騎士隊長は、婚活中。閉じ込められて幸せを得る

kitahara

文字の大きさ
1 / 32

一風変わった婚活パーティ

しおりを挟む
「こんばんは」

パーティも終盤になり受付係も片付けながら同僚と話しをしていた。
 控えめな声で挨拶をされ、振り向くと頭巾を被った女性がが一人立っていた。

 「はい。こんばんは。(頭巾で判りづらいが声の感じからすると…若そうだが、参加者か?)終了の時間が近いですが、パーティに参加をご希望ですか?紹介状をお持ちですか?」

 紹介状の有無を尋ねると頷いて差し出した。

 「はい」

しっかり判の入った封筒を確認すると、時間も残り少ないのでいつもの手順を飛ばして、中身を見ずに札を渡す。

まさか、この手順を怠った事が後に多少なり波紋を呼ぶことを彼はしらない。

 「では、こちらの番号札をお持ちになって会場へお入りください。そこで案内係がきますので誘導に従ってください。」

 「ありがとう」


 扉を押し開けると、直ぐに案内係がやってきて頭巾を被ったまま(ここでは女性は、身分上顔を隠して参加する者も多いので特に気にしない)の彼女に尋ねた。

 「こんばんは。ようこそいらっしゃいました。終了時間が迫っていますが、会場には、まだ若い方や騎士様がいらしています。どのような方をご希望ですか?」


 尋ねられた彼女は、首を横に振ると

「こんばんは。いいえ。若い子より渋めのがっしりしたおじさんがいいです」

 少しぶっ飛んだセリフで応じた。

 「はい?」

 「細マッチョよりムキムキの筋肉のある方が好きです。こう、首が太く、上着を脱いだ時になんか上腕が盛り上がって胸板が厚くお腹は軽く割れている感じがいいです。なので年上の方を所望します。あそこに座られているあの方がいいです」

そういって彼女が指し示したのは、胸に40と番号の入った強面で会場に着いてから誰にも声をかけられず、部屋の一角に陣取ってただひたすらに酒を飲み、異彩を払っていた男だったからだ。

 「えっ?40番?ええっ?間違いなく?えっと…40番!本当に40番の方ですか?」


 案内係は彼女の選択に驚き、自答を繰り返した後、仕事を思い出したのか恐る恐る再度確認をとった。

 「はい!間違いなく。40番のあの方をお願いします」


 希望がかわるはずもなく妙に力の入った元気な声で答えられた。

 「…はい、かしこまりました。では、ご案内します」

 男の下へ連れて行こうとすると、更に驚き発言が飛び出した。

 「いえ、それはいいので、部屋をお願いします」

 「え?へや?部屋ですか?」
 「ええ」
 「え?お話もせずに、いきなり部屋に行かれるのですか?」
 「ええ」

 何度かやり取り後、彼女の意思が強く部屋を望んでいる事を確認した案内係は二階の部屋に彼女を連れて行く。

 「では、こちらのお部屋で少々お待ちください」と告げて、40番の男を迎えるため、出ていった。


















しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで

越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。 国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。 孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。 ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――? (……私の体が、勝手に動いている!?) 「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」 死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?  ――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...