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第5話 役夫之夢-1
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「…………」
……あれ? ここどこだ? 家の玄関?
俺は、何故か家の玄関に立っていた。なんで俺、こんなとこに立ってるんだ?
しかも靴を履いて、手にはビニール袋を持っていた。中身を確認すると、有名製菓店の人気スイーツが入っていた。この箱は確か、マカロン?
「じゅんぺーい? 帰ってるんでしょー?」
その声で、俺は全てを悟った。ダイニングの方から、美幸の声が聞こえてきたのだ。これは明らかにおかしい。なぜなら、美幸が俺の家にいるなんてことは今現在絶対にあり得ないからだ。てことはこれは……。
「また夢か……」
もう何日目だろう。こうやって夢の中で美幸に合うのは。しかもまた、俺は夢の中でこれは夢だと気づいてる。すげえな俺、エスパーか?
「純平ー! はーやーくー!」
「……はいはい」
どうやらまだ目は覚めないようなので、俺はとりあえず美幸の待つダイニングへ向かうことにした。靴を脱ぎ、スリッパをはいて廊下を歩いていく。
「ただいまー……って、うわっ!」
「おかえり純平! もう! 帰ってくるの遅いよ!」
ダイニングへ続く扉を開けた途端、エプロン姿の美幸が俺に抱きついてきた。夢とは思えない感触に、思わずドキッとした。
と、段々俺を締め付ける力が強くなる。そんなに俺の帰りを待っていたのかと思うと、可愛く見え
「痛い痛い痛いイタイ!! 」
強すぎるわ力が! 俺は急いで美幸を引き離しにかかる。すると、自分から力を緩め離れる美幸。もう少し遅ければ、体が粉々になっていたかもしれない。
「あ、ごめんごめん。あまりに待ち遠しかったから、ついやっちゃった」
「つい、で人を殺す気か!」
「あははは!」
「笑い事じゃないだろ!」
お腹を抱えてゲラゲラ笑っている美幸。その姿を見て思った。俺、なんか普通に喋れてるな。まあ夢の中だけども。
「ところで純平、それなに入ってるの?」
俺が持っていた袋を指差す美幸。
「ああ、これか。これは多分マカロン」
「多分? 博打買いでもしたの?」
「90%マカロン」
「残りの10%は何処に」
「まあ開ければ分かるだろ。ほれ」
「確かにそうだね。どれどれ……」
まるで子どものようにキラキラと目を輝かせながら中身を確認する美幸。中身はやはりマカロンだったようで、感嘆の声をあげている。
美幸、マカロン好きだったんだ。いや、あくまで夢の中の美幸はだけど。
「ありがとう純平! あとで一緒に食べようね!」
「そうだな。……ん? いま食べないのか?」
「もう、純平ったら。分かってるくせに……」
「……へ?」
美幸は何故か頬を赤らめながら、俺の服の袖を掴んできた。その表情は、何かを察してほしそうにも見える。
「あ、あの。美幸さん? どうした?」
俺はその時気づいた。テーブルには、美味しそうな夕食が並んでいたことに。エプロンしてるってことは、美幸が作ったのか。なるほど、先にご飯ってことね。それなら納得だ。
「…………えい!」
「うわっ……っと」
美幸にソファに押し倒された。え、なんやこの状況。ご飯は? 先にご飯とちゃいますのん? 驚きのあまり関西弁になってもうたやん。
俺の上で馬乗りのような態勢になっている美幸。その姿が妙に艶かしく、俺の中の何かが目覚めようとしていた。
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「…………」
……あれ? ここどこだ? 家の玄関?
俺は、何故か家の玄関に立っていた。なんで俺、こんなとこに立ってるんだ?
しかも靴を履いて、手にはビニール袋を持っていた。中身を確認すると、有名製菓店の人気スイーツが入っていた。この箱は確か、マカロン?
「じゅんぺーい? 帰ってるんでしょー?」
その声で、俺は全てを悟った。ダイニングの方から、美幸の声が聞こえてきたのだ。これは明らかにおかしい。なぜなら、美幸が俺の家にいるなんてことは今現在絶対にあり得ないからだ。てことはこれは……。
「また夢か……」
もう何日目だろう。こうやって夢の中で美幸に合うのは。しかもまた、俺は夢の中でこれは夢だと気づいてる。すげえな俺、エスパーか?
「純平ー! はーやーくー!」
「……はいはい」
どうやらまだ目は覚めないようなので、俺はとりあえず美幸の待つダイニングへ向かうことにした。靴を脱ぎ、スリッパをはいて廊下を歩いていく。
「ただいまー……って、うわっ!」
「おかえり純平! もう! 帰ってくるの遅いよ!」
ダイニングへ続く扉を開けた途端、エプロン姿の美幸が俺に抱きついてきた。夢とは思えない感触に、思わずドキッとした。
と、段々俺を締め付ける力が強くなる。そんなに俺の帰りを待っていたのかと思うと、可愛く見え
「痛い痛い痛いイタイ!! 」
強すぎるわ力が! 俺は急いで美幸を引き離しにかかる。すると、自分から力を緩め離れる美幸。もう少し遅ければ、体が粉々になっていたかもしれない。
「あ、ごめんごめん。あまりに待ち遠しかったから、ついやっちゃった」
「つい、で人を殺す気か!」
「あははは!」
「笑い事じゃないだろ!」
お腹を抱えてゲラゲラ笑っている美幸。その姿を見て思った。俺、なんか普通に喋れてるな。まあ夢の中だけども。
「ところで純平、それなに入ってるの?」
俺が持っていた袋を指差す美幸。
「ああ、これか。これは多分マカロン」
「多分? 博打買いでもしたの?」
「90%マカロン」
「残りの10%は何処に」
「まあ開ければ分かるだろ。ほれ」
「確かにそうだね。どれどれ……」
まるで子どものようにキラキラと目を輝かせながら中身を確認する美幸。中身はやはりマカロンだったようで、感嘆の声をあげている。
美幸、マカロン好きだったんだ。いや、あくまで夢の中の美幸はだけど。
「ありがとう純平! あとで一緒に食べようね!」
「そうだな。……ん? いま食べないのか?」
「もう、純平ったら。分かってるくせに……」
「……へ?」
美幸は何故か頬を赤らめながら、俺の服の袖を掴んできた。その表情は、何かを察してほしそうにも見える。
「あ、あの。美幸さん? どうした?」
俺はその時気づいた。テーブルには、美味しそうな夕食が並んでいたことに。エプロンしてるってことは、美幸が作ったのか。なるほど、先にご飯ってことね。それなら納得だ。
「…………えい!」
「うわっ……っと」
美幸にソファに押し倒された。え、なんやこの状況。ご飯は? 先にご飯とちゃいますのん? 驚きのあまり関西弁になってもうたやん。
俺の上で馬乗りのような態勢になっている美幸。その姿が妙に艶かしく、俺の中の何かが目覚めようとしていた。
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