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第7章 背面軍の奮闘と熊本城完全解囲
第8話
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少なからず時が戻る。
「全く海兵局は、現場に無理を押しつける」
田原坂正面の突破が成って暫く後、林忠崇大尉は思わず口に出してぼやいていた。
「幾ら何でも、限度というものがあるだろうに」
林大尉がぼやくのも無理はなかった。
第1海兵大隊長の古屋佐久左衛門少佐戦死に伴い、林大尉は第3海兵大隊副大隊長から、第1海兵大隊副大隊長に異動を命ぜられた。
とはいえ、古屋少佐の後任の第1海兵大隊隊長は、海兵旅団長の大鳥圭介大佐が兼務ということになっていて、しかも、大鳥大佐は第1海兵大隊が現在いる田原坂にはおらず、海兵旅団全般を統括するために長崎にいる。
そのため、第3海兵大隊長の土方歳三少佐が、林大尉に転勤前に言ったように、第1海兵大隊の全てのことが、林大尉の双肩に事実上かかることになった。
その任務の多忙さだが、第1海兵大隊副大隊長に、林大尉が着任してから7日経つが、その間の林大尉の睡眠時間は、単に横になっていた時間まで含めても、30時間に満たない有様だった。
余りの多忙さから、林大尉の目が半分爛々と煌めいている、と部下が噂しているのを小耳に挟み、このままいくと自分は過労で死ぬのではないか、と林大尉自身が疑う有様になっていた。
実際、林大尉に課せられた任務は、多忙を極めるものだった。
3月20日に、第1海兵大隊副大隊長への転勤の辞令を受け、その日の内に林大尉は第1海兵大隊に着任したものの、林大尉には難題が山積していた。
まず第1に、第1海兵大隊が、田原坂突破までに累積した損害は、第3海兵大隊に勝るとも劣らぬもので、全体の4割近くが死傷していた。
そのため、至急、兵を補充する必要があった。
また、中隊長も屯田兵中隊の中隊長が1名亡くなっており、残りの3名のうち2名が軽傷を負っていた。
しかし、それでさえまだ幸運だった、と林大尉自身が、内心で喜ぶ有様だった。
それ以下の小隊長、分隊長の死傷率は目を覆う有様だったのだ。
とりあえず、分隊内の生き残りから分隊長を選考し、また、小隊内の生き残りから小隊長を選考し(ちなみに亡くなった中隊長は林大尉自身が兼務することにした)、というやり方で、林大尉は何とか分隊長、小隊長を補充した。
更に消耗した武器弾薬等の補給といった問題もあるのだ。
それらを懸命に林大尉はこなしていった。
それでも救いはあると、林大尉は前向きに考えることで、様々な問題に対処しようとしていた。
まず第一に、これだけ損耗したにも関わらず、第1海兵大隊所属の将兵の士気が未だに高いことと、更に第1海兵大隊の部下達が、新任の自分を信頼して着いてきてくれていることだった。
古屋少佐の指導の賜物であると同時に、(林大尉には自覚は全くないが)林大尉の歴戦の経験が、第1海兵大隊の将兵の士気の高さと林大尉への信頼を生み出していた。
そういう意味からすると、土方歳三少佐が、林大尉を本多忠勝の生まれ変わり、と褒めたことも、効果があったのかもしれない。
海兵隊の将兵の多くが、元をたどれば元幕臣、徳川家の家臣だった。
神君家康公の家臣、四天王の中でも最強と謳われたのが本多忠勝公であることは、彼らにとり自明の理であった。
しかも、林大尉は無傷のまま、あの横平山の激戦を最前線で切り抜けたのだ。
本当に林大尉は、本多忠勝公の生まれ変わりではないか、という彼らの思いが、林大尉への将兵の信頼の源の一つになっていた。
そういったこともあり、何とか3月30日には、林大尉は過労で倒れる寸前だったが、第1海兵大隊の再編制は完了し、前線投入が可能になった。
同日、第3海兵大隊の再編制も土方少佐の下で完了した。
彼らは植木方面の激戦に投入されることになった。
「全く海兵局は、現場に無理を押しつける」
田原坂正面の突破が成って暫く後、林忠崇大尉は思わず口に出してぼやいていた。
「幾ら何でも、限度というものがあるだろうに」
林大尉がぼやくのも無理はなかった。
第1海兵大隊長の古屋佐久左衛門少佐戦死に伴い、林大尉は第3海兵大隊副大隊長から、第1海兵大隊副大隊長に異動を命ぜられた。
とはいえ、古屋少佐の後任の第1海兵大隊隊長は、海兵旅団長の大鳥圭介大佐が兼務ということになっていて、しかも、大鳥大佐は第1海兵大隊が現在いる田原坂にはおらず、海兵旅団全般を統括するために長崎にいる。
そのため、第3海兵大隊長の土方歳三少佐が、林大尉に転勤前に言ったように、第1海兵大隊の全てのことが、林大尉の双肩に事実上かかることになった。
その任務の多忙さだが、第1海兵大隊副大隊長に、林大尉が着任してから7日経つが、その間の林大尉の睡眠時間は、単に横になっていた時間まで含めても、30時間に満たない有様だった。
余りの多忙さから、林大尉の目が半分爛々と煌めいている、と部下が噂しているのを小耳に挟み、このままいくと自分は過労で死ぬのではないか、と林大尉自身が疑う有様になっていた。
実際、林大尉に課せられた任務は、多忙を極めるものだった。
3月20日に、第1海兵大隊副大隊長への転勤の辞令を受け、その日の内に林大尉は第1海兵大隊に着任したものの、林大尉には難題が山積していた。
まず第1に、第1海兵大隊が、田原坂突破までに累積した損害は、第3海兵大隊に勝るとも劣らぬもので、全体の4割近くが死傷していた。
そのため、至急、兵を補充する必要があった。
また、中隊長も屯田兵中隊の中隊長が1名亡くなっており、残りの3名のうち2名が軽傷を負っていた。
しかし、それでさえまだ幸運だった、と林大尉自身が、内心で喜ぶ有様だった。
それ以下の小隊長、分隊長の死傷率は目を覆う有様だったのだ。
とりあえず、分隊内の生き残りから分隊長を選考し、また、小隊内の生き残りから小隊長を選考し(ちなみに亡くなった中隊長は林大尉自身が兼務することにした)、というやり方で、林大尉は何とか分隊長、小隊長を補充した。
更に消耗した武器弾薬等の補給といった問題もあるのだ。
それらを懸命に林大尉はこなしていった。
それでも救いはあると、林大尉は前向きに考えることで、様々な問題に対処しようとしていた。
まず第一に、これだけ損耗したにも関わらず、第1海兵大隊所属の将兵の士気が未だに高いことと、更に第1海兵大隊の部下達が、新任の自分を信頼して着いてきてくれていることだった。
古屋少佐の指導の賜物であると同時に、(林大尉には自覚は全くないが)林大尉の歴戦の経験が、第1海兵大隊の将兵の士気の高さと林大尉への信頼を生み出していた。
そういう意味からすると、土方歳三少佐が、林大尉を本多忠勝の生まれ変わり、と褒めたことも、効果があったのかもしれない。
海兵隊の将兵の多くが、元をたどれば元幕臣、徳川家の家臣だった。
神君家康公の家臣、四天王の中でも最強と謳われたのが本多忠勝公であることは、彼らにとり自明の理であった。
しかも、林大尉は無傷のまま、あの横平山の激戦を最前線で切り抜けたのだ。
本当に林大尉は、本多忠勝公の生まれ変わりではないか、という彼らの思いが、林大尉への将兵の信頼の源の一つになっていた。
そういったこともあり、何とか3月30日には、林大尉は過労で倒れる寸前だったが、第1海兵大隊の再編制は完了し、前線投入が可能になった。
同日、第3海兵大隊の再編制も土方少佐の下で完了した。
彼らは植木方面の激戦に投入されることになった。
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