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LASTSEASON
誰よりも早い愛の歌
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(1)
「冬夜さん、朝ですよ。起きてくださいな」
「愛莉、おはよう」
愛莉と朝の挨拶を交わすと愛莉はベッドを出て、朝食の準備を始める。
その間に着替えて支度するとダイニングに行く。
朝食がテーブルに並んでる。
それを食べながら愛莉と話をする。
「今日は大丈夫そうですか?」
「ああ、調整はしてるから大丈夫。18時までに帰ってくればいいよね?」
「ええ、その時間には用意してます」
今日はカンナの誕生日。
皆でパーティをするらしい。
仕事のスケジュールも空けて置いた。
朝食を食べ終わると愛莉は片づけを始める。
その間愛莉の相手をする。
愛莉の片づけが終るとリビングでテレビを見ながら愛莉との時間を楽しむ。
時間になると家を出る。
「行ってらっしゃい、お気をつけて」
愛莉に見送られ、会社に向かう。
会社に着くと神木さんが先に来ていた。
「おはよう」と一言言って仕事の準備。
手帳を見て今日の予定を確認する。
今日は午前中一件回ってこないといけない。
朝礼が始まる。
特に大した伝達事項は無い。
朝礼が終ると資料をまとめて、事務所を出る。
顧客の会社に赴くと会議室を借りて早速作業に取り掛かる。
伝票の整理から始まって帳簿をつける。
世間話をしながら、経費の項目についてアドバイスをする。
優良な企業の様だ。
出先での作業を終えると挨拶をして事務所に戻る。
戻る頃には昼休み。
お茶を入れると弁当を食べる。
それから愛莉の電話をする。
電話が終ると午後の業務に備える。
そして昼休みが終ると午後の業務に入る。
すると珍しい客が来た。
恵美さんだ。
どうしたんだろう?
「片桐という人と話がしたいんだけど」
「片桐ならいますが」
受付の飯塚さんがこっちを見る。
取りあえず応接室に通してもらった。
「珍しいねどうしたの?」
僕が聞くと恵美さんが言った。
「税理士事務所に赴く理由なんて一つでしょ?」
今までは経費は父の会社の職員に任せていたけど、その職員が寿退社することになった。
これから先確定申告やら考えたら、税理士に依頼した方が安上がりだ。
で、調べたら僕の評判がいい。
そこで僕に直接依頼したい。
社長に打診する。
「君がいいと先方が言うならそうしなさい」
と、言うわけで僕が担当することになった。
「助かるわ、今月分の月次決算は終わってるから来月からお願い」
そう言って恵美さんは帰っていった。
今日の分の業務を終えると家に帰る。
「お帰りなさい。お疲れ様でした。準備は出来てます」
「そう、僕はこのまま行くよ。どうせそんなに長くいるつもりも無いし」
「神奈も明日も仕事だからと言ってました。多分2次会は行かないと思います」
「わかった。愛莉プレゼントは買った?」
「はい、私が選びました」
「何買ったの?」
愛莉が買ったのは名入りのスパークリングワインだった。
「いいんじゃないかな?」
「じゃ、行きましょうか?バスの時間もあるし」
「そうだね」
愛莉とバス停まで歩くとバスに乗り駅前で降りる。
そこからホテルのパーティホールまで歩く。
咲さんが受付をやっている。
受付と会費を払うと中に入る。
カンナ達は既に来ていた。
僕達のテーブルには多田夫妻、渡辺夫妻、桐谷夫妻が座っていた。
他の皆が集まるまで話をする。
愛莉に促すと愛莉がカンナにプレゼントを渡す。
「ありがとな」
神奈はそう言って受け取る。
皆が揃うとカンナの誕生会が始まった。
(2)
「おはよう神奈。誕生日おめでとう」
誠が朝起こしてくれた。
「おう、ありがとうな」
「これ俺からプレゼント」
誠がプレゼントをくれた。
開けてみる。
名前入りのタンブラーペアセットだった。
「朝食にしようぜ。朝は俺が送っていく」
「いつも悪いな。練習は大丈夫か」
「早朝から練習なんて無いよ」
家に帰ってから準備しても十分間に合うと誠は言う。
試合のない日なんてほとんど自由時間だ。
自由練習もやっているがコンディションを整える事の方が大事だという。
そんな話を聞きながら誠にデパートまで送ってもらう。
「じゃ、また」
「ああ、練習頑張ってな」
そうして更衣室で着替えて準備をして開店。
最近よく売れる。
若い子からよく聞かれる質問。
「どれを使えばお姉さんみたいに綺麗になれますか?」
その子の肌の状態やらを確認しながらお勧めの化粧品を勧めていく。
さすがにもう慣れた。
相変わらずモンスターな客はいるが。
今月もノルマは達成している。
リピーターも増えてきた。
閉店すると事務作業等を終えてそれから着替えてデパートを出る。
そのまま今日のパーティ会場に向かう。
すでに渡辺とかは来ていた。
渡辺や亜依たちと話をしていると愛莉たちが来た
愛莉から誕生日プレゼントを受けとる。
全員揃うと宴は始まった。
ますたーどのコントやALICEのライブがある。
その間にトーヤは次々料理を取ってくる。
「食べ過ぎに注意してくださいね」
愛莉に注意されるトーヤ。
余興が終ると皆それぞれ話が盛り上がる。
時間は断つのは早いもので。
あっという間に終わりの時間が近づく。
「2次会に参加される方は……」
咲が説明をする。
私達は皆明日仕事だからと辞退した。
トーヤ達と別れると誠と桐谷夫妻、檜山夫妻と電車で帰る。
駅で別れて家に帰る。
家に帰るとシャワーを浴びてリビングでくつろぐ。
誠がシャワーから出て来ると誠が隣に座る。
一緒にビールを飲みながらテレビを見ていた。
日付が変わる程度の時間になると寝室に移動する。
最近誠から求めてくることが少なくなった。
私を労わっているのか自分が練習で疲れているのかは知らないけど。
でも、今日くらいは甘えてもいいだろ?
私から求めてみた。
誠は応えてくれた。
「愛してる……」
「ああ、私もだ」
誠は私に最高のプレゼントを用意してくれた。
この一年が素晴らしい年でありますように。
(3)
「おはよう神奈。誕生日おめでとう」
神奈を起こす。
そしてプレゼントを渡す。
朝食の準備はしていた。
神奈が準備するのを待って朝食にする。
朝食を食べると忙しい。
神奈が仕度をしてる間に片づけをする。
仕度を終えると神奈を職場まで送る。
それから家に帰ると洗濯物を片付ける。
部屋の掃除をして練習に出かける。
練習を終えると家に帰って着替える。
それから駅に向かうと私立大組と遭遇する。
話をしながら、電車が来るのを待つ。
電車で街に向かう。
すでに咲さん達が来ていた。
受付を済ませて会費を払うと会場に入る。
お誕生日おめでとうと横断幕が飾られている。
席に座って待っていると桐谷夫妻と渡辺夫妻が来る。
遅れて神奈が来てその後に冬夜達が来る。
全員揃うとパーティの始まり。
ますたーどのコントやALICEのライブがある。
「瑛大仕事は順調?」
瑛大に聞いてみた。
「営業ってきついぜ。詐欺師に近い職業だ。大半が独居老人の世間話を聞きながら薬売りつける仕事だしな」
瑛大は言う。
ドラッグストアが身近にある現代社会でどれだけの人が置き薬を置くだろう?
「ひどいのになると40台のおばさんが肉体関係求めてくるからな!俺の人生破滅させる気かよって思ったよ」
「それは大変だな……」
瑛大の愚痴を聞きながら。時間は過ぎていく。
そして1次会が終る。
「2次会に参加される方は……」
咲さんが言う。
俺達は帰ることにした。
神奈が明日仕事だから。
社会人組は大体帰るようだ。
桐谷夫妻、檜山夫妻も同じ電車に乗って帰る。
駅で別れると家に帰る。
先に神奈に風呂に入るように言うと俺はテレビを見て待つ。
神奈が出て来ると俺が入る。
風呂を出ると缶ビールを神奈に渡して一緒に飲見ながらテレビを見る。
日付が変わる頃「そろそろ寝ようか」という。
寝室のベッドに入る。
だが、今日はまだ終わってなかった。
神奈が抱きついてきた。
神奈から誘って来た?
神奈を見ると俯いている。
俺は神奈に甘えることにした。
「愛してる……」
「ああ、私もだ」
そばにいるから。
君が一人で迷わぬように。
(4)
社会人組と高校生組は帰っていった。
平日の夜だから当然だ。
今佐々木君と梅本君と晴斗先輩が場を盛り上げている。
皆で馬鹿話をしながら飲んで食べて詩って騒いで。
僕には無縁だと思っていた世界。
女性陣も負けてない。
咲さんを筆頭に美琴や桜木さんが騒いでいる。
そんな皆を見ながらソフトドリンクを飲んでいた。
「何一人でボーっとしてんだよ。咢」
梅本君が来た。
「……梅本君はすごいね」
「なんで?」
「君って意外と周りに適応する能力が優れているよ」
「そんなに凄い事か?」
梅本君が言った。
「それって裏を返せば流されやすいってことじゃん。自分を持ってないっていえばいいの?」
流されやすい……僕の事か。
「僕と君は本質は変わらないって事?」
「そうかもしれないな」
梅本君がそう言って笑った。
その後も宴は朝まで続いた。
朝になると皆解散する。
「いや、悪いね涼宮君」
僕は近所に住んでいる梅本君と桜木さんを送ることにした。
この際だから梅本君に聞いた。
「あのさ、梅本君。聞きたい事があるんだけど」
「どうした?咢」
「どうしたら君みたいにキャンパスライフをエンジョイできる?」
どうしたら君みたいになれる?
「うーん、そうだなあ。祥子、ちょっとファミレス寄ってもいいか?」
「別にいいけど?」
「じゃあさ、近所のファミレス寄ってよ」
梅本君に言われたとおりにファミレスに寄る。
梅本君はまだ飲むつもりらしい。
桜木さんや美琴も注文していた。
「じゃあ、とりあえずお疲れー!」
そう言って乾杯する。
「で、さっきの話なんだけどさ……そもそも俺みたいになる必要あるの?」
え?
「俺の人生も波瀾万丈よ?拾われて捨てられての連続よ。それもこんな性格が招いた事なんだけどさ」
梅本君の過去が開かされる。
人を好きになって付き合って振られて、ノリで付き合って振られて。まさに拾われて捨てられての連続。
人生浮き沈みとはまさにこの事。
「でも今こうして、祥子と出逢えた。それには感謝してる。でもさ、まさか同棲することになるとは思ってなかった」
時が経てばまた飽きてポイだと思ってたらしい。
「来月には祥子の両親と合わなくちゃならない。人生何があるかわかんないってことよ」
何が言いたいんだろう?
「咢だっておなじなんじゃね?俺が羨ましく見えてるのかもしれないけど咢だから美琴ちゃんと出逢えたんじゃね?」
「まあ、そりゃそうだね」
「でしょ?俺ら皆違った個体でさ、違った価値観もってるわけよ。それを一つにしようなんて土台無理だ。咢だから美琴ちゃんに認められた。それでいいじゃん!俺と同じになる必要なんてない」
「永遠の言う通りだと思う。永遠は永遠の価値観で動いてる。咢も咢の価値観でうごけばいいじゃねーか」
桜木さんが言う。
「しょうもない事考え込んでるんじゃねーよ。お前はお前のままでいいんだ。そんなお前が好きなんだから」
美琴も言う。
悩む必要なんてない。認め合う事ができるから、それで素晴らしい。
ファミレスを出ると二人を送って美琴の家に行った。
美琴の部屋に行くと見たことのないおじさんが立っている。
美琴の体が硬くなる。
「と、父さん」
美琴の父さんらしい。
美琴の父さんは僕を睨みつけて言った。
「その男は誰だ?」
「父さんには関係ない」
「関係ないだと?」
美琴の父さんは美琴を怒鳴りつける。
「こんな時間まで遊びに連れまわす男と何をやってるんだお前は!」
「私が誰と何時まで遊んでようが関係ない。どうせいつもみたいに世間体を気にしてるだけだろ!」
美琴の父さんは美琴の主張を無視して分厚い封筒を僕に手渡す。
「君がどこの馬の骨か知らんが、これで全部なかったことにしてくれ。家に帰るぞ美琴」
美琴は抵抗する。
「あの家には戻らない!戻りたくない!」
「駄々をこねるんじゃない!このアパートは解約する!やはりお前に一人暮らしなんてさせるんじゃなかった」
二人のやりとりをただ見てる僕。
でも、このままじゃまずいよな。
「話が良く分かりませんがこれはとりあえずお返しします」
美琴のお父さんに封筒を返す。
「ここで騒いだら近所迷惑です。あなたの言う世間体に関わるんじゃないでしょうか?」
「小僧が私に説教するつもりか!?どうせお前も親の脛を齧って生きてるお子様だろうが」
美琴が振り上げたこぶしを掴んだのは美琴が何をしようとしたのか悟ったから。
「美琴落ち着いて、これじゃ話し合いにならない!」
「こいつは私の話なんて聞いてくれない。自分が思うように動かないと気が済まないんだ」
「おじさん、ここは部屋で落ち着いて話し合いをしませんか?」
このままだと騒ぎになる。既になってるけど。
「いいだろう。お前の言い分とやらを聞いてやろうじゃないか」
そして3人で美琴の家に入る。
美琴と美琴の父さんは二人でにらみ合っている。
2人にお茶を出すと僕が美琴の父さんに現状を説明した。
「同棲だと!?」
単に泊まってるだけだけど。
「やっぱり帰るぞ美琴。お前に一人暮らしは早すぎた」
そう言って立ち上がる美琴の父さんを宥める。
「待ってください。まずは美琴の言い分をきいてやてくれませんか?」
「美琴の言い分だと!?」
美琴の父さんは美琴を睨みつける。
「美琴、言いたい事ちゃんと言いなよ」
僕が言うと美琴は話し出した。
美琴が思っている事、美琴が考えていた事。
美琴の父さんはじっくりと聞いていた。
美琴が話を終えると次は僕の番。
「美琴は今揺らいでます。初めて抱いた自我に戸惑っています。美琴は一人じゃなにもできないんじゃない、一人になるのを怯えているだけです」
あるがままの心で生きられる弱さを誰かのせいにして過ごしている。
知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中でもがいている。
色んな事を踏み台にしてきてようやく見つけた失くしちゃいけないもの。
「美琴さんが独り立ちしようとするならそれを見守ってやるのが親ってものじゃないですか?転びそうになったら僕が支えてやる」
僕がそう言うと美琴のお父さんは黙ってしまった。
「美琴は後悔しないのか?この男を選んだことに後悔は無いのか?」
「父さんは咢を誤解している。咢は父さんが思ってるような人間じゃない」
美琴は僕について説明を始めた。
必死だった。
そりゃそうだろうな。
「……美琴の言う事は分かった。だが、今の状態は許せん!」
1人暮らしの家に転がり込む男。世間は絶対に認めない。
「……夏休みの間に部屋を探して置く。そこに引っ越しなさい」
はい?
「それが父さんが譲渡できる最低条件だ。それさえ拒むなら力づくでも連れて帰る」
「……いいの?」
美琴が聞く。
「どうせお前の事だ。結婚まで考えているんだろう?だったらハッキリした方がいい」
結婚!?
僕は動揺する。
だがそんな動揺など関係なく美琴の父さんは話を続ける。
「咢君と言ったか?至らないところの多い娘だがよろしく頼む」
美琴のお父さんは頭を下げる。
慌てて頭を上げるように言う。
その後今後の事を話して美琴のお父さんは帰っていた。
「……私も引っ越したらバイト探すよ。独り立ちするってそういう事だよな」
美琴は言った。
軽い気持ちで泊まっていたのに、いつの間にか結婚前提の同棲まで発展してしまった。
うちの親にもきちんと言わないと駄目だろうな。
「ちょっと強引だけどごめんな。こんな私だけど拾ってくれないか?」
美琴が言う。
……もう覚悟を決めるべきなんだろうな。
「わかった。とにかく休もう?休んだらうちの実家に連れて行くよ」
「え?」
「うちの親にもちゃんと美琴を紹介しなきゃ」
「ありがとう」
「大丈夫」
ちょっとぐらいの汚れものならば残さずに全部食べてやる。
君が僕を疑っているのならこの喉を切ってくれてやる。
こんな不調和な生活の中で偶に情緒不安定になるんだろう?
でも、共に悩んだり生涯を君に捧ぐ。
あるがままの心で生きられぬ弱さを誰かのせいにして過ごしてる。
知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中でもがいてるのは僕も同じ。
色んな事を踏み台にしてきたけど失くしちゃいけない物がやっと見つかった気がする。
君の仕種が滑稽なほど優しい気持ちになれる。
逢う度に夢物語聞かせてくれ。
愛はきっと奪うでも与えるでもなくて気が付けばそこにある物。
街の風に吹かれて唄いながら妙なプライドは捨ててしまえば良い。
そこから始まる。
愛、自由、希望、夢。
足下を見たらきっと転がってる。
成り行き任せの恋に落ち、時には誰かを傷つけたとしても、その度に心を痛めるような時代じゃない。
誰かを思いやれば仇になり自分の胸につきささけるけれど……。
あるがままの心で生きようと願うから人はまた傷ついていく。
愛情って言う形のものを伝えるのはいつも困難だから。
いつまでも君に捧げよう。
(5)
「ただいま~」
「おかえりなさい、お疲れ様でした。もうすぐ夕飯出来上がるので先にお風呂入ってくださいな」
「分かった」
風呂に入るとテーブルには夕食が並んでいる。
2人で食べる。
今日あったことを愛莉と二人で話し合う。
梅本君に続いて涼宮君までね……。
とんとん拍子で怖い気がするよ。
愛莉が片づけをしている間も話は続く。
愛莉が風呂に入ってる間に寝室に移動してテレビを見る。
すると愛莉が二本の缶を持って戻ってくる。
一本を受け取るとそれを飲む。
愛莉は髪を乾かしてる。
乾かし終えると隣に座ってテレビを見る。
「なあ、愛莉」
「どうかされましたか?」
「愛莉のお父さんは本当はどう思ってたんだろうな?」
「え?」
「やっぱり、その同棲するって事に対して反対とかしてたのかな?」
ノートPCを見ながら僕は愛莉に聞いていた。
「それは無いと思います」
愛莉はきっぱりと言い切った。
「なんで?」
「だって小さい時からの夢だったから」
「?」
「冬夜さんと一緒に暮らすって小さい時からずっと言ってきたから」
そういやそんなこと聞いたな。
「冬夜さんもそのうちパパさんの気持ちが分かる時がきますよ」
「なんで?」
「だって娘二人も作るんですよ」
ああ、そうだったね。
大変そうだな。
残酷に過ぎる時間の中で、きっと十分に僕も大人になったんだ。
悲しくはない。切なさも無い。
ただこうして繰り返されてきた事が、繰り返していくことが、嬉しい、愛しい。
躓いたり転んだりするようならそっと手を差し伸べよう。
限りなく遠い道も愛莉とならどこまでも。
夢を掴むまできっと……。
「冬夜さん、朝ですよ。起きてくださいな」
「愛莉、おはよう」
愛莉と朝の挨拶を交わすと愛莉はベッドを出て、朝食の準備を始める。
その間に着替えて支度するとダイニングに行く。
朝食がテーブルに並んでる。
それを食べながら愛莉と話をする。
「今日は大丈夫そうですか?」
「ああ、調整はしてるから大丈夫。18時までに帰ってくればいいよね?」
「ええ、その時間には用意してます」
今日はカンナの誕生日。
皆でパーティをするらしい。
仕事のスケジュールも空けて置いた。
朝食を食べ終わると愛莉は片づけを始める。
その間愛莉の相手をする。
愛莉の片づけが終るとリビングでテレビを見ながら愛莉との時間を楽しむ。
時間になると家を出る。
「行ってらっしゃい、お気をつけて」
愛莉に見送られ、会社に向かう。
会社に着くと神木さんが先に来ていた。
「おはよう」と一言言って仕事の準備。
手帳を見て今日の予定を確認する。
今日は午前中一件回ってこないといけない。
朝礼が始まる。
特に大した伝達事項は無い。
朝礼が終ると資料をまとめて、事務所を出る。
顧客の会社に赴くと会議室を借りて早速作業に取り掛かる。
伝票の整理から始まって帳簿をつける。
世間話をしながら、経費の項目についてアドバイスをする。
優良な企業の様だ。
出先での作業を終えると挨拶をして事務所に戻る。
戻る頃には昼休み。
お茶を入れると弁当を食べる。
それから愛莉の電話をする。
電話が終ると午後の業務に備える。
そして昼休みが終ると午後の業務に入る。
すると珍しい客が来た。
恵美さんだ。
どうしたんだろう?
「片桐という人と話がしたいんだけど」
「片桐ならいますが」
受付の飯塚さんがこっちを見る。
取りあえず応接室に通してもらった。
「珍しいねどうしたの?」
僕が聞くと恵美さんが言った。
「税理士事務所に赴く理由なんて一つでしょ?」
今までは経費は父の会社の職員に任せていたけど、その職員が寿退社することになった。
これから先確定申告やら考えたら、税理士に依頼した方が安上がりだ。
で、調べたら僕の評判がいい。
そこで僕に直接依頼したい。
社長に打診する。
「君がいいと先方が言うならそうしなさい」
と、言うわけで僕が担当することになった。
「助かるわ、今月分の月次決算は終わってるから来月からお願い」
そう言って恵美さんは帰っていった。
今日の分の業務を終えると家に帰る。
「お帰りなさい。お疲れ様でした。準備は出来てます」
「そう、僕はこのまま行くよ。どうせそんなに長くいるつもりも無いし」
「神奈も明日も仕事だからと言ってました。多分2次会は行かないと思います」
「わかった。愛莉プレゼントは買った?」
「はい、私が選びました」
「何買ったの?」
愛莉が買ったのは名入りのスパークリングワインだった。
「いいんじゃないかな?」
「じゃ、行きましょうか?バスの時間もあるし」
「そうだね」
愛莉とバス停まで歩くとバスに乗り駅前で降りる。
そこからホテルのパーティホールまで歩く。
咲さんが受付をやっている。
受付と会費を払うと中に入る。
カンナ達は既に来ていた。
僕達のテーブルには多田夫妻、渡辺夫妻、桐谷夫妻が座っていた。
他の皆が集まるまで話をする。
愛莉に促すと愛莉がカンナにプレゼントを渡す。
「ありがとな」
神奈はそう言って受け取る。
皆が揃うとカンナの誕生会が始まった。
(2)
「おはよう神奈。誕生日おめでとう」
誠が朝起こしてくれた。
「おう、ありがとうな」
「これ俺からプレゼント」
誠がプレゼントをくれた。
開けてみる。
名前入りのタンブラーペアセットだった。
「朝食にしようぜ。朝は俺が送っていく」
「いつも悪いな。練習は大丈夫か」
「早朝から練習なんて無いよ」
家に帰ってから準備しても十分間に合うと誠は言う。
試合のない日なんてほとんど自由時間だ。
自由練習もやっているがコンディションを整える事の方が大事だという。
そんな話を聞きながら誠にデパートまで送ってもらう。
「じゃ、また」
「ああ、練習頑張ってな」
そうして更衣室で着替えて準備をして開店。
最近よく売れる。
若い子からよく聞かれる質問。
「どれを使えばお姉さんみたいに綺麗になれますか?」
その子の肌の状態やらを確認しながらお勧めの化粧品を勧めていく。
さすがにもう慣れた。
相変わらずモンスターな客はいるが。
今月もノルマは達成している。
リピーターも増えてきた。
閉店すると事務作業等を終えてそれから着替えてデパートを出る。
そのまま今日のパーティ会場に向かう。
すでに渡辺とかは来ていた。
渡辺や亜依たちと話をしていると愛莉たちが来た
愛莉から誕生日プレゼントを受けとる。
全員揃うと宴は始まった。
ますたーどのコントやALICEのライブがある。
その間にトーヤは次々料理を取ってくる。
「食べ過ぎに注意してくださいね」
愛莉に注意されるトーヤ。
余興が終ると皆それぞれ話が盛り上がる。
時間は断つのは早いもので。
あっという間に終わりの時間が近づく。
「2次会に参加される方は……」
咲が説明をする。
私達は皆明日仕事だからと辞退した。
トーヤ達と別れると誠と桐谷夫妻、檜山夫妻と電車で帰る。
駅で別れて家に帰る。
家に帰るとシャワーを浴びてリビングでくつろぐ。
誠がシャワーから出て来ると誠が隣に座る。
一緒にビールを飲みながらテレビを見ていた。
日付が変わる程度の時間になると寝室に移動する。
最近誠から求めてくることが少なくなった。
私を労わっているのか自分が練習で疲れているのかは知らないけど。
でも、今日くらいは甘えてもいいだろ?
私から求めてみた。
誠は応えてくれた。
「愛してる……」
「ああ、私もだ」
誠は私に最高のプレゼントを用意してくれた。
この一年が素晴らしい年でありますように。
(3)
「おはよう神奈。誕生日おめでとう」
神奈を起こす。
そしてプレゼントを渡す。
朝食の準備はしていた。
神奈が準備するのを待って朝食にする。
朝食を食べると忙しい。
神奈が仕度をしてる間に片づけをする。
仕度を終えると神奈を職場まで送る。
それから家に帰ると洗濯物を片付ける。
部屋の掃除をして練習に出かける。
練習を終えると家に帰って着替える。
それから駅に向かうと私立大組と遭遇する。
話をしながら、電車が来るのを待つ。
電車で街に向かう。
すでに咲さん達が来ていた。
受付を済ませて会費を払うと会場に入る。
お誕生日おめでとうと横断幕が飾られている。
席に座って待っていると桐谷夫妻と渡辺夫妻が来る。
遅れて神奈が来てその後に冬夜達が来る。
全員揃うとパーティの始まり。
ますたーどのコントやALICEのライブがある。
「瑛大仕事は順調?」
瑛大に聞いてみた。
「営業ってきついぜ。詐欺師に近い職業だ。大半が独居老人の世間話を聞きながら薬売りつける仕事だしな」
瑛大は言う。
ドラッグストアが身近にある現代社会でどれだけの人が置き薬を置くだろう?
「ひどいのになると40台のおばさんが肉体関係求めてくるからな!俺の人生破滅させる気かよって思ったよ」
「それは大変だな……」
瑛大の愚痴を聞きながら。時間は過ぎていく。
そして1次会が終る。
「2次会に参加される方は……」
咲さんが言う。
俺達は帰ることにした。
神奈が明日仕事だから。
社会人組は大体帰るようだ。
桐谷夫妻、檜山夫妻も同じ電車に乗って帰る。
駅で別れると家に帰る。
先に神奈に風呂に入るように言うと俺はテレビを見て待つ。
神奈が出て来ると俺が入る。
風呂を出ると缶ビールを神奈に渡して一緒に飲見ながらテレビを見る。
日付が変わる頃「そろそろ寝ようか」という。
寝室のベッドに入る。
だが、今日はまだ終わってなかった。
神奈が抱きついてきた。
神奈から誘って来た?
神奈を見ると俯いている。
俺は神奈に甘えることにした。
「愛してる……」
「ああ、私もだ」
そばにいるから。
君が一人で迷わぬように。
(4)
社会人組と高校生組は帰っていった。
平日の夜だから当然だ。
今佐々木君と梅本君と晴斗先輩が場を盛り上げている。
皆で馬鹿話をしながら飲んで食べて詩って騒いで。
僕には無縁だと思っていた世界。
女性陣も負けてない。
咲さんを筆頭に美琴や桜木さんが騒いでいる。
そんな皆を見ながらソフトドリンクを飲んでいた。
「何一人でボーっとしてんだよ。咢」
梅本君が来た。
「……梅本君はすごいね」
「なんで?」
「君って意外と周りに適応する能力が優れているよ」
「そんなに凄い事か?」
梅本君が言った。
「それって裏を返せば流されやすいってことじゃん。自分を持ってないっていえばいいの?」
流されやすい……僕の事か。
「僕と君は本質は変わらないって事?」
「そうかもしれないな」
梅本君がそう言って笑った。
その後も宴は朝まで続いた。
朝になると皆解散する。
「いや、悪いね涼宮君」
僕は近所に住んでいる梅本君と桜木さんを送ることにした。
この際だから梅本君に聞いた。
「あのさ、梅本君。聞きたい事があるんだけど」
「どうした?咢」
「どうしたら君みたいにキャンパスライフをエンジョイできる?」
どうしたら君みたいになれる?
「うーん、そうだなあ。祥子、ちょっとファミレス寄ってもいいか?」
「別にいいけど?」
「じゃあさ、近所のファミレス寄ってよ」
梅本君に言われたとおりにファミレスに寄る。
梅本君はまだ飲むつもりらしい。
桜木さんや美琴も注文していた。
「じゃあ、とりあえずお疲れー!」
そう言って乾杯する。
「で、さっきの話なんだけどさ……そもそも俺みたいになる必要あるの?」
え?
「俺の人生も波瀾万丈よ?拾われて捨てられての連続よ。それもこんな性格が招いた事なんだけどさ」
梅本君の過去が開かされる。
人を好きになって付き合って振られて、ノリで付き合って振られて。まさに拾われて捨てられての連続。
人生浮き沈みとはまさにこの事。
「でも今こうして、祥子と出逢えた。それには感謝してる。でもさ、まさか同棲することになるとは思ってなかった」
時が経てばまた飽きてポイだと思ってたらしい。
「来月には祥子の両親と合わなくちゃならない。人生何があるかわかんないってことよ」
何が言いたいんだろう?
「咢だっておなじなんじゃね?俺が羨ましく見えてるのかもしれないけど咢だから美琴ちゃんと出逢えたんじゃね?」
「まあ、そりゃそうだね」
「でしょ?俺ら皆違った個体でさ、違った価値観もってるわけよ。それを一つにしようなんて土台無理だ。咢だから美琴ちゃんに認められた。それでいいじゃん!俺と同じになる必要なんてない」
「永遠の言う通りだと思う。永遠は永遠の価値観で動いてる。咢も咢の価値観でうごけばいいじゃねーか」
桜木さんが言う。
「しょうもない事考え込んでるんじゃねーよ。お前はお前のままでいいんだ。そんなお前が好きなんだから」
美琴も言う。
悩む必要なんてない。認め合う事ができるから、それで素晴らしい。
ファミレスを出ると二人を送って美琴の家に行った。
美琴の部屋に行くと見たことのないおじさんが立っている。
美琴の体が硬くなる。
「と、父さん」
美琴の父さんらしい。
美琴の父さんは僕を睨みつけて言った。
「その男は誰だ?」
「父さんには関係ない」
「関係ないだと?」
美琴の父さんは美琴を怒鳴りつける。
「こんな時間まで遊びに連れまわす男と何をやってるんだお前は!」
「私が誰と何時まで遊んでようが関係ない。どうせいつもみたいに世間体を気にしてるだけだろ!」
美琴の父さんは美琴の主張を無視して分厚い封筒を僕に手渡す。
「君がどこの馬の骨か知らんが、これで全部なかったことにしてくれ。家に帰るぞ美琴」
美琴は抵抗する。
「あの家には戻らない!戻りたくない!」
「駄々をこねるんじゃない!このアパートは解約する!やはりお前に一人暮らしなんてさせるんじゃなかった」
二人のやりとりをただ見てる僕。
でも、このままじゃまずいよな。
「話が良く分かりませんがこれはとりあえずお返しします」
美琴のお父さんに封筒を返す。
「ここで騒いだら近所迷惑です。あなたの言う世間体に関わるんじゃないでしょうか?」
「小僧が私に説教するつもりか!?どうせお前も親の脛を齧って生きてるお子様だろうが」
美琴が振り上げたこぶしを掴んだのは美琴が何をしようとしたのか悟ったから。
「美琴落ち着いて、これじゃ話し合いにならない!」
「こいつは私の話なんて聞いてくれない。自分が思うように動かないと気が済まないんだ」
「おじさん、ここは部屋で落ち着いて話し合いをしませんか?」
このままだと騒ぎになる。既になってるけど。
「いいだろう。お前の言い分とやらを聞いてやろうじゃないか」
そして3人で美琴の家に入る。
美琴と美琴の父さんは二人でにらみ合っている。
2人にお茶を出すと僕が美琴の父さんに現状を説明した。
「同棲だと!?」
単に泊まってるだけだけど。
「やっぱり帰るぞ美琴。お前に一人暮らしは早すぎた」
そう言って立ち上がる美琴の父さんを宥める。
「待ってください。まずは美琴の言い分をきいてやてくれませんか?」
「美琴の言い分だと!?」
美琴の父さんは美琴を睨みつける。
「美琴、言いたい事ちゃんと言いなよ」
僕が言うと美琴は話し出した。
美琴が思っている事、美琴が考えていた事。
美琴の父さんはじっくりと聞いていた。
美琴が話を終えると次は僕の番。
「美琴は今揺らいでます。初めて抱いた自我に戸惑っています。美琴は一人じゃなにもできないんじゃない、一人になるのを怯えているだけです」
あるがままの心で生きられる弱さを誰かのせいにして過ごしている。
知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中でもがいている。
色んな事を踏み台にしてきてようやく見つけた失くしちゃいけないもの。
「美琴さんが独り立ちしようとするならそれを見守ってやるのが親ってものじゃないですか?転びそうになったら僕が支えてやる」
僕がそう言うと美琴のお父さんは黙ってしまった。
「美琴は後悔しないのか?この男を選んだことに後悔は無いのか?」
「父さんは咢を誤解している。咢は父さんが思ってるような人間じゃない」
美琴は僕について説明を始めた。
必死だった。
そりゃそうだろうな。
「……美琴の言う事は分かった。だが、今の状態は許せん!」
1人暮らしの家に転がり込む男。世間は絶対に認めない。
「……夏休みの間に部屋を探して置く。そこに引っ越しなさい」
はい?
「それが父さんが譲渡できる最低条件だ。それさえ拒むなら力づくでも連れて帰る」
「……いいの?」
美琴が聞く。
「どうせお前の事だ。結婚まで考えているんだろう?だったらハッキリした方がいい」
結婚!?
僕は動揺する。
だがそんな動揺など関係なく美琴の父さんは話を続ける。
「咢君と言ったか?至らないところの多い娘だがよろしく頼む」
美琴のお父さんは頭を下げる。
慌てて頭を上げるように言う。
その後今後の事を話して美琴のお父さんは帰っていた。
「……私も引っ越したらバイト探すよ。独り立ちするってそういう事だよな」
美琴は言った。
軽い気持ちで泊まっていたのに、いつの間にか結婚前提の同棲まで発展してしまった。
うちの親にもきちんと言わないと駄目だろうな。
「ちょっと強引だけどごめんな。こんな私だけど拾ってくれないか?」
美琴が言う。
……もう覚悟を決めるべきなんだろうな。
「わかった。とにかく休もう?休んだらうちの実家に連れて行くよ」
「え?」
「うちの親にもちゃんと美琴を紹介しなきゃ」
「ありがとう」
「大丈夫」
ちょっとぐらいの汚れものならば残さずに全部食べてやる。
君が僕を疑っているのならこの喉を切ってくれてやる。
こんな不調和な生活の中で偶に情緒不安定になるんだろう?
でも、共に悩んだり生涯を君に捧ぐ。
あるがままの心で生きられぬ弱さを誰かのせいにして過ごしてる。
知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中でもがいてるのは僕も同じ。
色んな事を踏み台にしてきたけど失くしちゃいけない物がやっと見つかった気がする。
君の仕種が滑稽なほど優しい気持ちになれる。
逢う度に夢物語聞かせてくれ。
愛はきっと奪うでも与えるでもなくて気が付けばそこにある物。
街の風に吹かれて唄いながら妙なプライドは捨ててしまえば良い。
そこから始まる。
愛、自由、希望、夢。
足下を見たらきっと転がってる。
成り行き任せの恋に落ち、時には誰かを傷つけたとしても、その度に心を痛めるような時代じゃない。
誰かを思いやれば仇になり自分の胸につきささけるけれど……。
あるがままの心で生きようと願うから人はまた傷ついていく。
愛情って言う形のものを伝えるのはいつも困難だから。
いつまでも君に捧げよう。
(5)
「ただいま~」
「おかえりなさい、お疲れ様でした。もうすぐ夕飯出来上がるので先にお風呂入ってくださいな」
「分かった」
風呂に入るとテーブルには夕食が並んでいる。
2人で食べる。
今日あったことを愛莉と二人で話し合う。
梅本君に続いて涼宮君までね……。
とんとん拍子で怖い気がするよ。
愛莉が片づけをしている間も話は続く。
愛莉が風呂に入ってる間に寝室に移動してテレビを見る。
すると愛莉が二本の缶を持って戻ってくる。
一本を受け取るとそれを飲む。
愛莉は髪を乾かしてる。
乾かし終えると隣に座ってテレビを見る。
「なあ、愛莉」
「どうかされましたか?」
「愛莉のお父さんは本当はどう思ってたんだろうな?」
「え?」
「やっぱり、その同棲するって事に対して反対とかしてたのかな?」
ノートPCを見ながら僕は愛莉に聞いていた。
「それは無いと思います」
愛莉はきっぱりと言い切った。
「なんで?」
「だって小さい時からの夢だったから」
「?」
「冬夜さんと一緒に暮らすって小さい時からずっと言ってきたから」
そういやそんなこと聞いたな。
「冬夜さんもそのうちパパさんの気持ちが分かる時がきますよ」
「なんで?」
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ああ、そうだったね。
大変そうだな。
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悲しくはない。切なさも無い。
ただこうして繰り返されてきた事が、繰り返していくことが、嬉しい、愛しい。
躓いたり転んだりするようならそっと手を差し伸べよう。
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