専属侍女の婚活事情…。

kitahara

文字の大きさ
上 下
2 / 3

唯一の条件

しおりを挟む
高嶺の花に手は届かない。

誰もが知る例え。


だが案内係である彼らは知っていた。


その華である彼女が提示した婚姻の条件を。


そしてその条件ならどんな男でも独身であれば彼女を手に入れる事が出来た。


彼女から提示された条件は、ただ一つ。



自分を気に入いり一緒に部屋に入室してくれる男性。



ただ部屋に入る意志さえ示せば極上の女性をモノに出来る。


その事実を前に地団駄を踏むしかない己の不運を嘆いてしまう。



だからこそ悔しくて仕方ないのである。




結婚したての案内係は全てが不満で物足りない日常を送っていた。

したくてした結婚ではなかったから…。

周囲からの圧力に負けて強制参加。

やけ酒を食らって前後不覚の末やらかしての結婚だった。

何とも想っていない相手との結婚は正に地獄と。

あまりにも相手に対してどこまでも不誠実な男だった。



それでも本人にとっては不本意な婚姻だった為結婚生活がうまくいっていなかった。

自業自得なのに…不満だらけの生活。





嫁さんを大事にしろよ。



そんな同僚の思いも知らずに。


少々行き遅れぽい極上の美女を前に自然に目がいってしまい思わず彼女相手に自分とを想像してしまう。




あと少しでパーティーが終わる。



終わったら彼女の情報を手に入れて速攻で離婚申請して彼女と結婚を申し込もうと…。




そんな勝手で勘違いな思いにとらわれていた案内係は油断していた。

いまだ閉幕もせずパーティーが続いているのにしゃがみ込んだままの件の女性を観察する男は気づかない。


「何をしている」

頭上から声がしたとき驚きのあまり声を上げてしまった。


「え?」

けれどその姿勢もで振り返って立っていた人物をみて小さく悲鳴を上げた。
しおりを挟む

処理中です...