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3章
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帰り道、ネリーは昨日から疑問に思っていたことをルカに聞いてみた
「ゾフィアはどうして私にだけあんなにはっきりした幻を見せたのかな?」
うつむきながらネリーが言う
「はっきり見えるのは君が未熟すぎるからだ…って言うのは冗談で君とゾフィアという娘は何かしらの繋がりがあるからと考えるのが自然だろうな…」
ルカは振り向きそう言うと再び考え込むように歩き続けた
「私とゾフィアの繋がり…?」
ネリーはルカの言ったことに考えを巡らせた
元は中流階級の商家の出ではあるものの自分が公爵家の令嬢と何の関わりがあるのか、共通点は顔が似ているくらいとしか彼女には思いつかない
そんなことを考えながら歩いていたせいでルカ立ち止まった事に気付かなかったネリーは彼の背中に勢いよくぶつかってしまった
「いっ…もう!突然止まらないでよー!」
ネリーはぶつけた額をさすりながら立ち止まったままのルカを怒鳴りつけた
ルカの視線の先には見覚えおある男が微笑みながら立っている
シルバーブロンドの髪に青い瞳、背の高い彼はいつか市場であったことのある…そして今思えば夢の中現れたバルツァー公そっくりの男性
「!!」
ネリーは恐怖と恥ずかしさからルカの陰に隠れ男を見た
「おまえ…何でここに…」
ルカは酷く驚いたように言う
かれの言葉から男とルカが顔見知りだと認識したネリーはルカの服を引っ張り誰なのか聞くが、ルカは動揺したように男を見つめるだけで答えてはくれなかった
「ルカ…?」
いつもと違うルカの表情をネリーは不安げに見つめた
「やあ、また会ったねお嬢さん
俺はゲルハルト・グレーナー、ルカとは古い仲でね…今日はちょっと用事で近くまで来たから一晩だけ泊めてもらおうと思ってね」
ゲルハルトと名乗るその男はネリーににっこりとほほ笑んだ後、ルカの肩に手を回し彼を自分の方へと引き寄せた
「悪いがうちには空き部屋なんかないんだ…宿でも取ることだな」
ルカはゲルハルトの腕から逃れながら厳しく言い放つ
「それがこの辺の宿をあたってみたらどこも満杯だっていうしさ、なあいいだろ?一晩くらい」
ゲルハルトは彼の背に再び手を回し抱き寄せると彼の耳元でそのように言った
ネリーは真面目なルカにこんなふざけた態度で接する人など今まで見たことがなかったので驚くとともに、何をされても弱腰なルカに二人が親密な仲なのだろうと察した_____
三人が家に着く頃には月ほもう高い位置まで昇っていた
「あの…よかったら私の部屋を使って下さい、私は物置で大丈夫ですから…」
よくよく考えればアロイスの生きていた時代から何十年という歳月が流れているのだバルツァー公が生きているとは到底思えないし、彼は日記でも書かれていたように彼は当時に殺されている
ネリーは世の中には似ている人もいるのだろうとゲルハルトを受け入れ、入れたお茶を差し出しながら気遣うように言った
「女の子が物置じゃあんまりだろ?俺と一緒に寝ればいいよ」
ゲルハルトは目を細め頬杖をつきながらネリーを見上げ言った
ネリーはそんな彼の妖艶な美しさに顔を赤らめた
そのやり取りを見ていたルカが突然立ち上がりゲルハルトの方を睨みつけた
「!?」
ネリーは驚きのあまり持っていたおぼんを取り落としそうになった
「おまえは僕の部屋の床ででも寝ていろ!」
ルカはそう言うとゲルハルトを睨みつけたまま椅子に座りなおした
「分かってるよ、俺だってこんな可愛い子と一緒の部屋に寝たら襲わない約束なんてできないからな…」
ゲルハルトはやれやれといった感じでそのように言うとネリーに嫌らしい視線を送り、彼女の全身を舐めるように見つめた
「わ、私、もう疲れたから寝ます…」
ネリーはその視線に恥ずかしくなりいそいそと自分の部屋へと駆けて行った
「それで、何の用なんだ?家にまで押しかけて来るなんて」
ルカはネリーが行ったのを確認すると厳しい表情でゲルハルトに問う
「あんまりだな、おまえ達が何か困り事を抱えてるんじゃないかと思ってちょっと寄ってみたのさ…というのは嘘で仕事を持ってきてやったんだ、カルトな内容のな」
ゲルハルトが指を鳴らすと空間がよじれ一通の手紙が現れた
彼はそれを手に取るとルカに差し出す
ルカは手紙を受け取り中を確認しふーんと頷くとゲルハルトを呆れ顔で見ながら
「悪魔のくせに悪霊払いをしてほしいって契約者に頼むなんて…
おまえがこの町の人たちを助けてやればよかったじゃないか」
と言って頬杖をついた
「あいにく他人(他の悪魔)のする事を妨害するのはルールに反するんでね
まあ翻訳の仕事だけってのもおまえもつまらないだろうと思ってさ
おまえの話をしたら市長もぜひにって言うから助けてやれよ?」
ゲルハルトは取り出したパイプに火をつけながらルカに言う
「…分かったよ、近いうちに行ってみよう」
そう言うとルカは手紙をポケットにしまった
「今日来た理由は他にもあるんだ、遠回しにいうのは好きじゃないからはっきり言おう
いずれ俺のものになる彼女を観察しようと思ってね…」
ゲルハルトはそう言うとにっこりと微笑んで見せた
「さすがは悪魔だな…でも僕は彼女の事なんてなんとも思ってない
そしてこれからだって僕は誰も愛さないだろう
だからお前との契約は僕が死ぬまで終わる事はない…」
ルカはそう言うと袖をまくり上げて腕にある印のような痣を彼に見せつけた
「ほう…まだはっきり浮き立ってるとは…少しは薄らいだだろうと思っていたのにな…
まあいい、その印が消えたあかつきには俺はおまえとの契約を切り、おまえの愛する女を奪う
あの時の代償としてな」
ゲルハルトはそう言いながら立ち上がると椅子に座ったままのルカを抱きしめ彼の耳をぺろりと舐めた
「おまえのような変態の犠牲は僕だけで十分だ」
ルカは呆れたようにそう言うとゲルハルトを振り払い二階の自分の部屋へと行った
「おまえも悪いだろ?そんな綺麗な顔で俺をその気にさせるんだから…」
ゲルハルトはそう呟くとにやつきながらパイプを一吸いした_____
「ゾフィアはどうして私にだけあんなにはっきりした幻を見せたのかな?」
うつむきながらネリーが言う
「はっきり見えるのは君が未熟すぎるからだ…って言うのは冗談で君とゾフィアという娘は何かしらの繋がりがあるからと考えるのが自然だろうな…」
ルカは振り向きそう言うと再び考え込むように歩き続けた
「私とゾフィアの繋がり…?」
ネリーはルカの言ったことに考えを巡らせた
元は中流階級の商家の出ではあるものの自分が公爵家の令嬢と何の関わりがあるのか、共通点は顔が似ているくらいとしか彼女には思いつかない
そんなことを考えながら歩いていたせいでルカ立ち止まった事に気付かなかったネリーは彼の背中に勢いよくぶつかってしまった
「いっ…もう!突然止まらないでよー!」
ネリーはぶつけた額をさすりながら立ち止まったままのルカを怒鳴りつけた
ルカの視線の先には見覚えおある男が微笑みながら立っている
シルバーブロンドの髪に青い瞳、背の高い彼はいつか市場であったことのある…そして今思えば夢の中現れたバルツァー公そっくりの男性
「!!」
ネリーは恐怖と恥ずかしさからルカの陰に隠れ男を見た
「おまえ…何でここに…」
ルカは酷く驚いたように言う
かれの言葉から男とルカが顔見知りだと認識したネリーはルカの服を引っ張り誰なのか聞くが、ルカは動揺したように男を見つめるだけで答えてはくれなかった
「ルカ…?」
いつもと違うルカの表情をネリーは不安げに見つめた
「やあ、また会ったねお嬢さん
俺はゲルハルト・グレーナー、ルカとは古い仲でね…今日はちょっと用事で近くまで来たから一晩だけ泊めてもらおうと思ってね」
ゲルハルトと名乗るその男はネリーににっこりとほほ笑んだ後、ルカの肩に手を回し彼を自分の方へと引き寄せた
「悪いがうちには空き部屋なんかないんだ…宿でも取ることだな」
ルカはゲルハルトの腕から逃れながら厳しく言い放つ
「それがこの辺の宿をあたってみたらどこも満杯だっていうしさ、なあいいだろ?一晩くらい」
ゲルハルトは彼の背に再び手を回し抱き寄せると彼の耳元でそのように言った
ネリーは真面目なルカにこんなふざけた態度で接する人など今まで見たことがなかったので驚くとともに、何をされても弱腰なルカに二人が親密な仲なのだろうと察した_____
三人が家に着く頃には月ほもう高い位置まで昇っていた
「あの…よかったら私の部屋を使って下さい、私は物置で大丈夫ですから…」
よくよく考えればアロイスの生きていた時代から何十年という歳月が流れているのだバルツァー公が生きているとは到底思えないし、彼は日記でも書かれていたように彼は当時に殺されている
ネリーは世の中には似ている人もいるのだろうとゲルハルトを受け入れ、入れたお茶を差し出しながら気遣うように言った
「女の子が物置じゃあんまりだろ?俺と一緒に寝ればいいよ」
ゲルハルトは目を細め頬杖をつきながらネリーを見上げ言った
ネリーはそんな彼の妖艶な美しさに顔を赤らめた
そのやり取りを見ていたルカが突然立ち上がりゲルハルトの方を睨みつけた
「!?」
ネリーは驚きのあまり持っていたおぼんを取り落としそうになった
「おまえは僕の部屋の床ででも寝ていろ!」
ルカはそう言うとゲルハルトを睨みつけたまま椅子に座りなおした
「分かってるよ、俺だってこんな可愛い子と一緒の部屋に寝たら襲わない約束なんてできないからな…」
ゲルハルトはやれやれといった感じでそのように言うとネリーに嫌らしい視線を送り、彼女の全身を舐めるように見つめた
「わ、私、もう疲れたから寝ます…」
ネリーはその視線に恥ずかしくなりいそいそと自分の部屋へと駆けて行った
「それで、何の用なんだ?家にまで押しかけて来るなんて」
ルカはネリーが行ったのを確認すると厳しい表情でゲルハルトに問う
「あんまりだな、おまえ達が何か困り事を抱えてるんじゃないかと思ってちょっと寄ってみたのさ…というのは嘘で仕事を持ってきてやったんだ、カルトな内容のな」
ゲルハルトが指を鳴らすと空間がよじれ一通の手紙が現れた
彼はそれを手に取るとルカに差し出す
ルカは手紙を受け取り中を確認しふーんと頷くとゲルハルトを呆れ顔で見ながら
「悪魔のくせに悪霊払いをしてほしいって契約者に頼むなんて…
おまえがこの町の人たちを助けてやればよかったじゃないか」
と言って頬杖をついた
「あいにく他人(他の悪魔)のする事を妨害するのはルールに反するんでね
まあ翻訳の仕事だけってのもおまえもつまらないだろうと思ってさ
おまえの話をしたら市長もぜひにって言うから助けてやれよ?」
ゲルハルトは取り出したパイプに火をつけながらルカに言う
「…分かったよ、近いうちに行ってみよう」
そう言うとルカは手紙をポケットにしまった
「今日来た理由は他にもあるんだ、遠回しにいうのは好きじゃないからはっきり言おう
いずれ俺のものになる彼女を観察しようと思ってね…」
ゲルハルトはそう言うとにっこりと微笑んで見せた
「さすがは悪魔だな…でも僕は彼女の事なんてなんとも思ってない
そしてこれからだって僕は誰も愛さないだろう
だからお前との契約は僕が死ぬまで終わる事はない…」
ルカはそう言うと袖をまくり上げて腕にある印のような痣を彼に見せつけた
「ほう…まだはっきり浮き立ってるとは…少しは薄らいだだろうと思っていたのにな…
まあいい、その印が消えたあかつきには俺はおまえとの契約を切り、おまえの愛する女を奪う
あの時の代償としてな」
ゲルハルトはそう言いながら立ち上がると椅子に座ったままのルカを抱きしめ彼の耳をぺろりと舐めた
「おまえのような変態の犠牲は僕だけで十分だ」
ルカは呆れたようにそう言うとゲルハルトを振り払い二階の自分の部屋へと行った
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