6 / 41
第1章 強くてカワイイ魔法使い
第5話 才能開花
しおりを挟む
魔法の威力上昇の方法を授業で習ったことがある。
それは自身の魔力を、手に注ぎ続ける方法だ。
しかしそれは体力を多く消費するため、推奨されていない。
教師からは『ここぞという時、以外に使うな』と言われていたくらいだ。
けれど、私の天啓が【魔力操作】ならば、体力の消費を減らせるかもしれない。いや、減らせずとも、常人よりも多くの魔力を注ぐことができるだろう。
それに、ここぞという時があるならば、それは今だ。
「じゃあ、行ってくる」
ドロシーさんは頷くと、ドラゴスネークの元へと駆け出した。
申し訳ないけど、彼女には今から時間稼ぎをして貰おうと思う。
そして風魔法で私の元へ飛ばして貰い、体勢を崩したドラゴスネークに私の魔法でズドンだ。
以上が、ドロシーさんに囁いた私の『考え』である。
「ギシャアアアア!!」
ドラゴスネークが咆哮を上げた。
空気をビリビリと震わすその咆哮に、思わず身震いする。
けれどドロシーさんは迷い無く、ドラゴスネークの死角に回った。
学園最強の彼女は、もちろん運動神経も良い。
うまくドラゴスネークを錯乱できているようだった。
「……よし」
そんな彼女の様子を見ながら、私は一歩二歩と前に出る。
さぁ始めよう、とそう思った矢先、後方から声がぶつけられた。
「え? なんでクロエがいるの?」
「なにしてんだ、あいつ!」
「危ないから戻ってこい!」
クラスメイトの誰かと、教師の声。
心配するようなことを言いながら誰も私の元へ来ない辺り、私の程度なんてこんなものだ。
でも。私がそんな程度なのは、私の責任でもあるのかな。と思いながら、
「すっ──」
軽い呼吸と共に、私は目を瞑る。
魔力の流れを感じて、それを右手に注力する。
私は火属性の魔力を注ぐ。注ぎ続ける。
身体への負担は、言われていたほどに感じない。
それでも確かに、私の右手に溜まる魔力は強大なものになっていくのが分かる。
「クロエさん! 行くよ!」
その合図に、私は目を見開く。
「『テンペスト』!」
風属性の中級魔法──テンペストによって、ドラゴスネークが宙を舞った。
そしてそれは確かに、身をくねらせながら私の方へと飛んでくる。
魔法適正 Fランクじゃ、こんな巨大な魔力を放ったって外れてしまう可能性が高い。
だから私は、耐える。直前まで、魔力を注ぎ続ける。
ドラゴスネークが寸前まで近付いたところで、
「『ファイヤボール』ッ!!」
私は──。
考えるよりも先に、大きく目を見開いた。
私の手から放たれた魔法は、かつてのような小さな炎では無い。
──え?
それは。
太陽よりも鮮烈に赤く。
視界を隠すほどに巨大な。
伝わる熱気も、恐ろしいほどの。
そんな『ファイヤボール』だった。
「ギィィャアアアア!!!!」
炎に包まれたドラゴスネークは、身をよじらせ、やがて動きを止めた。
後方にいた教師陣が、燃え広がる炎に慌てた様子で水魔法を放つ。
安堵からか思わず尻餅をついてしまった私は、そのままポカンと口を開けてしまう。
そしてまた、生徒の声が私の耳に飛び込んできた。
「え、今の、クロエがやったの?」
「おい。クロエって確か、適正 Fランクだったよな?」
「だけど魔力蓄積が Sとも言ってたし……」
ここばっかりは、この人たちの声に同感だ。
Fランクの私が、ドラゴスネークを討伐した?
目の前にそれは事実としてあるのに、どうしても疑ってしまう。
けれど確かに、私の魔力は失われているのを感じる。
それに、手が異常な熱を帯びている。
じゃあ本当に、今の魔法を私が──?
「クロエさーん!」
ドラゴスネークの影から、ドロシーさんが手を振りながらやってきた。
「凄いじゃん! 今の魔法!」
ドロシーさんは私に視線を合わせるようにしゃがむと、嬉しそうに言ってくる。
「やっぱり、クロエさんみたいな人が夢を諦める必要ないよ!」
その言葉に、何か温かいものが胸に広がっていくのを感じた。
そうだ。今日私は、夢を諦めるつもりで森に出向いたんだった。
けれどなぜか今、私は魔法で魔物を倒すことができた。
──なら、私は夢を目指してもいいの?
なんて、浮かれたことを思ってしまって。
おかしな問いが、私の口を衝いて飛び出してしまう。
「今の私、強くて可愛かった?」
言ってから『あーやっちゃった』と思った。
熱くなる顔を隠そうと、思わず俯いてしまう。
でもドロシーさんは、そんな私に呆れる様子も無く。
私の耳元で、快活な声を囁いた。
「強くてカッコよかったよ……!」
あれ。なんだ、もっと熱くなってきたぞこれ。
人に褒められるなんて、今まで経験なかったからかな。
けど、なんだかもういいやって、顔を上げてドロシーさんを見る。
無邪気な笑顔を浮かべたドロシーさんは、やっぱり可愛かった。
可愛さじゃ彼女には敵わないよな、なんて思いつつ。
「あはは、そっか。うん……ありがと」
私はその言葉の響きを噛み締めるように頷いた。
強くてカッコいいってのは、私の求めるものとは少し違ったけれど。
今ばかりは、それも悪くないのかなと思いながら。
それでも私の中で再度、心に決めたことが一つある。
強くてカワイイ最強の魔法使いになろう。
それは自身の魔力を、手に注ぎ続ける方法だ。
しかしそれは体力を多く消費するため、推奨されていない。
教師からは『ここぞという時、以外に使うな』と言われていたくらいだ。
けれど、私の天啓が【魔力操作】ならば、体力の消費を減らせるかもしれない。いや、減らせずとも、常人よりも多くの魔力を注ぐことができるだろう。
それに、ここぞという時があるならば、それは今だ。
「じゃあ、行ってくる」
ドロシーさんは頷くと、ドラゴスネークの元へと駆け出した。
申し訳ないけど、彼女には今から時間稼ぎをして貰おうと思う。
そして風魔法で私の元へ飛ばして貰い、体勢を崩したドラゴスネークに私の魔法でズドンだ。
以上が、ドロシーさんに囁いた私の『考え』である。
「ギシャアアアア!!」
ドラゴスネークが咆哮を上げた。
空気をビリビリと震わすその咆哮に、思わず身震いする。
けれどドロシーさんは迷い無く、ドラゴスネークの死角に回った。
学園最強の彼女は、もちろん運動神経も良い。
うまくドラゴスネークを錯乱できているようだった。
「……よし」
そんな彼女の様子を見ながら、私は一歩二歩と前に出る。
さぁ始めよう、とそう思った矢先、後方から声がぶつけられた。
「え? なんでクロエがいるの?」
「なにしてんだ、あいつ!」
「危ないから戻ってこい!」
クラスメイトの誰かと、教師の声。
心配するようなことを言いながら誰も私の元へ来ない辺り、私の程度なんてこんなものだ。
でも。私がそんな程度なのは、私の責任でもあるのかな。と思いながら、
「すっ──」
軽い呼吸と共に、私は目を瞑る。
魔力の流れを感じて、それを右手に注力する。
私は火属性の魔力を注ぐ。注ぎ続ける。
身体への負担は、言われていたほどに感じない。
それでも確かに、私の右手に溜まる魔力は強大なものになっていくのが分かる。
「クロエさん! 行くよ!」
その合図に、私は目を見開く。
「『テンペスト』!」
風属性の中級魔法──テンペストによって、ドラゴスネークが宙を舞った。
そしてそれは確かに、身をくねらせながら私の方へと飛んでくる。
魔法適正 Fランクじゃ、こんな巨大な魔力を放ったって外れてしまう可能性が高い。
だから私は、耐える。直前まで、魔力を注ぎ続ける。
ドラゴスネークが寸前まで近付いたところで、
「『ファイヤボール』ッ!!」
私は──。
考えるよりも先に、大きく目を見開いた。
私の手から放たれた魔法は、かつてのような小さな炎では無い。
──え?
それは。
太陽よりも鮮烈に赤く。
視界を隠すほどに巨大な。
伝わる熱気も、恐ろしいほどの。
そんな『ファイヤボール』だった。
「ギィィャアアアア!!!!」
炎に包まれたドラゴスネークは、身をよじらせ、やがて動きを止めた。
後方にいた教師陣が、燃え広がる炎に慌てた様子で水魔法を放つ。
安堵からか思わず尻餅をついてしまった私は、そのままポカンと口を開けてしまう。
そしてまた、生徒の声が私の耳に飛び込んできた。
「え、今の、クロエがやったの?」
「おい。クロエって確か、適正 Fランクだったよな?」
「だけど魔力蓄積が Sとも言ってたし……」
ここばっかりは、この人たちの声に同感だ。
Fランクの私が、ドラゴスネークを討伐した?
目の前にそれは事実としてあるのに、どうしても疑ってしまう。
けれど確かに、私の魔力は失われているのを感じる。
それに、手が異常な熱を帯びている。
じゃあ本当に、今の魔法を私が──?
「クロエさーん!」
ドラゴスネークの影から、ドロシーさんが手を振りながらやってきた。
「凄いじゃん! 今の魔法!」
ドロシーさんは私に視線を合わせるようにしゃがむと、嬉しそうに言ってくる。
「やっぱり、クロエさんみたいな人が夢を諦める必要ないよ!」
その言葉に、何か温かいものが胸に広がっていくのを感じた。
そうだ。今日私は、夢を諦めるつもりで森に出向いたんだった。
けれどなぜか今、私は魔法で魔物を倒すことができた。
──なら、私は夢を目指してもいいの?
なんて、浮かれたことを思ってしまって。
おかしな問いが、私の口を衝いて飛び出してしまう。
「今の私、強くて可愛かった?」
言ってから『あーやっちゃった』と思った。
熱くなる顔を隠そうと、思わず俯いてしまう。
でもドロシーさんは、そんな私に呆れる様子も無く。
私の耳元で、快活な声を囁いた。
「強くてカッコよかったよ……!」
あれ。なんだ、もっと熱くなってきたぞこれ。
人に褒められるなんて、今まで経験なかったからかな。
けど、なんだかもういいやって、顔を上げてドロシーさんを見る。
無邪気な笑顔を浮かべたドロシーさんは、やっぱり可愛かった。
可愛さじゃ彼女には敵わないよな、なんて思いつつ。
「あはは、そっか。うん……ありがと」
私はその言葉の響きを噛み締めるように頷いた。
強くてカッコいいってのは、私の求めるものとは少し違ったけれど。
今ばかりは、それも悪くないのかなと思いながら。
それでも私の中で再度、心に決めたことが一つある。
強くてカワイイ最強の魔法使いになろう。
0
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
凶器は透明な優しさ
楓
恋愛
入社5年目の岩倉紗希は、新卒の女の子である姫野香代の教育担当に選ばれる。
初めての後輩に戸惑いつつも、姫野さんとは良好な先輩後輩の関係を築いていけている
・・・そう思っていたのは岩倉紗希だけであった。
姫野の思いは岩倉の思いとは全く異なり
2人の思いの違いが徐々に大きくなり・・・
そして心を殺された
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる