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8章「道場での稽古と戦いの変化」
第81話「盾の交代」
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#第81話「盾の交代」
早ければ三日で終わるはずだった素振りの稽古は気づけば三週間が過ぎた。とにかく俺は不器用らしい。反復練習して体に覚え込ませるしかない。
朝は道場で木刀を振り、昼前からはダンジョン――三階層での討伐を続ける日々だ。
だが実戦では、ここ最近危ない場面が増えていた。
当然のことながら道場で身につけつつある「体全体で威力を出す剣」を実戦で使う。それはいいのだ。少しずつ良くなりかなりの威力が出るようになった。そしてより少ない手数でモンスターを倒せるようになった。
しかし全身で振ろうとすると少し隙が生まれる。さらに、自分の剣の振りばかりに意識が向き、相手の動きへの注意が散ってしまう――。それで攻撃を受けそうな場面が増えた。
(うーん。威力は出るようになってきたんだけどな。それで危険になってしまっては稽古の意味がない。改善が必要だ)
<<ご主人様、今日もちょっと危うかったように見えます。大丈夫ですか?>>とラムが念話で問いかけてきた。
<<ああ、悪い。道場で剣術を始めてな。稽古の成果を出そうとすると、つい防御側の意識が途切れる>>
<<ならば――チャンスの時だけ、稽古の打ち方を入れてみては? 常に意識すると危ないです>>
<<……それだな。分かった。まずは狙える瞬間だけにしてみる。いくら威力が出ても危なくなったら本末転倒だ>>
ラムの提案どおりに切り替えると、討伐は少し滑らかになった。
ただ、そのぶん威力が落ちた。やはり俺は不器用だ。そもそも、ここぞというチャンスが少ない。うまく攻撃を捌いてクイックベアに隙ができればいいけどそういったチャンスは少ないのだ。そしてチャンスになると、どうしても力む。数少ないチャンスをものにしようと腕が先に動く悪い癖が出る。
うーん。どうしたものか?
<<では次は――私たちが盾役をやってみましょうか? ご主人様は攻撃に専念できるです>>とリンが念話で送ってきた。なるほどそれもいいかもしれないがラムとリンは盾役ができるのだろうか?
<<……やってみよう。頼む。ラムとリンはそれでいいか?>>
<<もちろんですです。それでやってみましょうです>>とリンが張り切っている。
配置を変える。ラムとリンが前に出て、俺は少し後ろ。
ちょうど二体組のクイックベアがやってきた。ラムとリンが低く唸って挑発し、引き受ける。
これは凄いな。俺から見ると相手は隙だらけだ。これがアタッカーの景色か。
俺はその隙だらけのクイックベアに俺は剣をふるった。ドンという音と共にクイックベアが倒れる。おお凄い!まさかの1発討伐だ!
その後も手応えが乗った。間違いなく以前より手数が少ない。
どうやら攻撃に専念すれば稽古の振りを崩さずに出せるらしい。これはいい。
<<ご主人様、今の攻撃は凄かったです>>とラムが褒めてくれる。
<<まさか1発で仕留めるとは凄いですです。>>とリンも褒めてくれた。
うん。俺は凄いかもしれない。以後は盾役=ラム&リン/アタッカー=俺のパターンで進めていった。
しかし……前言を撤回したい。俺は自分のことが凄いと思ったがラムとリンの方が凄い。盾役をやり始めたばかりだというのに、二体を引き付けている。そして俺が打ち込みやすいように角度を作るのが非常にうまい。
正直、俺が前に立つより綺麗に保持しているように見える。まだ盾役を始めたばっかりだよね?なんでずっとやっていた俺よりもうまいの?ちょっと落ち込むよ。
<<ご主人様の盾役を参考にしました>>とラムが俺の気持ちを察したかのように言ってきた。
<<私もですです>>とリンもだ。
でも、こうやって違う役割をすると客観的に見れるのはいいな。俺も相手の立場に立ってアタッカー役や盾役をする必要がありそうだ。役割に専念するだけでなくいろいろと考えよう。
ともかく俺がアタッカーでうまくいくことが分かった。これは大きい。攻撃に専念できる。そして相手が一撃で倒れると凄く気分がいい。世のアタッカーはこういう気分なのだろう。もっともっと倒したくなる。
パターンが回り始めると、なんと敵が四体組でもいけた。三体をラムとリンが保持し、俺が残り一体をなるべく速攻で落として合流。もしくは二体ずつをラムとリンが保持し俺が回り込んで攻撃。
(……このパターンはいい。俺よりもラムとリンは盾役が上手だ。でも待てよ。ラムとリンは器用だからここ最近の俺の攻撃を見て覚えて俺以上のアタッカーになることも可能かもしれない。それはそれでショックだけどな。たまに役割を変えてみるのもありかもしれない)
俺は不器用で歩みは遅い。でも、少なくとも前進はしていることを実感できた。
こうやって攻撃に専念した時は、稽古の「体全体で威力を出す剣」が実戦でも出せるようになった。
<<ご主人様、今日はここまでにしませんか?>>とラムが提案してきた。
これからまだまだやるぞと思っていたのでその提案にびっくりした。でも、もう終わりの時間だった。あまりにも楽しくて時間を忘れてしまったようだ。今日の討伐数は少なくとも1人40体ぐらいになっただろう。
<<……そうだな。切り上げよう>>
帰り際、俺はひよりに今日のうまくいった討伐のことを伝えた。
「今日はうまくいったよ。ラムとリンの盾役は俺よりも器用でさ、そして俺がアタッカー役をやったらスムーズに進んだ。リスクも少ないと思う」
「それは凄いね。もう三階層も目途がつきそうだね。さすがレンね!」
ひよりも凄く喜んでくれて俺も嬉しい。
明日はルナにも報告しておくか。きっと何か次の一手を教えてくれるだろう。
早ければ三日で終わるはずだった素振りの稽古は気づけば三週間が過ぎた。とにかく俺は不器用らしい。反復練習して体に覚え込ませるしかない。
朝は道場で木刀を振り、昼前からはダンジョン――三階層での討伐を続ける日々だ。
だが実戦では、ここ最近危ない場面が増えていた。
当然のことながら道場で身につけつつある「体全体で威力を出す剣」を実戦で使う。それはいいのだ。少しずつ良くなりかなりの威力が出るようになった。そしてより少ない手数でモンスターを倒せるようになった。
しかし全身で振ろうとすると少し隙が生まれる。さらに、自分の剣の振りばかりに意識が向き、相手の動きへの注意が散ってしまう――。それで攻撃を受けそうな場面が増えた。
(うーん。威力は出るようになってきたんだけどな。それで危険になってしまっては稽古の意味がない。改善が必要だ)
<<ご主人様、今日もちょっと危うかったように見えます。大丈夫ですか?>>とラムが念話で問いかけてきた。
<<ああ、悪い。道場で剣術を始めてな。稽古の成果を出そうとすると、つい防御側の意識が途切れる>>
<<ならば――チャンスの時だけ、稽古の打ち方を入れてみては? 常に意識すると危ないです>>
<<……それだな。分かった。まずは狙える瞬間だけにしてみる。いくら威力が出ても危なくなったら本末転倒だ>>
ラムの提案どおりに切り替えると、討伐は少し滑らかになった。
ただ、そのぶん威力が落ちた。やはり俺は不器用だ。そもそも、ここぞというチャンスが少ない。うまく攻撃を捌いてクイックベアに隙ができればいいけどそういったチャンスは少ないのだ。そしてチャンスになると、どうしても力む。数少ないチャンスをものにしようと腕が先に動く悪い癖が出る。
うーん。どうしたものか?
<<では次は――私たちが盾役をやってみましょうか? ご主人様は攻撃に専念できるです>>とリンが念話で送ってきた。なるほどそれもいいかもしれないがラムとリンは盾役ができるのだろうか?
<<……やってみよう。頼む。ラムとリンはそれでいいか?>>
<<もちろんですです。それでやってみましょうです>>とリンが張り切っている。
配置を変える。ラムとリンが前に出て、俺は少し後ろ。
ちょうど二体組のクイックベアがやってきた。ラムとリンが低く唸って挑発し、引き受ける。
これは凄いな。俺から見ると相手は隙だらけだ。これがアタッカーの景色か。
俺はその隙だらけのクイックベアに俺は剣をふるった。ドンという音と共にクイックベアが倒れる。おお凄い!まさかの1発討伐だ!
その後も手応えが乗った。間違いなく以前より手数が少ない。
どうやら攻撃に専念すれば稽古の振りを崩さずに出せるらしい。これはいい。
<<ご主人様、今の攻撃は凄かったです>>とラムが褒めてくれる。
<<まさか1発で仕留めるとは凄いですです。>>とリンも褒めてくれた。
うん。俺は凄いかもしれない。以後は盾役=ラム&リン/アタッカー=俺のパターンで進めていった。
しかし……前言を撤回したい。俺は自分のことが凄いと思ったがラムとリンの方が凄い。盾役をやり始めたばかりだというのに、二体を引き付けている。そして俺が打ち込みやすいように角度を作るのが非常にうまい。
正直、俺が前に立つより綺麗に保持しているように見える。まだ盾役を始めたばっかりだよね?なんでずっとやっていた俺よりもうまいの?ちょっと落ち込むよ。
<<ご主人様の盾役を参考にしました>>とラムが俺の気持ちを察したかのように言ってきた。
<<私もですです>>とリンもだ。
でも、こうやって違う役割をすると客観的に見れるのはいいな。俺も相手の立場に立ってアタッカー役や盾役をする必要がありそうだ。役割に専念するだけでなくいろいろと考えよう。
ともかく俺がアタッカーでうまくいくことが分かった。これは大きい。攻撃に専念できる。そして相手が一撃で倒れると凄く気分がいい。世のアタッカーはこういう気分なのだろう。もっともっと倒したくなる。
パターンが回り始めると、なんと敵が四体組でもいけた。三体をラムとリンが保持し、俺が残り一体をなるべく速攻で落として合流。もしくは二体ずつをラムとリンが保持し俺が回り込んで攻撃。
(……このパターンはいい。俺よりもラムとリンは盾役が上手だ。でも待てよ。ラムとリンは器用だからここ最近の俺の攻撃を見て覚えて俺以上のアタッカーになることも可能かもしれない。それはそれでショックだけどな。たまに役割を変えてみるのもありかもしれない)
俺は不器用で歩みは遅い。でも、少なくとも前進はしていることを実感できた。
こうやって攻撃に専念した時は、稽古の「体全体で威力を出す剣」が実戦でも出せるようになった。
<<ご主人様、今日はここまでにしませんか?>>とラムが提案してきた。
これからまだまだやるぞと思っていたのでその提案にびっくりした。でも、もう終わりの時間だった。あまりにも楽しくて時間を忘れてしまったようだ。今日の討伐数は少なくとも1人40体ぐらいになっただろう。
<<……そうだな。切り上げよう>>
帰り際、俺はひよりに今日のうまくいった討伐のことを伝えた。
「今日はうまくいったよ。ラムとリンの盾役は俺よりも器用でさ、そして俺がアタッカー役をやったらスムーズに進んだ。リスクも少ないと思う」
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