義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日

文字の大きさ
上 下
65 / 86
義姉妹の夏休み

もうそう

しおりを挟む
 お姉ちゃんによると、今はショッピングモールに向かってるらしい。
 服屋とか映画館とかレストランだとかがある、あのショッピングモールだ。
 といっても、そこには何度も訪れたことがある。
 以前はここから少し離れた所に住んでいた私であっても、そこそこ田舎のこの場所で人々が集まる場所というのは、このショッピングモールなのだ。

 何気、引っ越してからここに来るのは初めて。
 しかも、お姉ちゃんと。
 お姉ちゃんのことは好き。すごく。
 だから結構楽しみ。

 期待に胸を膨らませながら、先程の堤防沿いを歩いて、他愛もないお話をしながら目的地へ向かう。

「お姉ちゃんは夏祭り。なにしたいの?」

 ふと気になって、さっきのことについて問うてみる。

「私? 私はね、えっとね。……てんちゃんと一緒にいれたらそれで充分なんだけど。えっと、たわむれとか」

 ……戯れか。
 それって、いつも家でやってるハグとかのことかな。
 前みたいな乳繰り合い?
 どっちにしろそれは、

「それ、家でもできる気が……」
「風情の問題。家で、イチャイチャをするか、花火とかがどーんどーんって響いてる時に、イチャイチャをするか。どっちがいいかなんて明白」

 ふむふむ。
 イチャイチャって言い方はちょっと抵抗感があるけど、たしかに後者の方がロマンチック度は増すかも。
 私たちがかき氷を食べながら、ベンチに座って肩を寄せ合いながら、花火を眺めてる光景が簡単に目に浮かぶ。
 そして、色とりどりに輝く花火に惹かれるお姉ちゃんの姿を見て、私自身はお姉ちゃんに惹かれるという。
 しまいには、私がお姉ちゃんへ──。
 ──って、だめだめ。妄想しすぎ。

 なんか最近、お姉ちゃんと仲直りしたからって浮かれ過ぎな気がする。
 夏休みという相乗効果によって、こんなことを考えてしまっているのかもしれないけど。

 まぁともかく。
 これはなんとも、なるほどという感じで。

「素晴らしい」
「でしょ。楽しみだね。晴れるといいけど……」
「うん。晴れるよ。きっと」


※※※※※※


 だべっていたら、いつの間にかモールに着いていた。
 お姉ちゃんと話す時間は楽しい。
 だから、こんな暑い外を歩いている時間も一瞬で終わってしまう。

 改修工事をしたらしいこのモールを、でっかくなったなーって思いながらお姉ちゃんに連れられるまま歩く。
 数分歩き続け、やっと立ち止まったと思えば、こんな場所に連れてこられていた。

「えっと。ここは服屋? お姉ちゃん、なにか買いたい服でもあるの?」

 この店はピンクピンクな感じで、女性専門の服屋さんなのかな。
 若い子が沢山いる。
 夏休み初日なのにこんなところに遊びに来るだなんて、最近の子供は浮かれてるなー。
 ……うん。

「私が、てんちゃんに似合う服を選んであげる」
「おぉ。それは嬉しいねー」

 お姉ちゃんが服を選んでくれるのか。
 と、意外な発言になんかびっくりする。
 それでもわくわく。

 お姉ちゃんの服選びのセンスはいいと思う。
 今着ている服だって、八尺様だけどめっちゃ可愛いし。
 いや、お姉ちゃんが可愛いからなんでも似合うだけ?

 ともかく、どんな服を選んでくれるのか楽しみだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2,695

助けた黒猫は僕の運命の相手でした。

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:61

或る『  』の手記

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

ウソカマコトカ2

19
BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

悪辣同士お似合いでしょう?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,568

白い結婚で慰謝料請求された!?不貞を働いたのは貴方でしょう?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:469

漢文訓読のリズムで口ずさむ下ネタ

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:0

処理中です...