優等生と劣等生

和希

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LASTSEASON

10年前

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(1)

「それじゃ、乾杯!」

西松君が缶ビールを持ち上げる。
皆がそれぞれの飲み物を飲む。
7月。
皆で海に来ていた。
昼間は泳いだり遊んだりしてた。
そしていまBBQで盛り上がってる。

「男共!じゃんじゃん食えよ!」

美嘉さんが肉を焼く。
愛莉が食べ頃の肉をとって僕にくれる。
食って飲んで騒いでの日。
月に1度は訪れる。
何一つ変わらない日々。
こうして日々を重ねてゆっくりと年を取っていくのだろう。
学生組ははしゃいでる。
そんな日々も直ぐに通り過ぎてしまう。
だから大人は口酸っぱく言うのだろう。

「青春を楽しめ」と……。

その事に気付いた時にはもう遅い。
既に大人の仲間入りをしている。
望んでも望まなくても必ず訪れる。
人ってそういうものなんだろう。
若いとは振り向かない事。
何も考えずにがむしゃらに走り続けて、振り返った時が大人なんだ。
僕達よりも年をとってる丹下さんや椎名さんは僕達をどう見てるんだろう?
聞いてみた。

「お前は振り返るにはまだ早いぞ!」

丹下さんはそう言って笑った。

「そうだな、よく言われる事なんだが、20を過ぎるとあっという間に30になる。30を過ぎるとさらに加速して40が訪れる。そういうことなんだろ」

椎名さんが言った。

「まだお前らなら大丈夫だよ。体が動く。年を取ると自由がきかなくなってくるんだ」

丹下さんが言う。
それはよくわかる。
たまに、晴斗や梅本君のテンションについていけない自分がいる。
あんな時が僕にもあったんだろうか?

「お前にはバスケがあっただろ?いい思い出になったんじゃないか?」

丹下さんが言う。
それは桜子さんに感謝しないといけないな。
肉を食べ終わると男性陣が花火を始めた。
大人買いした大量の花火。
そしてロケット花火と打ち上げ花火の打ち合いが始まる。
女性陣にしかられる男性陣。
小鳥遊さんと月見里君は静かに線香花火で遊んでいた。

「冬夜さんも花火しませんか?」

愛莉が言う。
愛莉と二人で花火を見る。

「花火って綺麗ですよね。だけどいつか散ってしまう」

愛莉が漏らした言葉。
愛莉が言いたい事は分かる。
多分僕が考えていた事と同じ事だろう。
だから愛莉に言ってやる。

「そうだね、花火はいつかは散ってしまう。だから僕は新しい花火に火をつけるよ」

愛莉は不思議そうに僕を見る。

「……愛莉の心の中にずっと花を添えてやるから」

愛莉は嬉しそうに頷いた。
花火が終ると夜食のラーメンを食べる。
海岸で食べるラーメンは格別だね。
男性陣は凝りもせず誠と桐谷君と中島君を中心に集まる。
古参のメンバーは危機を察して最初からよりつこうとしない。
そしてカンナ達に証拠を押収され厳重注意を食らう羽目になる。
伊織さんも本当逞しくなったな。
結婚は女性を変えるというが本当なんだろうな。
でも、愛莉は変わらない。
いや、変わったのか?
多分愛莉の中では僕と同棲を決めた時にもう嫁ぐ覚悟が出来ていたんだろう。
あの頃から愛莉は変わった。
とても優しくて。
とても愛おしい。
そしてずっと綺麗なままでいる。
それはこれからも変わらないでいるのだろう。
泣いたり笑ったり不安定な思いだけど、それが僕と愛莉のしるし。
これからも小刻みに鮮明に僕の記憶を埋め尽くすのだろう。

(2)

7月末。

僕達は別府のビアガーデンにいた。
花火を見る為だ。
ゆっくりと飲みながら打ち上げられる花火を見ている。
渡辺班初の試み。
花火などお構いなしに飲んでる連中もいるけど。
愛莉はこの日浴衣で着ていた。
去年は浴衣じゃなかったのに今年は実家に帰って浴衣をとってきてた。

「もう似合わないかな?」

愛莉が聞いて来るので「似合ってるよ」と返すと照れ笑いをしてた。
その愛莉は花火に見とれている。
その姿が綺麗で食べるのも忘れて見とれていた。
僕の視線に気が付いのだろうか?
愛莉がこっちをみる。

「どうかされましたか?」
「いや、愛莉に見とれてただけ」
「冬夜さんったら……」

恥ずかしそうにしている愛莉。
花火が終ると皆帰りだす。
僕達も電車できてたので現地解散になった。
晴斗達と彩人達は別府だからいいけど他の皆は地元なので一緒だった。
地元駅に着くと皆別れる。
バスに乗って家に帰る。
愛莉は浴衣を脱いで綺麗にたたんでいる。
お風呂から出て来ると愛莉が入る。
愛莉が出て来ると「明日から仕事ですから冬夜さんも早くやすんでくださいな」と言う。
愛莉と二人でベッドに入る。
愛莉の寝顔を見て想う。
できればずっとこのままこの優しい幻に触れていたいと思った。

(3)

8月上旬。

地元の花火大会に来ていた。
今回は僕と愛莉とカンナと誠だけで。

「10年前は一緒に来れなかったからな」

誠が言う。
思い出した。

「僕は誠達を見たぞ」
「え?」

カンナと誠が僕を見る。
愛莉も僕を見てる。

「あれが誠とカンナのファーストキスだったんだろ?」

にやりと笑って言ってやった。

「お、お前なんでその事を!?」
「どこで見てたんだ!?」

誠とカンナが慌ててる。

「冬夜さん私には何も教えてくれませんでしたよ!」
「いや、たまたま見たことのカップルがいるなって思ってさ。ずっと黙ってたんだけど、やっぱりあれ誠達だったんだな」
「冬夜お前趣味悪いぞ!」
「声かけた方が良かったか?」
「そ、それは……」

誠が言葉に詰まる。

「ああ、それで冬夜さん帰り急いでらしたんですね」

愛莉は納得したようだ。
そんな話をしている間に花火が終わった。

「冬夜、お前この後予定あるか?」

誠が聞いてくる。

「いや、ないけど?」
「じゃあ、ちょっと付き合えよ。車できてるんだろ?」
「いいけどどこに行くんだ?」
「那奈瀬川の公園」

公園に行くと人はいなかった。
あのころと違って蛍の時期じゃないから。
それでも若いカップルがちらほらいる。
車の中で愛を語るカップルもいる。
僕達はベンチに座った。

「どうしてここに来ようと思ったんだ?」

カンナも不思議に思ったらしい。誠に聞いていた。

「10年後の8月」

誠が一言言った。

「あの時思ったんだ。俺達進路は別々だけどまた会えるんじゃないかって」

そうか、あれから10年経ったのか。

「あの時半分神奈の事諦めてた。神奈の中にいる冬夜を俺では消せないんじゃないかって」

それで一度別れたんだよな。

「10年経っても変わらない想いなんてものがあるのだろうか?半信半疑だった。でも今こうして実現した。これってすごくね?」
「確かにすごいな」
「あの時は私も怖かった。神奈に冬夜さんとられちゃうんじゃないかって」
「私もトーヤの事諦めきれなかったな」

それぞれが思い出を語る。

夏の終わり、将来の夢、大きな希望。

出会いはふとしたきっかけだった。

「どうしたの?」の一言から始まった。
「こっちの方が良いと思うよ」の一言から始まった。

本当にとても嬉しかった。
花火が夜空に咲いたあの夜ちょっと切なかった。
風は時間とともに流れる。
嬉しかったし楽しかった。
悲しくて寂しくて喧嘩もした。
最高の思い出だった。

「ねえ!また約束しよう!」

愛莉が立ち上がった。

「また10年後ここで会おうよ!」
「そうだな」
「ああ」
「きっと会えるよ」

4人で誓った。
夏はまだ終わらない。
ずっとこのままで、太陽と月が仲良くしている限り。
その約束が果たされるのかどうかは分からないけど。
誠がそうしたように信じよう。
僕達はそう思った。

(4)

8月中旬。

お盆休みは実家に帰った。
親に挨拶をする。
片桐、遠坂両家に挨拶にいって近況を報告する。
と、言っても愛莉は頻繁に母’sにあってるらしいけど。

「挙式もそうだが、いい加減孫が出来たって報告はないのか?」
「う、うむ……」

父’sは相変わらずだった。

「私はいつでもいいんですけど冬夜さんが……」
「は、ははは」

笑って誤魔化すしかないよな。

「愛莉ちゃん、ひょっとして不妊症なの~?」
「違うよ~冬夜さんがしてくれないの~」
「冬夜!!あんたはまた愛莉ちゃんを困らせてるのかい!?」

理不尽な怒りだ。
親との挨拶を終えて家に帰る。
週末はキャンプだった。
いつも通り遊園地にいって湖でキャンプしてそして男性陣最大の難関に挑む。
溜息をつく。
でも不思議だった。
今年に限ってあの憂鬱さがない。
どうしたんだろう?
愛莉を見る。
毎年来てるからうんざりしてるはずなのに嬉しそうに写真を撮る愛莉。
そういうことか……。
こういうことを言うのか。
1人で納得してた。
愛莉がいつも言ってた言葉。

「冬夜さんとならどこに行っても楽しい」

今さらになってその言葉の意味を噛みしめる。

愛莉とならどこへ行っても楽しめるんだ。

それを今実感していた。
桐谷君達は相変わらずだけど。
新人達もてこずってるみたいだけど。
いつかきっとこの境地に辿り着けると思う。
だから頑張れ……。
心の中でエールを送る。

「冬夜さん?」
「どうした?」
「いえ、ぼーっとしてたからつまんないのかなって……!?」

愛莉を抱きしめる。

「ひ、他人が見てますよ!」
「いつもだったら気にしないだろ」
「それはそうですけど……困った旦那様ですね」
「冬夜なにやってんだよ!」

桐谷夫妻がやって来た。

「こんなところでいちゃつけるお前らがわかんねーよ!つまんねーし!」
「お前は嫁とデートするのがそんなに気に入らないのか!」
「場所が問題なんだよ!冬夜だってそう思うだろ?」

桐谷君が言うと僕は笑顔で言う。

「僕は楽しいよ」
「は?お前そんな趣味あったのか?」
「愛莉と一緒だから」

嬉しそうな愛莉。
溜息をつく亜依さん。

「やっぱ結婚相手考えるべきだったわ……」
「そのうち亜依さんも桐谷君にそう思われるようになるよ」
「片桐君の倍以上結婚生活を過ごしてこれなのよ!」

不満を漏らす亜依さんを笑ってみていた。
帰りにファミレスによって夕食を食べて帰る。

「ねえ冬夜さん?」
「どうした?」
「この前りえちゃんが言ってたことなんですけど……」
「うん」
「もういいんじゃないかなって思うんですよね」
「何の話?」
「だから……そろそろ子ども作ってもらえませんか?」

はい?

「式の後じゃだめなの?」
「今からだったらお腹が目立つのも式の後ですよ」

確かにそうだな。

「……今夜はもうひと頑張りしないとだめみたいだね」
「はい!」

そうして家に帰って夜を過ごした。

(5)

8月下旬。

「それじゃ、水島夫妻結婚おめでとう!乾杯!!」

水島夫妻の結婚式の2次会は渡辺班が参加した。

「佐。会社の人とか呼ばないで大丈夫なのか?」
「そこまで親しいってやつもいないしな。大丈夫だよ」
「桜子さんおめでとう」
「ありがとうございます」

愛莉が桜子さんに挨拶する。
僕達は披露宴に出た。
綺麗な桜子さんのウェディングドレス姿に愛莉は見とれていた。
渡辺班の中で言うなら次は僕達の番だ。
ブーケトスは愛莉が受け取った。

「冬夜はどうするつもりなんだ?披露宴とか?」
「……佐は呼ぶよ」
「わりーな」

佐がそう言って笑う。
テーブルに戻ると余興のALICEのライブとますたーどの漫才が始まる。
二人とも今や売れっ子だ。
売れっ子だけに大学を中退してくれと頼まれてるが恵美さんが阻止してるらしい。
東京の大学に転入とも言われたけど今さら単位を取りなおす時間が惜しいと断ったそうだ。
街中にALICEのポスターを見るようになった。
阿南夫妻もイメージキャラクターとして起用され引っ張りだこらしい。
余興が終るとラストオーダーの時間になる。

「てめーら、言わなくてもわかってるよな!?」

美嘉さんが言うとみんながこぶしを振り上げる。
高校生組は帰ったけどあとは皆カラオケへと流れ込む。
北村さん達が歌う仲皆は飲んで食べて騒ぐ。

渡辺君がジョッキを持ってやってきた。

「いよいよ次はお前たちだな」

渡辺君が言う。

「そうだね」
「どんな心境だ?」
「緊張してきたよ」

本音を言った。
渡辺君はにやりと笑って言う。

「まあ、そうだろうな。でもこれからだぞ」
「え?」
「花嫁姿を見た時が最高潮だ」
「なるほどね」
「片桐君は披露宴で料理に夢中になるなんて醜態冒さないように気をつけないとね」

恵美さんが言う。
さすがにそれは無理……。

「大丈夫だよ。冬夜さん今日の披露宴ですら緊張してろくに食べてなかったから」

愛莉が笑って言う。

「それならいいんだけどね」

恵美さんがそう言って笑う。

「二次会は渡辺班でやるとして披露宴はどうするんですか?」

石原君が言った。

「同期の人は皆呼ぶつもりだよ」

僕が答える。

「じゃあ、友人代表のスピーチは?」
「渡辺君にお願いしようと思ってる」

愛莉が答えた。
その後も、新婚旅行はどうするんだ?とか色々聞かれた。
愛莉が大体答えてる。
そんなやりとりを聞きながら想う。
いよいよ僕達の番が来たんだ。
僕達はやっとたどり着くんだと。
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