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第十二章 ― そんな風に俺を扱わないで…期待してしまうから…―
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性同一性障害…それがリナの背負う苦しみだった…。
亮の言葉に床に座り込んでいたリナは雷に打たれたようにピクリと肩を振るわせた。青褪めた美しい面差しをキッと上げると、毅然とした態度で立ちあがった。
怒りを押し殺した、感情を見せない声で
「だから…どうだって言うの?」
亮を睨みつけたまま答える。
ハハッと亮が乾いた笑い声を立てた。リナと桂を交互に見ながら蔑む言葉を積み上げていく。
「桂…お前俺が抱いてやらないから、こんな作り物の体に抱かれていたのかよ…。それともお前が抱いたのか?え…?どうなんだよ…?どこが良いんだ…?ニューハーフなんて…気色悪いだけじゃないか」
「やめろよ…。やめろ…」
亮の言葉にふるふると体を震わせた。拳にぐっと力を込める。
ガツッ…乾いた音が3人の間に満ちた。亮の体が桂に殴られた勢いで床に転がって倒れていく。その光景がスローモーションのように桂の視界にぼんやりと入って来た。
生まれて初めて人に暴力を振るった…拳がジンジンと疼く痛み…。そして胸も引裂かれるように痛んだ…。
「やっ…山本に…お前に…何がわかるんだよ…!リナの苦しみを何も知らないくせに…!なんでお前にそんな事言う資格あるんだっ!」
悲痛な桂の言葉に、亮が愕然としたような顔で見上げた。
「かっちゃん…もう良いから…。止めて…。ねっ…かっちゃん…」
リナが桂の肩を優しく抱きながら、親友を宥めた。リナの瞳に涙が溢れている。桂は頭を激しく振ってリナをやんわりと押しやると亮を睨みつけた。
胸がドクドクして…胃がきりきりと痛んで…そして…この愛しい男が憎くて堪らなかった。
嗚咽の混じった声で桂は続ける。
自分は何を言われても良い…。でも…でも…自分を唯一理解してくれる親友を侮辱されるのだけは…真っ平だった…!
「男なのに…男に抱かれる俺と…色んな苦しみを抱えて…それでも女として生きようとするリナと何が違うんだ…。お前にそんな事言われたくなんかないっ!帰れよ…っ…!帰れっ!俺の前から…消えろよ!」
叫ぶように言うと、まだ床に座ったまま自分を見上げる亮の腕を強引に引き上げる。
「帰れよ…出て行けっ!」
言ってぐいぐいと亮の身体を玄関先へ引きずって行く。
「…あ…かつ…ら…」
亮が体を押し出されながら、それでも体を捩って桂の瞳を覗き込もうとする。桂はその亮の瞳から顔を逸らすと玄関のドアを開きながら呟いた…。
「もう…俺達…やめようよ…」
亮の瞳が大きく見開かれ、桂の腕を掴もうと震える指先を伸ばした。怯えるように桂はその指先から逃れようと身体を引いた。亮をひたと見つめながら震える唇で言葉を押し出す。
「なんで…そんな風に俺を扱う。そんな事言われたら…嫉妬みたいな事言われたら…期待する…。しちゃいけない期待をするじゃないか!」
やだ…もう…やだ…。血が吹き出しそうな胸の痛みに涙を流しながら桂の心は悲痛に叫んでいた。
亮の瞳を見つめた途端、桂は身体中に痙攣するような激しい痛みが走るのを感じた。
ズクッと言う一際大きい痛みの後、身体が急に冷えて身を切り裂くような激痛が桂の身体を襲う。
桂は意識が薄れそうになっていく自分を必死で押し止めようとしながら、尚も亮の身体を押し出そうとした。
一瞬身体が冷やりとした空気に包まれ、フワッと宙に浮くような感じが眩暈と共に桂の身体を苛んだ。意識が泥沼の中に沈むように、闇に引き摺り下ろされて行く。
「桂っ!」
「かっちゃんっ!」
リナと亮…二人が揃って自分を呼ぶ声を聞きながら、桂は全てを放棄する気になっていた。
もう…何も考えたくない…。意識を深い闇の中に沈めながら桂はあらゆるものを手放そうとしていた…。
亮の言葉に床に座り込んでいたリナは雷に打たれたようにピクリと肩を振るわせた。青褪めた美しい面差しをキッと上げると、毅然とした態度で立ちあがった。
怒りを押し殺した、感情を見せない声で
「だから…どうだって言うの?」
亮を睨みつけたまま答える。
ハハッと亮が乾いた笑い声を立てた。リナと桂を交互に見ながら蔑む言葉を積み上げていく。
「桂…お前俺が抱いてやらないから、こんな作り物の体に抱かれていたのかよ…。それともお前が抱いたのか?え…?どうなんだよ…?どこが良いんだ…?ニューハーフなんて…気色悪いだけじゃないか」
「やめろよ…。やめろ…」
亮の言葉にふるふると体を震わせた。拳にぐっと力を込める。
ガツッ…乾いた音が3人の間に満ちた。亮の体が桂に殴られた勢いで床に転がって倒れていく。その光景がスローモーションのように桂の視界にぼんやりと入って来た。
生まれて初めて人に暴力を振るった…拳がジンジンと疼く痛み…。そして胸も引裂かれるように痛んだ…。
「やっ…山本に…お前に…何がわかるんだよ…!リナの苦しみを何も知らないくせに…!なんでお前にそんな事言う資格あるんだっ!」
悲痛な桂の言葉に、亮が愕然としたような顔で見上げた。
「かっちゃん…もう良いから…。止めて…。ねっ…かっちゃん…」
リナが桂の肩を優しく抱きながら、親友を宥めた。リナの瞳に涙が溢れている。桂は頭を激しく振ってリナをやんわりと押しやると亮を睨みつけた。
胸がドクドクして…胃がきりきりと痛んで…そして…この愛しい男が憎くて堪らなかった。
嗚咽の混じった声で桂は続ける。
自分は何を言われても良い…。でも…でも…自分を唯一理解してくれる親友を侮辱されるのだけは…真っ平だった…!
「男なのに…男に抱かれる俺と…色んな苦しみを抱えて…それでも女として生きようとするリナと何が違うんだ…。お前にそんな事言われたくなんかないっ!帰れよ…っ…!帰れっ!俺の前から…消えろよ!」
叫ぶように言うと、まだ床に座ったまま自分を見上げる亮の腕を強引に引き上げる。
「帰れよ…出て行けっ!」
言ってぐいぐいと亮の身体を玄関先へ引きずって行く。
「…あ…かつ…ら…」
亮が体を押し出されながら、それでも体を捩って桂の瞳を覗き込もうとする。桂はその亮の瞳から顔を逸らすと玄関のドアを開きながら呟いた…。
「もう…俺達…やめようよ…」
亮の瞳が大きく見開かれ、桂の腕を掴もうと震える指先を伸ばした。怯えるように桂はその指先から逃れようと身体を引いた。亮をひたと見つめながら震える唇で言葉を押し出す。
「なんで…そんな風に俺を扱う。そんな事言われたら…嫉妬みたいな事言われたら…期待する…。しちゃいけない期待をするじゃないか!」
やだ…もう…やだ…。血が吹き出しそうな胸の痛みに涙を流しながら桂の心は悲痛に叫んでいた。
亮の瞳を見つめた途端、桂は身体中に痙攣するような激しい痛みが走るのを感じた。
ズクッと言う一際大きい痛みの後、身体が急に冷えて身を切り裂くような激痛が桂の身体を襲う。
桂は意識が薄れそうになっていく自分を必死で押し止めようとしながら、尚も亮の身体を押し出そうとした。
一瞬身体が冷やりとした空気に包まれ、フワッと宙に浮くような感じが眩暈と共に桂の身体を苛んだ。意識が泥沼の中に沈むように、闇に引き摺り下ろされて行く。
「桂っ!」
「かっちゃんっ!」
リナと亮…二人が揃って自分を呼ぶ声を聞きながら、桂は全てを放棄する気になっていた。
もう…何も考えたくない…。意識を深い闇の中に沈めながら桂はあらゆるものを手放そうとしていた…。
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