R18 硝子少女は夢を見る

きゃっさば

文字の大きさ
10 / 20

注意事項

しおりを挟む
こんなにも自分に有利な条件を提示されれば誰だって心が揺らぐだろう。

詐欺を疑うレベルだ。

でも、

「何事もやってみなければわからない」

これは母の口癖だった。

(そうね母さん。ここまで言ってくれてるんだもの。私、頑張ってみようと思う。)

「あの、リティアさん。転生するときに加護をもらえると言っていたじゃないですか。その加護というのは人生を幸せになるようにコントロールされるってことですか?」

とりあえず1番気になっていたことを聞いてみる。一般的に幸せと言われる人生でも、自分の意思で動けないのならそれはまた私の思う幸せとは違うと思った。

リティアさんは今日1番の笑顔を浮かべて

『そう聞いてくれるってことは転生してもいいかもって思ってくれたってことよね。嬉しいわ。

あ、そうそう、私の加護の話よね。

うーん、簡単に言っちゃうととってもラッキーって感じかしら。』

思ってたよりアバウトな説明に目が点になった笑

『例えば、山で熊に襲われました!死にそうって時に必ず騎士様が助けに来てくれるみたいな感じよ!』

ドヤ顔のリティアさん可愛い。

「なるほど、必ず来てくれるなら安心ですね!!!」

『あ、でも気をつけてね、必ず助けてもらえるけれど、日頃の行いによってラッキー具合は変わってくるの!』

「どのくらい差があるんですか?」

『命が関わる場合はかなり大きな差になることが多いわよ。

さっきの熊の例で言うなら、1番良い場合は五体満足で助けられることね。

悪い場合は死んではいないけど両手両足を失ったり、顔に大きな傷をおったり、助けてくれた騎士様に襲われたりって感じかしら。』

襲われるという言葉で過去を思い出し顔から血の気がひいた。

「ヒェ、、、恐ろしいですね。加護があるからといって、安心はできないんですね。」

『まぁしょうがないわよ~、あんまり私が干渉しすぎると世界のパワーバランスが崩れちゃうのよね~。』

「それもなにか前例があるんですか?」

『あるわよ。これは200年くらい前の話なんだけれどね、りさと同じようなパターンで転生した子がいたのよ。私がこの世界を作ってすぐであんまり考えずに強すぎる加護を渡してしまったの。』

「人1人が幸運なだけで何が変わるんですか?」

本人と家族くらいは恩恵を得られそうなものだが、正直そこまで変わるとは思えない。

『その子は日本でサムライ?とかいう職をやっていたらしくて、特殊スキル...まぁ簡単に言っちゃうと剣技が死ぬほど強くなって、常人の7倍の力が出せるようになる能力と加護をあげたのよ。

その子の希望で平民として転生させたのだけれど、凄まじい幸運と強さを持つ者がいるとその国で話題になってしまって。。

王様に呼び出されて、人が良かったから騙されてしまったのよ。

理由をつけて剣を取り上げられてしまい、睡眠薬入りのご馳走を食べさせられ、その子が寝ているうちに強制的に隷属契約を結んだのよ。本当にドクズよね。』

「それで、その人はどうなったんですか...」

考えるのも恐ろしくて声が震えた。

『隷属契約には王への絶対服従、自殺の禁止が含まれていたわ。

尊厳を守るために自殺も許されず、ただひたすら戦争の駒として使われていたわ。彼、加護のせいで絶対に死ななかったし。

彼の加護と力が強すぎて、戦争では死ななくて良かったはずの人がたくさん死んだわ。

その事実は彼自身をも強く傷つけたわ。

お詫びのためにこの世界に呼んだのに逆に不幸にする結果になってしまって、これは私たちの中で大きな問題になったの。』

「私がそうなってしまう可能性はあるんですか..?」

恐る恐る聞くと、リティアは今までの深刻そうな顔を一転させて

『今の時代は大丈夫だと思うわ!

大きな戦争が終わってからはかなり平和になったのよ!

それに、

隷属魔法を使った国を私たちが直々に出向いて全滅させてからは加護を持った人間を粗末に扱うと不幸が降りかかるって有名だし、隷属魔法とか人を操ったり、意思を束縛したりする魔法は全部取り上げてしまったから。』

リティアさんたちのあまりの力の大きさに絶句する。

自信満々に幸せになれると言っているのも頷ける気がする。

『あ、話を戻すけれど、加護があるからって慢心してはダメよ。行動は巡り巡って自分に帰ってくるということをどうか忘れないで。』


今までで1番真剣な顔をしていた。
この言葉を絶対に忘れないようにしよう。と強く決心した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...