吸血鬼と愛の鍵

月野さと

文字の大きさ
10 / 24

第10話 5日前 夜

しおりを挟む
「もう、あの家には戻らない。」
 ルナルドの言葉に、驚いて袖口を掴んで彼の目を見る。
「・・・戻らない、って・・・?」

「俺は、帰宅しすぐ、リリアナが居ない事を、父上に問い詰めた。」 
『婚約者として従兄弟の家に住まわせることにした。リリアナは、もう、この家には戻らない。』そう言われて、ルナルドは、家を飛び出した。
「父上なんだ!無理やり従兄弟の家に追いやって、俺たちを別れさせようとした。」

 私を、従兄弟の家に追いやっただけじゃない・・・確実に、ルナルドと私の関係を絶たせるために、ロドリスに事情まで話してあった。
 きっと、お義父様にとって、何が何でもルナルドとの結婚は認められないということなのだろう。

 ルナルドは、リリアナを掻き抱く。 
「許せない!!こんな・・・こんな事されてっ!おまえを傷つけられて!!殺してやりたいっ・・・・父上も!あいつも!絶対に許せない!!」
 許せない!と、ルナルドは何度も悔しそうに言って、歯を噛みしめた。
 傷ついているルナルドを、慰めるように、彼の背中をさする。

 私は、何も言葉が出て来なかった。
 たぶん、私も、きっと、あなたも、追い込まれてしまっていた。
 慰め合うように、抱き合うことしか出来なかった。
 
 お互いに抱きしめあって、互いの体温に安心感を得ていた。

「俺は、リリアナが傍に居てくれれば、他に何も要らない。」
 真剣な顔で言うルナルドの目を見て、そっと頬に触れる。
「私も・・・私も!」
 抱きしめあって、キスをした。
 その時だった。御者が外から声をかけた。
「すみません!今、王都を出たところなんですが、雨が凄くて視界も悪い。こんな夜の移動は危険です。今日の所はどこかに宿をとって、明日、日が昇ったら様子を見て出発したほうがいい。」

 ルナルドは、御者と話をして、その通りにすることにした。
 街外れの小さい宿に、その日は宿泊する事になった。
 
 宿の主人が、「パンとスープしかないけれど。」と温かいスープを出してくれた。
 けれども、何故かおなかが空いていなくて、スープだけを口にした。そんな私を見て、ルナルドは残りのパンを部屋で食べも良いか?と聞いて、貰って来た。
 部屋は、とても小さくてベッドは1つしかない。けれども、綺麗に清掃されていて、居心地の良さを感じた。 
 浴場で身を清めていると、ふいにロドリスにされたことを思い出す。
 気持ち悪くて、悲しくて、泣きながら体を洗い、部屋に戻ると、ルナルドが地図を広げていた。

「地図?」
 声をかけると、ルナルドは温かいお茶を私にも入れてくれた。
「どこに行くとか決めてなかったから。今考えてた。」
 私は、ルナルドの隣に座って、一緒に地図を見る。
「ルナルドは、王都産まれの王都育ちだものね。私は、港のある・・・あぁ、ここ。この街で産まれたの。」
 そう言って指を刺す。
「海か・・・実は見たことが無い。」
「え?そうなの?」
「1度は見てみたいと思ったけど、機会が無かったな。でも、王都育ちの人間では少なくない。」
 私は地図を見ながら、全く行ったことの無い海辺の街を指差す。
「じゃぁ、こっちの街に行ってみるのはどう?」
 ルナルドは、しばらく眺めてから聞く。
「どうしてここ?」
「なんとなく?理由は無いわ。」
 すると、ルナルドは笑った。
「リリアナらしい。もう少し、意味とか考えたほうがいい。」
 私はバカにしてると思って、頬を膨らませる。
「ルナルドは、意味とか理由とか、考え過ぎなのよ!」
 そう言い返すと、ルナルドは、じっとリリアナを見て微笑んだ。
「リリアナのそうゆう所も、全部が好きだ。」
 
 ルナルドの手が肩に回されて、抱き寄せられてキスをする。
 どちらからともなく抱き合って、ベッドに倒れこむ。
 
「ルナルド・・・ルナルドっ。」
 どうしても、思い出してしまう、襲われた記憶から逃れるように体を求めた。自分から縋りつくようにキスをして、懇願する。
「ねぇ、お願い。今日は激しくして!壊れちゃうくらい、激しく抱いて。」
「・・・リリアナ」
 意味を悟ったルナルドは、眉をしかめて、強く強くリリアナを抱きしめた。

「愛してる。リリアナ、愛してるよ。」
 
 深く深く、何度も何度もキスをする。
 秘部に手を入れて、クリトリスを刺激しながら、膣内に指を入れ、ゆっくりとかき回し、徐々にスピードを上げて、抜き差しする。
「はぁ、あんっ。もっと、もっと!グチャグチャにして!もっとっ!」
 リリアナは、首を左右に振りながら髪を乱し、声を上げる。
 もっともっとと、必死に自分を求めるリリアナの姿に、興奮せずにはいられず、ルナルドは激しく指を動かして、トロトロに愛液が零れたのを確認するなり、すぐに肉棒を埋め込んで、最奥まで突き入れた。
 強い衝撃に仰け反りそうになりながら、必至にルナルドの背中に腕を回して、しがみつく。
「っん!あっ、はぁ・・・ん!」
「リリアナ・・・!」
 ルナルドは、リリアナを抱きしめてキスをしたまま、激しく腰を振った。
 刺激が強ければ強い程に、気持ち悪かった男の指の感覚も、何もかもをかき消してくれるような気がする。何も考えられなくなって、大好きな人に抱かれているという実感だけになる。
「んっ!んんっ!ルナルドっ・・・あなただけ、あっ、わたし・・・を、ルナルドの、モノにして!はぁあっ、ぁぁぁあっ!」
 力強くて激しい挿抜に、おかしくなる。
 お互いに汗だくになるまで腰を振って、抱き合ってキスをした。
 ずっと全力疾走してきたみたいに、荒い息を吐いて、凶器のように大きく固くなった肉棒が、ブルリと震えて熱い飛沫を中で感じた。
 ビクンビクンッと体が痙攣して、抜けてしまいそうになるのを、抑え込むかのようにルナルドはリリアナを強く抱きしめた。 

 私の中に全部流し込んで、ふぅっと息をつくと、名残惜しそうにねっとりとキスをした。
 ぼうっと、彼の目を見つめていたら、ふっと微笑んで、あなたは言う。
「リリアナ。愛してる。」
 心の底からの声に、私の心が震えるほどに、満たされる。
「私も。」
 
 幸せだった。 
 
 ずっとずっと、2人でいられたら。
 それだけで、幸せだった。
 
 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

〖完結〗終着駅のパッセージ

苺迷音
恋愛
分厚い眼鏡と、ひっつめた髪を毛糸帽で覆う女性・カレン。 彼女はとある想いを胸に北へ向かう蒸気機関車に乗っていた。 王都から離れてゆく車窓を眺めながら、カレンは振り返る。 夫と婚姻してから三年という長い時間。 その間に夫が帰宅したのは数えるほどだった。 ※ご覧いただけましたらとても嬉しいです。よろしくお願いいたします。

氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~

雨宮羽那
恋愛
 魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。  そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!  詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。  家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。  同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!? 「これは契約結婚のはずですよね!?」  ……一方セレフィアがいなくなった義理の家族は、徐々に狂い始めて……? ◇◇◇◇  恋愛小説大賞に応募予定作品です。  お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"  モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです! ※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。

番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

閉じ込められた未亡人は、当主となった義息と契約する。

黒蜜きな粉
恋愛
借金の肩代わりとして後妻に入った私は、 妻と呼ばれながら屋敷の離れで「いないもの」として暮らしていた。 ある雪の日、夫が事故死したと告げられる。 だが、葬儀に出ることすら許されず、私は部屋に閉じ込められた。 新たに当主となった継子は言う。 外へ出れば君は利用され奪われる、と。 それが保護であり、同時に支配なのだと理解したとき、 私はその庇護を条件付きの契約に変えることを選ぶ。 短いお話です。

処理中です...