優等生と劣等生

和希

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LASTSEASON

シーソーゲーム

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(1)

「おはようございます。冬夜さん朝ですよ。起きてくださいな」
「おはよう愛莉」

愛莉と朝の挨拶を交わすと愛莉はベッドを出て朝食の支度を始める。
僕も着替えると、ダイニングに行く。
そして愛莉と二人で朝食。

「冬夜さん、今日は間に合いそうですか?」

愛莉が聞いてくると僕は手帳を開く。
今日のスケジュールを確認する。

「大丈夫。定時にはあがれるから」
「そうですか、よかったです」

朝食を食べ終わると愛莉は片づけ。
そして僕の隣にきて二人の時間を過ごす。
出勤の時間になると愛莉に見送られて家を出る。
事務所に就くと神木さんに挨拶して仕事の準備にかかる。
準備を終える頃上原夫妻が来る。
夏美さんはマタニティスーツで通勤している。
月末には産休に入る予定だ。
朝礼を終えると業務開始。
資料を整理して顧客を訪問する。
午前中は訪問。午後から事務所で作業というのが最近のサイクルになって来た。
業務を終えると車に乗り愛莉に今から帰ると連絡する。
家に帰ると愛莉がお疲れ様ですと出迎えてくれる。

「まだ、時間に余裕があるので着替えてくださいな」

愛莉が言うので着替えると家を出る。
バスに乗って街に行くといつもの焼き鳥屋に行く。

「すいません、西松の名前で予約してると思うのですが」
「いらっしゃいませ3階にどうぞ」

3階にあがるとすでに渡辺夫妻と晴斗と白鳥さんがいる。

「いや、参ったな」

渡辺君は苦笑している。
スピードに魅了されるものは男性だけじゃない。
僕達の席には梅本夫妻も同席することになった。

「じゃ、今日もお疲れ様でした」

咲さんが言うと宴の始まり。……というわけにもいかず。
渡辺君が立ち上がる。

「ああ、この中で車で飛ばしてると自覚してる物は挙手してくれ」

渡辺君が言うと、祥子さんと小林さんが挙手した。
誠や桐谷君達はとてもじゃないけどそんな気力が無いらしい。
桐谷君が知っていたのは茂さんから聞いていただけだという。
中島君達も同様だった。
仕事で疲れて深夜に遊びに行く余裕が無いという。
桜木さんはこの前説得した。
祥子さんも自重してるらしい。
問題はないかのように見えた。
実際祥子さんもあれから走りに行ってないという。
小林さんも見学にとどめているだけだという。

「前にも言ったがうちのグループでは無謀運転はご法度だ。徹底してくれ」

渡辺君の一言で解決したはず。

「じゃ、次の話題。梅本君達が入籍したお祝いに入ろうよ」

咲さんが言うと皆拍手をした。

「ありがとう」と梅本君が言う。

それからは互いに近況を報告したリ学生組は騒いでいた。
僕達も仕事の話に花を咲かせていた。
梅本夫妻は別の席に移動し、代わりに悠木さんと長谷部君が来ていた。
晴斗達も移動し、中島君が来ていた。
公務員同士通じるものがあったらしい。
話に花を咲かせていた。
僕はそんな話を聞きながらひたすら食べていた。
愛莉はカンナ達と話をしていた。
こんな時くらい話をさせてやりたい。
そう思っていた。
桐谷君達も自重しているようだ。特に暴走はしてない。
ラストオーダーの時間が来た。

「2次会に参加される方はカラオケ店を予約してあるので」

咲さんが言う。
僕達は参加することにした。
明日から3連休。
特に問題はない。
多田夫妻と桐谷夫妻は帰ることにしたらしい。
明日も仕事なんだそうだ。
カンナは徹夜でも大丈夫だが、やはりBAが酒臭いでは問題あるらしい。
そして2次会組はカラオケ店に移動した。

(2)

カラオケに行くとすぐに私は端末を手にした。
そして曲を入力して歌いだす。
皆はそれぞれ話をしている。
歌う組と話をする組。
二手に分かれていた。
どちらも言えることはとりあえず飲んでいると言う事。
私はアルコールは苦手なので飲まない。
もちろん私一人でマイクを独占なんて真似はしない。
亜依さんや他の人にもマイクを渡す。
しかし他の人が歌っている間は次の歌を選曲している。
それが悪い事だとは思ったことは無い。
皆そうだと思っていたから。
だから気楽に歌える。
逆を言えば私の歌なんて誰も聞いていないと思っていたから。
0時前に社会人組は帰っていった。
今日も仕事で疲れているらしい。
最終便で帰るらしい。

「最近先輩達ノリが悪いよな」

梅本君が言った。

「仕方ないだろ。仕事をしてるんだから」

西松君が言う。

「もう僕達だけでいいんじゃない?飲み会」

佐々木君が言う。

「先輩達も仕事の中わざわざ来てくれてるんだ。そういう言い方は無いだろ」

竹本君が言う。

「わざわざ来てしらけさせて帰るのもどうかと思うんだけど?」

佐々木君が言う。

「まあ、いいじゃない。残った者で楽しめばそれでいいでしょ」

梅本君が言う。

「でもさ、大人になるってどういう事なんだろうね?つまんない人間になる事なのかな?」

佐々木君が言う。

「つまんないって先輩達には先輩達の価値観があるんだろ?」

純一さんが言うと、論争がはじまる。
一度火がついたら止まらない。
アルコールが入ってるから。
必死に鎮火させようとする西松先輩と咲先輩。
大人の価値観と学生の価値観のシーソーゲーム。
あちらを立てればこちらが立たず。
不毛な争いが続く。
気づいたら誰も歌うものがいなくなっていた。
論争は皆を巻き込んでいた。
無駄な論争は朝まで続き、そして皆家に帰った。
話は、帰っても場所をメッセージに移し続いていた。

(3)

「参ったなこりゃ……」

俺は一人スマホを見て悩んでいた。
盛り上がる学生人とシラケさせる社会人。
確かに二組の間に温度差は感じていたが……。
誠君と瑛大、中島君は静観を決めている。
冬夜は何か考えているのだろう。
石原君達は仕事だと言っていた。
激怒するのは恵美さんと晶さん。
神奈さん達は仕事だと言ってたけどこのログを見たら激怒するだろう。
このまま看過していたら間違いなく分裂だ。
冬夜もその事は分かっているはず。
しかしその冬夜が何も言わない。
何を考えている冬夜?
ログを見た感じ言い出したのは佐々木君らしい。
女性陣は反論するが、佐々木君には敵わない。
感情的になる女性陣を押さえるのに必死になる。
このままでは埒が開かない。
冬夜に個人チャットを送ってみる。

「好きにさせればいいよ」

冬夜はそう言う。

「しかし……」
「まあ、いいから。様子見しよう?」

冬夜は言う。

議論は夜まで続きそして仕事組が帰ってくるとさらに過激化した。

「気に入らねーなら抜ければいいじゃねーか!」

美嘉がそう言い放つ。

「それって逃げじゃない?残っていたいなら黙って従えって。僕達は要望を出す事すらできないの?言いなりにならないといけないの?」

佐々木君が反論する。
ここにきて冬夜が発言した。

「良い意見だね。佐々木君の言う通りだ」

当然冬夜は非難を浴びる。
だが、冬夜は気にも止めてないようだ。

「渡辺君、佐々木君の要求を飲もうじゃないか。佐々木君達だけで飲み会をする。どうだい?」
「冬夜、それだとただの分裂だ」

俺は冬夜に反論した。

「かといって抑圧するわけにもいかないでしょ。彼の意見も取り入れてやるべきだ」

冬夜は言う。
そうかもしれないが……。

「じゃ、皆明日決起集会しようよ」

佐々木君が言う。
そう言って佐々木君を中心に話が拡がっていった。
冬夜このままで本当にいいのか?

「じゃ、明日正午からボーリングでいいよね?」

しかし誰も何も言わない。

「あれ?どうしたの?」

佐々木君が言う。

「それって行く意味あるの?」

そう答えのは梅本君だった。

「どういう意味?」

佐々木君が聞き返す。

「俺は先輩達ノリが悪いなと言っただけ。先輩抜きで飲み会しようとは言ってない」
「同じ事じゃない。先輩がいるとシラケるなら先輩抜きでやった方がいいじゃない」
「だからさ、先輩抜きって時点でそれはもう渡辺班の活動じゃないよね?なのに出ないといけないの?」
「渡辺班じゃなくて新しいグループ作ってそこで盛り上がろうよって意味だよ。社会人がつまらないなら学生だけでグループつくればいいじゃん」
「そのグループに入らなきゃいけないって理由は無いよね?渡辺班じゃなかったら俺だったら別に他に友達いるし」
「じゃあ、梅本君がそこまで渡辺班に拘る理由に興味があるんだけど」
「祥子を紹介してくれた班だから。先輩達がノリが悪いのは大人と学生の温度差ってやつでしょ?偶の休みにわざわざ予定空けて来てくれてるんだ。何かしら意味があるんでしょ」

梅本君がそういうとほかの皆も言い出した。「縁を結んでくれた班だから」「佐々木君のグループに入るメリットを教えてくれて」と。
形勢が悪いと見たのか佐々木君の矛先は俺達に向かった。

「先輩達もさノリ悪いって言われるくらい場をシラケさせてるんだよ。一言謝罪があって当然じゃないの?」

それを聞いた美嘉たちが怒り出す。
結果佐々木君は敵を増やすだけになった。

「皆自分の立場に気付こうよ。自分たちと価値観が違うグループに居続けるより同じ価値観を持つ同士で集まったほうが楽しいって。メリットなんて自分で見つけるものだろ?」
「だからさ、同じ価値観を持つ同士のグループが佐々木のグループである必要性があるのか?」
「誰も作ろうしないから僕が言い出しただけだよ」
「例えばさ、俺だったらこの中でも咢とか美琴ちゃんと遊べばいいだけなの話なんだよね?わざわざ渡辺班を抜ける理由が無い」
「先輩たちのノリが悪いって言いだしたのは梅本君だよ。それなのにいざグループを抜けるのは嫌だってただ先輩達を怖がってるだけじゃないか?」

構図は他の皆VS佐々木君一人という形になった。
最初からそうだったのだろうか?
冬夜はこうなることを予想していた?

「佐々木君の言い分は分かった。明日皆で集まろういつもの焼き鳥屋で」

冬夜が言うと誰も反対しなかった。
ただ社会人組、男性陣が誰一人何も言わなかった。

(4)

焼き鳥屋につくと咲さんに席を案内された。
僕と柚希、片桐さんと遠坂さん、渡辺夫妻に梅本夫妻。

「じゃあ、今日も盛り上がろう」

咲さんが言うと宴の始まり。
僕と梅本君が口論を始める。
彼の言い分はこうだ。

「わざわざ渡辺班を抜けて佐々木のグループに入る理由を教えてくれ」

別に僕がグループを作る理由はない。
他の誰でもいい。作りたい人が作ればいい。
いないから名乗り出たまでだという。
すると梅本君は言う。

「それならわざわざグループ作らなくても個人個人で会えばいいでしょ?」
「それなら渡辺班に居続ける理由もないよね?個人個人でやりとりすればいいんだから」
「渡辺班は特別だっていう説明はしたはずだけど?」
「祥子さんを紹介してくれたから?それなら君はもう結婚までしたんだ。渡辺班に居残る理由にならない」
「結婚したからはいさようならってそんな希薄な関係ではないと俺は思うんだけど」
「最初は誰だって希薄な関係だ。そこから関係を深めていくのが人なんじゃないの?」
「だからそれを別のグループで一からやる理由があるのかと言ってるんだけど?」
「大人の価値観だから仕方ないとか一からやり直すのが面倒だとかそれって君の個人的理由だよね?」
「そうだよ。それがいけないの?」
「話にならない。ただ皆に合わせてるだけの自我を持てない典型的なステレオタイプだ。君が言ってるノリの悪い大人との違いを聞きたいね」

必死に梅本君を落ち着かせる渡辺君と祥子さん。

「スズメって意外と美味しいね。愛莉もたべてごらん」
「本当ですか?ちょっと気持ち悪いけど……あら?美味しい」

片桐さん達は話に加わろうとしない。
僕は他の皆に訴えた。

「僕がこれだけ言っても話にもならない大人たちとは別にグループを作ったほうが建設的だと思わないか?」

だが、誰も応えない。
その時やれやれと片桐さんが立ち上がり言った。

「今日の集まりは大人と学生の分離についてなんだろ?皆は何か意見ないの?」
「そもそもその話自体がナンセンスだ。俺達だって来年んは社会人だ。先輩のアドバイスとして聞いた方がいい」

真鍋君が答える。

「俺からすると片桐達もまだ子供だけどな……ようやく一人歩きを始めた程度の」

丹下さんが言った。

「僕達なんてまだ高校生なんだけど?」

江口君が言う。
各所で討論が始まった。
大人と学生が混ざって意見を交換している。
片桐さんはその様子を見て座ると飲み物を飲み始めた。

「ハイボールお替り!」
「あ、じゃあ生4つ!追加で!」

梅本君も落ち着きを取り戻したようだ。

「新婚生活はどうだ?」
「突然始まったことで少々戸惑ってます」

渡辺夫妻と梅本夫妻が話を始めてる。
柚希も遠坂さんと話を始めた。
取り残される僕に声をかけたのは片桐さんだった。

「君は行動力が高くてバイタリティが高いらしいね?」
「そう自負はしてるよ」
「なのに誰も相手にしてもらえなくて君は困惑している。違う?」

僕はうなずいた。
片桐さんはなおも続ける。

「普段のトークは面白いそうだね?」
「よく言われるね」
「でも渡辺班にはそれが通じない。戸惑ってる。違う?」

僕はうなずく。

「君の意見は正しい。大人と学生の価値観が違うなら別行動をとるべきだ。君はそう思って行動した。それは認める」

片桐さんは僕の意見を肯定した。

「片桐さんも同じ考えなんですか?」
「いや、違うよ」

え?

「世の中理屈だけで動くなら学者が政治をすればいい。きっと世の中上手く動くよ」
「政治って屁理屈を垂れ流すだけの場所じゃないんですか?」
「残念な事に違うんだ。理想や価値観の押し付けで失敗した政治家なんて沢山いるよ」

それほどに日本の政治は腐っている。片桐さんはそう言う。

「じゃあ、片桐さんはどう思ってるんですか?現状のままでいい。そう思ってるんですか?」
「そうだね、理由は今見ての通り」

僕の言葉は届かず、片桐さんの言葉は皆を動かした。
何が違うんだ。

「僕と片桐さんの違いって何ですか?」
「さあね?」
「自分で考えろとか人徳とかそんなありきたりな意見はいらないんで納得のいくように答えてください」
「……結局のところ君の目的はなんだったの?」

片桐さんは訪ねてきた。

「それは新しいグループを作ろうと……」
「そうじゃなくてさ、梅本君に何を訴えたかったの?」
「え?」
「君の目的は梅本君を説得する事?それとも論破する事?」

僕は答えなかった。自分の犯したミスに気付いたから。
そんな僕をみて片桐さんは笑う。

「君はどうも過程より結論を重視するみたいだから結論から言うね。君は失敗した。ただそれだけ」
「どうしてですか?」
「それは僕が説明しないといけない事?」
「また逃げですか?」
「そうだね、ここから先は説教になると思うけどいいかい?」
「どうぞ」
「まず、逃げだと判断することが間違ってる。世の中正解をきちんと教えてくれる人ばかりだとは限らない」

そう思ってること自体が学生と大人の差だと片桐さんは言う。
そんな当たり前のことを聞きたいんじゃない。
何が正解なのかなんて誰にもわからない。自分の行動を正しいと証明するのは自分だけだ。

「それじゃ、君は納得しないだろうから説明するね。君の行動は間違っていない。ミスをしたのは君が梅本君と討論に持ち込んだ事」
「意見を交換するのは普通なんじゃないですか?」
「頭ごなしに自分の理想をぶつけて梅本君の意見を真っ向から否定する。そんなの結果が見えてる。梅本君を怒らせるだけだ」
「じゃあ、どうするべきだったんですか?」
「必要なのは説得でも論破することでもない。正解を探す事だ」

意味が分からない。
そんな僕を見て、心を読んだのか、片桐さんは梅本君達に声をかける。

「梅本君と渡辺君に聞きたいけど、これから先も社会人組と学生組の温度差は埋められない。どうすればいいと思う?」
「そこは社会人組も参加するなら配慮してやるべきだろうな。まあ、若さには勝てんが」

渡辺さんは笑って言う。

「学生組にとっては貴重な意見だと思いますね。ただの上下関係じゃない。人生の先輩だ。もっと耳を傾けるべきだと思う」

梅本君が言う。
これが僕と片桐さんの差?
片桐さんは語る。

「裁判は検事と裁判官が争う場じゃない。検事と弁護士の使命、それは両者が全力で戦うことで、真実を明らかにすることが理想の裁判らしいよ」

両者が主張を押し通す事じゃない。意見を交換して正解を探し出すことが正しい意見交換だという。

「梅本君」

僕は梅本君に声をかけた。

「どうした?」

怪訝な顔をする梅本君。

「さっきは僕が言い過ぎた。梅本君の意見を組まなかった僕が悪かったことは認めるよ」
「別に気にしてないよ。俺も熱くなり過ぎたところもあるし。それにそうやって衝突するのも仲間なんじゃね?」

梅本君は言う。
本当に気にしてないようだ。

「そろそろラストオーダーです」

店員が言う。

「ええ、2次会に行ける方は……」

咲さんが言う。
高校生組を残して全員参加した。
社会人組の一部は日付が変わる前に帰った。
それに苦言を呈する者はいなかった。
社会人には社会人の苦労があるんだと知ったから。
残った者は朝まで騒いでいた。

(5)

愛莉の掃除機の音で目が覚める。
しまった。
リビングに行くと愛莉が楽しそうに掃除をしている。

「おはよう愛莉」
「おはようございます」
「折角の連休なんだし休んでも」
「冬夜さんは昨日お疲れのようでしたから休んでてもらおうと思って」

それで愛莉は退屈だから掃除してたらしい。

「愛莉が休まないと意味無いだろ?」
「でも3日も休んでたら埃塗れになってしまいます」

そう言って愛莉は掃除をする。
時計を見て愛莉は言う。

「掃除終わったらお昼にしますね」
「ありがとう」

大人しく寝室でPCを触る。
スポーツニュースはサッカーの事で持ち切りだ。
来年にはW杯があるんだから無理も無いだろな。
また「負けられない戦い」が続くわけだ。
愛莉の掃除機の音が消えた。
PCを消してダイニングに行く。

「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」

そう言って愛莉は笑う。
昼食を食べると愛莉とお買い物。
特に何か買うでもなくウィンドウショッピングを楽しむ。
それが終るとコーヒーショップで愛莉とお茶を楽しむ。
ショッピングモールを出るとスーパーに寄って買い物をしてから帰る。
家に帰ると愛莉が夕飯を作り出す。
その間にお風呂に入る。
風呂に入ると夕食が待っている。
ご飯を食べると愛莉は片づけをして自分が風呂に入る。
それを見届けると寝室に戻りPCを起動する。
流行りのシューティングゲーム。
いわゆる弾幕ゲームと言われているもの。
パターンがあるとはいえ、その弾の数に焦る人が多い。
それを躱しながらゲームを進める。

「えいっ」

愛莉が抱きついてくる。
あっという間にやられてしまった。
ゲームを終了させPCをシャットダウンすると立ち上がって愛莉をベッドに押し倒す。

「きゃっ」

愛莉が可愛い悲鳴を上げてる間に部屋の照明を落とす。

「今日はたっぷり時間あるからな」
「嬉しいです」

その後愛莉に没頭した。

「ねえ冬夜さん」
「どうした?」
「冬夜さんはどうして最初黙っていたのですか?」

その話か……。

「それって今しないといけない話?」
「え?」
「僕は今夜愛莉を楽しみたい気分なんだけど?」
「……えへへ」

愛莉を撫でながら説明しする。

「前にも言ったと思うんだけど、交渉する意志のない人間に交渉の場に立たせるにはこちらから折れるしかないんだ」
「でも、梅本君には交渉する意志はあるように見えましたが」
「最初はね、だから黙ってた」
「あ、そう言う事だったんですね」

愛莉は納得したらしい。
コミュニケーションには3パターンある。
自分の考えや感情を押さえつける消極的なコミュニケーション。
相手を論破したり自分の主張を押し通す攻撃的なコミュニケーション。
最後はどちらでも無くお互いを尊重するwin-winのコミュニケーション。
自分の状況を伝え、自分の気持ちを伝え相手の気持ちを理解してることを伝え、提案して代替案を伝える方法。
DESC法というらしい。
佐々木君に足りないのはそれだろう。
相手の状況と気持ちを聞きはするものの自分の中で折衷案を見いだせないでいる。
世の中正論だけでは通らない。
お互いが納得できる結果を出さなければ交渉が成功したとは言えない。

「うーん……」
「どうした?」
「じゃあ、さっき冬夜さんの望みを聞いたので私の望みも聞いてくださりますか?」
「ああ、どうしたの?」

愛莉は耳打ちする。
僕はくすっと笑うと腕をひろげる。
愛莉は僕の腕に頭を乗せると僕に抱き着く。
愛莉の細やか要望に応えながら連休最後の夜を過ごした。
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