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第2章 アレクシス王国、王都
幕間 第2王女、リリアン・フォン=アレクシスの独り言
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【リリアン視点】
「私、もうすぐ死んじゃうんだ」
自分でも、これはやばいって思った。
なんでこんなこと言っちゃったんだろう。
私の痛みを知ってほしいから? 同情して欲しいから?
何にせよ。言ってはいけないことを、私は言ってしまったのだと思う。
共有した痛みで、そのまま傷つけてしまうなんて。
「はぁ……」
風魔法を纏って空を駆ける。
今回の魔獣も、かなり遠い場所に湧いていた。
馬車を使っても半日かかるくらいの距離だろうか。
なんなら隣国のスレスレに湧いているような気さえする。
私の速度だと、恐らく20分ほどはかかるだろう。
また。犠牲を出してしまうのだけは勘弁だ。
「…………」
刺すような夜の冷たい風を受けながら、後方にある大きな三つの魔力反応を感じていた。
街に攻め入ってきたはずの魔王軍の親玉と、クロエさんと、そして城内の魔力だろう。
毎度王都に攻め入る魔王軍は弱いはずなのに、その魔力の反応は異様に大きい。
しかしやはりクロエさんの魔力蓄積量は、途轍もないなと感心する。
と同時に確信した。クロエさんは、やはり──。
このことをクロエさんに伝えるべきか──いや、いい。
「もうすぐか……」
次第に後方の魔力反応が遠ざかり、魔獣の魔力反応が近付く。
ただ、城内の魔力は依然として探知することができていた。
「ここか」
やがて辿り着いた目的地に私は足を降ろす。
今回も町付近の森の中だ。どうやらまだ被害は無いらしい。
そしてすぐに、視界の奥にいる魔獣を発見した。
無造作に暴れ回るそいつは、いつもと同じバケモノの形相をしている。
最初の討伐の日──クロエさんに会ったあの日から、私は変わったと思う。
本当に、自分でも悲しくなるくらいに、変わってしまったと思う。
「『アイスランス』」
魔法はもう、外すことはない。
放たれた氷の槍は、見事に魔獣の頭を貫く。
魔獣は魔石を一つ残し消滅した。こんなものだ。
さぁ、魔石を回収して城に戻ろう。今日はもう疲れた。
「……」
城に戻る道中、どうしてもクロエさんの言葉が離れなかった。
本当に、なんてことを言ってくれたのだろう。
憧れの人、だなんて。そんなこと、言わないでよ。
私はもう、この世界の未練の全てを捨ててきていたのに。
これは最後の思い出づくりのはずだったのに。
どうして。どうして。どうして……。
「……死にたく、ないよ」
涙が夜の風と共に流れる。
後悔しても、もう遅い。
城に辿り着き、窓の外から部屋に入る。
城からの魔力も、魔王軍の魔獣の魔力も、とっくに消えていた。
一目散にベッドに潜った私は、毛布を深く被る。
そのまま、声を殺して泣き続けた。
「うっ──うぅ……」
未練が増えた。
簡単に失くなりそうにない。そんな未練が。
「私、もうすぐ死んじゃうんだ」
自分でも、これはやばいって思った。
なんでこんなこと言っちゃったんだろう。
私の痛みを知ってほしいから? 同情して欲しいから?
何にせよ。言ってはいけないことを、私は言ってしまったのだと思う。
共有した痛みで、そのまま傷つけてしまうなんて。
「はぁ……」
風魔法を纏って空を駆ける。
今回の魔獣も、かなり遠い場所に湧いていた。
馬車を使っても半日かかるくらいの距離だろうか。
なんなら隣国のスレスレに湧いているような気さえする。
私の速度だと、恐らく20分ほどはかかるだろう。
また。犠牲を出してしまうのだけは勘弁だ。
「…………」
刺すような夜の冷たい風を受けながら、後方にある大きな三つの魔力反応を感じていた。
街に攻め入ってきたはずの魔王軍の親玉と、クロエさんと、そして城内の魔力だろう。
毎度王都に攻め入る魔王軍は弱いはずなのに、その魔力の反応は異様に大きい。
しかしやはりクロエさんの魔力蓄積量は、途轍もないなと感心する。
と同時に確信した。クロエさんは、やはり──。
このことをクロエさんに伝えるべきか──いや、いい。
「もうすぐか……」
次第に後方の魔力反応が遠ざかり、魔獣の魔力反応が近付く。
ただ、城内の魔力は依然として探知することができていた。
「ここか」
やがて辿り着いた目的地に私は足を降ろす。
今回も町付近の森の中だ。どうやらまだ被害は無いらしい。
そしてすぐに、視界の奥にいる魔獣を発見した。
無造作に暴れ回るそいつは、いつもと同じバケモノの形相をしている。
最初の討伐の日──クロエさんに会ったあの日から、私は変わったと思う。
本当に、自分でも悲しくなるくらいに、変わってしまったと思う。
「『アイスランス』」
魔法はもう、外すことはない。
放たれた氷の槍は、見事に魔獣の頭を貫く。
魔獣は魔石を一つ残し消滅した。こんなものだ。
さぁ、魔石を回収して城に戻ろう。今日はもう疲れた。
「……」
城に戻る道中、どうしてもクロエさんの言葉が離れなかった。
本当に、なんてことを言ってくれたのだろう。
憧れの人、だなんて。そんなこと、言わないでよ。
私はもう、この世界の未練の全てを捨ててきていたのに。
これは最後の思い出づくりのはずだったのに。
どうして。どうして。どうして……。
「……死にたく、ないよ」
涙が夜の風と共に流れる。
後悔しても、もう遅い。
城に辿り着き、窓の外から部屋に入る。
城からの魔力も、魔王軍の魔獣の魔力も、とっくに消えていた。
一目散にベッドに潜った私は、毛布を深く被る。
そのまま、声を殺して泣き続けた。
「うっ──うぅ……」
未練が増えた。
簡単に失くなりそうにない。そんな未練が。
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