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11章「世間の評価とリーダー論」
第116話「言葉とリーダーの重さ」
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#第116話「言葉とリーダーの重さ」
透子さんの簡易知能テストが終わった。順調すぎるぐらい順調だった。
結果は想像以上——みんな本当に賢い。戦闘の飲み込みが速い理由にも合点がいく。FS2のルフとクーでも幼稚園児なみ、FS3のロアでも小学生低学年レベル、そしてFS5のラムとリンに至っては高校生上位クラスらしい。
ラムとリンについては最近は戦闘時に俺よりも頭が回っているんじゃないかと思う場面が多かったが納得した。今回のテストでも俺よりも回答が早かったと思うぐらいだ。
「みんな、本当にかしこいな。……今や俺よりラムやリンがリーダーにふさわしいかも。みんな強くなったし、これならもう俺はいなくても大丈夫だな」
何気なく口にした瞬間、空気が変わった。
何かあったか?と思ってひよりを見るとジト目で俺を見ている。どうやら俺が何かやらかした?
ルフとクーがそわそわとしている、そしてロアは不安そうに俺の袖をつまんで見上げる。
ラムとリンは——人化した状態だが目にうっすら涙だ。やばい、これじゃ女性を俺が泣かしたような感じになっているよ。
「え、ちょ、どうした? ラム、リン、ロア、ルフ、クー、——いったい何があった?」
横を見ると、ひよりが額に手を当て、透子さんは眉間にしわを寄せている。
「レンは本当にバカね」
「君は分かっていないね」
あれれ?二人そろって同じトーンだ。何かあった?全く心当たりが……ないんだけどさ。
そのとき、ラムが一歩前に出た。
「ご主人様……」かすれた声で俺の前に立つ。
「わ、私を——捨てないでください。もし悪いところがあるなら直します。何でも言ってください。ご主人様のように強くなったのが駄目なら弱くなります」
続いてリンが、早口で言葉を重ねてきた。
「私も気を付けるです。ご主人様に気が付いたことを言ったのが駄目でしたですか。それが駄目ならやめますです。これからは何も言いませんです。だから——いなくならないで欲しいですです」
「ま、待て待て待て!」俺は慌てて両手を振った。
「俺はいなくならない。捨てたりしない。なんでそうなる?」
「……本当ですか?さっき"もう俺がいなくても大丈夫だな"って」ラムの瞳から涙がこぼれる。
「その話? なんでそうなるの? 俺はいなくならないって。みんなが強くなってくれるのもとても嬉しいし、いろいろ教えてくれて助かってる。今のままで、そのままで全く問題ない。それどころかもっと強くなって欲しいし、どんどん気が付いたことを言って欲しいぐらいだよ」
ラムとリンがほっとしているように見える。そしてロアが小さくうなずく。ルフとクーも、きゅっと姿勢を正した。
ひよりが肩をすくめた。
「レン、“もう俺がいなくても大丈夫だな”とかは……おそらく使役モンスターにとっては言葉のナイフだよ。一緒に戦う仲間でもあるけど、それと同時にみんな家族みたいなものでしょ? 家族からそれ言われたら、そりゃ不安になるよ。レンも弟と妹には絶対に言わないだろうし、仮に弟と妹からそのように言われたら傷付くでしょ」
透子さんもメモを取りながら静かに補足する。
「そうだな。レンはもう少し使役モンスターの感情も考えた方がいい。君が思うよりもずっと純粋で敏感だ。そこは知能に比例しないかもしれない。だからその手の話は軽い冗談もあまり通じないと思った方がいいぞ」
「あと細かいところはまだ分からないが主人の言葉、命令は絶対だと思っている節がある。その未来が見えたら混乱するのも頷ける」
「そっか……みんな、ごめん」
俺は全員の顔を順に見て、ゆっくり頭を下げた。
「みんな俺が変な言い方して悪かった。俺はみんなが、頭が良くて嬉しかっただけだよ。俺はみんなとずっと一緒にいる。困ったら俺を頼ってくれ。俺もみんなを頼る。みんなで一緒に強くなろう。どんどん言いたいことを言い合おう——それで、いいか?」
少しの沈黙のあと、
「——はい。ならばこれまで通りでいいのですね」ラムが目尻をぬぐって微笑んだ。
「よかったですです。今後も頑張りますです」リンも胸に手を当てる。
「ああ、そうだ。今まで通りだ。もっと強くなろう、そして強くなるためにもどんどん意見を言い合おう。俺が間違っていると思ったらばんばん指摘してくれ。それが一番だ」
ロアは<<ご主人様、私もがんばる!意見も言う!>>と短く、ルフとクーはコクコクと勢いよくうなずいた。
場が和らいだところで、俺はいつものように軽い会話を楽しみながらみんなとじゃれあった。
これはあれだ、口は災いの元ってやつだな。気を付けよう。
けれど、あの一瞬で分かった。
——“いなくても大丈夫”なんかじゃない。俺はみんなに必要とされているんだよな。それが嬉しい。みんなの主人としてもそうだし、リーダーとしても必要なんだ。
もちろん俺にとってもみんなが必要なんだがな。
「みんなに俺が必要なように、俺もみんなが絶対に必要だ。ずっと一緒にいよう。頑張って一緒に強くなろう!」
「はい」「ですです」<<がんばる!>>「……!」
返ってきた声が、きれいに重なった気がする。
良かった。俺はまだ使役モンスターについて知らないことがあったようだ。これからもちゃんとコミュニケーションを取ってみんなのことを知るようにしよう。
それが主人であり、リーダーの役割でもあると思う。
俺は過去に2度も不必要としてリーダーを下ろされ、更にはクランを追放された。もうそんなことにはなり得ないだろう。
今の仲間はお互いを信用し必要としている。それが嬉しくもあった。
透子さんの簡易知能テストが終わった。順調すぎるぐらい順調だった。
結果は想像以上——みんな本当に賢い。戦闘の飲み込みが速い理由にも合点がいく。FS2のルフとクーでも幼稚園児なみ、FS3のロアでも小学生低学年レベル、そしてFS5のラムとリンに至っては高校生上位クラスらしい。
ラムとリンについては最近は戦闘時に俺よりも頭が回っているんじゃないかと思う場面が多かったが納得した。今回のテストでも俺よりも回答が早かったと思うぐらいだ。
「みんな、本当にかしこいな。……今や俺よりラムやリンがリーダーにふさわしいかも。みんな強くなったし、これならもう俺はいなくても大丈夫だな」
何気なく口にした瞬間、空気が変わった。
何かあったか?と思ってひよりを見るとジト目で俺を見ている。どうやら俺が何かやらかした?
ルフとクーがそわそわとしている、そしてロアは不安そうに俺の袖をつまんで見上げる。
ラムとリンは——人化した状態だが目にうっすら涙だ。やばい、これじゃ女性を俺が泣かしたような感じになっているよ。
「え、ちょ、どうした? ラム、リン、ロア、ルフ、クー、——いったい何があった?」
横を見ると、ひよりが額に手を当て、透子さんは眉間にしわを寄せている。
「レンは本当にバカね」
「君は分かっていないね」
あれれ?二人そろって同じトーンだ。何かあった?全く心当たりが……ないんだけどさ。
そのとき、ラムが一歩前に出た。
「ご主人様……」かすれた声で俺の前に立つ。
「わ、私を——捨てないでください。もし悪いところがあるなら直します。何でも言ってください。ご主人様のように強くなったのが駄目なら弱くなります」
続いてリンが、早口で言葉を重ねてきた。
「私も気を付けるです。ご主人様に気が付いたことを言ったのが駄目でしたですか。それが駄目ならやめますです。これからは何も言いませんです。だから——いなくならないで欲しいですです」
「ま、待て待て待て!」俺は慌てて両手を振った。
「俺はいなくならない。捨てたりしない。なんでそうなる?」
「……本当ですか?さっき"もう俺がいなくても大丈夫だな"って」ラムの瞳から涙がこぼれる。
「その話? なんでそうなるの? 俺はいなくならないって。みんなが強くなってくれるのもとても嬉しいし、いろいろ教えてくれて助かってる。今のままで、そのままで全く問題ない。それどころかもっと強くなって欲しいし、どんどん気が付いたことを言って欲しいぐらいだよ」
ラムとリンがほっとしているように見える。そしてロアが小さくうなずく。ルフとクーも、きゅっと姿勢を正した。
ひよりが肩をすくめた。
「レン、“もう俺がいなくても大丈夫だな”とかは……おそらく使役モンスターにとっては言葉のナイフだよ。一緒に戦う仲間でもあるけど、それと同時にみんな家族みたいなものでしょ? 家族からそれ言われたら、そりゃ不安になるよ。レンも弟と妹には絶対に言わないだろうし、仮に弟と妹からそのように言われたら傷付くでしょ」
透子さんもメモを取りながら静かに補足する。
「そうだな。レンはもう少し使役モンスターの感情も考えた方がいい。君が思うよりもずっと純粋で敏感だ。そこは知能に比例しないかもしれない。だからその手の話は軽い冗談もあまり通じないと思った方がいいぞ」
「あと細かいところはまだ分からないが主人の言葉、命令は絶対だと思っている節がある。その未来が見えたら混乱するのも頷ける」
「そっか……みんな、ごめん」
俺は全員の顔を順に見て、ゆっくり頭を下げた。
「みんな俺が変な言い方して悪かった。俺はみんなが、頭が良くて嬉しかっただけだよ。俺はみんなとずっと一緒にいる。困ったら俺を頼ってくれ。俺もみんなを頼る。みんなで一緒に強くなろう。どんどん言いたいことを言い合おう——それで、いいか?」
少しの沈黙のあと、
「——はい。ならばこれまで通りでいいのですね」ラムが目尻をぬぐって微笑んだ。
「よかったですです。今後も頑張りますです」リンも胸に手を当てる。
「ああ、そうだ。今まで通りだ。もっと強くなろう、そして強くなるためにもどんどん意見を言い合おう。俺が間違っていると思ったらばんばん指摘してくれ。それが一番だ」
ロアは<<ご主人様、私もがんばる!意見も言う!>>と短く、ルフとクーはコクコクと勢いよくうなずいた。
場が和らいだところで、俺はいつものように軽い会話を楽しみながらみんなとじゃれあった。
これはあれだ、口は災いの元ってやつだな。気を付けよう。
けれど、あの一瞬で分かった。
——“いなくても大丈夫”なんかじゃない。俺はみんなに必要とされているんだよな。それが嬉しい。みんなの主人としてもそうだし、リーダーとしても必要なんだ。
もちろん俺にとってもみんなが必要なんだがな。
「みんなに俺が必要なように、俺もみんなが絶対に必要だ。ずっと一緒にいよう。頑張って一緒に強くなろう!」
「はい」「ですです」<<がんばる!>>「……!」
返ってきた声が、きれいに重なった気がする。
良かった。俺はまだ使役モンスターについて知らないことがあったようだ。これからもちゃんとコミュニケーションを取ってみんなのことを知るようにしよう。
それが主人であり、リーダーの役割でもあると思う。
俺は過去に2度も不必要としてリーダーを下ろされ、更にはクランを追放された。もうそんなことにはなり得ないだろう。
今の仲間はお互いを信用し必要としている。それが嬉しくもあった。
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