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第4章 にぎやかなイカれた町
謂われのない云われ
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宿にいた何人かがせっせと垂れ幕を回収する中、アキトとリオンは反逆同盟を名乗るディーラー男の話を聞き流していた。
「───つまり、我々は、あの悪徳運営から自分たちのカジノを取り戻したいわけなのですよ」
「……何で急に下手に出てんだよ」
「ここはカジノの町ですから、賭け事が上手い人間が、一番偉くなるのです」
「はぁ……」
未だに扉は塞がれたままであり、どうやらいい返事をするまで帰してはくれないらしい。
「貴方様には是非、我々を導くリーダーになっていただきたいのです。どうかお願いします」
──こういった経験は一度味わった覚えがある。
自分の意思に関係なく、ただ人に担がれていた過去。かつて勇者として祭り上げられた記憶が蘇り、途端に気分が悪くなっていく。
(クソッ、どうしても思い出しちまうな……)
そんなリオンの背中をさすりながら、アキトは心配するように声をかけた。
「大丈夫だよ、君は関係ないから」
「でもな……」
魔物ならともかく、相手は普通の人間である。
無理やり斬り倒すことも出来ない相手を、どうやって振り切るかが問題だった。
額に手を付きながらずっと頭を抱えるリオンの様子を見かねたアキトが、男に向かって問いかける。
「ねぇおじさん、その役、僕がやってもいい?」
まさかの提案に、リオンと何故か周りの同盟者たちがギョっとする。
「お前さん…… このお方より強いのか?」
「うん」
鋭い緊張感が走る。
心なしか、アキトはいつもより力強い眼差しで、男を睨み付けていた。
「おお…… 大した自信だ。嘘だとしても、お前さんが一流ギャンブラーなことに変わりねぇ!」
ディーラー男はアキトの片手首を掴み、天井に掲げた。
「やったぞお前ら! 新たなリーダーの誕生だ!!」
その掛け声と共に立ち上がった同盟者たちは、声を上げながら一斉に歓喜する。
熱狂する空気に疲れたリオンは、ふと、窓から外を見て衝撃を受ける。
なんと天気が一変し、窓がガタガタと揺れるほどの猛吹雪が吹き荒れていた。
(マジかよ…!? さっき出発していたら、危なかったな……)
まさか──
咄嗟にディーラー男に目をやると、男はアキトをテーブルの席に座らせ、集まった同盟者たちと共に、慣れた手つきでゲームを仕切っている。
男の言葉に嘘は無かった。それでも先ほどのやり取りが、全て偶然か必然だったかは、知る由もなかった。
一通りゲームが終わり、その後も吹雪は止みそうに無かったので、二人は再び同じ部屋に泊まることになった。
「なんか、ちょうどよかったね」
「……すまん、変なことに巻き込んで」
「ううん、大変だったのはリオンの方でしょ?」
(ああもう──! 何でもわかったような口ききやがって……!)
お互いのベッドに腰をかけながら、リオンはうなだれてしまう。前にいるアキトと目を合わせられないまま、ため息混じりに呟いた。
「……またそれかよ」
(こっちはお前のこと、なんにもわかんねぇのに……)
今の自分が、彼の負担にしかなっていないことに、これ以上耐えられなかった。
「リオン……?」
「悪ぃ…… 少し休む」
「うん……」
途端に重苦しくなる空気の中、一階のロビーから大声が聞こえてくる。
「お前らーー!! 魔将だ、魔将が現れたぞーー!!」
魔将と聞いて、二人はすぐにロビーに向かう。
だが不思議なことに、集まった人々は慌てることなく落ち着いていて、どこか古めかしい大きなストーブのような装置を準備をしている。
状況の読めないリオンは、装置を準備していた一人に声をかけた。
「なあ、あんた……」
「はい! どうされましたか? "シャーク"!!」
「え? "シャーク"……って、俺の事か……?」
「もちろんでございます! この町では我々のような弱い者は"雑魚"そして、強い者を"捕食者"と呼ぶのです!」
「へぇ……」
突然の業界用語に気を取られそうになるが、リオンは何とか話を本題に戻す。
「って、それよりも…… 今、魔将が現れたって」
「はい! 悪徳カジノ連中の嫌がらせでございます。あのカジノを仕切っておりますのは、その魔将らしいので! 」
「……?」
ますます頭がこんがらがって困っていると、あのディーラー男が駆け付けて来る。
「リーダー! シャーク! 何かお困りごとですか?」
「ねぇ、みんなは、なにをしているの?」
リオンが一人混乱する中、アキトは男に今の状況の説明を要求する。
「これは接近してくる魔将を追い払う為の準備でございます。
奴は暑い場所を嫌うので、この場の気温を高めることで被害を抑えられるのです」
(どういうことだ……? 悪徳カジノの連中? それに暑い場所が苦手な魔将なんてまるで……)
「"魔将グラキエース"、この町を滅茶苦茶にしている氷の魔物です」
「……は?」
聞き覚えのある名前に、リオンは言葉を失う。
「そんなわけ……ねぇ」
(だって…… あいつはあの時──!)
魔将の最後を見届けたリオンたちは、それだけは絶対にあり得ないと確信していた。
「ねぇ、ここなら開けてもいい?」
アキトがすぐ近くにあった窓を指さす。
「お前…… まさか……」
「うん、ちょっと見てくる」
「俺も行く」
少し考えた後にアキトは頷き、二人は窓の縁に手をかける。
「リ、リーダー…! シャーク…! 一体何を……!?」
「すぐ戻るから、大丈夫だよ」
「それまでここ、閉めんじゃねぇぞ」
焦るディーラー男をよそに、二人は窓を開け、吹雪の中へと飛び出した。
吹き荒れる猛吹雪により視界は見えづらく、雪が頬を切り、息を吸うたびに喉がひりつく。
立っているのも苦しい状況の中、二人は必死に魔将を探した。
「居場所は!」
「あっち──!」
魔力探知に長けたアキトがすぐにそれを発見者する。
彼の指さす方角を向けば、まるで吹雪を纏っているような人影が、町の中心からこちらへと向かって歩いていた。
「本当に、いるのか……?」
「でも、おかしいよ、だって……あの人の魔力が こんなに弱いはずない」
「だったら尚更、行くしかねぇな──!」
事の真相を確かめる為、二人は謎の人影に向かって、走って行くのだった。
「───つまり、我々は、あの悪徳運営から自分たちのカジノを取り戻したいわけなのですよ」
「……何で急に下手に出てんだよ」
「ここはカジノの町ですから、賭け事が上手い人間が、一番偉くなるのです」
「はぁ……」
未だに扉は塞がれたままであり、どうやらいい返事をするまで帰してはくれないらしい。
「貴方様には是非、我々を導くリーダーになっていただきたいのです。どうかお願いします」
──こういった経験は一度味わった覚えがある。
自分の意思に関係なく、ただ人に担がれていた過去。かつて勇者として祭り上げられた記憶が蘇り、途端に気分が悪くなっていく。
(クソッ、どうしても思い出しちまうな……)
そんなリオンの背中をさすりながら、アキトは心配するように声をかけた。
「大丈夫だよ、君は関係ないから」
「でもな……」
魔物ならともかく、相手は普通の人間である。
無理やり斬り倒すことも出来ない相手を、どうやって振り切るかが問題だった。
額に手を付きながらずっと頭を抱えるリオンの様子を見かねたアキトが、男に向かって問いかける。
「ねぇおじさん、その役、僕がやってもいい?」
まさかの提案に、リオンと何故か周りの同盟者たちがギョっとする。
「お前さん…… このお方より強いのか?」
「うん」
鋭い緊張感が走る。
心なしか、アキトはいつもより力強い眼差しで、男を睨み付けていた。
「おお…… 大した自信だ。嘘だとしても、お前さんが一流ギャンブラーなことに変わりねぇ!」
ディーラー男はアキトの片手首を掴み、天井に掲げた。
「やったぞお前ら! 新たなリーダーの誕生だ!!」
その掛け声と共に立ち上がった同盟者たちは、声を上げながら一斉に歓喜する。
熱狂する空気に疲れたリオンは、ふと、窓から外を見て衝撃を受ける。
なんと天気が一変し、窓がガタガタと揺れるほどの猛吹雪が吹き荒れていた。
(マジかよ…!? さっき出発していたら、危なかったな……)
まさか──
咄嗟にディーラー男に目をやると、男はアキトをテーブルの席に座らせ、集まった同盟者たちと共に、慣れた手つきでゲームを仕切っている。
男の言葉に嘘は無かった。それでも先ほどのやり取りが、全て偶然か必然だったかは、知る由もなかった。
一通りゲームが終わり、その後も吹雪は止みそうに無かったので、二人は再び同じ部屋に泊まることになった。
「なんか、ちょうどよかったね」
「……すまん、変なことに巻き込んで」
「ううん、大変だったのはリオンの方でしょ?」
(ああもう──! 何でもわかったような口ききやがって……!)
お互いのベッドに腰をかけながら、リオンはうなだれてしまう。前にいるアキトと目を合わせられないまま、ため息混じりに呟いた。
「……またそれかよ」
(こっちはお前のこと、なんにもわかんねぇのに……)
今の自分が、彼の負担にしかなっていないことに、これ以上耐えられなかった。
「リオン……?」
「悪ぃ…… 少し休む」
「うん……」
途端に重苦しくなる空気の中、一階のロビーから大声が聞こえてくる。
「お前らーー!! 魔将だ、魔将が現れたぞーー!!」
魔将と聞いて、二人はすぐにロビーに向かう。
だが不思議なことに、集まった人々は慌てることなく落ち着いていて、どこか古めかしい大きなストーブのような装置を準備をしている。
状況の読めないリオンは、装置を準備していた一人に声をかけた。
「なあ、あんた……」
「はい! どうされましたか? "シャーク"!!」
「え? "シャーク"……って、俺の事か……?」
「もちろんでございます! この町では我々のような弱い者は"雑魚"そして、強い者を"捕食者"と呼ぶのです!」
「へぇ……」
突然の業界用語に気を取られそうになるが、リオンは何とか話を本題に戻す。
「って、それよりも…… 今、魔将が現れたって」
「はい! 悪徳カジノ連中の嫌がらせでございます。あのカジノを仕切っておりますのは、その魔将らしいので! 」
「……?」
ますます頭がこんがらがって困っていると、あのディーラー男が駆け付けて来る。
「リーダー! シャーク! 何かお困りごとですか?」
「ねぇ、みんなは、なにをしているの?」
リオンが一人混乱する中、アキトは男に今の状況の説明を要求する。
「これは接近してくる魔将を追い払う為の準備でございます。
奴は暑い場所を嫌うので、この場の気温を高めることで被害を抑えられるのです」
(どういうことだ……? 悪徳カジノの連中? それに暑い場所が苦手な魔将なんてまるで……)
「"魔将グラキエース"、この町を滅茶苦茶にしている氷の魔物です」
「……は?」
聞き覚えのある名前に、リオンは言葉を失う。
「そんなわけ……ねぇ」
(だって…… あいつはあの時──!)
魔将の最後を見届けたリオンたちは、それだけは絶対にあり得ないと確信していた。
「ねぇ、ここなら開けてもいい?」
アキトがすぐ近くにあった窓を指さす。
「お前…… まさか……」
「うん、ちょっと見てくる」
「俺も行く」
少し考えた後にアキトは頷き、二人は窓の縁に手をかける。
「リ、リーダー…! シャーク…! 一体何を……!?」
「すぐ戻るから、大丈夫だよ」
「それまでここ、閉めんじゃねぇぞ」
焦るディーラー男をよそに、二人は窓を開け、吹雪の中へと飛び出した。
吹き荒れる猛吹雪により視界は見えづらく、雪が頬を切り、息を吸うたびに喉がひりつく。
立っているのも苦しい状況の中、二人は必死に魔将を探した。
「居場所は!」
「あっち──!」
魔力探知に長けたアキトがすぐにそれを発見者する。
彼の指さす方角を向けば、まるで吹雪を纏っているような人影が、町の中心からこちらへと向かって歩いていた。
「本当に、いるのか……?」
「でも、おかしいよ、だって……あの人の魔力が こんなに弱いはずない」
「だったら尚更、行くしかねぇな──!」
事の真相を確かめる為、二人は謎の人影に向かって、走って行くのだった。
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