66 / 86
義姉妹の夏休み
ふくえらび
しおりを挟む
お姉ちゃんが服を選んでくれる。
それだけで、今日は外に遊びに行って良かったと、家に帰ったら思えるのだろう。
これから毎日、お姉ちゃんと遊ばないと満たされない気がするけど、夏休みというのはなんとも不条理なもので、宿題という過酷な試練が私達を待ち構えているのだ。
今日遊んだ分、明日は宿題しないとなーなんて余り楽しくないことを考えてしまう。
「てんちゃんはどんな服が好み?」
「なんでもー。というか、お姉ちゃんが選んでくれるならなんでもいいよ」
正直に答える。
けど、これはどっちの経費を使用するのだろう。
そりゃあ私だとは思うけど、あんまり高い服を選ばれても私お金はあんまないし……。
本当にお小遣い貰っとけば良かったな。
まぁ、お母さんも夏休み初日、私が遊びに行くとは思わないだろうしなー。
「……お金あんま無いからほどほどにお願い致します」
「……別に、私が出してもいいけど?」
「もしかして、お姉ちゃんお金持ち?」
そういえば、家にあるゲーム機類も自分で買ってるとか言ってた気がする。
「いや、大量のお年玉。……前々から貯金してたし、ばあちゃん家って金持ちだからいっぱいくれるの」
「へー、意外。おばあちゃん家とか行くんだ」
「小学校の時だけど。……去年の年末年始は父さん一人で行ってた」
それ、おばあちゃん悲しみそう。
って、険悪ムードにしたくないため口に出さずに思う。
にしても、その言い方だと本当に沢山お金を持っていそうだ。
おばあちゃんの好意でお姉ちゃんに与えたお金を、私が使っていいのか少し疑問符が浮かぶけど……お姉ちゃんのおばあちゃんは私のおばあちゃんでもある。
だからいいだろう。
そういう感じに都合のいいように納得する。
「そうなんだ。……まぁ! お言葉に甘えまくってお金はお姉ちゃん! よろしく!」
「う、うん。じゃあ、服えらぼ」
※※※※※※
「ほら。てんちゃん、これとかどう?」
「うーむ」
お姉ちゃんが最初に提示してきた服は、キャラクターが描かれた服だった。
……シナ◯ロール。
可愛いんだけどね。どこか子供っぽい。
私はもう十三歳。立派な……子供かも。
「お気に召さなかった? だって、てんちゃん、トークアプリのアイコン、マイメロじゃん」
「そうだけども。……着る服がマイメロっていうのも恥ずかしいじゃん」
「んー。……じゃあ、次これ!」
買い物かごに色々詰め込んだお姉ちゃんが、また服を取り出す。
えっと。次の服は。
何というか、すごいメルヘンな服だ。
ひらひらがついていて、ピンク色で。
……お人形さんみたいな服だ。
というかこの店、子供っぽいのが多い。
「お姉ちゃん。お姉ちゃんは、私に何を求めているの?」
「……とりあえず、着てみて。これ」
……もしや。
私は着せ替え人形なのか。
りかちゃんなのか。私はりかちゃんなのか。
服選びという体で、私を着せ替えしたいだけじゃないのか。
「……うん。いいよ」
だけど。
好奇心の方が勝った。
【あとがき】
何気に初あとがきです。
なぜマイメロが伏字をしていなくて、シナ◯ロールが伏字をしているのかについてはスルーしましょう。はい
いつも読んでくださりありがとうございます!
それだけで、今日は外に遊びに行って良かったと、家に帰ったら思えるのだろう。
これから毎日、お姉ちゃんと遊ばないと満たされない気がするけど、夏休みというのはなんとも不条理なもので、宿題という過酷な試練が私達を待ち構えているのだ。
今日遊んだ分、明日は宿題しないとなーなんて余り楽しくないことを考えてしまう。
「てんちゃんはどんな服が好み?」
「なんでもー。というか、お姉ちゃんが選んでくれるならなんでもいいよ」
正直に答える。
けど、これはどっちの経費を使用するのだろう。
そりゃあ私だとは思うけど、あんまり高い服を選ばれても私お金はあんまないし……。
本当にお小遣い貰っとけば良かったな。
まぁ、お母さんも夏休み初日、私が遊びに行くとは思わないだろうしなー。
「……お金あんま無いからほどほどにお願い致します」
「……別に、私が出してもいいけど?」
「もしかして、お姉ちゃんお金持ち?」
そういえば、家にあるゲーム機類も自分で買ってるとか言ってた気がする。
「いや、大量のお年玉。……前々から貯金してたし、ばあちゃん家って金持ちだからいっぱいくれるの」
「へー、意外。おばあちゃん家とか行くんだ」
「小学校の時だけど。……去年の年末年始は父さん一人で行ってた」
それ、おばあちゃん悲しみそう。
って、険悪ムードにしたくないため口に出さずに思う。
にしても、その言い方だと本当に沢山お金を持っていそうだ。
おばあちゃんの好意でお姉ちゃんに与えたお金を、私が使っていいのか少し疑問符が浮かぶけど……お姉ちゃんのおばあちゃんは私のおばあちゃんでもある。
だからいいだろう。
そういう感じに都合のいいように納得する。
「そうなんだ。……まぁ! お言葉に甘えまくってお金はお姉ちゃん! よろしく!」
「う、うん。じゃあ、服えらぼ」
※※※※※※
「ほら。てんちゃん、これとかどう?」
「うーむ」
お姉ちゃんが最初に提示してきた服は、キャラクターが描かれた服だった。
……シナ◯ロール。
可愛いんだけどね。どこか子供っぽい。
私はもう十三歳。立派な……子供かも。
「お気に召さなかった? だって、てんちゃん、トークアプリのアイコン、マイメロじゃん」
「そうだけども。……着る服がマイメロっていうのも恥ずかしいじゃん」
「んー。……じゃあ、次これ!」
買い物かごに色々詰め込んだお姉ちゃんが、また服を取り出す。
えっと。次の服は。
何というか、すごいメルヘンな服だ。
ひらひらがついていて、ピンク色で。
……お人形さんみたいな服だ。
というかこの店、子供っぽいのが多い。
「お姉ちゃん。お姉ちゃんは、私に何を求めているの?」
「……とりあえず、着てみて。これ」
……もしや。
私は着せ替え人形なのか。
りかちゃんなのか。私はりかちゃんなのか。
服選びという体で、私を着せ替えしたいだけじゃないのか。
「……うん。いいよ」
だけど。
好奇心の方が勝った。
【あとがき】
何気に初あとがきです。
なぜマイメロが伏字をしていなくて、シナ◯ロールが伏字をしているのかについてはスルーしましょう。はい
いつも読んでくださりありがとうございます!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる