19 / 63
Vol.1『ファムファタ女と名探偵』
ハードボイルドと彰子のブラ
しおりを挟む
朝……じゃなく、もうほとんど昼だった。やはり頭が痛かった。あれしきの酒で情けない。由紀奈は俺のシャツのままで学校へ行ったようだ。冬服だから問題無いか。シャワーを浴びて松屋に行き、何の気なしに長居をした。特に理由は無い。ご飯の一粒一粒を数えるようにして食べた。実際に数えた訳じゃあない。家(事務所)に戻ると、やはり由紀奈がいた。
「あー淳ちゃんおはよ。ゆーべはお疲れー」
彰子ブラを勝手にリュックから取り出して、PCの前で何やらいじくっている。こいつのいつもの定位置だ。
「何をやってるんだ?」
「パッドのけんきゅー。この極盛りは再現したいよね」
ただでさえへの字な口をさらに尖らせて、定規とノギスをあちこち当てて一生懸命だ。熱意を感じる。
「着けてみたらどうだ」
「さっき試した。やっぱすごいわー」
「もう一度着けてみたらどうだ」
「なんだこの変態エロオヤジは。あっち行けしっし」
「冷蔵庫にアイスあるぞ。土産と言ってはなんですが」
「もー食べた。ごち!」
「それで、そのパッドがあれか、何か極盛りの秘密が隠されてるのか」
「そー、たぶんそー。やーたぶんそれだけじゃないけどとりあえず手持ちので近づけよーとしたらいじれんのパッドだけじゃん? ほら、こんなんなってんだよ」
実を言うと俺は、女性の胸のサイズは特に気にしない紳士なので、パッドがどうのとか言うのは正直どうでもいい話なのだが、由紀奈があまりにも真剣なものだから少し付き合ってやろうと思い、ふむふむなるほどみたいな顔をして彰子ブラを見てやった。カップの内側が、三次元的な複雑な形状をしているような気がした。
「たぶんねー、この、ここの当たりぐあいがいーんだと思うんだよね!」
「当てながら見ればもっとわかるんじゃないか?」
「あー、そっか。って、これあたしんじゃないし、あんまいじったら悪いよね。やーめよ。ん、なんだこれ?」
由紀奈はパッドに突っ込んだ指で、中から何かをつまみ出した。
「なんだそれ?」
「なんかmicroSDだねー。なんだろ。見てみる?」
「ああそうだ由紀奈、ちょうどいい、俺にパソコンの使い方を教えてくれ」
「何いきなり」
「microSDの中身くらいは自分で見れるようになっとくべきかな、なんて」
「初歩の初歩じゃん。いーよ、教えたげる。こっちおいでー」
そうして俺は、由紀奈先生にPCの使い方を教わることになった。由紀奈の隣に椅子を出し、言われるがままにブラから出てきたmicroSDをPCに挿し、ダブルクリックというものを知った。
「よくこんなのも知らないで生きてこれたねー」
「はいすみません」
由紀奈の言う通りに、俺はそれがmicroSDの中身だというウインドウの中の、何やら黄土色をした四角いアイコンをダブルクリックした。すると、また四角のアイコンがウインドウ一杯にずらりと並び、それらは次々と写真の縮小版らしき画像に変わって――
「あっ、わーーっ! 見んな見んな見んなーーーっ!」
由紀奈が立ち上がり、右手をモニターの前にかざしてブンブン振り、左手で俺の両目を覆って大声で叫んだ。しかし、俺も見てしまっていた。それは、あられもない姿で凌辱される彰子の写真の数々だった。縮小版でも、それははっきりとわかった。
「あー淳ちゃんおはよ。ゆーべはお疲れー」
彰子ブラを勝手にリュックから取り出して、PCの前で何やらいじくっている。こいつのいつもの定位置だ。
「何をやってるんだ?」
「パッドのけんきゅー。この極盛りは再現したいよね」
ただでさえへの字な口をさらに尖らせて、定規とノギスをあちこち当てて一生懸命だ。熱意を感じる。
「着けてみたらどうだ」
「さっき試した。やっぱすごいわー」
「もう一度着けてみたらどうだ」
「なんだこの変態エロオヤジは。あっち行けしっし」
「冷蔵庫にアイスあるぞ。土産と言ってはなんですが」
「もー食べた。ごち!」
「それで、そのパッドがあれか、何か極盛りの秘密が隠されてるのか」
「そー、たぶんそー。やーたぶんそれだけじゃないけどとりあえず手持ちので近づけよーとしたらいじれんのパッドだけじゃん? ほら、こんなんなってんだよ」
実を言うと俺は、女性の胸のサイズは特に気にしない紳士なので、パッドがどうのとか言うのは正直どうでもいい話なのだが、由紀奈があまりにも真剣なものだから少し付き合ってやろうと思い、ふむふむなるほどみたいな顔をして彰子ブラを見てやった。カップの内側が、三次元的な複雑な形状をしているような気がした。
「たぶんねー、この、ここの当たりぐあいがいーんだと思うんだよね!」
「当てながら見ればもっとわかるんじゃないか?」
「あー、そっか。って、これあたしんじゃないし、あんまいじったら悪いよね。やーめよ。ん、なんだこれ?」
由紀奈はパッドに突っ込んだ指で、中から何かをつまみ出した。
「なんだそれ?」
「なんかmicroSDだねー。なんだろ。見てみる?」
「ああそうだ由紀奈、ちょうどいい、俺にパソコンの使い方を教えてくれ」
「何いきなり」
「microSDの中身くらいは自分で見れるようになっとくべきかな、なんて」
「初歩の初歩じゃん。いーよ、教えたげる。こっちおいでー」
そうして俺は、由紀奈先生にPCの使い方を教わることになった。由紀奈の隣に椅子を出し、言われるがままにブラから出てきたmicroSDをPCに挿し、ダブルクリックというものを知った。
「よくこんなのも知らないで生きてこれたねー」
「はいすみません」
由紀奈の言う通りに、俺はそれがmicroSDの中身だというウインドウの中の、何やら黄土色をした四角いアイコンをダブルクリックした。すると、また四角のアイコンがウインドウ一杯にずらりと並び、それらは次々と写真の縮小版らしき画像に変わって――
「あっ、わーーっ! 見んな見んな見んなーーーっ!」
由紀奈が立ち上がり、右手をモニターの前にかざしてブンブン振り、左手で俺の両目を覆って大声で叫んだ。しかし、俺も見てしまっていた。それは、あられもない姿で凌辱される彰子の写真の数々だった。縮小版でも、それははっきりとわかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる