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懐かしの味
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「え?じゃああれですか!?!?ずっとマイペースに物語話してたのはリティアさんだったってことですかあわわわわわ」
リティアさんはくすくす笑いながら呆れたように
『もう!そうだって言ってるじゃない!とりあえず座って頂戴!』
と言い、わたしの背中をぐいぐい押して寝れるんじゃないかというくらい大きい2人がけ?のソファにわたしを座らせ、自分はその隣に腰掛けた。
そして
パチン
とリティアさんが指を鳴らすと、目の前のテーブルに好物のタピオカミルクティー、ポテトチップス、クッキーなどなど母が生きていた頃よく食べていた物が現れた。2人分。
食べ物自体を見るのがとても久しぶりだ。
ここ3ヶ月(リティアさんが言っているならそうなのだろう)なにも口に入れず、寝ず、過ごしてきたが、お腹が空くことも死ぬこともなかったし、体力という概念そのものが消え失せているように疲れなかった。
『ささ!飲んで飲んで!』
促されたのでタピオカを飲んだ。
瞬間、すべての興奮が冷めた。
「あの、質問ばかりですいません。わたし、この変な世界に来てからお腹も空かないし、疲れないのでご飯食べる必要ってないと思うんですけど、なんでこんなに食べ物を出したんですか?」
リティアさんはにっこり笑った
『なんでってそれは、食事は娯楽だからよ!心の栄養よ!美味しいものを食べると幸せになれるでしょう?』
「なるほど、これはリティアさんにとっては美味しいものっていう認識なんですね?」
そんなことを言われるなんて思ってもいなかったようだ。リティアさんは戸惑いながら
『え、ええ。そうよ。りさにとっては違った?記憶の中から貴方の好きそうなものを選んだつもりなのだけれど。』
真顔になってしまった私にリティアさんが恐る恐る聞いてきた。
「違いませんよ。私が好きな食べ物です。」
リティアさんはほっとしたようだった
『ならなんで..』
「味がしません。さっきからどれも砂を食べているようです。」
リティアさんは目を見開き、私が飲んでいたタピオカを奪い取り慎重にゴクリと飲んだ。
『これ、味はしているわ。』
「なるほど、おかしいのは私の味覚なんですね。」
リティアさんがわざと用意したわけではないと分かりすこしほっとした。
リティアさんは涙目でおろおろしていた。多分私にどんな言葉をかけるべきか迷っているのだろう、優しい人だ。
そんなリティアさんには悪いけれど、わたしは味覚がなくてよかったと思っていた。
今日用意されたものはどれも、わたしが幸せだった時、家族みんなでよく食べていたものだからだ。
同じ味がしたら思い出してしまう。
今の私には綺麗すぎて耐えられない記憶だ。
「いいんですよ。これで。」
私は絞り出すように呟いた。
『そう....。』
リティアさんは寂しげに微笑んで私をギュッと抱きしめてきた。
その優しさは母のようで、涙がこみ上げた。
こんなに温かい気持ちになったのはいつぶりだろう。
リティアさんはくすくす笑いながら呆れたように
『もう!そうだって言ってるじゃない!とりあえず座って頂戴!』
と言い、わたしの背中をぐいぐい押して寝れるんじゃないかというくらい大きい2人がけ?のソファにわたしを座らせ、自分はその隣に腰掛けた。
そして
パチン
とリティアさんが指を鳴らすと、目の前のテーブルに好物のタピオカミルクティー、ポテトチップス、クッキーなどなど母が生きていた頃よく食べていた物が現れた。2人分。
食べ物自体を見るのがとても久しぶりだ。
ここ3ヶ月(リティアさんが言っているならそうなのだろう)なにも口に入れず、寝ず、過ごしてきたが、お腹が空くことも死ぬこともなかったし、体力という概念そのものが消え失せているように疲れなかった。
『ささ!飲んで飲んで!』
促されたのでタピオカを飲んだ。
瞬間、すべての興奮が冷めた。
「あの、質問ばかりですいません。わたし、この変な世界に来てからお腹も空かないし、疲れないのでご飯食べる必要ってないと思うんですけど、なんでこんなに食べ物を出したんですか?」
リティアさんはにっこり笑った
『なんでってそれは、食事は娯楽だからよ!心の栄養よ!美味しいものを食べると幸せになれるでしょう?』
「なるほど、これはリティアさんにとっては美味しいものっていう認識なんですね?」
そんなことを言われるなんて思ってもいなかったようだ。リティアさんは戸惑いながら
『え、ええ。そうよ。りさにとっては違った?記憶の中から貴方の好きそうなものを選んだつもりなのだけれど。』
真顔になってしまった私にリティアさんが恐る恐る聞いてきた。
「違いませんよ。私が好きな食べ物です。」
リティアさんはほっとしたようだった
『ならなんで..』
「味がしません。さっきからどれも砂を食べているようです。」
リティアさんは目を見開き、私が飲んでいたタピオカを奪い取り慎重にゴクリと飲んだ。
『これ、味はしているわ。』
「なるほど、おかしいのは私の味覚なんですね。」
リティアさんがわざと用意したわけではないと分かりすこしほっとした。
リティアさんは涙目でおろおろしていた。多分私にどんな言葉をかけるべきか迷っているのだろう、優しい人だ。
そんなリティアさんには悪いけれど、わたしは味覚がなくてよかったと思っていた。
今日用意されたものはどれも、わたしが幸せだった時、家族みんなでよく食べていたものだからだ。
同じ味がしたら思い出してしまう。
今の私には綺麗すぎて耐えられない記憶だ。
「いいんですよ。これで。」
私は絞り出すように呟いた。
『そう....。』
リティアさんは寂しげに微笑んで私をギュッと抱きしめてきた。
その優しさは母のようで、涙がこみ上げた。
こんなに温かい気持ちになったのはいつぶりだろう。
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