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殺人……
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「さて。今度は、鎌田さん。君に訊きたいんだけど……」
「……チッ」
鎌田さんは心底嫌そうな感じだ。
「君は、見ていたと言った。つまり、そんな経験があるって事だよね?」
「だったら、何? 今更警察になんて言えないんだから、訊くだけ無駄だと思うけど?」
鎌田さんは今、罪を認めた。と、いう事だ。
殺人を依頼した、罪を。
「いいや、警察なんて関係ない。僕は、事実が知りたいだけだ」
「あっそう」
鎌田さんは興味がないといった様子だ。
「君は──誰を殺したの? 家族? 友達? 教師? それとも、赤の他人だったりする?」
鎌田さんとは反対に、遠野君は先程から興奮しっぱなしだ。
「ウッッザッ! ……ったく、姉……だった女だよ! 満足?」
鎌田さんの顔はありえないくらい怒りに満ちていて、会話を見ている私達すら恐れてしまうほどだった。
しかし、遠野君はそんな彼女にもまるで動じない。
(すごいっていうか……、ここまでくると怪しくもある……)
「……まだ訊きたい事はあったけど、これ以上訊くと結構本気で殺されそうだから止めておくよ」
「ふぅ……」
鎌田さんの表情が緩んだ。
「…なあ、遠野。お前、こんな状況なのに何楽しんでんだ?」
動揺が隠せていない江田君が震えた声で言う。
「誰を殺したのかなんて笑顔で訊きやがって……。本当にサイコパスなのは、加瀬の兄貴じゃなくて、お前なんじゃないのか?」
場はざわつく。
よくよく考えれば……いや考えなくとも、こんな状況においてニコニコしている遠野君は明らかにおかしい。
「確かに……遠野君、何故か堂々としてるし」
明日香は江田君の主張に納得した様子だ。
「……あたし思ったんだけど、遠野君も、一ノ瀬さんと同じように神の仲間なんじゃない?」
鎌田さんの主張。
──それだ!
誰も声に出していないけれど、確かにその台詞が聞こえてきた。
一ノ瀬さんという前例がある以上、皆これに納得せざるを得ないだろう。
私だってそうだ。
「盛り上がってるところ悪いんだけど、遠野君は神じゃないよ」
私達の中の可能性を破壊したのは、リョーゼだった。
「……チッ」
鎌田さんは心底嫌そうな感じだ。
「君は、見ていたと言った。つまり、そんな経験があるって事だよね?」
「だったら、何? 今更警察になんて言えないんだから、訊くだけ無駄だと思うけど?」
鎌田さんは今、罪を認めた。と、いう事だ。
殺人を依頼した、罪を。
「いいや、警察なんて関係ない。僕は、事実が知りたいだけだ」
「あっそう」
鎌田さんは興味がないといった様子だ。
「君は──誰を殺したの? 家族? 友達? 教師? それとも、赤の他人だったりする?」
鎌田さんとは反対に、遠野君は先程から興奮しっぱなしだ。
「ウッッザッ! ……ったく、姉……だった女だよ! 満足?」
鎌田さんの顔はありえないくらい怒りに満ちていて、会話を見ている私達すら恐れてしまうほどだった。
しかし、遠野君はそんな彼女にもまるで動じない。
(すごいっていうか……、ここまでくると怪しくもある……)
「……まだ訊きたい事はあったけど、これ以上訊くと結構本気で殺されそうだから止めておくよ」
「ふぅ……」
鎌田さんの表情が緩んだ。
「…なあ、遠野。お前、こんな状況なのに何楽しんでんだ?」
動揺が隠せていない江田君が震えた声で言う。
「誰を殺したのかなんて笑顔で訊きやがって……。本当にサイコパスなのは、加瀬の兄貴じゃなくて、お前なんじゃないのか?」
場はざわつく。
よくよく考えれば……いや考えなくとも、こんな状況においてニコニコしている遠野君は明らかにおかしい。
「確かに……遠野君、何故か堂々としてるし」
明日香は江田君の主張に納得した様子だ。
「……あたし思ったんだけど、遠野君も、一ノ瀬さんと同じように神の仲間なんじゃない?」
鎌田さんの主張。
──それだ!
誰も声に出していないけれど、確かにその台詞が聞こえてきた。
一ノ瀬さんという前例がある以上、皆これに納得せざるを得ないだろう。
私だってそうだ。
「盛り上がってるところ悪いんだけど、遠野君は神じゃないよ」
私達の中の可能性を破壊したのは、リョーゼだった。
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