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プロローグ 私が引きこもりになったワケ
第2話 防御魔法の使い方
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私は、少しずつ生まれ変わった世界について理解していった。
最も驚くべきは、この世界は本に出てくるような剣と魔法の異世界だということ。
次に驚くべきことは、私が生まれ変わったサラン家は貴族の家系だということ。
母さんが、マルレーナ・サラン。町一番の魔法使い。
父さんが、ソット・サラン。町一番の剣士で、この辺りの土地をおさめる領主様。
今世でも、両親は凄く良い人だった。
母さんはいつも優しくて、忙しいはずなのに遊んでくれて。
父さんは少し厳しかったけれど、その愛情は行動の節々から感じられていた。
そんな日々を過ごすにつれて、私は前世の私を切り離すことができた。
──次こそ、この世界で家族みんなで幸せに生きよう。
それだけでよかった。それだけが祈りだった。
私が三歳になった頃、母さんが魔法を教えてくれると言った。
といっても、私がどうして魔法を覚えたいというので渋々という風だったけど。
というのもどうやら、普通魔法は三歳では使いこなすのが相当困難らしいのだ。
「でも、アリエは物覚えがすごく早いから、案外すぐ使えるようになるかもね」
母さんは私ににこやかに微笑みかけると、薄い魔導書をぱらりとめくった。
「だけどなぁ、火の魔法とかはまだ危ないし……」
「私なんでもいいよ! 母さんが決めてみて!」
「お、りょーかい! えーっとねぇ、それじゃあねぇ……」
母さんは唸りながら、魔導者がパラパラと捲る。
やがて手を止めると「これ!」と、魔導書を私の前に広げた。
「防御魔法はどう? ちょっとアリエには地味に感じちゃうかもだけど、難易度もそう高くないし、いざとなったらすごく役に立つのよ!」
母さんが広げたそのページには、私はざっと目を通してみた。
『リフレクション』……魔法を跳ね返す盾を形成する。
『バリアー』……物理、魔法の両方から身を守る盾を形成する。
どうやらそれらは、初心者が使える防御魔法の二つのようだ。
確かに、防御魔法はいいかもしれない。
攻撃魔法は私の性格的に向かないだろうから。
「うん! これ、使ってみたい!」
私が大きく頷くと、母さんは嬉しそうに頷き返す。
そのまま魔導書をみせながら私に魔法の使い方を指導してくれた。
どうやら魔法を使用する際は、身体に流れる『魔力』を利用するらしい。
作りたい魔法の形を意識し、魔力を体外に解き放つ。というのが一連の流れである。
詠唱が必要な場合もあるが、母さん曰く初級魔法のほとんどは詠唱が必要ないらしい。
どうしても初級魔法が難しい場合は、魔法ごとの詠唱もあるようだ。
リフレクション。バリアーの説明をよく読み、私は母さんにならい手のひらをかざした。
「リフレクション」
呟くと、ほのかな光と共に小さな結界が現出する。
これが、魔法。前世では感じたことのない力に、胸が高鳴る。
この魔法で、身を守ったり、誰かを守ったりすることができるのだ。
「母さん。これで、合ってる?」
視線を母さんに向けると、母さんは目を大きく見開き、私の魔法を凝視していた。
そしてそのまま、私の両手をぎゅっと握ってくる。
「すごい……。すごいわ! アリエ!」
「え、そう? ほんとうに?」
「えぇ! さすが私の子! 『バリアー』も簡単にできるんじゃないかしら?」
「う、うん!」
嬉しそうな母さんを見て、私は思わず浮き足立つ。
いい気になって今度は「バリアー」も試してみた。
すると同じように、私の手のひらに薄い結界が浮かび上がる。
「母さん、どう!?」
嬉々として問えば、母さんは私の作り出した結界に軽く指を置いた。
母さんの手は確かに結界に阻まれている。
つまり、ちゃんとバリアーを作り出せた、ということだろう。
ならば同じように喜んでくれるだろう。と、そう思っていたのだが、母さんは先とは打って変わって神妙な面持ちだった。
「母さん? ダメだった?」
「……いえ、違うわ」
「えっと、じゃあどうしたの?」
「いや。本当に、アリエ。あなた、本当にすごい才能を持っているのね」
そしてそのまま私の頭を軽く撫でた。
多分、すごく褒めてくれてるんだと思う。
その事実が本当に嬉しくって、私は少しだけ恥ずかしいことを口走った。
「これで母さんがピンチになっても、私が助けられるね!」
最も驚くべきは、この世界は本に出てくるような剣と魔法の異世界だということ。
次に驚くべきことは、私が生まれ変わったサラン家は貴族の家系だということ。
母さんが、マルレーナ・サラン。町一番の魔法使い。
父さんが、ソット・サラン。町一番の剣士で、この辺りの土地をおさめる領主様。
今世でも、両親は凄く良い人だった。
母さんはいつも優しくて、忙しいはずなのに遊んでくれて。
父さんは少し厳しかったけれど、その愛情は行動の節々から感じられていた。
そんな日々を過ごすにつれて、私は前世の私を切り離すことができた。
──次こそ、この世界で家族みんなで幸せに生きよう。
それだけでよかった。それだけが祈りだった。
私が三歳になった頃、母さんが魔法を教えてくれると言った。
といっても、私がどうして魔法を覚えたいというので渋々という風だったけど。
というのもどうやら、普通魔法は三歳では使いこなすのが相当困難らしいのだ。
「でも、アリエは物覚えがすごく早いから、案外すぐ使えるようになるかもね」
母さんは私ににこやかに微笑みかけると、薄い魔導書をぱらりとめくった。
「だけどなぁ、火の魔法とかはまだ危ないし……」
「私なんでもいいよ! 母さんが決めてみて!」
「お、りょーかい! えーっとねぇ、それじゃあねぇ……」
母さんは唸りながら、魔導者がパラパラと捲る。
やがて手を止めると「これ!」と、魔導書を私の前に広げた。
「防御魔法はどう? ちょっとアリエには地味に感じちゃうかもだけど、難易度もそう高くないし、いざとなったらすごく役に立つのよ!」
母さんが広げたそのページには、私はざっと目を通してみた。
『リフレクション』……魔法を跳ね返す盾を形成する。
『バリアー』……物理、魔法の両方から身を守る盾を形成する。
どうやらそれらは、初心者が使える防御魔法の二つのようだ。
確かに、防御魔法はいいかもしれない。
攻撃魔法は私の性格的に向かないだろうから。
「うん! これ、使ってみたい!」
私が大きく頷くと、母さんは嬉しそうに頷き返す。
そのまま魔導書をみせながら私に魔法の使い方を指導してくれた。
どうやら魔法を使用する際は、身体に流れる『魔力』を利用するらしい。
作りたい魔法の形を意識し、魔力を体外に解き放つ。というのが一連の流れである。
詠唱が必要な場合もあるが、母さん曰く初級魔法のほとんどは詠唱が必要ないらしい。
どうしても初級魔法が難しい場合は、魔法ごとの詠唱もあるようだ。
リフレクション。バリアーの説明をよく読み、私は母さんにならい手のひらをかざした。
「リフレクション」
呟くと、ほのかな光と共に小さな結界が現出する。
これが、魔法。前世では感じたことのない力に、胸が高鳴る。
この魔法で、身を守ったり、誰かを守ったりすることができるのだ。
「母さん。これで、合ってる?」
視線を母さんに向けると、母さんは目を大きく見開き、私の魔法を凝視していた。
そしてそのまま、私の両手をぎゅっと握ってくる。
「すごい……。すごいわ! アリエ!」
「え、そう? ほんとうに?」
「えぇ! さすが私の子! 『バリアー』も簡単にできるんじゃないかしら?」
「う、うん!」
嬉しそうな母さんを見て、私は思わず浮き足立つ。
いい気になって今度は「バリアー」も試してみた。
すると同じように、私の手のひらに薄い結界が浮かび上がる。
「母さん、どう!?」
嬉々として問えば、母さんは私の作り出した結界に軽く指を置いた。
母さんの手は確かに結界に阻まれている。
つまり、ちゃんとバリアーを作り出せた、ということだろう。
ならば同じように喜んでくれるだろう。と、そう思っていたのだが、母さんは先とは打って変わって神妙な面持ちだった。
「母さん? ダメだった?」
「……いえ、違うわ」
「えっと、じゃあどうしたの?」
「いや。本当に、アリエ。あなた、本当にすごい才能を持っているのね」
そしてそのまま私の頭を軽く撫でた。
多分、すごく褒めてくれてるんだと思う。
その事実が本当に嬉しくって、私は少しだけ恥ずかしいことを口走った。
「これで母さんがピンチになっても、私が助けられるね!」
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