願いがかないますように…  (ダーク版) 別バージョン

kitahara

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1  気がついて…

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そして、お姫様は、海の藻屑消えてしまいました…。

 昔から語り継がれるおとぎ話を聞いた時、当時7歳だった私の感想は、

 「ない、これは、ないわぁ」

だった。

なんで、助けて声を失ってまでそばにいたくせに、自分のことを知らせず、結果、身を引いて、消えなくてはならないの?
そしてなにより、助けた本人が目の前にいるのに、そのことに気づくこともなく、勘違いをしたまま別の女性と結婚するってありなの?

 誰だって思うことだと思う。

なんて理不尽でバカな話だろうと。

この時の私は、本当にそう思っていて、主人公の気持ちも彼女の置かれた状況も理解できず、まさか、自分も、恋の苦しさや想いの深さを知る時がくるとは思わなかった。





 目を覚ました私が最初に目にしたものは、格子状の天井で見知らぬ部屋のベットに寝かされていた。

 無駄に豪華な部屋を見回しても誰もいないし、来た覚えのないこの状況から考えて…フウと思わずため息がもれる、誘拐だよね…。

 身体が揺れて波音が聞こえているので、多分、船の中。

 冷静に考えてみなくても物凄くやばい感じ…。

たしか、離宮で普通にお茶をして、歩いていただけなんだけど…。

お忍びとはいえ、護衛も付いていたのに…。

なんでこうなった?

そんな風に考えていると、部屋に近づいてくる足音がして、

ガチャッ。

ドアの開く音がしたので咄嗟に目を閉じて、寝たふりをした私のそばに誰かが近づいてくる。

 「オリビア…」

という男の声がした瞬間。

っ、なんで…。

 今、ここで、その声を聞くのか…。

 覚えのあるなつかしい、もう二度と聞くこともできないと思っていた人の声がした時、頬を涙がつたい流れ落ちた。
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