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第17話 深い闇の真相
しおりを挟む「うーーん。とりあえず、話しは解った。」
そう言って、兄は残りのごはんを食べ始める。そして、おまえらも食えよと言う。暫くは3人で無言で食べ始める。
「お兄ちゃんとごはんとか、もう2度とできないと思ってた。」
ポロリと、私は寂しさを口にしてしまった。
時計は、12:45を指していた。
「ダメだ。なんかドッキリな気がしてきた。」
そう言う兄に、神崎さんは財布から免許証と保険証を見せる。私も慌てて、同じようにする。
「・・・・ウソ・・・みてぇだな。」
そう言って、兄は私たちを交互に見る。
「そうか、歩美はともかく、拓也は見るからにオッサン・・・いや、このまえ会ったばっかなのに、老けすぎだよな。」
「・・・・老けた言うな。ったく、親友を失う俺の身にもなってくれ。精神的にきて、ドッと老けるだろ。」
ちらっと時計を見る。
「でも、どうする?お前らが言う通りなら、あと2時間。」
「逃げろ、晃。」
神崎さんが即答する。
「頼むから逃げてくれ。」
「んなこと、言ったって・・・。」
頭をかく兄は、少し上を向いて目を閉じて、うんと言うようにこちらを向く。
「ムリだ。」
「晃っ!」
「同僚や患者を残して、俺だけ逃げるとか、そんなのムリだ。」
ガタン!と、神崎さんが立ち上がる。
「晃、俺は・・・おまえを力ずくでも連れて行く!」
そう言って、兄の胸ぐらを掴んだ。
「・・・拓也、おまえなら分かるだろ?俺は医者として死ぬなら本望だ。」
兄に掴みかかったまま、ブルブルと、神崎さんの腕が振るえる。
「死んで、本望・・だと?」
何かを堪えるように目を閉じて、眉間に皺を寄せてから、彼は言った。
「俺なんだぞ・・・・・・。」
押し殺したような、声を絞り出して。
「避難所を、片っ端から捜し歩いて・・・瓦礫の中を歩きまわって・・・!やっと、見つけたのは・・・俺なんだ。」
一瞬、神崎さんは何を言っているのか、分からなかった・・・。
そして、あなたは、乱暴に兄から手を離して言った。
「瓦礫の中で、泥に埋まって死んでる、お前を見つけたのは、俺なんだ・・・!」
心臓が・・・凍りつく。
息を・・・することが出来ない・・・。
まさか・・・そんなことが、あっていいのだろうか。現実に、そんな・・・。
それは、悪夢。地獄。なんて表現すればいい・・・。
「気が狂いそうだった・・・!・・・頼む、晃!俺は、このままじゃ・・・このままじゃ、おかしくなる!頼むから、逃げてくれ!」
その悲痛な叫びのような言葉を、兄にぶつけて、彼の目からは一筋の涙が流れた。
どうすることも出来なくて。
私は、泣きながら、彼の背中に突っ伏した。
あなたが、誰にも言えなかった、その事実を。
ずっと抱えてきた、その辛過ぎる現実を。
そんなの、そんなの苦しくて、悲しくて、辛過ぎる。
ずっと、あなたは1人で抱えて生きてきたなんて。
誰か、ウソだと言って欲しい。
どうしたらいい?
どうしたら救える?
この残酷すぎる現実を、事実を・・・変えたい。どうにか、変えたい。
その時、ふと思いつく。
「・・・病院をハッキングする。」
私の突然の言葉に、兄が、「はぁ?」と言う。
神崎さんが、私を見る。
「病院のPCをネットワークを通じて、ウイルス感染させて、爆破予告するんです!」
「綾瀬・・・?」
「それは、私がやります!そうですね、爆発物は病院内に数十か所ということにします。それから、神崎さんは、理工学部だったんですよね?爆弾作れます?」
「お・・・おい、歩美、おまえ何言って・・・。」兄が狼狽える。
「脅しは現実味があった方がいいの!だから駐車場あたりで、爆破させればいい。それを見たら、みんな平常心ではいられないはず。この病院から逃げ出すはずだよ。」
神崎さんは、冷静さを取り戻していた。
「・・・・患者を、病院から、避難させるのか。」
「そうです。お兄ちゃんは、適当にみんなに言って、高台にある病院にみんなを避難させるの!」
2人で、兄を見る。
すると、かなり戸惑っていた兄が、眉間に皺を寄せながら言う。
「・・・・・おう。わかった。」
兄の返事に、神崎さんが反応する。
「晃・・・・。」
「・・・信じられねぇけど、やるよ。俺だって死にたいわけじゃない。それに、拓也のあんな顔見せられて、ホント参ったよ。」
時計は、13時10分を刻んでいた。
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