神ノ創造する日本

鍵山 カキコ

文字の大きさ
9 / 14

殺人……

しおりを挟む
「さて。今度は、鎌田さん。君に訊きたいんだけど……」
「……チッ」
 鎌田さんは心底嫌そうな感じだ。
「君は、見ていと言った。つまり、そんな経験があるって事だよね?」
「だったら、何? 今更警察になんて言えないんだから、訊くだけ無駄だと思うけど?」
 鎌田さんは今、罪を認めた。と、いう事だ。
 殺人を依頼した、罪を。
「いいや、警察なんて関係ない。僕は、事実が知りたいだけだ」
「あっそう」
 鎌田さんは興味がないといった様子だ。
「君は──誰を殺したの? 家族? 友達? 教師? それとも、赤の他人だったりする?」
 鎌田さんとは反対に、遠野君は先程から興奮しっぱなしだ。
「ウッッザッ! ……ったく、姉……だった女だよ! 満足?」
 鎌田さんの顔はありえないくらい怒りに満ちていて、会話を見ている私達すら恐れてしまうほどだった。
 しかし、遠野君はそんな彼女にもまるで動じない。
(すごいっていうか……、ここまでくると怪しくもある……)
「……まだ訊きたい事はあったけど、これ以上訊くと結構本気で殺されそうだから止めておくよ」
「ふぅ……」
 鎌田さんの表情が緩んだ。
「…なあ、遠野。お前、こんな状況なのに何楽しんでんだ?」
 動揺が隠せていない江田君が震えた声で言う。
「誰を殺したのかなんて笑顔で訊きやがって……。本当にサイコパスなのは、加瀬の兄貴じゃなくて、お前なんじゃないのか?」
 場はざわつく。
 よくよく考えれば……いや考えなくとも、こんな状況においてニコニコしている遠野君は明らかにおかしい。
「確かに……遠野君、何故か堂々としてるし」
 明日香は江田君の主張に納得した様子だ。
「……あたし思ったんだけど、遠野君も、一ノ瀬さんと同じように神の仲間なんじゃない?」
 鎌田さんの主張。
 ──それだ!
 誰も声に出していないけれど、確かにその台詞が聞こえてきた。
 一ノ瀬さんという前例がある以上、皆これに納得せざるを得ないだろう。
 私だってそうだ。
「盛り上がってるところ悪いんだけど、遠野君は神じゃないよ」
 私達の中の可能性を破壊したのは、リョーゼだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...