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7章「3階層へのチャレンジ」
第65話「紗月の思惑(紗月視点)」
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#第65話「紗月の思惑(紗月視点)」
ルナの後ろ姿を見送った瞬間、私は決心した。
今のまま司くんと一緒にいても未来はないかもしれない。けれど、レンのことを知りたがっているルナは……もしかしたら、何らかの形で利用できるかもしれない。
「おい!どこへ行く!」
司くんが腕を掴もうとしたが、私は振りほどいて飛び出した。
「ちょっと用事があるの」
そう言い残して駆け出した。外に出ると、まだルナは近くを歩いていた。見つかって良かった。
「ルナ、ちょっと待って!話がある」
呼びかけると、彼女は振り返る。
「……何かな? 話はもう終わったけど?」
「私ならレンの連絡先を知っている。私はレンの幼馴染で過去に彼と付き合っていたから」
「本当か?」ルナの目が鋭く光る。「是非教えて欲しい」
──ここだ。交渉しなければ。
「少し先の喫茶店で話しましょう」
席につき、私は落ち着いた声で切り出した。
「私がレンの連絡先を教える代わりに取引をしない?あなたの配信に、私を一度参加させてほしいの。正直言うと私は行き詰っている。あなたの配信に入ることで有名になりたい」
ルナは不思議そうに私を見つめたが、意外にもあっさりと頷いた。
「わかった。それでいい。その程度のことなら特に問題はない」
あとは詳細を詰めていった。
可能であれば配信にはクランのみんなも参加させたいけど、そこまで面倒みてもらうわけにはいかないから私1人でいいということ。そしてルナ側の私と一緒に配信した動画の概要欄に私の配信動画へのリンクを貼ることなどだ。これでルナの動画から私の方に流れてくるだろう。
そちらについてもルナは特段の問題はないとしてあっさりと了解してくれた。さすがに私からレンへの連絡は必要だろう。後日、レンの了解を取ってからルナに連絡先を伝えることにした。
とりあえずはうまくいった。私は胸の奥が震えた。
これで私は“ルナと一緒に配信に出た女”という肩書きを手に入れられる。まずはこれだけでも十分だろう。私も動画配信をすれば再生数が伸びる。名の売れ方次第では何らかのスカウトが来る可能性も。
そうすれば最悪、司くんのクランが潰れても、最悪、彼に捨てられても自分1人でやっていけるかもしれない。何かあった時のために逃げ場所を作っておくことは大事だ。
……自分勝手な動きをしたとして司くんには怒られるかもしれないけど、牽制になるかもしれない。
「私を粗末に扱ったら、私はルナとレンの側につく」──そう思わせるだけでも十分だろう。
その後、クランに戻ると案の定、司くんに問い詰められた。
「何をしてきた!」
「レンの連絡先を教える代わりに、私がルナの配信に出させてもらう約束をしたの」
「なにっ? 勝手なことを!」
私は肩をすくめた。
「でも、レンのことはどうせすぐにバレる話でしょう。それなら利用できるうちに利用する方が得だと思ったのよ。他にも何か要求しようかと思ったけどすぐに思いつかなかったから仕方ないでしょ」
司くんの顔が歪んだ。でも私の話には矛盾はないはずだ。さすがに反論はないように見える。
でも、しばらくして絞り出すように言った。
「……なら俺も、その配信に入る。それが最低限の条件だ」
──あちゃー、やっぱりそう来るか。でもこれは仕方ないな。さすがにそれを反対することはできない。ルナにはもう一度連絡を取って司くんだけ入れるように伝えておかないと駄目だな。
「分かったわ。私からルナに司くんも配信に入れてもらうようにお願いする。でも、このチャンスを最大限に生かさないと駄目よ。クランの名声を上げることができるかもしれない」
「そうだな、そう考えることもできるな。紗月よくやった。これで親父から金を引っ張れるかもしれない」
面倒だ。でもまあいい。私はもうあの有名人のルナに“貸し”を作った。これで司くんにも“貸し”を作ったとも言えるだろう。もちろんその見返りをうまく生かさないと駄目だけどね。
更にはルナへの連絡先もある。他の人間にはない凄いアドバンテージだろう。今後も何らかの形で利用できるかもしれない。
どうやら私にも運が向いて来たのかもしれない。
――紗月は少し焦っていた。このままでは、クランは崩壊する可能性がある。そしてその時には御影に捨てられるかもしれない。
そんなタイミングで丁度よく舞い込んできたチャンス。そのチャンスを掴んだと思っていた。
ルナの後ろ姿を見送った瞬間、私は決心した。
今のまま司くんと一緒にいても未来はないかもしれない。けれど、レンのことを知りたがっているルナは……もしかしたら、何らかの形で利用できるかもしれない。
「おい!どこへ行く!」
司くんが腕を掴もうとしたが、私は振りほどいて飛び出した。
「ちょっと用事があるの」
そう言い残して駆け出した。外に出ると、まだルナは近くを歩いていた。見つかって良かった。
「ルナ、ちょっと待って!話がある」
呼びかけると、彼女は振り返る。
「……何かな? 話はもう終わったけど?」
「私ならレンの連絡先を知っている。私はレンの幼馴染で過去に彼と付き合っていたから」
「本当か?」ルナの目が鋭く光る。「是非教えて欲しい」
──ここだ。交渉しなければ。
「少し先の喫茶店で話しましょう」
席につき、私は落ち着いた声で切り出した。
「私がレンの連絡先を教える代わりに取引をしない?あなたの配信に、私を一度参加させてほしいの。正直言うと私は行き詰っている。あなたの配信に入ることで有名になりたい」
ルナは不思議そうに私を見つめたが、意外にもあっさりと頷いた。
「わかった。それでいい。その程度のことなら特に問題はない」
あとは詳細を詰めていった。
可能であれば配信にはクランのみんなも参加させたいけど、そこまで面倒みてもらうわけにはいかないから私1人でいいということ。そしてルナ側の私と一緒に配信した動画の概要欄に私の配信動画へのリンクを貼ることなどだ。これでルナの動画から私の方に流れてくるだろう。
そちらについてもルナは特段の問題はないとしてあっさりと了解してくれた。さすがに私からレンへの連絡は必要だろう。後日、レンの了解を取ってからルナに連絡先を伝えることにした。
とりあえずはうまくいった。私は胸の奥が震えた。
これで私は“ルナと一緒に配信に出た女”という肩書きを手に入れられる。まずはこれだけでも十分だろう。私も動画配信をすれば再生数が伸びる。名の売れ方次第では何らかのスカウトが来る可能性も。
そうすれば最悪、司くんのクランが潰れても、最悪、彼に捨てられても自分1人でやっていけるかもしれない。何かあった時のために逃げ場所を作っておくことは大事だ。
……自分勝手な動きをしたとして司くんには怒られるかもしれないけど、牽制になるかもしれない。
「私を粗末に扱ったら、私はルナとレンの側につく」──そう思わせるだけでも十分だろう。
その後、クランに戻ると案の定、司くんに問い詰められた。
「何をしてきた!」
「レンの連絡先を教える代わりに、私がルナの配信に出させてもらう約束をしたの」
「なにっ? 勝手なことを!」
私は肩をすくめた。
「でも、レンのことはどうせすぐにバレる話でしょう。それなら利用できるうちに利用する方が得だと思ったのよ。他にも何か要求しようかと思ったけどすぐに思いつかなかったから仕方ないでしょ」
司くんの顔が歪んだ。でも私の話には矛盾はないはずだ。さすがに反論はないように見える。
でも、しばらくして絞り出すように言った。
「……なら俺も、その配信に入る。それが最低限の条件だ」
──あちゃー、やっぱりそう来るか。でもこれは仕方ないな。さすがにそれを反対することはできない。ルナにはもう一度連絡を取って司くんだけ入れるように伝えておかないと駄目だな。
「分かったわ。私からルナに司くんも配信に入れてもらうようにお願いする。でも、このチャンスを最大限に生かさないと駄目よ。クランの名声を上げることができるかもしれない」
「そうだな、そう考えることもできるな。紗月よくやった。これで親父から金を引っ張れるかもしれない」
面倒だ。でもまあいい。私はもうあの有名人のルナに“貸し”を作った。これで司くんにも“貸し”を作ったとも言えるだろう。もちろんその見返りをうまく生かさないと駄目だけどね。
更にはルナへの連絡先もある。他の人間にはない凄いアドバンテージだろう。今後も何らかの形で利用できるかもしれない。
どうやら私にも運が向いて来たのかもしれない。
――紗月は少し焦っていた。このままでは、クランは崩壊する可能性がある。そしてその時には御影に捨てられるかもしれない。
そんなタイミングで丁度よく舞い込んできたチャンス。そのチャンスを掴んだと思っていた。
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