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連休3日目-午後-
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夕方。携帯のアラームに起こされると同時に、全身の筋肉に張りを覚えた私は、豊橋公園に向け移動するのでありました。13日の。それも夕方ともなりますと、さすがの豊橋公園も静かでありました。さてランニングです。私は何処へ向け走るのでしょうか。今わかっていることは、
『明日から台風の影響が出て来る。』
と言う事であります。ならば
『明日からは、まず近づくことが出来なくなるであろう場所を走ってみよう。この豊橋公園を起点として。』
そうなりますと選択肢として浮かび上がってくるのが
『豊川』
であります。それも堤防の上を走ることが出来、かつ自動車の往来もそれ程無い吉田城側を。早速駐車場から豊川に向け降りて行きますと最初に目に飛び込んで来ますのが
『かつての水害で、救助のため活動するも。殉職されたかたがたの出来事が刻まれた石碑。』
であります。昭和41年。生まれる前の出来事でありますが、けっして昔の出来事では無い。その後、改修が進み、暴れることが少なくなったとは言え。ひとたび綻びが生じると。でありますので
『大雨の危険性があります。』
の情報がある以上。
(……明日は近づかない。)
でも
(……今日はまだ雨が降りませんので。)
と走り始めたところ、午前中の筋トレの成果でありましょうか。
(……特に太もも前の筋肉が、走ることを拒否しているようでありまして……。)
とは言え。折角ここまで来たのでありますから
(……カメの甲羅を背負って修行に励んでいるんだ。)
この甲羅を外せばきっと私も
(……100mを9秒58で走ることが出来るようになる。)
と信じ(ジョギングで!?)、堤防の上ないし、堤防の中の道を走りました。印象としましては、大雨が降ることを前提としていることもあるのでありましょうか。雨が降っていない割には水がある。ダムから流しているのかな。テクテクテクテク追い風に乗り、順調に下流へと進んで行きますと、幾つかの豊川を渡る橋と出会うことになります。全部で3つ。それら3つある橋を1つ潜るたびに
(……堤防が昔のモノになって行く……。)
ところどころ表示されます『海抜5m』の数字が目に留まる度に
(……本当に必要に迫られて造られたものなんだな……。)
(……用事がない人間が悪戯に出入りしてよい場所では無いんだな……。)
そんな思いに駆られた私の目の前に現れたのがバイパス路線として整備された豊川橋。そこにあったのが
『もし何かあった時、住んでいる人がこの辺りで最も高い豊川橋の上に避難することが出来るよう設置された階段』
であります。河口まではまだ距離がありますが、
(……ここから先、何かあっても避難できる場所は無い。)
と堤防を離れ。住民のかたが普段使われている道へ向け。当たり前のことと言えば当たり前のことなのでありますが坂を下り、今度はスタート地点である豊橋公園へ向け針路を東にとりましたところ。これも当たり前のことなのでありますが、
(……向かい風。)
しばらく堤防に守られた地区の住宅地を走った印象としましては、川の水がある場所でありますので、かつてはその水運を使っていたであろう製材所があること。これも川の水の影響を受ける立地であるため、宅地としては不向きであったことと、川の水を制御する必要であったことも関係しているのでありましょうか。こちらも昔からの鉄工所や土木に関するところが幾つも見られ、自然環境が厳しい場所であることも影響しているかもしれません。保険の代理店を兼ねている会社が目に留まりました。あとは、駅から近いこと。国道1号線と23号線へのアクセスが便利でありますので
(……新しい家が増えている。)
実際、学校の生徒数が増えている地域であります。
新栄の信号まで戻りました私は、
(……もう少し走りたいな。)
と針路を東から南(正しくは南東)へとり、歩を進めて行きますと一枚の田んぼが目に入りました。宅地と商業施設に囲まれた地域に
(……田んぼが残っているんだ。)
と立ち止まり、目をやりましたところ
(……土が見えない……。)
ここ
(……深田だ……。)
ここ
(……地名は何だ?)
と電柱を探し見ましたところ、『花田町』の3文字に続けて記されていたのが
『越水』
(……水の制御と向かい合わなければいけない場所なんだ。)
そう言えば、今走って来たこの歩道。
(……暗渠だよな……。)
海岸線からかなり離れた場所ではありますが、
(……アスファルトで均されるとわからないな……。)
で。しばらく走りますと、明日からの雨に備えてでありましょうか。
(牟呂用水の水の多いこと多いこと。)
(……流量の調節をされているんだな……。)
そんなこと思いながら往完町。そこから豊橋駅に向かったところで
(……足が限界……。)
(……別にノルマではありませんので。)
ノンビリ歩きながら豊橋駅。そしてスタート地点である豊橋公園へ辿り着いた休日3日目の午後でありました。
『明日から台風の影響が出て来る。』
と言う事であります。ならば
『明日からは、まず近づくことが出来なくなるであろう場所を走ってみよう。この豊橋公園を起点として。』
そうなりますと選択肢として浮かび上がってくるのが
『豊川』
であります。それも堤防の上を走ることが出来、かつ自動車の往来もそれ程無い吉田城側を。早速駐車場から豊川に向け降りて行きますと最初に目に飛び込んで来ますのが
『かつての水害で、救助のため活動するも。殉職されたかたがたの出来事が刻まれた石碑。』
であります。昭和41年。生まれる前の出来事でありますが、けっして昔の出来事では無い。その後、改修が進み、暴れることが少なくなったとは言え。ひとたび綻びが生じると。でありますので
『大雨の危険性があります。』
の情報がある以上。
(……明日は近づかない。)
でも
(……今日はまだ雨が降りませんので。)
と走り始めたところ、午前中の筋トレの成果でありましょうか。
(……特に太もも前の筋肉が、走ることを拒否しているようでありまして……。)
とは言え。折角ここまで来たのでありますから
(……カメの甲羅を背負って修行に励んでいるんだ。)
この甲羅を外せばきっと私も
(……100mを9秒58で走ることが出来るようになる。)
と信じ(ジョギングで!?)、堤防の上ないし、堤防の中の道を走りました。印象としましては、大雨が降ることを前提としていることもあるのでありましょうか。雨が降っていない割には水がある。ダムから流しているのかな。テクテクテクテク追い風に乗り、順調に下流へと進んで行きますと、幾つかの豊川を渡る橋と出会うことになります。全部で3つ。それら3つある橋を1つ潜るたびに
(……堤防が昔のモノになって行く……。)
ところどころ表示されます『海抜5m』の数字が目に留まる度に
(……本当に必要に迫られて造られたものなんだな……。)
(……用事がない人間が悪戯に出入りしてよい場所では無いんだな……。)
そんな思いに駆られた私の目の前に現れたのがバイパス路線として整備された豊川橋。そこにあったのが
『もし何かあった時、住んでいる人がこの辺りで最も高い豊川橋の上に避難することが出来るよう設置された階段』
であります。河口まではまだ距離がありますが、
(……ここから先、何かあっても避難できる場所は無い。)
と堤防を離れ。住民のかたが普段使われている道へ向け。当たり前のことと言えば当たり前のことなのでありますが坂を下り、今度はスタート地点である豊橋公園へ向け針路を東にとりましたところ。これも当たり前のことなのでありますが、
(……向かい風。)
しばらく堤防に守られた地区の住宅地を走った印象としましては、川の水がある場所でありますので、かつてはその水運を使っていたであろう製材所があること。これも川の水の影響を受ける立地であるため、宅地としては不向きであったことと、川の水を制御する必要であったことも関係しているのでありましょうか。こちらも昔からの鉄工所や土木に関するところが幾つも見られ、自然環境が厳しい場所であることも影響しているかもしれません。保険の代理店を兼ねている会社が目に留まりました。あとは、駅から近いこと。国道1号線と23号線へのアクセスが便利でありますので
(……新しい家が増えている。)
実際、学校の生徒数が増えている地域であります。
新栄の信号まで戻りました私は、
(……もう少し走りたいな。)
と針路を東から南(正しくは南東)へとり、歩を進めて行きますと一枚の田んぼが目に入りました。宅地と商業施設に囲まれた地域に
(……田んぼが残っているんだ。)
と立ち止まり、目をやりましたところ
(……土が見えない……。)
ここ
(……深田だ……。)
ここ
(……地名は何だ?)
と電柱を探し見ましたところ、『花田町』の3文字に続けて記されていたのが
『越水』
(……水の制御と向かい合わなければいけない場所なんだ。)
そう言えば、今走って来たこの歩道。
(……暗渠だよな……。)
海岸線からかなり離れた場所ではありますが、
(……アスファルトで均されるとわからないな……。)
で。しばらく走りますと、明日からの雨に備えてでありましょうか。
(牟呂用水の水の多いこと多いこと。)
(……流量の調節をされているんだな……。)
そんなこと思いながら往完町。そこから豊橋駅に向かったところで
(……足が限界……。)
(……別にノルマではありませんので。)
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