R18 硝子少女は夢を見る

きゃっさば

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パチリ

と目が覚めた。

泣き疲れた時に感じていた頭痛はおさまっていて、頭も体もスッキリしている。

「うぅーん」

思い切り伸びをする。
背骨がポキポキ鳴って気持ちいい。

立ち上がって周りを見ても誰もいない。

「あれ?リティアさんどこいったんだろ。」

とりあえずさっきご飯を食べたソファまで戻る。

「あれ?机の上になんか置いてある。」

封筒とファミレスで見るようなボタンが置いてあった。どっちも水色だ。

封筒は中にお手紙が入っていた。

(りさへ。目が覚めたらこのボタンを押してください。すぐに行きます。)

「ほぇー。すごい美女をこれで呼べるなんてすごいわぁ。」

感心しつつボタンを押す。

すると、ボタンがパァーっと光った。

「うわ!まぶしっ」

目を開けていられなくてギュッと目を瞑る。

5秒くらい経つとぽんっと右肩を叩かれた。

『りさ、リティアです。目を開けてく頂戴。』

聞き覚えのある綺麗な声が耳元で聞こえた。まだ光っていると怖いので少しずつ目を開けると

「うわぁ!なにここ!?めちゃくちゃ綺麗!!!!」

目の前にはエメラルドグリーンの海と、青い空、白い統一感のある街並みが広がっていた。

「リティアさん!ここはどこですか!?!?」

興奮しているのが伝わったのだろう、クスクス笑われてしまった。

『ここはね、ペルーガという国。貿易が盛んな国なの。急だけれどこれからあなたが転生する時産まれる場所を選んでもらうわ!!これは候補地の一つよ。』

「素敵.....!!」

『候補地は全部で三つあるわ!どの国もここと同じくらい素敵なところよ。』

「それは慎重に決めないともったいないですね。」

『そうよ~!じゃあペルーガの説明にいくわね。ここはさっきも言ったけど貿易がすごく盛んな国なの。世界中の食べ物がここに集まるって言われているわ。』

リティアさんの言葉とともに周りの風景が切り替わる。

色とりどりのフルーツ?野菜のようなものや、見たこともない魚。

市場で売られているようだ。人口密度がすごい。

また映像が切り替わる。

白い家がたくさん並んでいる。

『ここは住宅街よ。

どの家も白いから驚いたでしょ?

ここの海ではとっても大きな白い貝が取れるの。

地球で言うと、車くらいの大きさね。

海の深さが地球とは違うからたくさん取れるのよ。

中の身は食糧に、外側の殻は細かく砕いて家の材料になるのよ!』

「なるほど!!家の形が地球とは違ってぐねぐねしてて面白いです。」

『貝殻をモチーフに家が作られているからだと思うわ!

白い家は朝昼晩と色づく色が空によって変わるからとっても綺麗なのよ。

その風景を見るためだけに訪れる観光客がたくさんいるわ』

「ふぇーとっても素敵です!!」

色が変わる様子を見て思わず声が出る。

この世界の太陽は地球の太陽とは違うようで、赤と青の太陽が2つ並んでいた。

朝日や夕陽では光が合わさりグラデーションのようになり、町並みがありえないほど綺麗だ。

春夏秋冬と、気温などの影響でグラデーションの濃淡が変わっていくそうだ。

夢のような光景。

こんな綺麗な場所でプロポーズされたらきっとOKしてしまうだろう。

『魅力が伝わって良かったわ!じゃあ次の国行くわね!』

「はい!」

次に映し出されたのは、またなんとも不思議で綺麗な場所だった。

「街全体がキラキラ光ってる...?」

『そうなの!ここはナナシャという国で国全体が地下にあるのよ!』

「地下に!?でもなんでこんなに明るいんですか??」

リティアはニンマリ笑った

『それはこの国の特産品に秘密があるの!

この国では魔法石が豊富に取れるのよ!

あ、魔法石というのは、宝石の中に言葉通り魔法の力が入ってるもののことを言うの。

魔法の力を発動させるには使う人の魔力が必要なのだけれどとっても便利な物よ』

魔法や魔力、知らないことがたくさんあってとっても面白い。今からワクワクが止まらない!!


『魔法石は中に入っている魔法の能力によってランク分けされるわ!

Aランクの石は空間転移の魔法

Bランクの石は治癒の魔法

Cランクの石は収納の魔法

Dランクの石は火、風、水など日用的に使える魔法

Eランクの石が光をつける魔法

A、B、Cランクの魔法石は稀にしか見つからない貴重な物なの。

D、Eランクは大量に出回っているわ。

このEランクの魔法石は比較的安価で大量に売られているので、それを埋め込んだ家を作るのが昔からの伝統になっている国なの。

だから地下でも昼のようにキラキラと輝いているのよ。』

地上にいるのかと思うくらい広大な地下。

天井の中心にはとても大きな黄色い魔法石がはめ込まれていて、それが太陽のように地下を照らしていた。

黒い正方形を自由に組み立てたような見た目の家々にカラフルな魔法石が埋め込まれている光景はとても幻想的で、宝箱を眺めている気分だった。

『次が最後よ!』

また光景が変わる。今度は..

「砂漠の国...?」

『そう!ここはハラルという国よ。

ここは世界で1番歴史が古い国。

香辛料などの文化がとても発達していて、香水やアロマオイルなんかを作った最初の場所ね。

りさ、これを見て』

パッと砂漠から景色が変わり、今度は緑あふれる豊かな大地や青の色が濃い湖などが映し出される。

「わぁーーーー!」

何より驚きだったのは動物がたくさんいたことだ。

砂漠によくいるイメージがあるラクダはもちろん、牛や馬、ライオンやトラによく似ているが、地球の個体よりカラフルな動物がたくさんいた。

『この動物たちはすべて契約を結んでいるわ。』

「契約ってなんですか?」

『簡単に言うと、家族になるの。

ここの国では18歳になった時、自分の動物を召喚する儀式を行うことが伝統になっているの。

人間が動物を選ぶのではなく、動物が人間を選ぶのよ。

とっても賢い子たちなの。

その子たちは契約主が困ったときに必ず力を貸してくれるわ。

だからこの国では動物が大切にされてるってわけ。』

地球には絶対にない文化や伝統だ。

『そして最後に街並みね。』

そう言って映された風景には半透明でカラフルな家がたくさん並んでいた。

「透けてる....!」

『ハラルには砂漠があるでしょう?ここの砂からガラスの素材がたくさん取れるのよ。それを使って家を建てているの。

オアシスには肌に良いとされる温泉や湖がたくさんあって、今では美容大国なんて呼ぶ人もいるわよ。』

どの家も太陽の光に反射してキラキラと輝いていて眩しいくらいだ。

夜の風景では、ガラスの家に灯りが灯り、光が揺らめいてとても綺麗だった。

他の国にはなかった温泉や、動物たちとの契約についてもかなり気になる。


どの国も素敵すぎてすぐには決められず、悶々とする。

『どう?決められそう?

まだまだ決めることは山ほどあるわ!

でも人生に大きく関わる物だからよく考えて決めてね。』

リティアさんのその一言で私はより慎重に決めなければ..と思った。
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