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Episode 5 作戦会議
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伯爵を、塩らしく?お見送りしてから、廊下を走り出す。
ジャンのいる部屋に飛び込んで、両腕を上に上げて、満面の笑みで伝える。
「聞いて聞いて!!褒めて褒めて!!なんと、翼麟を誰が持ってるか分かった!」
私の言葉に、素直に反応を見せてくれたのは、ポールだった。
「本当ですか?」
パァッと笑ったポールの手を取って、2人で小躍りする。
「本当だよ!ポールの助言のおかげ!伯爵が知ってたよ~♪」
相変わらずの無表情男である、ジャンは冷静に聞いて来る。
「それで、誰が持っていると言っていたんだ?」
ふふん♪と、ちょっと背筋を伸ばして言う。
「第2王子だって。」
喜ぶ顔が見れると思って、期待の眼差しでジャンを見るけれども、険しい顔をして、手を口元に持って行って、考え込む姿を見せただけだった。
期待外れで、少しガッカリする。
執事のポールが、フォローしてくれる。
「場所が解っただけでも、かなりの前進ですよ。」
ジャンは頷く。
「あぁ、確かにそうだな。」
私は、頭を傾けて、そっと聞いてみる。
「取り返すのは、難しい相手なの?」
ジャンは私に視線を落として、決意表明のように言う。
「いや、何が何でも取り返す。」
「じゃぁ、すぐやろう!竜の力とかで、取り返せばいいじゃない?何かあるんでしょう?竜に変身して火を吐くとか?」
それを聞いた、ポールが「ぶはっ!」と笑いだす。
「それって、第2王子と竜の姿で戦うということですか?城や第2王子の屋敷を燃やすと?」
ジャンは額に手を置いて、苦笑いする。
「飛べない竜は怪獣か?建物を壊して、焼け野原にしてやってもいいが、その後、瓦礫の中から鱗を探すと言うのか?見つかるかな?」
それに、とジャンは続ける。
「そのやり方をすれば、国との闘いだ。王族である第2王子を害するわけだからな。すぐに軍隊が私を殺しに押し寄せて来るな。大勢の死人が出る。」
「そこまでは・・・考えて言ったわけじゃないけど。なんか、方法はないの?」
ショボンとした私を見て、ジャンは穏やかな表情を見せた。
「とりあえず、情報を聞き出してくれて助かった。ありがとう、ルナ。」
ポンポンっと、頭を撫でられる。
ポールが言う。
「それでは、夕食まで少し時間がございます。よろしければ、お庭を散策されてはいかがでしょう?午前中は屋敷内しかご案内できなかったので。」
すすめられるままに、広い庭を散歩することにした。
ジャンが、一緒に庭を散歩してくれたけれど、頭の中は翼麟のことで一杯だった。だから、2人で歩いているけれども、互いに黙り込んだままで、歩いていた。
「ねぇ、考えたんだけど、“竜の使い”を作り出して、第2王子の家の中を捜索させたら?」
そう言って、ジャンを見上げると、彼は意外そうな顔をして私を見下ろす。
「ずっと黙っていると思ったら、そんなことを考えていたのか。」
フッと笑う、ジャンの顔は綺麗な彫刻みたいだった。
「さっき既に、“忍び”を作って送ってやった。」
「はやっ!」
「ただ、私はおまえのことを考えていた。」
そう言って、スタスタと前に進んで行って、何やら赤い木の実をポキリと取る。
「私のこと?」
「翼麟を取り返したら、私はすぐに地上を離れる。一時だってココに留まるつもりはない。おまえを、その時までには、元の世界に帰してやれればいいんだが。」
そういえば、ルナベルは、あっちの世界でどうしているんだろう?
ドレス脱いで、ちゃんと私らしくしてくれてるかな?・・・そんなわけないかぁ。
まぁ、受験も終わった後だし、残りの高校生活、未練無いわけじゃないけど、なんとかなるだろう。とりあえず、あっちの世界で、どうなっているかは考えるのはやめよう。怖すぎる・・・。
「毎日、何度か鏡の前で呼びかけてみる。ルナベルもジャンの事を知れば、戻って来てくれるかもだし。私は大丈夫だよ!ジャンは自分の事だけ考えて。」
そう、気丈に振る舞って言ってみたけれど、急に不安になる。
今は、こうして彼が居るから、なんとか1日を過ごしているけど、私が青木瑠奈であることを理解してくれる人が1人もいなくなったら・・・・。
もう2度と、元の世界に帰れずに1人で生きていくことになったら・・・・。
ダメダメ!!考えちゃダメ!
私は首を振って、最悪の思考を打ち消す。
「・・・」
さっき取った謎の木の実を、ジャンから無言のまま渡されて、受け取る。
ジャンも、1つポキリと折って取ると、そのまま口に運んで食べた。
私も真似をして、そのまま口に入れる。皮はパリッとしていて、中には果汁が溢れる。形は小さいリンゴのようなのに、食べるとブドウのような感じ。不思議な食べ物だなと思っていると、その様子を見ていたジャンが、もう1つ捥ぎ取ってくれた。
なんか、餌付けされてる感じがする・・・。
ううん。そうっと、励まして、安心させてくれてるような感じすらする。
「ジャンはさ、優しい竜だよね。」
「え?」
「だって、さっきも、国との闘いになって大勢が死んだりするのを気にしてたでしょ?こんなに人間に酷い事をされているのに、殺すのは躊躇するんだなって。」
見上げて笑って見せると、金色の目を、夕日の方に向けて言った。
「さぁてな。躊躇しているのではなく、面倒に思っているだけかもしれないし、流石に飛べない身で、大勢の人間を相手にして勝算があるかも、わからないじゃないか?」
「うーん。でも、私だったら1度くらいは暴れちゃうかも。」
フッと笑って、私を見下ろす。
「ルナは、過激な事を言うな。人が目の前で死ぬのを見たことが無いのだろう?私はこの地上で初めて戦を見た時に、その残虐さと悍ましさ、地獄絵図に気持ち悪さしかなかった。」
空を見上げて、彼は続ける。
「人間など何とも思ってはいなかった。だが、人間は欲深く、争いばかりする。殺し合い、血を浴びながら死体の上を歩いているが、私はウッカリ踏みつぶしそうになるのも嫌だ。竜は綺麗なものを好む。私は今まで、人間に対して、ゴキブリのような嫌悪感があったかもしれない。」
ゴキブリ・・・確かに殺すのも躊躇する。殺したら殺したで、汚れるのも嫌だし、その名前を言うのも嫌で“G”と呼ぶことも有る。存在すら嫌ですけれども。
竜にとって人間はゴキブリ・・・・。
大きなショックを受ける。
「私の事も、そう思ってたんだ?」
私のつぶやきに、ジャンは、焦った顔をした。
「いや、今までの話だ。戦場では、特に、そう見えると言う話だ。ルナの事を言っているわけではない。」
「うん。大丈夫。解ったよ。」
「おい、待て。おまえには感謝している・・・ルナ!おい、待て!悪かった。表現を間違えた。」
私は、さっさと歩きだす。
わざと拗ねて見せて、ジャンの反応を見て楽しんでしまう。
一生懸命に言い訳してくれる姿に、ちょっとホッとする。
後から考えてみると、私たちは出会った瞬間から、その瞬間から、ほころびができていたんだ。
優等生を演じてきた私と、強さを顕示して牽制していたあなたの心に、ほころびが出て。
互いに、どうかしていると言えば、そうで。
その事に、私は気がつかずに現状を受け入れることに必死だった。
私よりも、少しだけ大人だったジャンは、その何かに気がついていて、だけど、あなたは不器用だった。
それなのに、時間は待ってくれない。
お庭の散策から、お屋敷に戻って、夕食を一緒にとった。ポールと私とジャンとで過ごす時間は、穏やかだった。
その晩餐が終わる頃に、悪い知らせが届く。
人間の姿に変化していた“竜の使い”となっていた鱗が、真っ二つに割られて戻って来た。
竜の使いとして送っていた、“忍び”が、第2王子に見つかって処分された。
ジャンは、無表情のままで言った。
「私が忍びを送ったのが、バレてしまったな。」
「どうするの?」
不安になって、そう聞くと、私にチラリと視線を向けてから平気そうに言った。
「明日、こちらから城に行ってくる。」
ジャンのいる部屋に飛び込んで、両腕を上に上げて、満面の笑みで伝える。
「聞いて聞いて!!褒めて褒めて!!なんと、翼麟を誰が持ってるか分かった!」
私の言葉に、素直に反応を見せてくれたのは、ポールだった。
「本当ですか?」
パァッと笑ったポールの手を取って、2人で小躍りする。
「本当だよ!ポールの助言のおかげ!伯爵が知ってたよ~♪」
相変わらずの無表情男である、ジャンは冷静に聞いて来る。
「それで、誰が持っていると言っていたんだ?」
ふふん♪と、ちょっと背筋を伸ばして言う。
「第2王子だって。」
喜ぶ顔が見れると思って、期待の眼差しでジャンを見るけれども、険しい顔をして、手を口元に持って行って、考え込む姿を見せただけだった。
期待外れで、少しガッカリする。
執事のポールが、フォローしてくれる。
「場所が解っただけでも、かなりの前進ですよ。」
ジャンは頷く。
「あぁ、確かにそうだな。」
私は、頭を傾けて、そっと聞いてみる。
「取り返すのは、難しい相手なの?」
ジャンは私に視線を落として、決意表明のように言う。
「いや、何が何でも取り返す。」
「じゃぁ、すぐやろう!竜の力とかで、取り返せばいいじゃない?何かあるんでしょう?竜に変身して火を吐くとか?」
それを聞いた、ポールが「ぶはっ!」と笑いだす。
「それって、第2王子と竜の姿で戦うということですか?城や第2王子の屋敷を燃やすと?」
ジャンは額に手を置いて、苦笑いする。
「飛べない竜は怪獣か?建物を壊して、焼け野原にしてやってもいいが、その後、瓦礫の中から鱗を探すと言うのか?見つかるかな?」
それに、とジャンは続ける。
「そのやり方をすれば、国との闘いだ。王族である第2王子を害するわけだからな。すぐに軍隊が私を殺しに押し寄せて来るな。大勢の死人が出る。」
「そこまでは・・・考えて言ったわけじゃないけど。なんか、方法はないの?」
ショボンとした私を見て、ジャンは穏やかな表情を見せた。
「とりあえず、情報を聞き出してくれて助かった。ありがとう、ルナ。」
ポンポンっと、頭を撫でられる。
ポールが言う。
「それでは、夕食まで少し時間がございます。よろしければ、お庭を散策されてはいかがでしょう?午前中は屋敷内しかご案内できなかったので。」
すすめられるままに、広い庭を散歩することにした。
ジャンが、一緒に庭を散歩してくれたけれど、頭の中は翼麟のことで一杯だった。だから、2人で歩いているけれども、互いに黙り込んだままで、歩いていた。
「ねぇ、考えたんだけど、“竜の使い”を作り出して、第2王子の家の中を捜索させたら?」
そう言って、ジャンを見上げると、彼は意外そうな顔をして私を見下ろす。
「ずっと黙っていると思ったら、そんなことを考えていたのか。」
フッと笑う、ジャンの顔は綺麗な彫刻みたいだった。
「さっき既に、“忍び”を作って送ってやった。」
「はやっ!」
「ただ、私はおまえのことを考えていた。」
そう言って、スタスタと前に進んで行って、何やら赤い木の実をポキリと取る。
「私のこと?」
「翼麟を取り返したら、私はすぐに地上を離れる。一時だってココに留まるつもりはない。おまえを、その時までには、元の世界に帰してやれればいいんだが。」
そういえば、ルナベルは、あっちの世界でどうしているんだろう?
ドレス脱いで、ちゃんと私らしくしてくれてるかな?・・・そんなわけないかぁ。
まぁ、受験も終わった後だし、残りの高校生活、未練無いわけじゃないけど、なんとかなるだろう。とりあえず、あっちの世界で、どうなっているかは考えるのはやめよう。怖すぎる・・・。
「毎日、何度か鏡の前で呼びかけてみる。ルナベルもジャンの事を知れば、戻って来てくれるかもだし。私は大丈夫だよ!ジャンは自分の事だけ考えて。」
そう、気丈に振る舞って言ってみたけれど、急に不安になる。
今は、こうして彼が居るから、なんとか1日を過ごしているけど、私が青木瑠奈であることを理解してくれる人が1人もいなくなったら・・・・。
もう2度と、元の世界に帰れずに1人で生きていくことになったら・・・・。
ダメダメ!!考えちゃダメ!
私は首を振って、最悪の思考を打ち消す。
「・・・」
さっき取った謎の木の実を、ジャンから無言のまま渡されて、受け取る。
ジャンも、1つポキリと折って取ると、そのまま口に運んで食べた。
私も真似をして、そのまま口に入れる。皮はパリッとしていて、中には果汁が溢れる。形は小さいリンゴのようなのに、食べるとブドウのような感じ。不思議な食べ物だなと思っていると、その様子を見ていたジャンが、もう1つ捥ぎ取ってくれた。
なんか、餌付けされてる感じがする・・・。
ううん。そうっと、励まして、安心させてくれてるような感じすらする。
「ジャンはさ、優しい竜だよね。」
「え?」
「だって、さっきも、国との闘いになって大勢が死んだりするのを気にしてたでしょ?こんなに人間に酷い事をされているのに、殺すのは躊躇するんだなって。」
見上げて笑って見せると、金色の目を、夕日の方に向けて言った。
「さぁてな。躊躇しているのではなく、面倒に思っているだけかもしれないし、流石に飛べない身で、大勢の人間を相手にして勝算があるかも、わからないじゃないか?」
「うーん。でも、私だったら1度くらいは暴れちゃうかも。」
フッと笑って、私を見下ろす。
「ルナは、過激な事を言うな。人が目の前で死ぬのを見たことが無いのだろう?私はこの地上で初めて戦を見た時に、その残虐さと悍ましさ、地獄絵図に気持ち悪さしかなかった。」
空を見上げて、彼は続ける。
「人間など何とも思ってはいなかった。だが、人間は欲深く、争いばかりする。殺し合い、血を浴びながら死体の上を歩いているが、私はウッカリ踏みつぶしそうになるのも嫌だ。竜は綺麗なものを好む。私は今まで、人間に対して、ゴキブリのような嫌悪感があったかもしれない。」
ゴキブリ・・・確かに殺すのも躊躇する。殺したら殺したで、汚れるのも嫌だし、その名前を言うのも嫌で“G”と呼ぶことも有る。存在すら嫌ですけれども。
竜にとって人間はゴキブリ・・・・。
大きなショックを受ける。
「私の事も、そう思ってたんだ?」
私のつぶやきに、ジャンは、焦った顔をした。
「いや、今までの話だ。戦場では、特に、そう見えると言う話だ。ルナの事を言っているわけではない。」
「うん。大丈夫。解ったよ。」
「おい、待て。おまえには感謝している・・・ルナ!おい、待て!悪かった。表現を間違えた。」
私は、さっさと歩きだす。
わざと拗ねて見せて、ジャンの反応を見て楽しんでしまう。
一生懸命に言い訳してくれる姿に、ちょっとホッとする。
後から考えてみると、私たちは出会った瞬間から、その瞬間から、ほころびができていたんだ。
優等生を演じてきた私と、強さを顕示して牽制していたあなたの心に、ほころびが出て。
互いに、どうかしていると言えば、そうで。
その事に、私は気がつかずに現状を受け入れることに必死だった。
私よりも、少しだけ大人だったジャンは、その何かに気がついていて、だけど、あなたは不器用だった。
それなのに、時間は待ってくれない。
お庭の散策から、お屋敷に戻って、夕食を一緒にとった。ポールと私とジャンとで過ごす時間は、穏やかだった。
その晩餐が終わる頃に、悪い知らせが届く。
人間の姿に変化していた“竜の使い”となっていた鱗が、真っ二つに割られて戻って来た。
竜の使いとして送っていた、“忍び”が、第2王子に見つかって処分された。
ジャンは、無表情のままで言った。
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