると言われている。
話が噛み合った。
そこで公生と奈留の言っていた誘拐未遂にあたったわけだ。
兵隊を使って親族の警護を頼みたいという話。
「それで父さんは?」
「力を貸してくれるそうよ」
「それはよかった。英恵はいつまで滞在するの?」
「年内はこっちにいようと思う」
「そうなのね」
「恵美の旦那もいい面構えしてる。よかったわ。じゃあ私達はこれで帰るから」
「ええ、また会える日を楽しみにしてる」
「帰る前にまた寄るわ。恵美……主人の事お願いしていいかしら。今は真面目にやってるけど昔はやんちゃやってたから」
「そういうことね……任せておいて」
「それじゃあ」
そう言って英恵さんは帰っていった。
僕達もお義父さんとお義母さん、公生と奈留に挨拶して帰りに着いた。
「なんか素敵な人だったね」
「そりゃそうよ、私の憧れだったお姉さんなんだから。昔はすごかったけど」
高校時代はかなりやんちゃやってたらしい。
高校を卒業した後も定職に就かずにやりたい放題。
そんな時代に3つ下の今の亭主と知り合ったらしい。
その後見るに見かねた英恵さんのお母さんが自分の事業の手伝いをさせたんだとか。
その時に森重清太と出会い、その意志に共鳴して今の彼がいるそうだ。
「勝たせてあげたいわね。森重清太。雄平さんを変えるほどの人物なんだもの」
「そうだね」
市政を変えるか……。
僕達にはどうすることもできないけど、一度森重清太さんと会ってみたい。そう思っていた。
(5)
愛莉が風呂に入っている間渡辺班のチャットを見ていた。
森重清太か……。
渡辺班はどこまで勢力を拡大するんだろう?
まあ、江口グループが動くのなら僕達の出る幕はないだろう。
さすがに政界にまで介入は難しい。
それでも志水グループも協力すると言ってる。
上手くいけば森重清太が市長になれるかもしれない。
森重清太がどんな人なのか興味が沸いた。
一度会えるものならあってみたい。
「冬夜君ただいま~」
「あ、おかえり愛莉」
「はいこれ~」
今日はカクテルか。
愛莉と飲んでテレビを見る。
何も変わらない日常がニュースで流れている。
今年の漢字も決まったらしい。
世間はクリスマス、そして年末へ向けて動き出している。
来年は僕達にとっても大切な年だ。
愛莉と二人だけの生活。
そして愛莉にプロポーズをする年。
「今年も色々あったね~」
愛莉が言う。
「そうだね」
「来年はどんな年になるんだろうね」
「まずは住む場所決めないとな?」
「そうだね!」
愛莉も同じ未来をみているんだろうか?
誰もが抱いているのだろう。
大切なものをそれぞれの約束を信じて。
同じ空を見上げて降り注ぐ光に包まれ、突き刺さる風に広げた僕の手
手繰り寄せたそうあの日の愛莉の横顔。
いつかは陽が昇るだろう
今日は続いていく
僕の隣に足りなかった愛莉がいてくれる。
夜明けが目に染みて気づいたのは確かな鼓動を繋ぐ君の手。
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