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13話
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「階段は、車いすでは登れないだろ」
そういうと、ナミさんは立ち上がった。
「大丈夫ですよ、人が多いのと沢山歩くので車いすをお借りしただけですから」
「でも」
「ほら、行きなよ」
そういって子供たちは俺の背中を押した。
「え!?行かないの?」
「やぼってやつだろ?」
「頑張れ!コウタさーん!」
最近の子供は、こういう気の回し方を知っているのか。
「おれたちあっちでみてこよお」
「そうだね、はなびがおわったら、むかえにくるよ!」
演技はちゃんと年相応だった。
「みんな行っちゃうの?」
ナミさんが問いかけても、
「2人で花火楽しんだら?」
「そうそう!それがいいよ!」
子供たちはそういって走って行ってしまった。子供たちだって、きっとナミさんと花火が見たかったはずだ。
「行こうか」
俺は、そういってナミさんの背中に横から支えるように手をかざした。
「なんですかこの手は」
「もし転んだらすぐに支えれるように、そしてもし支えられなかったら俺がナミさんの下敷きになる」
「それは安心ですね」
ナミさんは、くすくす笑った。本当に、浮かれているよ。今も凄く楽しいよ俺。
隣で好きな人が笑ってくれている、一緒に時間を過ごせる。それは当たり前のようで、奇跡みたいなことなんだ。
階段を無事渡り切って、俺たちは一番上の階段に腰かけた。
「花火、楽しみですね」
「そ、そうですね」
緊張するなぁ・・・上手く伝えられるだろうか。ナミさんに、俺は2つのことを伝えようと深呼吸した。
「あのさ」
「はい?」
「ナミさんに2つ、伝えたいことがあるんだ」
「・・・なんですか?」
ナミさんにも少し緊張感が走るのがわかった。
「ナミさんと最初に会った時、ナミさん、名前が霞っていうのが自分の存在が霞んでいるようでって話をしていたよね」
「はい」
ナミさんがごくりと喉を鳴らすのがわかった。
「あの、あれさ。霞空って知ってる?何十にも薄くて淡い色が重なって本当に綺麗な空なんだ。霞っていう名前は、沢山の思い出や人々がナミさんの人生に関わり、混ざり合い、いい影響を及ぼしながら、素敵な人生を歩めるようにって意味だって・・・思うよ。俺は、寝ずに考えたけどこの話さ、あの、だから存在が霞んでいることの逆で、これから混ざり合って淡い綺麗な色になっていくんだよ」
我ながら伝えるのが下手すぎる。そう思ったが、ナミさんは優しい笑顔で俺を見ていた。
「両親から聞いてくれたんですか?」
「え!?」
「客席にいるのが見えました」
ば、バレていたのか。俺は、しまった・・・と俯いた。ナミさんの曲をナミさんのご両親に聴いてほしいというのは俺の勝手なエゴだからだ。
「ありがとうございます、コウタさん」
ナミさんの声は少し上ずっていた。
「もう一つは―」
俺がその言葉の続きを言う前にひゅるるという花火のあがる音がして、上を見上げたときには、夜空に美しい大輪が咲いていた。
「あっ」
口を開けた俺の肩にとんとナミさんの頭が乗せられていた。
「・・・・・」
花火どころではない俺に、
「もう一つは、花火が終わった後にちゃんと教えてくださいね」
そういったナミさんの甘い言葉は、花火の音よりうるさいんじゃないかってくらいの、俺の心臓の音でかき消された。
そういうと、ナミさんは立ち上がった。
「大丈夫ですよ、人が多いのと沢山歩くので車いすをお借りしただけですから」
「でも」
「ほら、行きなよ」
そういって子供たちは俺の背中を押した。
「え!?行かないの?」
「やぼってやつだろ?」
「頑張れ!コウタさーん!」
最近の子供は、こういう気の回し方を知っているのか。
「おれたちあっちでみてこよお」
「そうだね、はなびがおわったら、むかえにくるよ!」
演技はちゃんと年相応だった。
「みんな行っちゃうの?」
ナミさんが問いかけても、
「2人で花火楽しんだら?」
「そうそう!それがいいよ!」
子供たちはそういって走って行ってしまった。子供たちだって、きっとナミさんと花火が見たかったはずだ。
「行こうか」
俺は、そういってナミさんの背中に横から支えるように手をかざした。
「なんですかこの手は」
「もし転んだらすぐに支えれるように、そしてもし支えられなかったら俺がナミさんの下敷きになる」
「それは安心ですね」
ナミさんは、くすくす笑った。本当に、浮かれているよ。今も凄く楽しいよ俺。
隣で好きな人が笑ってくれている、一緒に時間を過ごせる。それは当たり前のようで、奇跡みたいなことなんだ。
階段を無事渡り切って、俺たちは一番上の階段に腰かけた。
「花火、楽しみですね」
「そ、そうですね」
緊張するなぁ・・・上手く伝えられるだろうか。ナミさんに、俺は2つのことを伝えようと深呼吸した。
「あのさ」
「はい?」
「ナミさんに2つ、伝えたいことがあるんだ」
「・・・なんですか?」
ナミさんにも少し緊張感が走るのがわかった。
「ナミさんと最初に会った時、ナミさん、名前が霞っていうのが自分の存在が霞んでいるようでって話をしていたよね」
「はい」
ナミさんがごくりと喉を鳴らすのがわかった。
「あの、あれさ。霞空って知ってる?何十にも薄くて淡い色が重なって本当に綺麗な空なんだ。霞っていう名前は、沢山の思い出や人々がナミさんの人生に関わり、混ざり合い、いい影響を及ぼしながら、素敵な人生を歩めるようにって意味だって・・・思うよ。俺は、寝ずに考えたけどこの話さ、あの、だから存在が霞んでいることの逆で、これから混ざり合って淡い綺麗な色になっていくんだよ」
我ながら伝えるのが下手すぎる。そう思ったが、ナミさんは優しい笑顔で俺を見ていた。
「両親から聞いてくれたんですか?」
「え!?」
「客席にいるのが見えました」
ば、バレていたのか。俺は、しまった・・・と俯いた。ナミさんの曲をナミさんのご両親に聴いてほしいというのは俺の勝手なエゴだからだ。
「ありがとうございます、コウタさん」
ナミさんの声は少し上ずっていた。
「もう一つは―」
俺がその言葉の続きを言う前にひゅるるという花火のあがる音がして、上を見上げたときには、夜空に美しい大輪が咲いていた。
「あっ」
口を開けた俺の肩にとんとナミさんの頭が乗せられていた。
「・・・・・」
花火どころではない俺に、
「もう一つは、花火が終わった後にちゃんと教えてくださいね」
そういったナミさんの甘い言葉は、花火の音よりうるさいんじゃないかってくらいの、俺の心臓の音でかき消された。
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