願いがかないますように…  (ダーク版) 別バージョン

kitahara

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2 出会いは

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世界は、農耕中心の国、漁業中心の国、森林の国、機械の国、何故か必要もなさそうなのに軍事に重きをおいた国、など特色豊かな大国とそれ以外は、可もなく不可もない普通の国で、そんな大小合わせて12の国と謎に包まれ場所の特定が難しい魔法の国の13の国から成り立ち、セレス王国もご他聞にもれず、平和で過ごしやすいが、本当に普通の国であった。

そんなセレス王国であったが、何故か、王家には、容姿に優れた者が多く産まれ、当時の国王にも、4人の子供がいて、王太子と3人の内2人の王女もまた、近隣諸国に轟くほど、容姿端麗であった。

 半月前、王太子である兄が漁業の国の王女と結婚をして、3ヶ月間に渡る諸国ぐるっと一周新婚旅行に出かけていった。

4つ上の姉たちも3年前に森林の国と農耕の国へ嫁いだため、わたし、第3王女 オリビア・セレスは、国に唯一残った独身者となった。

 容姿端麗であった姉たちには、もともと各国の貴族や王族関係者からの縁談話が多数あり、様々な問題と紆余曲折があって、本当に結婚するまで大変な状態だった。

 特に軍事に重きをおいた国からの縁談話は、軍事力をチラつかせての、周辺国を巻き込んでの、すわっ戦争かとまでの緊迫状態になった。

 一触即発の中、訪問団の中にいた、軍事国家の第2王子であるドウゴ王子が、各国代表者列席の中、穏便に事を収めてやる代わりにある条件を飲めと、脅しをかけた。

 軍事力どころか平和に慣れきりなんの力もないその時のセレス王国には、その条件に諾と言うしかなかった。

すなわち、第3王女オリビアの成人の暁には、ドウゴ王子との婚姻を行うこと。

 年端もいかない少女との婚姻を望む青年となって久しい年齢の美丈夫な王子に、呆れた周辺各国の代表者達だったが、ドウゴ王子の腕に囲いこまれ、悔しそうにその場に連れてこられた王女を見て彼の要求が、よく理解できたのである。

11歳でまだ社交デビュー前。容姿端麗な兄妹達があまりに有名で、少し年の離れた、オリビアの存在自体が薄く、その容貌は、まだ諸国に、知られていなかった。


 婚約を提示される前夜、あまりに見事な月夜で、つい、庭園で月を観ようと侍女に隠れて部屋を抜け出した所を、酒を飲み、涼みにぶらついていたドウゴ王子と出会ってしまい、逃げようとかけだしたら、さすがは酔っていても軍事国家の王子というべきか、腕を掴まれ、簡単に捉えられてしまった。
しかも東屋に連れ込まれてしっかり顔を見られてしまったのだ。

 結果、子供とは言え、姉たちにも勝るとも劣らぬ、むしろ、あと、なん年かすれば姉以上の美貌をもつであろうオリビアに心奪われたドウゴ王子は、自分の国が望んでいた姉王女との縁談をあっさり放棄し、自分との縁談をゴリ推したである。


 周辺各国とも共通のセレス王国の成人年齢は、16才。

 当時の11才のオリビアに残された猶予時間は、4年あまり。

 彼女の姿を知り、いち早く所有権を主張したドウゴ王子に対して悔しそうな各国代表者と、満足そうにドヤ顔の王子の側でオリビアは、感情のない表情で、忽然と顔をあげて立っていた。

 腕を掴まれ、東屋に連れ着込まれた恐怖と、この場に連れてこられ自分の意思を無視し宣言された婚約の悔しさでオリビアは静かに怒っていた。

それからのオリビアは、年に数度、虫除け念押しを兼ねて彼女に会いに来るドウゴ王子を避けるため、滞在中、知恵を渋ることに費やされた。

 毎回毎回、城中を逃げ回る小さな王女と追いかける王子の追いかっけこは、最後には、必ず捕獲されて、担がれて連れ戻される姿が恒例となる程、頻繁に見られた。
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