34 / 35
34話
しおりを挟む
翌朝、陛下が仕事に向かうのを見送って、自室に戻ろうとすると、昨夜の女性と廊下で鉢合わせした。
「あら、妃殿下。陛下とはちゃんとお話できたの?」
流れるような波打つ髪に、大きな瞳。私よりも年上で、大人の魅力溢れる、キレイな女性だった。
「おかげさまで。昨日は大変失礼いたしました。」
当たり障り無いように返事をすると、ソフィアの後ろにいた侍女が、女性をにらみつける。
「あぁ、自己紹介がまだだったわね。私はミレーネ。高級娼館の娼婦よ。」
娼婦?
なるほど、通りで知らない顔なわけだ。ある程度の身分の令嬢は覚えているはずなので、全く見覚えが無いことに、疑問に思っていた。
侍女が口を挟む。
「この方は、侯爵令嬢であり妃殿下です。貴方のような方が、声をかけて良い方ではありません。」
ミレーネは、ニヤリと笑った。
「そんな硬いこと言わないでさ?ちょっと挨拶しただけじゃない。」
そう言って、立ち去ろうとするミレーネに、ソフィアは引き止めた。
「あの、お茶でもご一緒にいかがでしょう?」
応接室で、お菓子やお茶を並べて、ミレーネとソフィアは、向かい合わせに座って、お茶を飲んだ。
「それで?私に何か聞きたいことがあるんでしょう?」
ミレーネは、一口お茶を飲んで聞いてきた。
ソフィアは、頷く。
「あなたは、どうして娼婦をしているの?」
以前、フィジーと別れてから、八百屋の男性に声をかけられたことがある。
「スラムの女は、大人になったら娼婦になることが多い。文字なんて教えても意味ないよ。」
意味、無いのだろうか?助けられないのだろうか?
「どうしてって、食べていくためよ。私はこの美貌を武器に、高級娼館でも1位とってんのよ。あなたの大好きな陛下の筆下ろしに、呼ばれたのがきっかけで、愛人にもなってたわ。」
ミレーネは得意げに話す。
「そうですか。食べていくために…」
ソフィアがボソリと言って、遠くを見ながら眉間にシワをよせた。
「・・・あんた、同情してるの?」
「え?あ、その、スラムに知り合いがいて、その子の将来が気になるというか・・・」
ミレーネは、眉間に皺を寄せて、疑わしそうにしながらも答えた。
「そりゃ、最初こそ辛かったけど、今は楽しんでるわよ。私には性に合ってたみたい。セックス好きだし?良い男とできるのは楽しいし?まぁ、陛下との夜伽で呼ばれたときなんかは、子供出来ちゃえば、いい暮らしができるって思ったけどね。あの人、事務的にセックスして、どの女としても、イケない人だったでしょ?」
「・・・へ?」
そうなの?
「だから驚いたわ。あんたの顔見た瞬間、デレデレした顔しちゃってさ。陛下ったら、あんたに惚れてんのね。」
そう言われて、つい、赤面してしまう。
ダメだ、本題からそれてる。
「あの、教えて下さい。スラムの女性はみんな娼館で働くというのは本当でしょうか?もしも、文字の読み書きが出来たら、将来が変わると思いますか?」
ミレーネは、真剣に考えて「そうねぇ」と呟いてから言った。
「文字の読み書きができる娼婦ならいるわよ?凄く少ないけれどね。読み書きや計算ができる娼婦は、やっぱり身請けされて買い取られる子が多いわ。だから、読み書きと計算が出来れば、未来はあるかもね。」
なるほど。
やっぱり、読み書き計算は出来るに越したことは無いんだわ。
ソフィアは今までの自分が間違っていないと、確信を持って、心の中でガッツポーズをする。
「お妃様ってさ、陛下に、ちょっと似てるわね。」
「え?私が?陛下に?」
ミレーネは、クッキーをかじりながら頷く。
「陛下は私を娼婦扱いしないわ。人を蔑んだりしない。あんたもそんな感じだものね。」
私と、ヴィンセントが似てる?
なんか、少し嬉しくなる。
「でも、あんた大変でしょ?あんな立派なモノを持った陛下から、愛を一途に求められたらさ。陛下って性欲強いでしょう?」
急になんで、そっちの話?と思ったけど、確かにそうである。
「・・・まぁ、体が持たないですね。月のモノが来ても、我慢できない様子なんで・・・」
ん~・・・と少し考える素振りをして、ミレーネは言った。
「色々と、テクニックを教えてあげましょうか?」
‥‥テクニック?
それは、もしかして、エッチなことの?
ソフィアはガタン!と席から立ち上がって、ミレーネの手を握りしめた。
「ぜひ!!ナンバーワンのテクニックを、私に伝授してくださいませ!!」
こうして、娼婦直伝の、エッチな技などを教えてくれた。
フェラの仕方。男性にも性感帯があって、それを探してあげると良いなど。
エッチな講習会は、午前中いっぱい行われて、ソフィアはむしろメモまでした。
昨日は、きっと陛下を満足させてあげられなかったもの!次こそ!!
ソフィアは結構、これで真面目な性格だった。
◇◇◇◇
数日後。
美しいお城の中庭で、ソフィア、ミレーネ、そしてメリーアン王女と親友のセリーヌまでもが集まってお茶をしていた。
娼婦のミレーネは、オッホンなんて咳ばらいをしてから、切り出す。
「では、この私、ナンバーワン娼婦が、お嬢様方に実戦で役に立つ知識やテクニックをお教えしましょう。」
ソフィアはメモを持参していて、セリーヌは何故か扇で顔を隠しながら、興味津々だった。メリーアン王女は正しい姿勢で座って、先生を見つめる。
「まず、1番大切なのはテクニックではなく、自分の性感帯を知ることです。次に、相手の性感帯を知る事です。殿方によって感じる場所も、したいことも違います。具体的には、亀頭、陰茎、陰茎小帯、尿道口、陰嚢、会陰、耳、首、などです。女性においては、陰核、陰唇、膣口、乳首、乳房、尿道口、Gスポット、耳、首などです。お互いに、コミュニケーションをとりながら、どこが良いか聞きながら触ってあげるのが良いわね。」
「はい!先生!触るというと、口?手で?」
ソフィアが、手を上げて質問をする。
「そうねぇ。自分がしたい方で、口は抵抗ある初心者は無理にしなくていいわ。手でも口でもいいから優しく愛撫してあげて。男性でも、最初は優しくね。体中を愛撫して良い所を探していく。そういったやり取りが、興奮を呼んだり、ムードを盛り上げるから無駄ではないのよ。」
扇で顔を半分隠しながらも、セリーヌが聞く。
「あの・・・それは、女性もそうしてもらいたいって、言ってもいいのでしょうか?」
ミレーネは、力強く頷いて身を乗り出して言う。
「当然よ。性交は、男性優位であってはダメ。相手が分かっていないなら、自分からお願いするべき!抱擁1つ、キス1つにしても、同意も無しはダメ。相手の体に触れる1つ1つ、きちんと同意を得て。」
そこで、メリーアンが質問する。
「毎回ですの?最初の時だけでいいのかしら?」
「当然よ。今日は、そうゆう気分じゃないとか、その時によって不快に思うってことは有るもの!」
カリカリカリ・・・・必死で全てをメモしていくソフィアを、みんなが見つめる。
親友のセリーヌが、ソフィアの肩を揺らす。
「ソフィア・・・。あなた、そんなハレンチな事を文章に残すなんて、後で読み返すの?」
「ううん。これ、学校でも教えられないかと思って。」
その言葉に、全員が一瞬引く。
そして、3人は声をそろえて大きな声を出した。
「・・・・!!!ええええええ?!」
「な、何を言っているの?ソフィア、ありえないわ!」
「あんた、どんな学校作る気なのよ???」
ソフィアは、キョトンとした顔で3人を見る。
「え?だって、2人だって今日は興味があって話を聞きに来たでしょう?」
そう言われて、セリーヌは扇で顔を隠す。
ソフィアは、笑って言う。
「正しい性教育は、女性にも男性にも重要だと思うわ。誰もが大人になったら経験することでしょう?正しく体の事を知って、性交で辛い思いをしないように。知識は必要だわ。」
ミレーネは、大きく口を開けていたけれども、顎に指をやると、うーーーんと唸る。
メリーアン王女が、言う。
「それは、確かにそうね。誰もが必ず通る道だわ。変に恐れたり間違った知識でされたり、したりして相手を傷つけるなんてあってはならないわ。」
「そうでしょう?王女様!恥ずかしいとか確かにあるけど、正しく知る必要はあると思うの。」
ソフィアは、理解者の手を握って、仲間を捕まえて喜ぶ。
セリーヌが、扇を下ろして、自分の髪を整えながら頷く。
「冷静に考えれば、確かに、あまりよく分からないばかりに恐れて、当日にショックを受けるという話も聞かなくもないわ。」
「まぁ、娼婦たちは最初に色々と姉さんたちから教わるわ。妊娠しないように薬を使うから、悪質じゃない薬の名前や売り場、自分の体の守り方をね。」
ミレーネの言葉に、なるほどとソフィアは頷く。
「大事な事だわ!性的同意、そして自分の体の仕組み。それから、愛する人と結ばれた後でさえも、もっとハッピーなセックスをする為には、テクニックを!」
ミレーネはソフィアを、可愛そうな目で見て言う。
「・・・あんたの場合は、個別の特別指導ね。陛下を満足させるのは至難の業でしょ?体力も精力も強いからね。」
王女が、少し考えてから聞く。
「性的同意とは・・・例えば、恋人同士や夫婦になったとして、今日はしたくないと、言っても良いと?」
ミレーネは頷く。
「言うべき。今日はそんな気分じゃない、だけど、あなたの事は好きだ。と相手に言うべきね。否定だけはダメ。相手の事を考えて、上手くコミュニケーションをとること。」
セリーヌが、リンゴのように顔を赤くして、震えた声で言う。
「もし、男性に、君の事は好きだけど今日はしたくないって言われたら、わたし、トラウマになりそうだわ。」
王女様も、私も、そのことには同意して頷く。
「そうねぇ、だからこそ、相手を思いやった言葉で伝えればいいのよ。嫌な時は嫌で仕方のない事。良い関係を築いていく為にも、相手を甘やかしちゃダメ。気持ちをきちんと伝えて、相手を教育していくつもりでね。」
「セックスって、コミュニケーションの1つだと思えばいいのかしら。」
ソフィアが言うと、ミレーネは頷く。
「それだけではないわ。セックスは、言葉よりも相手に与えるモノは多い。だけど、体だけじゃダメなの。絶対に愛の言葉は必要よ。相手を思いやる気持ちもね。私のような娼婦でも、愛を持ってお客様に接するわ。本気じゃないけどね。」
その後も、エッチな抗議は続いた。
本題であるテクニック云々あたりで、親友のセリーヌは気絶してしまったので、抗議は後日になってしまったが。
「あら、妃殿下。陛下とはちゃんとお話できたの?」
流れるような波打つ髪に、大きな瞳。私よりも年上で、大人の魅力溢れる、キレイな女性だった。
「おかげさまで。昨日は大変失礼いたしました。」
当たり障り無いように返事をすると、ソフィアの後ろにいた侍女が、女性をにらみつける。
「あぁ、自己紹介がまだだったわね。私はミレーネ。高級娼館の娼婦よ。」
娼婦?
なるほど、通りで知らない顔なわけだ。ある程度の身分の令嬢は覚えているはずなので、全く見覚えが無いことに、疑問に思っていた。
侍女が口を挟む。
「この方は、侯爵令嬢であり妃殿下です。貴方のような方が、声をかけて良い方ではありません。」
ミレーネは、ニヤリと笑った。
「そんな硬いこと言わないでさ?ちょっと挨拶しただけじゃない。」
そう言って、立ち去ろうとするミレーネに、ソフィアは引き止めた。
「あの、お茶でもご一緒にいかがでしょう?」
応接室で、お菓子やお茶を並べて、ミレーネとソフィアは、向かい合わせに座って、お茶を飲んだ。
「それで?私に何か聞きたいことがあるんでしょう?」
ミレーネは、一口お茶を飲んで聞いてきた。
ソフィアは、頷く。
「あなたは、どうして娼婦をしているの?」
以前、フィジーと別れてから、八百屋の男性に声をかけられたことがある。
「スラムの女は、大人になったら娼婦になることが多い。文字なんて教えても意味ないよ。」
意味、無いのだろうか?助けられないのだろうか?
「どうしてって、食べていくためよ。私はこの美貌を武器に、高級娼館でも1位とってんのよ。あなたの大好きな陛下の筆下ろしに、呼ばれたのがきっかけで、愛人にもなってたわ。」
ミレーネは得意げに話す。
「そうですか。食べていくために…」
ソフィアがボソリと言って、遠くを見ながら眉間にシワをよせた。
「・・・あんた、同情してるの?」
「え?あ、その、スラムに知り合いがいて、その子の将来が気になるというか・・・」
ミレーネは、眉間に皺を寄せて、疑わしそうにしながらも答えた。
「そりゃ、最初こそ辛かったけど、今は楽しんでるわよ。私には性に合ってたみたい。セックス好きだし?良い男とできるのは楽しいし?まぁ、陛下との夜伽で呼ばれたときなんかは、子供出来ちゃえば、いい暮らしができるって思ったけどね。あの人、事務的にセックスして、どの女としても、イケない人だったでしょ?」
「・・・へ?」
そうなの?
「だから驚いたわ。あんたの顔見た瞬間、デレデレした顔しちゃってさ。陛下ったら、あんたに惚れてんのね。」
そう言われて、つい、赤面してしまう。
ダメだ、本題からそれてる。
「あの、教えて下さい。スラムの女性はみんな娼館で働くというのは本当でしょうか?もしも、文字の読み書きが出来たら、将来が変わると思いますか?」
ミレーネは、真剣に考えて「そうねぇ」と呟いてから言った。
「文字の読み書きができる娼婦ならいるわよ?凄く少ないけれどね。読み書きや計算ができる娼婦は、やっぱり身請けされて買い取られる子が多いわ。だから、読み書きと計算が出来れば、未来はあるかもね。」
なるほど。
やっぱり、読み書き計算は出来るに越したことは無いんだわ。
ソフィアは今までの自分が間違っていないと、確信を持って、心の中でガッツポーズをする。
「お妃様ってさ、陛下に、ちょっと似てるわね。」
「え?私が?陛下に?」
ミレーネは、クッキーをかじりながら頷く。
「陛下は私を娼婦扱いしないわ。人を蔑んだりしない。あんたもそんな感じだものね。」
私と、ヴィンセントが似てる?
なんか、少し嬉しくなる。
「でも、あんた大変でしょ?あんな立派なモノを持った陛下から、愛を一途に求められたらさ。陛下って性欲強いでしょう?」
急になんで、そっちの話?と思ったけど、確かにそうである。
「・・・まぁ、体が持たないですね。月のモノが来ても、我慢できない様子なんで・・・」
ん~・・・と少し考える素振りをして、ミレーネは言った。
「色々と、テクニックを教えてあげましょうか?」
‥‥テクニック?
それは、もしかして、エッチなことの?
ソフィアはガタン!と席から立ち上がって、ミレーネの手を握りしめた。
「ぜひ!!ナンバーワンのテクニックを、私に伝授してくださいませ!!」
こうして、娼婦直伝の、エッチな技などを教えてくれた。
フェラの仕方。男性にも性感帯があって、それを探してあげると良いなど。
エッチな講習会は、午前中いっぱい行われて、ソフィアはむしろメモまでした。
昨日は、きっと陛下を満足させてあげられなかったもの!次こそ!!
ソフィアは結構、これで真面目な性格だった。
◇◇◇◇
数日後。
美しいお城の中庭で、ソフィア、ミレーネ、そしてメリーアン王女と親友のセリーヌまでもが集まってお茶をしていた。
娼婦のミレーネは、オッホンなんて咳ばらいをしてから、切り出す。
「では、この私、ナンバーワン娼婦が、お嬢様方に実戦で役に立つ知識やテクニックをお教えしましょう。」
ソフィアはメモを持参していて、セリーヌは何故か扇で顔を隠しながら、興味津々だった。メリーアン王女は正しい姿勢で座って、先生を見つめる。
「まず、1番大切なのはテクニックではなく、自分の性感帯を知ることです。次に、相手の性感帯を知る事です。殿方によって感じる場所も、したいことも違います。具体的には、亀頭、陰茎、陰茎小帯、尿道口、陰嚢、会陰、耳、首、などです。女性においては、陰核、陰唇、膣口、乳首、乳房、尿道口、Gスポット、耳、首などです。お互いに、コミュニケーションをとりながら、どこが良いか聞きながら触ってあげるのが良いわね。」
「はい!先生!触るというと、口?手で?」
ソフィアが、手を上げて質問をする。
「そうねぇ。自分がしたい方で、口は抵抗ある初心者は無理にしなくていいわ。手でも口でもいいから優しく愛撫してあげて。男性でも、最初は優しくね。体中を愛撫して良い所を探していく。そういったやり取りが、興奮を呼んだり、ムードを盛り上げるから無駄ではないのよ。」
扇で顔を半分隠しながらも、セリーヌが聞く。
「あの・・・それは、女性もそうしてもらいたいって、言ってもいいのでしょうか?」
ミレーネは、力強く頷いて身を乗り出して言う。
「当然よ。性交は、男性優位であってはダメ。相手が分かっていないなら、自分からお願いするべき!抱擁1つ、キス1つにしても、同意も無しはダメ。相手の体に触れる1つ1つ、きちんと同意を得て。」
そこで、メリーアンが質問する。
「毎回ですの?最初の時だけでいいのかしら?」
「当然よ。今日は、そうゆう気分じゃないとか、その時によって不快に思うってことは有るもの!」
カリカリカリ・・・・必死で全てをメモしていくソフィアを、みんなが見つめる。
親友のセリーヌが、ソフィアの肩を揺らす。
「ソフィア・・・。あなた、そんなハレンチな事を文章に残すなんて、後で読み返すの?」
「ううん。これ、学校でも教えられないかと思って。」
その言葉に、全員が一瞬引く。
そして、3人は声をそろえて大きな声を出した。
「・・・・!!!ええええええ?!」
「な、何を言っているの?ソフィア、ありえないわ!」
「あんた、どんな学校作る気なのよ???」
ソフィアは、キョトンとした顔で3人を見る。
「え?だって、2人だって今日は興味があって話を聞きに来たでしょう?」
そう言われて、セリーヌは扇で顔を隠す。
ソフィアは、笑って言う。
「正しい性教育は、女性にも男性にも重要だと思うわ。誰もが大人になったら経験することでしょう?正しく体の事を知って、性交で辛い思いをしないように。知識は必要だわ。」
ミレーネは、大きく口を開けていたけれども、顎に指をやると、うーーーんと唸る。
メリーアン王女が、言う。
「それは、確かにそうね。誰もが必ず通る道だわ。変に恐れたり間違った知識でされたり、したりして相手を傷つけるなんてあってはならないわ。」
「そうでしょう?王女様!恥ずかしいとか確かにあるけど、正しく知る必要はあると思うの。」
ソフィアは、理解者の手を握って、仲間を捕まえて喜ぶ。
セリーヌが、扇を下ろして、自分の髪を整えながら頷く。
「冷静に考えれば、確かに、あまりよく分からないばかりに恐れて、当日にショックを受けるという話も聞かなくもないわ。」
「まぁ、娼婦たちは最初に色々と姉さんたちから教わるわ。妊娠しないように薬を使うから、悪質じゃない薬の名前や売り場、自分の体の守り方をね。」
ミレーネの言葉に、なるほどとソフィアは頷く。
「大事な事だわ!性的同意、そして自分の体の仕組み。それから、愛する人と結ばれた後でさえも、もっとハッピーなセックスをする為には、テクニックを!」
ミレーネはソフィアを、可愛そうな目で見て言う。
「・・・あんたの場合は、個別の特別指導ね。陛下を満足させるのは至難の業でしょ?体力も精力も強いからね。」
王女が、少し考えてから聞く。
「性的同意とは・・・例えば、恋人同士や夫婦になったとして、今日はしたくないと、言っても良いと?」
ミレーネは頷く。
「言うべき。今日はそんな気分じゃない、だけど、あなたの事は好きだ。と相手に言うべきね。否定だけはダメ。相手の事を考えて、上手くコミュニケーションをとること。」
セリーヌが、リンゴのように顔を赤くして、震えた声で言う。
「もし、男性に、君の事は好きだけど今日はしたくないって言われたら、わたし、トラウマになりそうだわ。」
王女様も、私も、そのことには同意して頷く。
「そうねぇ、だからこそ、相手を思いやった言葉で伝えればいいのよ。嫌な時は嫌で仕方のない事。良い関係を築いていく為にも、相手を甘やかしちゃダメ。気持ちをきちんと伝えて、相手を教育していくつもりでね。」
「セックスって、コミュニケーションの1つだと思えばいいのかしら。」
ソフィアが言うと、ミレーネは頷く。
「それだけではないわ。セックスは、言葉よりも相手に与えるモノは多い。だけど、体だけじゃダメなの。絶対に愛の言葉は必要よ。相手を思いやる気持ちもね。私のような娼婦でも、愛を持ってお客様に接するわ。本気じゃないけどね。」
その後も、エッチな抗議は続いた。
本題であるテクニック云々あたりで、親友のセリーヌは気絶してしまったので、抗議は後日になってしまったが。
3
あなたにおすすめの小説
エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた
ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。
普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。
※課長の脳内は変態です。
なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
真面目な王子様と私の話
谷絵 ちぐり
恋愛
婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。
小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。
真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。
※Rシーンはあっさりです。
※別サイトにも掲載しています。
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。
しゃーりん
恋愛
ルーチェは夫を亡くして実家に戻り、気持ち的に肩身の狭い思いをしていた。
そこに、王宮から仕事を依頼したいと言われ、実家から出られるのであればと安易に引き受けてしまった。
王宮を訪れたルーチェに指示された仕事とは、第二王子殿下の閨教育だった。
断りきれず、ルーチェは一度限りという条件で了承することになった。
閨教育の夜、第二王子殿下のもとへ向かう途中のルーチェを連れ去ったのは王太子殿下で……
ルーチェを逃がさないように愛妾にした王太子殿下のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる