紳士は若女将がお好き

LUKA

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 一夜が明け、香は庭先でさえずる小鳥の鳴き声で目が覚めた。

当然だが、自室で目覚めていないことに気づいた彼女は、その経緯(何故何も着ていないのか等)を理解するまで、ある程度の時間がかかった。

おぼろげながら、昨夜の出来事を頭に思い浮かべられるようになると、彼女はちらと横を向いて、スキャンダラスで明白な事実を衝撃と共に受け入れた。

「・・・!」

昨夜、彼女は謝罪しに行った客と寝たのだ。

それも立場ある若女将としての自分が。

今更ながら、おのれが大分大それたことをしてしまった現実に、彼女は泡を喰った。

万が一、昨夜の失態に加えて、この情事までもが、女将である母の耳まで届いてしまうようなことがあったら、彼女は大目玉を食らうどころではないだろう。

最悪も最悪、不体裁な娘は若女将失格、無慈悲にも、旅館から追い出されてしまうかもしれない。

よって、そのような酷な状況を想像した香は恐怖に血の気が失せ、こうしてはいられないと、着物を求めて慌てて辺りを振りかぶった。

そして襦袢を肩に掛けた瞬間、傍らで眠っていた男性が目を覚まし、彼女の腕をがっしと掴んだ。

面食らう香をよそに、彼は目覚めた直後特有の、ぼんやりとくぐもった声で挨拶をした。

「・・・――おはようございます・・・」

不意を突いて、彼は掴んだ腕を強引に引き寄せると、香の耳元にぼそりと耳打ちをした。

「・・・昨夜は激しかったですね・・・」

「―――!」

自身の乱れ様を見知ったばかりの異性に指摘されて、恥ずかしくないわけがない香は、たちまち頬をカアアッと染めて恥じ入った。

「あ、あの・・・。昨夜はビールも零しちゃった上に・・・、その・・・!~~ごめんなさい・・・!・・・そ、それからこのことは・・・、その・・・。誰にも・・・!」

「・・・行くんですか?」

「え?は、はい。まあ・・・」

「まずは身体を流してからにしませんか?」

「!?」

彼の、突飛かつ大胆な提案から狼狽うろたえる香をよそに、目を光らせた男性は、着物と帯を素早く押さえ、彼女から選択の余地を奪った。

故に、香は男性に促されるまま、客室の半屋外に据え置かれている、源泉がこんこんと注がれては溢れる浴槽に、彼と一緒に朝早くから浸かった。

(~~・・・恥ずかしい・・・)

どれだけ肌を重ねていようが、夜の暗闇とは違う、明るい午前中の光に包まれ、くっきりと明瞭になった自身の裸体を恥じた香は肩まで浸かって、首から下を隠そうと努めた。

しかしながら一方で男性は、このように実直に恥じ入る若女将をかまける素振りもなく、リラックスした態度でのんびりと浸かっていた。

「良い湯ですね」

「あ、ありがとうございます」

次いで男性は、何気ない仕草でするりと手を腰に回して、香をビクッとびくつかせると、彼女の源泉に濡れた美しい張りのある肌を間近で讃嘆した。

「昨夜も思ったんですが、きめ細かで綺麗な肌をしていますね。きっと毎日この温泉に浸かっているために、ここまでしっとりと滑らかな肌を保てるんでしょうね」

男性は濡れたうなじへ唇を押し当てると、ちゅうっと高い音を立てて吸い付き、またしても香の身体をビクッと痙攣させた。

「あ、あの・・・、やめ・・・♡♡―――ッ♡♡!」

香は健気にも抵抗を試みたが、胸の膨らみも掴まれた挙句、その先端までもが指先で弄ばれ、おまけに剥き出しのうなじや、彼女自身も認知しえなかった耳の裏などを、唇で精力的に吸い取られてしまうと、やむなく身体の力が抜けていった。

「~~あ、あの・・・♡♡!や、やめて・・・くださ・・・♡♡!」

もぞもぞと身体をくねらせて、彼女が建て前の抵抗を続ける度、湯面がちゃぷちゃぷと揺れて、小波が立った。

「――っんん♡♡!・・・そ、んな・・・とこ、触っちゃだ・・・め・・・♡♡!」

「いけませんか?あなたの一番好きな所だったと思いましたが・・・」

「う・・・そ・・・♡♡」

「間違いありません・・・。ほら、いとも容易く挿入っていく・・・」

男性は事実を証明するかのように、指を湿った秘穴へ淀みなく挿し込み、甘美なる刺激を送り込んだ。

「~~や・・・だぁ・・・っ♡♡!」

とはいえ、成す術のない香は、男の厚い胸板へ背を預けると、温泉の熱と高まる性的興奮の熱気に中てられて、頭の先まで真っ赤になりながら、男性の執拗かつ濃密な愛撫から派生する甘い悦楽に、絶えずビクビクとのたうった。

「あぁ・・・んっ♡♡!も・・・だめぇ・・・っ♡♡―――♡♡!!ッ・・・ッ・・・♡♡!」

香は雷に打たれたようにビクッと大きく跳ねて、頂点まで一気に昇りつめると、男性へぐったりともたれたまま、ハアハアと肩で大きく息をついて、絶頂の余韻に呆然と浸った。

「そろそろ上がりましょうか・・・。立てますか?」

「ん・・・♡♡は・・・い・・・♡♡」

男性の手を借り、ややふらつきつつも立ち上がると、本当の思惑を知った香は、心臓が激しく跳躍した上に、息が詰まってしまった。

「♡♡!!やぁ・・・んッッ♡♡!!」

先ほどの優しい言葉を裏切るかのように、猛々しく反り返った欲望の象徴が、彼女の繊細で柔らかな私的空間へ、背後から無断で入室してきた。

「すみません・・・。滑ってしまいました」

男性は、半ば揶揄からかうような口ぶりで見え透いた嘘をつき、香の心情をかき乱した。

「・・・~~♡♡!」

肉壁を押し退け、狭くてちっぽけな空洞を貫く雄の圧倒的な存在感、かつ熱が移ってしまうくらい情熱的な塊に、香は鋭敏に反応して、ビクッビクッと身体が小刻みに揺れた。

続けて、窮屈な一本道を押し寄せては退出していく、荒ぶる雄の激しい拍動に、快感の大波を被った香はどうすることもできず、ただひたすら、悦楽から打ち震える身体と共に、至極淫らでみっともない喘ぎ声を、唇の間から多分にこぼれ漏らした。

「若女将、そんなに声を荒げてしまっては、他の人たちを起こしてしまいますよ?」

著しい興奮のために、声が張り詰めた男性から、清々しい朝の静けさによく響く、彼女の淫靡な嗚咽を指摘されると、香は慌てて手で口を覆って、艶かしい嬌声を必死に押し殺した。

だがしかし、耳をいやらしく舐めとられてしまうだけで、ゾワゾワと熾烈な興奮が背筋に走り、押さえる手の力も自然と抜けていった。

して次第に、はっきり聴き取れるまでの媚音が復活すると、男性は、やれやれといった面持ちで香の顎を動かして、口づけをもって淫声を塞ぎ止めてやった。

「――ん♡♡っふぁ・・・♡♡ん、ん・・・ッ♡♡」

にゅるにゅると舌が意欲的にぶつかり合い、際限のない興奮は、ますます勢いを高めていった。

「・・・だめ・・・♡♡もうイっちゃう・・・♡♡」

唇が離れ、つうっと糸が引かれると、香は熱のためにとろんと潤んだ瞳で、じっと男性の目を見据えながら、か細い声で訴えた。

すると、男性は追い打ちをかけるかのように耳殻を甘く噛み、彼女を甘美な絶頂へ誘うと、全身を苛む甚だしい快感から、遂に香は極みへ到達していった。

「~~あッ♡♡!あっ♡♡!あぁ・・・ッ♡♡!あ・・・ッ♡♡!!」

男性は未だヒクヒクと、痺れた様に痙攣する香を抱き抱えて部屋へ上がり込むと、濡れた身体もそのままに、彼女を布団の上へ押し倒し、またしても欲求に張り詰めた憤りを、果てたばかりでわなわなと収縮する過敏な肉筒へ挿し込み、彼女の背中を弓なりに曲げた。

「あぁん・・・ッ♡♡!!」

間を置かず、再び潜り込んできた男の熱い肉塊に、頭の中で火花が盛大に弾け飛んだかと思うと、度重なる愉悦のために、香は気が狂いそうになった。

次いで、二人の濡れた身体を吸い込ませ、布団をぐしょぐしょに濡らしたまま、男性は熱に浮かされた如く、一心不乱に腰を揺すった。

しまいには快感のあまり、香の目からは熱い涙が浮かんで頬を伝った。

香は、手を伸ばして男性の腕に弱々しく乗せてから、懇願した。

「も・・・お願・・・♡♡~~おかしく、なる・・・ッ♡♡!」

「問題ありません・・・。きっとおかしくなったあなたも魅力的だ」

「――あぁッ♡♡!そんなの・・・♡♡!――ッだめ♡♡!!イク♡♡!イ――あッ・・・♡♡あッ♡♡!!あぁ~~・・・ッッ♡♡!!」
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