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第9章 鹿児島上陸作戦と鹿児島占領
第11話
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海兵隊の鹿児島での駐屯の日々が始まった。
住民からの敵意はあるものの、海兵隊員としては、戦闘からしばし離れた安息の日々と言えた。
こうなると兵たちには手紙を書く余裕等も出てくるし、故郷からの贈り物も届くようになる。
土方歳三少佐に至っては、部下からの頼みもあり、愛刀の「和泉守兼定」を、屯田兵村にいる妻の琴に送ってもらう有様だった。
そして、ある荷物が、第1屯田兵村から届いたのは8月になってからだった。
「土方さんが妙なことを始めたぞ」
斎藤一が、永倉新八に言った。
「何だと」
「大鳥旅団長に肉や野菜を手に入れたいと言ったらしい。それも大量にだ」
「怪しいな」
「怪しいだろう。何か美味しい物を食べる気では」
「俺達も一緒に食べたいな」
こういう噂はあっという間に広まるものである。
林忠崇らの耳にも入った。
林も、この相伴にあずかろうと算段する有様になった。
「参ったな」
「参りましたね。1人分が少なくなってしまう」
「かといって、今更取りやめにもできないしな」
こういった噂が流れたことに、土方と部下の屯田兵達は頭を抱える羽目になった。
彼らが作ろうとしていたのは、故郷の料理だった。
米の取れない屯田兵村では、ジャガイモが主食の地位を占めていたのだ。
いつも単にゆでたり、ふかしたりしたイモを食べるというのは辛い。
そうなると、ジャガイモ料理をいろいろ工夫するようになる。
故郷での最近の人気料理は、肉や野菜を、ジャガイモと共に煮て食べることだった。
春まきの一番ジャガイモが採れたということで、父や夫に故郷の味を久しぶりに食べさせたいと村からジャガイモを大量に送ってきた。
それで、どうやって食べるという話になった。
折角だから、肉や野菜を豪勢に入れたあの料理にしようという話になり、土方たちは準備をしていたのだった。
幸か不幸か、ジャガイモは主食という意識が送ってきた村にあったので、それなりにはジャガイモがある。
「いっそのこと、おかずとして考えるか」
「えっ」
「ご飯と一緒に食べよう」
「何だか、そばをすすりながら、ご飯を食べるような気がしますが、仕方ないですね。
自分たちの中隊だけで食べたら、恨まれそうだ」
「食い物の恨みは怖いというから仕方ないな」
土方たちは、そんな会話をして、残念がった。
「これが土方少佐の故郷の料理ですか。旨いですね」
林はくつろぎながら食っていた。
「厚かましいという意識はないみたいだな」
土方は林を少し睨んで言った。
「厚かましいとは思いますが、兵にとって最大の娯楽は食事ですよ」
人陰に隠れてしまって、土方や林にはよく見えないが、永倉や斎藤、島田魁も、実は相伴に預かっている筈だ。
それを見て、林はあらためて言った。
「それに皆も旨そうに食っているではないですか。
海兵隊のおかずに正式にしませんか」
「俺たちにとっては、故郷の主食なんだが」
「そうなんですか。いや、それにしても旨い」
林は、土方の嫌味を気にせずに、ぱくぱくと食い続けた。
更に言えば、この料理は、犬養毅等の従軍記者もご相伴に預かることになり、その記者らが、新聞記事にもしたことから、日本各地に徐々に広まることにもなった。
なお、この時、土方らの料理で使われたのは、基本的に塩漬けの豚肉とありあわせの野菜であり、更に鹿児島ならではの砂糖も使われた醤油味の肉じゃがではないか、と当時の新聞記事から、後世の料理研究家に推測されている。
これが後に海兵隊の料理に正式採用されて、「肉じゃが」と名づけられて、更に色々と工夫が凝らされていくようになっていくのだが、それはまた後の話のことである。
また、土方歳三が「肉じゃが」を発明したという伝説も、更に後には流れることになる。
住民からの敵意はあるものの、海兵隊員としては、戦闘からしばし離れた安息の日々と言えた。
こうなると兵たちには手紙を書く余裕等も出てくるし、故郷からの贈り物も届くようになる。
土方歳三少佐に至っては、部下からの頼みもあり、愛刀の「和泉守兼定」を、屯田兵村にいる妻の琴に送ってもらう有様だった。
そして、ある荷物が、第1屯田兵村から届いたのは8月になってからだった。
「土方さんが妙なことを始めたぞ」
斎藤一が、永倉新八に言った。
「何だと」
「大鳥旅団長に肉や野菜を手に入れたいと言ったらしい。それも大量にだ」
「怪しいな」
「怪しいだろう。何か美味しい物を食べる気では」
「俺達も一緒に食べたいな」
こういう噂はあっという間に広まるものである。
林忠崇らの耳にも入った。
林も、この相伴にあずかろうと算段する有様になった。
「参ったな」
「参りましたね。1人分が少なくなってしまう」
「かといって、今更取りやめにもできないしな」
こういった噂が流れたことに、土方と部下の屯田兵達は頭を抱える羽目になった。
彼らが作ろうとしていたのは、故郷の料理だった。
米の取れない屯田兵村では、ジャガイモが主食の地位を占めていたのだ。
いつも単にゆでたり、ふかしたりしたイモを食べるというのは辛い。
そうなると、ジャガイモ料理をいろいろ工夫するようになる。
故郷での最近の人気料理は、肉や野菜を、ジャガイモと共に煮て食べることだった。
春まきの一番ジャガイモが採れたということで、父や夫に故郷の味を久しぶりに食べさせたいと村からジャガイモを大量に送ってきた。
それで、どうやって食べるという話になった。
折角だから、肉や野菜を豪勢に入れたあの料理にしようという話になり、土方たちは準備をしていたのだった。
幸か不幸か、ジャガイモは主食という意識が送ってきた村にあったので、それなりにはジャガイモがある。
「いっそのこと、おかずとして考えるか」
「えっ」
「ご飯と一緒に食べよう」
「何だか、そばをすすりながら、ご飯を食べるような気がしますが、仕方ないですね。
自分たちの中隊だけで食べたら、恨まれそうだ」
「食い物の恨みは怖いというから仕方ないな」
土方たちは、そんな会話をして、残念がった。
「これが土方少佐の故郷の料理ですか。旨いですね」
林はくつろぎながら食っていた。
「厚かましいという意識はないみたいだな」
土方は林を少し睨んで言った。
「厚かましいとは思いますが、兵にとって最大の娯楽は食事ですよ」
人陰に隠れてしまって、土方や林にはよく見えないが、永倉や斎藤、島田魁も、実は相伴に預かっている筈だ。
それを見て、林はあらためて言った。
「それに皆も旨そうに食っているではないですか。
海兵隊のおかずに正式にしませんか」
「俺たちにとっては、故郷の主食なんだが」
「そうなんですか。いや、それにしても旨い」
林は、土方の嫌味を気にせずに、ぱくぱくと食い続けた。
更に言えば、この料理は、犬養毅等の従軍記者もご相伴に預かることになり、その記者らが、新聞記事にもしたことから、日本各地に徐々に広まることにもなった。
なお、この時、土方らの料理で使われたのは、基本的に塩漬けの豚肉とありあわせの野菜であり、更に鹿児島ならではの砂糖も使われた醤油味の肉じゃがではないか、と当時の新聞記事から、後世の料理研究家に推測されている。
これが後に海兵隊の料理に正式採用されて、「肉じゃが」と名づけられて、更に色々と工夫が凝らされていくようになっていくのだが、それはまた後の話のことである。
また、土方歳三が「肉じゃが」を発明したという伝説も、更に後には流れることになる。
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