R18 硝子少女は夢を見る

可能性

『ねぇ、りさ。貴方には可能性があるのよ？私が貴方に物語を話していたのはすこしでも欲望を持って欲しかったからよ。貴方に欲望がすこしでもあれば、私は貴方を別の世界へ導けるわ。』

私は声が震えるのを我慢しながら

「どうせ幸せになれないのに？」

と尋ねた。

『そんなことはないわ！貴方が幸せになれなかったのは貴方のせいじゃないの、私たちの失態なのよ。本当にごめんなさい。』

「どういうことですか。私があんな思いをするのが、全て最初から決まってたってことですか、？」

そんな考えが浮かび堪えていた涙がぼろぼろと溢れ出す。

リティアは慌てて

『そんなことないわ！ごめんなさい言葉が足りなくて。お願い、私に最初から説明させて頂戴。』

彼女は話し始めた。事の発端とその結末を。
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世界はリティアの一族が管理していること。

弟の管轄している地球で新人がミスをし、死ぬ運命ではなかったりさの母が死んでしまったこと。

予定外の事故により母を中心に歯車が崩壊してしまったこと。

もともと母に異常な執着をしていた父は気が狂い娘を強姦、最終的に獄中で自殺。

りさは父親による性的虐待により自殺。

りさの祖母は葬式の時にりさに父の世話を頼んだこと、異変に気づくことができなかった事、そして極限状態のりさを1人にしてしまった事、すべてを後悔し死んで責任を取ると言い自殺した。

母を事故死させた地区担当の新人は処罰されもうこの世には存在しないらしい。

あまりの理不尽さにりさは涙が止まらなかった。今まで不幸な事が運命だと思っていた。
しかし、本当は幸せな未来を過ごせる予定だったと聞いて悔しくないものがいるだろうか。

何故自分だったのだろう、私の家族が苦しまねばならなかったのだろう。

気がつけば悲しみは怒りに変わっていた。

幸せになりたい。切実にそう思った。

お金持ちでなくていい、美女でなくていい、何か特別な才能がなくてもいい。




ただ、人並みの幸せをつかみたいだけなのに。

そう思った瞬間リティアさんが目を輝かせた


『りさ、必ず幸せは掴めるわ！貴方の努力次第でどんな幸せでも！』

「でも、でも、また手違いが起こるかもしれないじゃない。」

リティアはにっこり笑った。

『りさには今回の件のお詫びとして、転生先の容姿、能力を選べるオプションが与えられているわ。それに、わたしの世界に来てもらうことになるけれど、私の幸運の加護をあげるから心配はいらないわよ！』

疲れた心にはとんでもなく甘く夢のような話だった。

この可能性を信じてみてもいいのだろうか。

わたしが幸せになれる可能性を。