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Episode26 過去
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ガイアは、過去に戻った。
過去に降り立つのではなく、時空移動する道から、その時代のその場所を覗いていた。
空から降りて来た14歳のジャンクロードは、川で溺れている少年を見つける。そして、すぐに助けた。すると、その子供の両親に「お礼を」と言われて、酒や御馳走が振る舞われて、舞や踊りが披露されて、「竜神様」と呼ばれて、もてなされていた。お祭り騒ぎになった村で、子供たちはジャンクロードの背に乗ったり、ジャンクロードも子供達と遊んで、楽しそうにしていた。
そこへ、エルバーン国の兵士たちが現れて、ジャンクロードにニコニコと笑いかけながら、「借りるだけ」と言って宝珠を奪い、背中に乗るだけと言って首筋にある翼麟を奪い取った。
「返してほしくば、王宮に来い」と言われて、ジャンクロードは、その村を離れていった。
ガイアは、地上に降りて、人間どもを蹴散らしてやろうかと思った!・・・しかし、ふと頭をよぎったのは、過去に来る前に見た、ジャンクロードの顔だった。
ルナちゃんを見るアイツの顔。あれはもう、本当に惚れてる顔だ。ここで過去を変えてしまえば、おそらく2人は出会わなかった。
それで良いのだろうか?
『千年生きるよりも、あいつとの一瞬の為に生きていたかったんだ』
そんなふうに思える相手。それは運命だったのかもしれない。
ジャンクロード。おまえは、まだ20年しか生きていないのに・・・もう、たった1人を見つけたんだな。
ガイアは、そう思うと、何も出来ずに見守るしかなかった。
翼麟は、ジャンから奪った後、国王が肌身離さずにに持っていた。しかし、暫くすると、アンドリューという男の手に渡り、アンドリューもまた肌身離さず持っていた。その為に、どうやって奪ってやろうかガイアは考えていた。
ジャンクロードとルナベルの結婚式の前日。
深夜になって、ルナベルがアンドリューの部屋に、忍び込んで来た。
「ルナベル!」
「アンドリュー様!」
2人は再会を喜び合い抱きしめあって、女性は言った。
「抱いてください。あの竜の物になる前に!お願いです!」
アンドリューはルナベルにキスをして、ベッドに寝かせると自分は服を脱ぎだして、はたと止まる。胸にかけられた翼麟を外して、机の中にしまうと鍵をかけて、鍵をベッドの上に置いた。そのまま、2人は愛し合った。
ガイアは、心の中で溜息をつく。
誰が好き好んで、他人の情事を見るものか!しかも、家族のようなジャンの想い人と同じ顔の女が、他の男と・・・なんか、すっごく複雑だ!早く終われ!!
暫くしてから、ベッドの中にいた2人は静かになった。
恐らく、眠りについたのだろう。
ホッとして、よし!今だ!翼麟を取りに行こう!
ガイアは、2人が深く眠っている今のうちに、過去の時間に降りて翼麟を取り返そう!と思った瞬間だった。
ベッドの中に居た、ルナベルがむくりと起き上がる。ガイアは時空の道から出るのをやめて、見守った。
ルナベルは、アンドリュー王子を起こさないようにベッドを降りると、鍵を手に取り、机の引き出しを開ける。キラキラと輝く翼麟を手に取って、月明かりに翳した。
それは、七色に光り輝いた。
それを暫く眺めていたかと思うと、ルナベルは自分の首にかけて、服を身につけ部屋を出て行った。
ガイアは驚いて、ルナベルを追いかける。
オイオイ!どこへ持って行く気だ?!
ルナベルは、自分の屋敷に戻ってくるなり、父親に怒られた。
「ともかく、戻って来てくれて良かった。竜を怒らせ、国王様の命令にも背くなど、あってはならない!」
無表情のままで、ルナベルは言った。
「申し訳ございません。お父様。今日の結婚式に、ちゃんと出席しますわ。」
その後は、ルナベルにはメイドや侍女など、たくさんの人間が周囲を囲んでいて、ガイアは手を出すことが出来ない。やきもきしていると、ルナベルは、一瞬の隙を見て、クローゼットの中に入った。
そして、縮こまるようにして座り込むと、翼麟を握りしめて、何か呟き始める。
「嫌・・・絶対に嫌!アンドリュー様!・・・アンドリュー様ぁ!・・・うっ・・・うう・・・!」
ルナベルは泣きながら小さく丸まったままで、震えていた。
「大丈夫・・・この鱗を竜に返せば・・・空に帰ってくれるかもしれないわ・・・!あの方は、人間なんかに興味もないはずよ!・・・これを返せば、アンドリュー様の所に帰れるかもしれない!そうよ!大丈夫!」
震える手で鱗を見つめて、希望に少し微笑んだルナベルの表情が・・・少しずつ、恐怖にかられて、強張って行く。
「待って・・・待って待って?!・・・この鱗は、アンドリュー様が陛下から預かっていた物だわ。命に代えても、守り抜けと言われていて・・・その鱗が・・・竜の手に渡ったと知れたら?アンドリュー様の立場は、どうなるの?」
ルナベルの顔が、どんどん青ざめて行く。
「あぁっ!!なんてことを!なんて事をしてしまったの?!」
ガックリと両手を床について、泣き出した。
「ダメ・・・ダメよ。この鱗を、アンドリュー様へ返さなきゃっ・・・う、うぅ。ひぃっく・・・うぅ・・アンドリュー様ぁ!」
その時、ルナベルの持っていた翼麟に、ルナベルの涙が零れ落ちた。
「お嬢様?」
部屋で、ルナベルを呼ぶ声がして、立ち上がろうとした時、壁に立てかけてあった鏡に触れてしまう。
すると、鏡が七色に変化していく。
みるみる、何かを映し出していった。
ルナベルは目を見張った。
そこには、自分と瓜二つの女性が居た。
「え・・・?」
ジーーーっと見ていると、見たことも無い部屋で、見たことも無い服を着て、見たことも無い物を何やら触ってベッドに寝そべった。それを、ただただ、呆然と見ていた。
「これは・・・あなたは・・・誰?」
聞いてみたけれど、鏡に映し出された同じ顔の女性は、何も聞こえていない様子だった。
「同じ顔。同じだわ。髪の長さまで!」
ルナベルは鏡に手を置く。
「これは・・・現実なの?・・・あなたは、誰なの?」
そう言った瞬間だった。鏡の中の女性が、こちらを向いたのである。
ルナベルは、目を大きくして驚き、頭が真っ白になった。
鏡の中の私?と手が合わさった瞬間。
ルナベルは、相手の手を引っ張った。それは、何かを考えたわけじゃない。本当に衝動的なことだった。
次の瞬間に、2人とも鏡の中に入ったのである。
ガイアは、驚いて声すら出なかった。
どうゆう事だ?!まさか!翼麟の力なのか??しかし・・・!そんなことが、あるはずは・・。
時空を超える竜がいれば、そりゃ、異世界を旅する竜が居てもおかしく無いわけだが・・・しかし、だいぶ大昔には、そんな竜もいたと聞いたことがあるが、ここ300年はとんと聞かない。しかも、ジャンクロードは別の能力を持っているのに・・・。
自問自答しつつも、答えに辿り着けない。ただ1つ言えるのは、翼麟はガイアにすら手の届かない場所に行ってしまったということだった。
「くそっ!このままでは、人間と戦わないといけなくなる!」
ガイアは、ジャンクロードの居る森の中の家へと戻った。
ジャンクロードから、1ヵ月待ってくれという約束だったけれども、ガイアは2週間後に戻って来た。約束の日まで、心配な弟分を陰で見守ろうと思ったのである。
しかし、家にはポールしか居なかった。
「主とルナ様は、町に行きました。穀物など物資の調達です。」
「追われている身で、町に行くは危険じゃないのか?」
ガイアの言葉にポールが頷く。
「はい。ですから、いつもは私が向かうのですが。今日は女性の必需品の買い付けとかでして、どうしてもご自分で買いに行くのだと仰いまして。主は、山の麓まで付き添いです。」
「ふーん。まぁ、じゃぁ、俺は調べたいことがあるから、天界に行くか。また来る!」
ガイアはそう言い残して、天界に帰って行った。
過去に降り立つのではなく、時空移動する道から、その時代のその場所を覗いていた。
空から降りて来た14歳のジャンクロードは、川で溺れている少年を見つける。そして、すぐに助けた。すると、その子供の両親に「お礼を」と言われて、酒や御馳走が振る舞われて、舞や踊りが披露されて、「竜神様」と呼ばれて、もてなされていた。お祭り騒ぎになった村で、子供たちはジャンクロードの背に乗ったり、ジャンクロードも子供達と遊んで、楽しそうにしていた。
そこへ、エルバーン国の兵士たちが現れて、ジャンクロードにニコニコと笑いかけながら、「借りるだけ」と言って宝珠を奪い、背中に乗るだけと言って首筋にある翼麟を奪い取った。
「返してほしくば、王宮に来い」と言われて、ジャンクロードは、その村を離れていった。
ガイアは、地上に降りて、人間どもを蹴散らしてやろうかと思った!・・・しかし、ふと頭をよぎったのは、過去に来る前に見た、ジャンクロードの顔だった。
ルナちゃんを見るアイツの顔。あれはもう、本当に惚れてる顔だ。ここで過去を変えてしまえば、おそらく2人は出会わなかった。
それで良いのだろうか?
『千年生きるよりも、あいつとの一瞬の為に生きていたかったんだ』
そんなふうに思える相手。それは運命だったのかもしれない。
ジャンクロード。おまえは、まだ20年しか生きていないのに・・・もう、たった1人を見つけたんだな。
ガイアは、そう思うと、何も出来ずに見守るしかなかった。
翼麟は、ジャンから奪った後、国王が肌身離さずにに持っていた。しかし、暫くすると、アンドリューという男の手に渡り、アンドリューもまた肌身離さず持っていた。その為に、どうやって奪ってやろうかガイアは考えていた。
ジャンクロードとルナベルの結婚式の前日。
深夜になって、ルナベルがアンドリューの部屋に、忍び込んで来た。
「ルナベル!」
「アンドリュー様!」
2人は再会を喜び合い抱きしめあって、女性は言った。
「抱いてください。あの竜の物になる前に!お願いです!」
アンドリューはルナベルにキスをして、ベッドに寝かせると自分は服を脱ぎだして、はたと止まる。胸にかけられた翼麟を外して、机の中にしまうと鍵をかけて、鍵をベッドの上に置いた。そのまま、2人は愛し合った。
ガイアは、心の中で溜息をつく。
誰が好き好んで、他人の情事を見るものか!しかも、家族のようなジャンの想い人と同じ顔の女が、他の男と・・・なんか、すっごく複雑だ!早く終われ!!
暫くしてから、ベッドの中にいた2人は静かになった。
恐らく、眠りについたのだろう。
ホッとして、よし!今だ!翼麟を取りに行こう!
ガイアは、2人が深く眠っている今のうちに、過去の時間に降りて翼麟を取り返そう!と思った瞬間だった。
ベッドの中に居た、ルナベルがむくりと起き上がる。ガイアは時空の道から出るのをやめて、見守った。
ルナベルは、アンドリュー王子を起こさないようにベッドを降りると、鍵を手に取り、机の引き出しを開ける。キラキラと輝く翼麟を手に取って、月明かりに翳した。
それは、七色に光り輝いた。
それを暫く眺めていたかと思うと、ルナベルは自分の首にかけて、服を身につけ部屋を出て行った。
ガイアは驚いて、ルナベルを追いかける。
オイオイ!どこへ持って行く気だ?!
ルナベルは、自分の屋敷に戻ってくるなり、父親に怒られた。
「ともかく、戻って来てくれて良かった。竜を怒らせ、国王様の命令にも背くなど、あってはならない!」
無表情のままで、ルナベルは言った。
「申し訳ございません。お父様。今日の結婚式に、ちゃんと出席しますわ。」
その後は、ルナベルにはメイドや侍女など、たくさんの人間が周囲を囲んでいて、ガイアは手を出すことが出来ない。やきもきしていると、ルナベルは、一瞬の隙を見て、クローゼットの中に入った。
そして、縮こまるようにして座り込むと、翼麟を握りしめて、何か呟き始める。
「嫌・・・絶対に嫌!アンドリュー様!・・・アンドリュー様ぁ!・・・うっ・・・うう・・・!」
ルナベルは泣きながら小さく丸まったままで、震えていた。
「大丈夫・・・この鱗を竜に返せば・・・空に帰ってくれるかもしれないわ・・・!あの方は、人間なんかに興味もないはずよ!・・・これを返せば、アンドリュー様の所に帰れるかもしれない!そうよ!大丈夫!」
震える手で鱗を見つめて、希望に少し微笑んだルナベルの表情が・・・少しずつ、恐怖にかられて、強張って行く。
「待って・・・待って待って?!・・・この鱗は、アンドリュー様が陛下から預かっていた物だわ。命に代えても、守り抜けと言われていて・・・その鱗が・・・竜の手に渡ったと知れたら?アンドリュー様の立場は、どうなるの?」
ルナベルの顔が、どんどん青ざめて行く。
「あぁっ!!なんてことを!なんて事をしてしまったの?!」
ガックリと両手を床について、泣き出した。
「ダメ・・・ダメよ。この鱗を、アンドリュー様へ返さなきゃっ・・・う、うぅ。ひぃっく・・・うぅ・・アンドリュー様ぁ!」
その時、ルナベルの持っていた翼麟に、ルナベルの涙が零れ落ちた。
「お嬢様?」
部屋で、ルナベルを呼ぶ声がして、立ち上がろうとした時、壁に立てかけてあった鏡に触れてしまう。
すると、鏡が七色に変化していく。
みるみる、何かを映し出していった。
ルナベルは目を見張った。
そこには、自分と瓜二つの女性が居た。
「え・・・?」
ジーーーっと見ていると、見たことも無い部屋で、見たことも無い服を着て、見たことも無い物を何やら触ってベッドに寝そべった。それを、ただただ、呆然と見ていた。
「これは・・・あなたは・・・誰?」
聞いてみたけれど、鏡に映し出された同じ顔の女性は、何も聞こえていない様子だった。
「同じ顔。同じだわ。髪の長さまで!」
ルナベルは鏡に手を置く。
「これは・・・現実なの?・・・あなたは、誰なの?」
そう言った瞬間だった。鏡の中の女性が、こちらを向いたのである。
ルナベルは、目を大きくして驚き、頭が真っ白になった。
鏡の中の私?と手が合わさった瞬間。
ルナベルは、相手の手を引っ張った。それは、何かを考えたわけじゃない。本当に衝動的なことだった。
次の瞬間に、2人とも鏡の中に入ったのである。
ガイアは、驚いて声すら出なかった。
どうゆう事だ?!まさか!翼麟の力なのか??しかし・・・!そんなことが、あるはずは・・。
時空を超える竜がいれば、そりゃ、異世界を旅する竜が居てもおかしく無いわけだが・・・しかし、だいぶ大昔には、そんな竜もいたと聞いたことがあるが、ここ300年はとんと聞かない。しかも、ジャンクロードは別の能力を持っているのに・・・。
自問自答しつつも、答えに辿り着けない。ただ1つ言えるのは、翼麟はガイアにすら手の届かない場所に行ってしまったということだった。
「くそっ!このままでは、人間と戦わないといけなくなる!」
ガイアは、ジャンクロードの居る森の中の家へと戻った。
ジャンクロードから、1ヵ月待ってくれという約束だったけれども、ガイアは2週間後に戻って来た。約束の日まで、心配な弟分を陰で見守ろうと思ったのである。
しかし、家にはポールしか居なかった。
「主とルナ様は、町に行きました。穀物など物資の調達です。」
「追われている身で、町に行くは危険じゃないのか?」
ガイアの言葉にポールが頷く。
「はい。ですから、いつもは私が向かうのですが。今日は女性の必需品の買い付けとかでして、どうしてもご自分で買いに行くのだと仰いまして。主は、山の麓まで付き添いです。」
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