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第4章 西南戦争の勃発
第10話
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「それをきちんと考えていませんでした、準備を怠っていました、で済む問題か」
荒井郁之介局長の怒声が、海兵局内に響いていた。
荒井局長は、海兵局内では温厚な人柄で通っている。
(幕末から今まで、海軍省内で海兵隊を護るために荒井局長がいろいろ苦労してきたのが最大の要因だが)
だから、海兵局員の中には、荒井局長の怒声を初めて聞く者までいる始末だった。
だが、荒井局長が怒るのもある意味、当然だった。
海兵隊が、この戦争で、すぐにまともには戦えないことが、(少なくとも海兵局内では)完全に明らかになってしまったのだ。
2月10日、陸軍省からの海兵隊の作戦計画に対する回答を見て、海兵局内では、やはり陸軍は海兵隊に対する警戒心が解けていない、陸軍は海兵隊を補完戦力としか扱うつもりがないということが明らかになったな、という受け止めが、半ば公然と行われていた。
まあ、その程度は予想のうち、いざとなったら海兵隊独自で独断専行させてもらえばいいという考えが、(荒井局長を含む)海兵隊の多くの幹部の中では一時よぎっていた程だった。
しかし、2月11日(本当は10日にもできたらしいが、担当者が余りの内容にもう一度確認したうえで、と連絡をためらった)、海兵局の補給担当者が恐る恐る行った、海兵隊が制式採用しているシャスポー銃の銃弾補給に対する連絡が、海兵隊の多くの幹部の思惑を、一度に吹き飛ばすことになっていた。
「海兵隊の現在のシャスポー銃の銃弾の備蓄と生産状況について、もう一度、詳しく話せ」
荒井局長は、余りの内容に自分の気を落ち着けつつ、補給の担当の責任者に、再度の説明を求めた。
「現在、海兵隊が制式採用しているシャスポー銃の備蓄は、約30万発しかありません。
なお、日本国内で日産可能な銃弾の数ですが、現在は横須賀造船所で、シャスポー銃の銃弾等の製造は行われていますが、現在可能な日産の銃弾数は5000発で、工員を増員する等の方法により昼夜兼行での増産体制を整えたとしても日産1万発が限界とのことです」
補給の担当の責任者は、荒井局長が怒りの余りに発する圧迫感に耐えつつ答えた。
「どうしてこうなった」
荒井局長は詰問口調で、補給の担当の責任者に更に糺した。
「海兵隊は、編成当初は常設2個中隊、戦時4個中隊ということで構想されており、横須賀造船所内の銃弾製造設備もそれを想定して施設を造りました。
つまり、最大でも1000人程度にしか海兵隊員は存在しない。
だから、日産1万発が上限で充分と考えられていたのです。
何しろ、あの頃は屯田兵が海兵隊所属になるとは考えられておらず、屯田兵の銃弾については、陸軍の方で対処するだろう、と考えられていたのです」
「ところが、屯田兵中隊を組み込むことで、海兵隊の規模は戦時には急激に増大することになった。
それなのに、シャスポー銃の銃弾製造の方は、そのままになっていたということか。
だから、銃弾の製造が戦時には追い付かなくなったということか」
海兵旅団長として出征予定の大鳥圭介が、(荒井局長の気を落ち着けるためもあるのだろうが)口をはさんだ。
「そのとおりです。
このままでは海兵隊の主装備であるシャスポー銃が、いざ実際の戦場という場において、全面的な銃弾不足に陥る可能性があります」
補給担当の責任者は答えた。
「厄介なことになったな」
荒井局長は頭を抱え込んだ。
海兵隊の主装備であるシャスポー銃は、陸軍が主装備とするスナイドル銃と比して、勝るとも劣らない小銃であるとして、(公式には)海兵隊は制式採用していた。
だが、戦時に極めて重要な問題となる銃弾の補給という点に関して、重大な問題があることが発覚したのだ。
荒井郁之介局長の怒声が、海兵局内に響いていた。
荒井局長は、海兵局内では温厚な人柄で通っている。
(幕末から今まで、海軍省内で海兵隊を護るために荒井局長がいろいろ苦労してきたのが最大の要因だが)
だから、海兵局員の中には、荒井局長の怒声を初めて聞く者までいる始末だった。
だが、荒井局長が怒るのもある意味、当然だった。
海兵隊が、この戦争で、すぐにまともには戦えないことが、(少なくとも海兵局内では)完全に明らかになってしまったのだ。
2月10日、陸軍省からの海兵隊の作戦計画に対する回答を見て、海兵局内では、やはり陸軍は海兵隊に対する警戒心が解けていない、陸軍は海兵隊を補完戦力としか扱うつもりがないということが明らかになったな、という受け止めが、半ば公然と行われていた。
まあ、その程度は予想のうち、いざとなったら海兵隊独自で独断専行させてもらえばいいという考えが、(荒井局長を含む)海兵隊の多くの幹部の中では一時よぎっていた程だった。
しかし、2月11日(本当は10日にもできたらしいが、担当者が余りの内容にもう一度確認したうえで、と連絡をためらった)、海兵局の補給担当者が恐る恐る行った、海兵隊が制式採用しているシャスポー銃の銃弾補給に対する連絡が、海兵隊の多くの幹部の思惑を、一度に吹き飛ばすことになっていた。
「海兵隊の現在のシャスポー銃の銃弾の備蓄と生産状況について、もう一度、詳しく話せ」
荒井局長は、余りの内容に自分の気を落ち着けつつ、補給の担当の責任者に、再度の説明を求めた。
「現在、海兵隊が制式採用しているシャスポー銃の備蓄は、約30万発しかありません。
なお、日本国内で日産可能な銃弾の数ですが、現在は横須賀造船所で、シャスポー銃の銃弾等の製造は行われていますが、現在可能な日産の銃弾数は5000発で、工員を増員する等の方法により昼夜兼行での増産体制を整えたとしても日産1万発が限界とのことです」
補給の担当の責任者は、荒井局長が怒りの余りに発する圧迫感に耐えつつ答えた。
「どうしてこうなった」
荒井局長は詰問口調で、補給の担当の責任者に更に糺した。
「海兵隊は、編成当初は常設2個中隊、戦時4個中隊ということで構想されており、横須賀造船所内の銃弾製造設備もそれを想定して施設を造りました。
つまり、最大でも1000人程度にしか海兵隊員は存在しない。
だから、日産1万発が上限で充分と考えられていたのです。
何しろ、あの頃は屯田兵が海兵隊所属になるとは考えられておらず、屯田兵の銃弾については、陸軍の方で対処するだろう、と考えられていたのです」
「ところが、屯田兵中隊を組み込むことで、海兵隊の規模は戦時には急激に増大することになった。
それなのに、シャスポー銃の銃弾製造の方は、そのままになっていたということか。
だから、銃弾の製造が戦時には追い付かなくなったということか」
海兵旅団長として出征予定の大鳥圭介が、(荒井局長の気を落ち着けるためもあるのだろうが)口をはさんだ。
「そのとおりです。
このままでは海兵隊の主装備であるシャスポー銃が、いざ実際の戦場という場において、全面的な銃弾不足に陥る可能性があります」
補給担当の責任者は答えた。
「厄介なことになったな」
荒井局長は頭を抱え込んだ。
海兵隊の主装備であるシャスポー銃は、陸軍が主装備とするスナイドル銃と比して、勝るとも劣らない小銃であるとして、(公式には)海兵隊は制式採用していた。
だが、戦時に極めて重要な問題となる銃弾の補給という点に関して、重大な問題があることが発覚したのだ。
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