75 / 96
深夜のコンビニバイト七十五日目 座敷わらし来店
しおりを挟む
深夜のコンビニバイト七十五日目。
今日出勤したら、背の低いおかっぱの可愛らしい女の子がレジに立っていた。
「こんにちは、お兄さん」
また新しいバイトの子か。
いつも新しい人が入ると真っ先に紹介してくれる店長は、今日は何も言ってなかったな。俺とレジを交代する為休憩室に戻っていった店長は交代してすぐ疲れたのかスヤスヤ寝てしまっていた。
「はじめまして、新しいバイトの子かな?俺は村松晴。よろしくね」
「うんっ!よろしくね!お兄さん!」
「君の名前は...?」
女の子には、名札がついていなかった。
「名札ついてないじゃん。店長に言って...」
くるりと休憩室に背を向けた俺の袖口をくいっと引っ張ると、女の子は
「あたし、笑子(えみこ)。笑う子って書いてえみこ」
「そ、そうか。苗字は?」
名札プレートは基本的に苗字だ。
仕事中も基本的に苗字で呼び合う。
「みょうじ?...えみこはえみこだよ」
おかしいね、お兄さんと笑うえみこちゃんを見て俺は首を傾げた。
なんだか、この子不思議な雰囲気だな。
「えみこちゃんは──」
「ほら、お客さん来たよ」
ピロリロピロリロ。
「い、いらっしゃいませ!」
「おぉ、久々だな、お主」
馬に乗って来店して来たのは、いつぞやの織田信長様だった。
「いやここペット禁止だって!!ダメですって!前も言ったじゃないですか!」
「おぉ、そうじゃったな」
織田信長様は、前のだるそうなオタクティーシャツではなくしっかりとしたセレブっぽいヒョウ柄のバスローブのようにものを着ている織田信長様。
「何ですかどうしたんですか突然」
「いや、久々にお主に会いとうなってな。紹介したい者もいるし」
目を細くして嬉しい事を言ってくれる織田信長様。いやこの人天下の織田信長様だぞ。何で今ただのコンビニ店員の俺が織田信長様に会いたがられるなんて事が起きてんだ。
「あ、ありがとうございます。何ですかどうしたんですか突然」
「入れ入れ。あっ馬はおいてこい」
ぞろぞろと入ってきたバスローブの男達。
ヒョウ柄バスローブ織田信長が真ん中。右にゼブラ柄バスローブの背が低い肥満体の織田信長様と同い年くらいの男性と左には、茶色のローブを着た背が低い織田信長様より少し若い猿顔の男性。
「ゲーム会社天下統一のメンバーじゃ。紹介する、右が徳川家康。左が猿こと豊臣秀吉じゃ」
「いやこのコンビニ史上一番とんでもないメンツコンビニに連れてこないでください!!」
「猿がコンビニに興味があるというのでな、連れて来たのだ。三人で買い物して帰ることにする」
三人共資産やばそう。
織田信長様が課金カード買った時も120枚とか課金カード買ってたからな。ポケットマネーも何十万何百万とかだからなこの人。大丈夫なんだろうか。
「ふふ、ふふ」
隣でえみこちゃんが笑った。
「どうしたの?」
「沢山、買い物してくれそうだねこのおじさん達」
「そういや、えみこちゃんもしかして織田信長豊臣秀吉徳川家康知らないの?全然紹介の時驚いてなかったけど」
「えみこ、このおじさん達よく知ってるよ。前にも一度会ったことがあるから」
「え!?どこで?」
「あの真ん中のおじさんの家」
えみこちゃん、信長様の家に行ったことがあるって、あぁ、ゲーム会社だから社会見学とかだろうか?
「課金カードは家で買えるからな。ワシは見たことがない酒なんかを買おうと思う。家康はどうだ?」
「そうですね、わたしも興味がありますわい。つまみコーナーなるものもあるようで、全部買っていきましょう」
「いいな、猿は何を買うんだ?バナナか?」
「バナナなんて売ってるんですかここは?」
楽しそうに会話しながら、カゴにどんどん商品を詰めていき、あれなんだっけ。何かこれ前にもあったぞ。あぁ、そうだった。
最近アンドロイドのベンリさんが来た時もそうだったな。
「ほれ、カゴが足りないぞ」
10かご分の買い物。
もう規模が違う何この人達。
三人ともバスローブのような服の懐から平然と札束を出してくる。
「ほれ、釣りはいらんぞ」
三人に札束を渡され、この分のお会計ベンリさんがここにいてくれたらだいぶ楽だったよなぁ...。
なんて考えながら、札束を両手で突き返す。
「そういうわけにはいきませんので...」
気が遠くなるようなレジを打つ。
隣でえみこちゃんはケタケタ笑っていた。
レジ経験がないらしく、俺が打ってるのを見ていたいというのでとにかく時間はかかるがレジを打っていく。
「楽しい?お兄さん?嬉しい?お金沢山だね」
俺の隣でレジ台に頬杖をつきながら笑うえみこちゃんに、
「嬉しいというか、楽しいというか、今俺は無だよ。無。これだけ沢山の商品が前に現れたら、店員は感情を殺してただレジを打つのみだよ」
えみこちゃんは、よくわからないというように首を傾げた。
「袋はどうなさいますか?」
「あるだけくれ。物は馬に乗せて帰ることにする」
大量の商品を袋に入れてあげて、馬に積み荷を乗せて豪華三人は帰って行った。
「はぁー、疲れた」
レジの下で膝をつく俺を見て、えみこちゃんはよしよしと俺の頭を撫でた。
「すごいね、お兄さん。よしよし、偉いね」
「ありがとう。えみこちゃんも次はレジ頼むよ」
「ううん、えみこはもう行くよ」
にっこり笑ったえみこちゃんは、なんだか寂しげだった。
「え?勤務時間終わり?」
「ううん、えみこは次の場所に行かないといけないから」
「ん、どういうこと?店長にちょっと話を...」
休憩室から店長が飛び出てきた。
「ごめん、村松君一人にして!お客様は大丈夫だった?」
「え?」
「今日朝からとにかくお客様が沢山来店してくださって...俺も棚がすっからかんだったから品出しがやっと終わったと思ったら、疲れてさっき寝ちゃって...深夜もお客様が沢山きたら一人じゃ大変だと思って!今日昼と朝にフルで皆入ってもらっちゃったから深夜に入ってくれる人がいなくてね...」
何を言っているんだ店長。
「あれ、またとんでもなく商品少なくなってる...やっぱりお客様、深夜も来たんだねぇ...ごめんね、一人にして」
「て、店長...?」
俺は、隣にいるえみこちゃんを指差して震える声を絞り出す。
「あ、新しくバイトで入った俺の今隣にいるえみこちゃんは...」
「え?村松君?隣?新しくバイトで入った子なんて、いなかったと思うけど」
背筋が凍った。
隣でえみこちゃんは、ポツリと呟いた。
「あたし、座敷童子(ざしきわらし)。童子っていうのが可愛くなくて気に入らなかったから、わらしを笑うって字で、笑子(えみこ)って名乗ってるの」
えみこちゃんは、たたたっと走り出して、入り口でくるりと振り返った。
「お兄さんは、あたしが見えてラッキーだね。きっとこの先いい事あるよ」
「えみこちゃん!」
ピロリロピロリロ。
「ひっ!?誰も来店してないのに、何で扉開いたの!?」
店長がビビり、俺は目を見開いて動けなかった。
ここのコンビニ、変わった人来すぎて知らないうちに俺、霊感とか強くなってたりするんだろうか。
でも、えみこちゃんみたいな子が来るのは悪くないな、なんて考えながらごっそりなくなった商品棚を見て、俺と店長は品出しを始めた。
今日出勤したら、背の低いおかっぱの可愛らしい女の子がレジに立っていた。
「こんにちは、お兄さん」
また新しいバイトの子か。
いつも新しい人が入ると真っ先に紹介してくれる店長は、今日は何も言ってなかったな。俺とレジを交代する為休憩室に戻っていった店長は交代してすぐ疲れたのかスヤスヤ寝てしまっていた。
「はじめまして、新しいバイトの子かな?俺は村松晴。よろしくね」
「うんっ!よろしくね!お兄さん!」
「君の名前は...?」
女の子には、名札がついていなかった。
「名札ついてないじゃん。店長に言って...」
くるりと休憩室に背を向けた俺の袖口をくいっと引っ張ると、女の子は
「あたし、笑子(えみこ)。笑う子って書いてえみこ」
「そ、そうか。苗字は?」
名札プレートは基本的に苗字だ。
仕事中も基本的に苗字で呼び合う。
「みょうじ?...えみこはえみこだよ」
おかしいね、お兄さんと笑うえみこちゃんを見て俺は首を傾げた。
なんだか、この子不思議な雰囲気だな。
「えみこちゃんは──」
「ほら、お客さん来たよ」
ピロリロピロリロ。
「い、いらっしゃいませ!」
「おぉ、久々だな、お主」
馬に乗って来店して来たのは、いつぞやの織田信長様だった。
「いやここペット禁止だって!!ダメですって!前も言ったじゃないですか!」
「おぉ、そうじゃったな」
織田信長様は、前のだるそうなオタクティーシャツではなくしっかりとしたセレブっぽいヒョウ柄のバスローブのようにものを着ている織田信長様。
「何ですかどうしたんですか突然」
「いや、久々にお主に会いとうなってな。紹介したい者もいるし」
目を細くして嬉しい事を言ってくれる織田信長様。いやこの人天下の織田信長様だぞ。何で今ただのコンビニ店員の俺が織田信長様に会いたがられるなんて事が起きてんだ。
「あ、ありがとうございます。何ですかどうしたんですか突然」
「入れ入れ。あっ馬はおいてこい」
ぞろぞろと入ってきたバスローブの男達。
ヒョウ柄バスローブ織田信長が真ん中。右にゼブラ柄バスローブの背が低い肥満体の織田信長様と同い年くらいの男性と左には、茶色のローブを着た背が低い織田信長様より少し若い猿顔の男性。
「ゲーム会社天下統一のメンバーじゃ。紹介する、右が徳川家康。左が猿こと豊臣秀吉じゃ」
「いやこのコンビニ史上一番とんでもないメンツコンビニに連れてこないでください!!」
「猿がコンビニに興味があるというのでな、連れて来たのだ。三人で買い物して帰ることにする」
三人共資産やばそう。
織田信長様が課金カード買った時も120枚とか課金カード買ってたからな。ポケットマネーも何十万何百万とかだからなこの人。大丈夫なんだろうか。
「ふふ、ふふ」
隣でえみこちゃんが笑った。
「どうしたの?」
「沢山、買い物してくれそうだねこのおじさん達」
「そういや、えみこちゃんもしかして織田信長豊臣秀吉徳川家康知らないの?全然紹介の時驚いてなかったけど」
「えみこ、このおじさん達よく知ってるよ。前にも一度会ったことがあるから」
「え!?どこで?」
「あの真ん中のおじさんの家」
えみこちゃん、信長様の家に行ったことがあるって、あぁ、ゲーム会社だから社会見学とかだろうか?
「課金カードは家で買えるからな。ワシは見たことがない酒なんかを買おうと思う。家康はどうだ?」
「そうですね、わたしも興味がありますわい。つまみコーナーなるものもあるようで、全部買っていきましょう」
「いいな、猿は何を買うんだ?バナナか?」
「バナナなんて売ってるんですかここは?」
楽しそうに会話しながら、カゴにどんどん商品を詰めていき、あれなんだっけ。何かこれ前にもあったぞ。あぁ、そうだった。
最近アンドロイドのベンリさんが来た時もそうだったな。
「ほれ、カゴが足りないぞ」
10かご分の買い物。
もう規模が違う何この人達。
三人ともバスローブのような服の懐から平然と札束を出してくる。
「ほれ、釣りはいらんぞ」
三人に札束を渡され、この分のお会計ベンリさんがここにいてくれたらだいぶ楽だったよなぁ...。
なんて考えながら、札束を両手で突き返す。
「そういうわけにはいきませんので...」
気が遠くなるようなレジを打つ。
隣でえみこちゃんはケタケタ笑っていた。
レジ経験がないらしく、俺が打ってるのを見ていたいというのでとにかく時間はかかるがレジを打っていく。
「楽しい?お兄さん?嬉しい?お金沢山だね」
俺の隣でレジ台に頬杖をつきながら笑うえみこちゃんに、
「嬉しいというか、楽しいというか、今俺は無だよ。無。これだけ沢山の商品が前に現れたら、店員は感情を殺してただレジを打つのみだよ」
えみこちゃんは、よくわからないというように首を傾げた。
「袋はどうなさいますか?」
「あるだけくれ。物は馬に乗せて帰ることにする」
大量の商品を袋に入れてあげて、馬に積み荷を乗せて豪華三人は帰って行った。
「はぁー、疲れた」
レジの下で膝をつく俺を見て、えみこちゃんはよしよしと俺の頭を撫でた。
「すごいね、お兄さん。よしよし、偉いね」
「ありがとう。えみこちゃんも次はレジ頼むよ」
「ううん、えみこはもう行くよ」
にっこり笑ったえみこちゃんは、なんだか寂しげだった。
「え?勤務時間終わり?」
「ううん、えみこは次の場所に行かないといけないから」
「ん、どういうこと?店長にちょっと話を...」
休憩室から店長が飛び出てきた。
「ごめん、村松君一人にして!お客様は大丈夫だった?」
「え?」
「今日朝からとにかくお客様が沢山来店してくださって...俺も棚がすっからかんだったから品出しがやっと終わったと思ったら、疲れてさっき寝ちゃって...深夜もお客様が沢山きたら一人じゃ大変だと思って!今日昼と朝にフルで皆入ってもらっちゃったから深夜に入ってくれる人がいなくてね...」
何を言っているんだ店長。
「あれ、またとんでもなく商品少なくなってる...やっぱりお客様、深夜も来たんだねぇ...ごめんね、一人にして」
「て、店長...?」
俺は、隣にいるえみこちゃんを指差して震える声を絞り出す。
「あ、新しくバイトで入った俺の今隣にいるえみこちゃんは...」
「え?村松君?隣?新しくバイトで入った子なんて、いなかったと思うけど」
背筋が凍った。
隣でえみこちゃんは、ポツリと呟いた。
「あたし、座敷童子(ざしきわらし)。童子っていうのが可愛くなくて気に入らなかったから、わらしを笑うって字で、笑子(えみこ)って名乗ってるの」
えみこちゃんは、たたたっと走り出して、入り口でくるりと振り返った。
「お兄さんは、あたしが見えてラッキーだね。きっとこの先いい事あるよ」
「えみこちゃん!」
ピロリロピロリロ。
「ひっ!?誰も来店してないのに、何で扉開いたの!?」
店長がビビり、俺は目を見開いて動けなかった。
ここのコンビニ、変わった人来すぎて知らないうちに俺、霊感とか強くなってたりするんだろうか。
でも、えみこちゃんみたいな子が来るのは悪くないな、なんて考えながらごっそりなくなった商品棚を見て、俺と店長は品出しを始めた。
0
あなたにおすすめの小説
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる